後書きの方に原作風プロフィールと合わせて置いていますので興味がある方はどうぞ。
(スマホにデフォルトで入っていたアプリで描いた為色々と雑です、せめて塗り潰しは欲しかった)
音の四人衆が1人左近は目の前の光景に唖然としていた。
ここ最近のストレスの元凶、村雨に連れられ忍具造りの職人集団、匠の里の連中の隣に移動し商品を並べるや否や連中が集めていた客を根こそぎ奪い取り完全にこの闇市での集客を独占した。
眼前に溢れかえる人込みに目を疑う……そもそも自分達が来た時にこれほどまでに人が居たか? まさかとは思うがこいつの刀を買った連中が仲間でも連れてきたのか? 想像を超える人の量にもはや村雨の監視をしているだけでは済まなくなった。
気に食わないがこの闇市の主であるジガバチという男から釘を刺された手前、この闇市で騒ぎを起こすのはこちらとしても不都合が多い。紛いなりにも大量に集まった金づるを手放すのも惜しい……だから心底気に食わないが……。
「列の最後尾は向こうだ! ──ピーコラ騒いでんじゃねぇ、黙って並べ!!」
「割り込んでんじゃねぇ! セコイ真似してんじゃねぇぞこのゲスチンヤロー!!」
「多由也、女がそういう言葉をあまり……」
「「うるせぇ! テメーも働けデブ!!」」
苛立ちながらも列の整理をする……。
本来大蛇丸様の護衛役を務める音の四人衆が何が悲しくてこんな事をしているのか……考えれば考えるほど苛立ちが増していく……多由也も同様なのだろう、不満を隠そうともせずに『最後尾』と書かれた看板を掲げながら割り込みをした男に怒声をぶつけている。
こんな事をさせられていること自体気に食わないが何より腹立たしいのは訪れる客の連中がこちらの事を精々が十代後半だろうという認識のせいか平気で列の割り込みだの何だのと舐めて掛かってきていることだ。
いっそ音忍だと身分を明かせば大蛇丸様のことを知る抜け忍などの裏側の人間ならば大人しくなるだろうか? しかし有象無象の連中ならとかく木ノ葉の根を始め、こういった非正規な市場に潜り込む暗部所属の人間がいると厄介なことになる可能性もあることがその手段を躊躇わせる。
幸い、警告を掛ければ客同士でも衝突を避けたいのか皆渋々と並び直す以上余計なリスクは取らない方が良い。
……というか警告されて並び直すんなら最初っから割り込みなんてくだらねぇ真似をするんじゃねぇよカス共……と怒り任せに叫びたいところだが……もっと苦労している同僚がいる手前、先にキレることは憚られる。
形成された大行列を監視しながら、その状列の先へと視線を向ければ熱心に売り物の刀に視線を向ける客に対して特殊な造り故に一つ一つ説明を披露する村雨と六本の腕で金の受け取りと釣り銭の譲渡、売り上げを帳簿に記載と酷使される鬼童丸の姿がそこにあった。
あまりに不憫な同僚に村雨の体内で監視の役目を任せた兄、右近に手伝ってやれよとつい思ってしまうがこうして四人衆全員が村雨の監視から外れてしまった以上万が一あの女が何かやらかした際に対応できる存在がアニキ以外いないことを考えればこの役割分担でやるしか無いのも事実。
それに幸い、既に立ち去りはしたものの匠の里の連中への対抗意識で何らかのスイッチが入ったのか村雨も脇目も振らず刀の売り込みに全力で取り組んでいる様だしこの客足の量……あの女も所詮身体は一つ、この調子ならば列を捌き切ったころには闇市も終了時間となり、村雨が暴走する間も無く想定以上に稼げて終わるかもしれない。
そうなれば一番楽な仕事をしていたアニキには自分と鬼童丸の奴に何か旨い飯でも奢らせるかと計画する。
しかし、そんな折にふと声が聞こえた。
「さ、左近! 左近!!」
慌てた様子の多由也に名前を呼ばれふと意識を戻せば顔を青ざめた多由也の顔が目に入ってくる。……正直この女がこんな風に取り乱すことなど滅多にないはずだが……一体何事かと彼女が顎で指し示す方に視線を移せば……全身の血が抜き取られたかの様な寒気に襲われた。
黒い衣に赤い雲模様……かつて大蛇丸様も所属したSランクの抜け忍達で構成された組織"暁"、そのメンバーらしき2人がそこにいた。
何であんな奴らがここに!? 思わず口に出しかけたその疑問は2人がゆっくりと向かう先を見て理解する。
止めるべきか!? だがどうやって止める!? ……そもそも人込みが多すぎてその2人組に近づくことすらできない。
手をこまねいている間に"最優先様"というこの闇市の上客扱いのタグを付けた2人はスイスイと人込みを掻き分けて……あの女の目の前にまで行ってしまった。
……生きて帰れたらアニキと鬼童丸に旨い飯を幾らでも奢ろうと決心する。
アニキのお好みはなんだったか? ……バラバラのサイコロステーキ辺りで良いだろうか?
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四人衆の方々が整列をしてくれているおかげで眼前に来た人達に対して希望の刀のサイズ、或いは目的の用途を確認してそれに合った刀の詳細を説明しながら薦めるという接客の仕事のみに専念できた。
その成果もあって隣で記帳を執ってくれている鬼童丸さんのメモにも大量の収入額が記されている……よし、この調子で稼ぎに稼いで私の鍛冶場を拡張して修繕してしまおう。
そう思い次のお客様にも出来得る限りの接客を……そう思っていたら目の前に来た私達と同様にフードで顔を隠している人達を押しのけて別の2人組が現れた。
少々驚いたが忍とは割と好戦的な人も多い、霧の里や砂の里でも割り込んで会計を済まそうとする人だって時折見掛けたものだ。
「すみません、きちんと並び直して頂いてよろしいでしょうか? ……お値段の方はサービスさせて頂きますので」
こう言っておけば大体何とかなる。
さて、改めて元のお二人接客を──しかし割り込んできた黒い衣の2人組を良く見れば最優先と書かれたタグが胸にあり姿勢を正す。
「っ……これは失礼しました。どうぞゆっくりご覧下さい……お求めの物を教えて頂ければこちらから紹介することも出来ます。──?」
あれ? 何やら鬼童丸さんが震えていらっしゃる?
ひょっとして目の前の人達とお知り合いなのだろうか? ……ならば──
『おいクソ女! こいつらに不用意に声をかけるな!!』
「……右近さん」
鬼童丸さんと目の前の2人を見比べていたら耳元で小さな声がした……それは左近さんの兄である右近さん。
私の監視として私の体内に潜っていたのだが耳元に顔でも出したのだろうか? 私でもギリギリ聞き取れるぐらいの小声で話しかけてきた。
『こいつら……あの"暁"のメンバーだ。分かってんだろ?』
「え……あ、はい……」
『とにかく、大蛇丸様抜きでどうこうなる相手じゃねぇ……この場は求められたら刀を売って切り抜けろ……こっちから声を掛けんな、いいな』
口振りからして随分と物騒な人達らしいが"あの"……と言われても私は暁などという組織など聞いたこともないのだが……勢いに押されてつい『はい』と答えてしまったがどうして私も知っている前提で話を進めていたのだろうか?
……それに私は先日伝説の三忍の綱手様と自来也さんと紛いなりにも対峙した身だ……正直多少危険な人物だとしても別段もう取り乱す様なものでもない──
ふと……顔を上げた際に2人組の身長の小さい方の男性と目が合った。
その瞬間に心臓を鷲掴みにされたかの様な感覚に襲われる。綱手様、自来也さんの様な強者故の威圧感ではない……最初に大蛇丸さんとお会いした時の様な、目の前の相手に命を握られた感覚に『ハァ……ハァ……』と呼吸が荒くなる……奇妙な事に目の前の男性の身体から研ぎ澄まされた刃物の良い匂いがしているのだがどうにも落ち着かない、それとも吊り橋効果というやつなのだろうか。
「どうだい旦那、目ぼしいもんはあったか……うん?」
「チッどれもこれもデカ過ぎる。仕込みに使えたもんじゃねぇ」
その言葉で漸く合点がいった。
なるほど、この方の身体は傀儡人形の鎧だ。通りで腕や喉、背中の辺りから刃物の匂いがする訳だ。てっきり全身に刃物を差し込んだ大蛇丸さんより更に上の破廉恥な方かと身構えてしまったが誤解だったようだ。
しかしそうと分かれば途端に羨ましく思える。刀類を本来の用途を保ったままに実質衣服にしている様なものではないか……ついつい憧れてしまう。
しかしこのまま見入っている訳にもいかない。この方のお求めの物が傀儡の仕込みならば確かに今並べている刀達は大き過ぎる。すぐに代わりの物をお出ししなければ……。
「でしたらこちらの物と同じ物でしたら如何でしょうか? 良ければご覧下さい」
刀を格納している巻物とは別の巻物から傀儡人形"梟"を口寄せする。
腕や脚、胴体に仕込んだ刀達や髪を模した刃などお気に召してもらえるものがあるかもしれない。
「へぇ。お前も傀儡使いなのか……うん」
恐らく仕込みを求めて来た方の付き添いなのだろう。背の高い方の男性が興味を持ったのか視線を向けてくる……が本命の男性の纏う空気が不穏なものになった。
「おい小娘、こいつは何の冗談だ?」
「……はい?」
突然怒気を含み出した男性の声に戸惑う……何かしてしまったか? ……あ、右近さん服の中で腕を抓らないでください、痛い。
「この傀儡……多関節に広可動域の腕のパーツは"カラス"を参考にしている様だが胴体は"クロアリ"の捕獲機能を真似してやがるな……元々攻撃と捕獲で役割分けして設計したものを無理やり纏めやがって……こんなどっちつかずに劣化させておいて俺の作品を真似たつもりか……それともまさかこんな駄作で良いとこ取りをしたなんて言うつもりじゃねぇだろうな?」
「え……あの? ……え?」
"梟"が無理やり纏めた劣化?
そんな事を言われてもこの子は砂の里の忍具屋でお店の人にお勧めされた物であって私が造った物でもないんですけど──っ!? 目の前の男性の背中で刃物が動く音が聞こえた……マズい!!
咄嗟に目の前の梟に傀儡糸を繋ぎその腕に仕込んだ刀を振るう。
「「何っ!?」」
金属のぶつかる甲高い音が周囲に響き、その直後に蠍の尾の様な武器の先端が地面に落ちる。
「ヒルコの尾を……」
その仕込みが動き出す微かな音を頼りに一瞬で喉元に迫ったその仕込みを寸前で切り落とすことに成功した……だが目の前の2人との間の空気が緊迫したものへと変貌してしまった。
「旦那の十八番傀儡を斬るとはな。案外やるねぇ……うん」
「あ、あの。私はあくまで仕込み刀を造っただけでこの傀儡人形自体を造った訳ではありませんので……落ち着いて話を──っ!?」
突如、腕が引っ張られガクンっと倒れかける。
何とか踏み止まると引っ張られたのは私の腕ではなく指先の傀儡糸で繋がれた"梟"が先端が斬り落とされた蠍の尾に巻き付かれ傀儡鎧の男性の傍に引き摺られていた。
速い……先程先端を斬り落とした際のものとは桁違いの速度だ。
刃物の動く音が聞こえる時には既に"梟"が捕まり引っ張られまったく気付くことが出来なかった……これがあの方の本気の傀儡捌きなのか……これ程の傀儡使いは砂の里にいた頃でも見た事がない、失礼ではあるがカンクロウの比ではない。
想像もしていない程の力量に戦慄している内に傀儡鎧の男性は尻尾で吊し上げた"梟"を興味深そうに観察している。──というかよく見たら右手だけで器用に解体している!? やめて! 私付け替え程度ならともかくバラバラにされたら誰かに頼まないと元に戻せないのに!?
思わず傀儡鎧の男性の蛮行を止めようと近づくも彼の隣に立っていた男性の手が割り込んでくる。
「やめときな。完全に傀儡造形師のスイッチ入っちまってら。ありゃ迂闊に口出しすると殺されるぞ……うん」
そんな滅茶苦茶な……そもそも造形どころか解体されているのだが?
……というかこの人も何だ? この掌は……口があるのか? 特異体質、秘伝忍術の一族なのだろうか……心当たりはないがこの人からも傀儡鎧の方と勝るとも劣らない気配を感じる。
そしてその一人の男性に面食らっている間に傀儡鎧の男性の方も観察? 査定? ……が終わったらしい。
頭、胴体、手足と一瞬で見るも無残に解体された梟を眺めながら男性は声を出した。
「ガワは凡庸だが仕込みは逸品揃いか……どれもこれも刀で近接にしか使えねぇことは戦術絡繰としては論外だが……面白いな」
傀儡鎧の男性の視線がこちらに向く。
その冷たい視線にまた背筋が凍る感覚に襲われる……向き合っただけでこの男性が平気で人を何人も殺してきたのだと理解させられる……これは瞳術か何かなのだろうか?
「小娘……お前、何者だ?」
「っ!?」
急な問いかけにビクリと肩を跳ね上げる……右近さんにまた腕を抓られる、いや今回は私は何もしていませんよ?
抓られるのは理不尽だが言わんとしていることは理解している、先程も"暁"という組織に凄く警戒していらっしゃった、鬼童丸さんも同様に心配そうにこちらを見ていることからしても彼ら"暁"に自分達の事を知られたくないということ……大蛇丸さんも自身の探求の為に各方面に敵を作っているらしいしその辺りで何かしらの不都合があるのだろう。
ならば何としても素性を偽らねば……ならば!!
「私は渦柘榴村雨! 忍界有数の知識人"ハレンチ博士"の下、日々研鑽を積んでいる刀匠です! ──こちらの方々も同門の方です」
とりあえず大蛇丸さんの事は偽名で伏せておこう……あれ? フードで殆ど隠れているが微かに見える鬼童丸さんの顔が死んでいるような……っ! 痛い痛い! 右近さん腕抓るの止めて下さい!
……というか大蛇丸さんは伏せておいたが私は本名で名乗ったが大丈夫だろうか?