なおAB
空ABのとある戦場にて
飛び交うレシプロ戦闘機同士の空戦や
爆撃機による基地爆。
攻撃機と対地専門の戦闘機が対地攻撃をしているなかで
一機の蒼きスピットファイアがいた。
「すばっしこい相手ですわ…」
<<お褒めの言葉どうも。零戦は機動性に優れた戦闘機でね>>
第二次世界大戦のイギリス空軍の飛行服を着たイギリス代表候補生。セシリア・オルコットが
乗っているのはISのブルー・ティアーズではなく両翼が木の葉のような形をした戦闘機。
イギリスを救った救国の戦闘機スピットファイアのFMKXIVC。
このスピットファイアはイギリス空ランクIVのプレミアム機だ。
どうやら資産を使って、ウォーサンダー世界の通貨GEを購入し
そのGEを使って購入したようだ。
<<プレミアムのスピットファイア…いい機体だ。だが…>>
そんなセシリアが戦っている敵機は、日本空ランクIII。
バトルパス報酬の零式艦上戦闘機53型丙。
零戦52型丙のエンジンを水メタノール噴射装置のある栄31型に載せ替え機動力の向上を図った零戦である。
武装は99式2号20粍機関砲が両翼に2挺。
3式13粍機銃が両翼と機首右に3挺と強力な火力だ。
これまでの零戦に比べると機動力は落ちるものの、腐っても零戦のためそれでも他国の戦闘機と格闘戦で勝てるほどの機動性である。
さらに修理費はたったの1100SL程と零戦の中で一番安い。
そして、火力は従来の零戦に比べればかなり上昇している。
「このっ! ちょこまかと!」
<<てかセシリアさん。あんた初っ端からプレ機に乗ってきたのか…>>
高度二千メートルでセシリアは銃撃をしながら機体を右へ左へ振りながら逃げ回る零戦を追っていた。
しかし敵機…零戦五三型もまた左右に小刻みに動き、セシリアのスピットファイアからの銃撃を回避している。
「くぅ……なんで当たらないんですの!?」
<<甘いな。そんな攻撃じゃ零は捉えられないぜ>>
相手のパイロットはセシリアの操縦技術の技量を遥かに超えている。
それにセシリアは手足のごとく乗り慣れているISならともかく
戦闘機、それもジェット戦闘よりも世代が前のレシプロ戦闘機に乗るのは初めてだった。
しかも最初に配布されていた複葉機…グラディエーターとフューリーに乗っていない。
チュートリアルは受けたようだが。それっきりだった
「この!!落ちなさい!!」
<<腕が機体に追いついてないようだな…>>
「そんなことはありませんわ!!」
セシリアは零戦に向かって銃撃する。
だがあっさり躱される。いくら武装追加により機動性が落ちているとはいえ零戦。
セシリアのスピットファイアから撃たれる銃弾の回避など造作もない事だった。
弾が当たらないことにいら立ちを募らせるセシリア。
すると零戦のパイロットは
<<自信があるなら俺と格闘戦に入るか?英国代表候補生さんよ。まあ零戦に勝てるわけがないがな>>
と挑発してきた。
目の前の敵…零戦五三型丙を墜とせない事から感情が高ぶっていたセシリアは
「上等ですわ!!」と応じて格闘戦に入った。
<<よし。日英対決といこうじゃないか>>
お互いに背後を取り合いならがセシリアはフットバーを蹴りつけて回避行動を取りつつ、零戦53型丙を追う。
しかし、零戦も旋回していく。
「逃しませんわよ!!」
咄嗟に操縦桿を握り水平旋回を行う。
お互いの背後を求めあうドッグファイトだ。
<<いいだろう。乗ってこい!!>>
セシリアはフットバーを踏み込み、スロットルレバーを叩きつけるように押し込んでフラップを全開にして操縦桿を倒す。
この時セシリアは気づいてなかったが…
<<あのスピットファイア。零に格闘戦を挑むとは素人だな…>>
零戦53型丙と同じ敵チームの日本空ランクIII
陸軍戦闘機。一式戦闘機隼三型乙が迫ってきていた。
<<やはり零に夢中になってやがる。楽勝だなコイツは>>
実はこれ、零戦の作戦である。
セシリアと格闘戦をしている間に、一対複数に持ち込む作戦だった。
事実セシリアは目の前の、零式艦上戦闘機五三型丙を撃墜する事しか脳裏になかった。
<<気づいてないようだ。注意が目の前の零にしかないようだ>>
なお、そのセシリアは目の前の零戦を追うのに夢中で全く気づいていない。
<<援護に来たぞそこの零戦。あのプレ機のスピットファイア…セシリア・オルコットか。>>
<<助かる。身の程知らずの英国美女を墜としてくれ>>
<<あいよ。引き続き囮頼んだぜ>>
そのまま、隼三型乙はセシリアのスピットファイアに背後から忍び寄っていた。
この隼は機首がホ103 12.7ミリ搭載のⅠ型・Ⅱ型とはとは違い
機首にホ5 20ミリ機関砲2挺を装備している。
ホ5 20ミリ機関砲は各国の20mmと比べてもトップクラスの発射レートと瞬間火力を誇る。
さらに調整により発射速度が950rpmになりレーザービーム並みの超連射を誇る機関砲だ。
しかもこの隼のホ5には全て曳光弾ベルトが装弾されていた。
その事に気づいていないセシリアは目の前の零戦に集中していた。
「そこ------」
<<頂きだ。>>
そして、零戦が急上昇し零戦を追うべく上昇したセシリアのスピットファイア目掛けてと同時に隼が発砲。
ホ5の和製レーザービームと言える火箭が伸びていくのだった。
それと同時に、後ろから爆音を感じたセシリアはすぐに振り返る。
そこには、隼三型乙が自分に向けて発砲していたのを見る。
「え!?」
零戦に夢中だったため、回避行動もできずにホ5の直撃を受けてしまう。
「きゃああぁっ!?」
セシリアは悲鳴を上げる。
そのままスピットファイアはあっという間にかちかち山のたぬきのように火達磨にされてしまった。
<<終わりだ英国美女。後方確認は戦闘機乗りの基本だぞ>>
<<次はもっと強くなって上がってこい。ISとは違う事を認識するんだな>>
「う、嘘!?」
そのままセシリアは撃墜されてしまった。
<<そこの隼。援護に感謝するぜ>>
<<おう。あのスピットファイアのパイロットってイギリスのIS乗りだろ?なんでスピットに?>>
<<この世界に転移してきたらしい>>
<<あ~…ならこの世界の洗礼を受けるだろうな>>
再出撃しようにも買ったプレミアム機はあのスピットファイアだけなので
次に出せるのはフューリーなどの複葉機しかなかった。
------------------------------基地の格納庫にて。
セシリアはというと同じ第二次世界大戦のイギリス空軍の服を着ている。
同年齢のイギリス人少年になが~い話をされていた。
そのイギリス人少年は熟練した戦士のような鋭い瞳をしていた。
セシリアは知らないがこの少年はずっと前に来ており、イギリス空ランクVまで進めている歴戦の少年だ。
「だめだよセシリア。いきなり初っ端から慣熟飛行もなしに高ランクレシプロに乗っちゃ。」
「しかもABの日本機に格闘戦なんかしたら乱戦でもない限り十中八九負けるよ」
「スピットファイアは機動性はいいけど、日本機には負ける…」
「ごめんなさい……」
「まあ、初っ端からプレ機に乗ったのはあれだけど……まあ、プレ機であんなに動けるのは凄いけどね。まずは複葉機で戦い方を学びな」
「はい……」
「とりあえず、あのスピットファイアは戦い方に慣れるまで乗らない方がいいね」