霧隠れの狂人   作:殻栗イガ

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少年編もいよいよ大詰めだけあってモチベ向上中、できる限り維持したい。
(疾風伝移行前にオリジナルを幾らか挟む予定だけど)


狂気爆発・刀と盾

 遮蔽物の無い草原の中心、目の前に立つ相手から視線を逸らさずに隣にいる水月に小声で耳打ちする。

 

「彼は強い…恐らく、四人衆の方々よりも遥かに…彼の砂の防御は私の刀でも破れなかった」

「…それは流石に驚きだね。で、だったらどうするの?」

「幸い、今は彼対策の手もある…ただ、今から即席で造るところからだけど」

 

 既に器である刀はあるが、その力を引き出す術式を今から刻む必要がある…本来ならば十分な設備の下で行いたいがこの状況ではやむを得ない。…その為にも。

 

「少し時間が欲しい、…あとそれが完成してもその後は全部水月に任せることになると思う」

「どうせ碌なことにならないってことは分かった」

「酷い、ちゃんと実績のある忍術を基にしたものだから何も心配はいらない。それに…水月なら時間稼ぎぐらい何とかなる…だってソレがあるから」

 

 水月が手に持つ忍刀七人衆の一振り、断刀・首斬り包丁…認めるのは悔しいが刀において最高峰の代物だ。

 鮫肌やヒラメカレイの様な戦術の肝となるような特出した能力ではないが…この戦いにおいては最も強力な能力と成り得るだろう。

 

「はぁ…仕方ない。君の刀さえ防ぐってんなら確かにアイツは化け物なんだろうね、心底嫌だけど君の作戦に乗ってあげるよ」

「…助かる。じゃあ、よろしく」

 

 いまいち反応が良くないが一応承認してくれたのならばそれで良い。

 チャクラを足元に集中し地面を蹴って水月が一気に我愛羅君の眼前に迫る。

 

 振り切った首斬り包丁はやはり砂の盾に防がれる。

 それどころか砂が纏わりついて水月の手から首斬り包丁を奪おうとする──が、首斬り包丁に纏わり付いたその砂は水化の術による肉体変化を利用した水月が再び力を込めたことで簡単に振り解かれる。

 

「っ!? 何故、あの砂が!?」

 

 我愛羅君の砂の圧力の強さを知っているのだろうか? おかっぱ頭の少年が驚きの声を上げた。

 確かにあの砂を力尽くで振りほどくなど、並大抵の力では不可能…それが何故あれほど容易くできるのか推測を巡らせているようだが…その推測ができるよりも早く、我愛羅君からおかっぱ頭の少年へと標的を変えた水月の刃が目の前に迫る。

 

「先にそっちのおかっぱ君を始末しようと思ったんだけど…邪魔な砂だね」

 

 しかし、それは再び、砂の盾によって阻止された。

 

「お前は下がっていろ、俺がやる」

「…く、す、すみません」

 

 ガマブンタさんの巨大刀に押し潰された際にそれを持ち上げる為に身体に大きく負荷を掛けたのだろう、まともに動けないらしいあの人は自らが足手纏いになっているという状況に歯噛みしながらも、砂の盾を滑り込ませた我愛羅君に礼を口を言いながら後方へと下がった。

 それにしても遠隔からでもあの速度にしてあの防御性能…絶対防御とは良く言ったものだ。

 

 

 だが、かの断刀・首斬り包丁はその守りを斬り裂く。

 

 

 水月を近づけまいと砂の塊を飛ばしてくるが、それを首斬り包丁を盾として受け流し水月は少しずつだが徐々に我愛羅君との間合いを詰めていく。

 

「…これは…そうか、そういう事か」

 

 自身の砂が普段より遥かに弱体化している事に気が付いたのだろう、我愛羅君が僅かに声を漏らす。

 

「死者の血涙は漠漠たる流砂に混じり、更なる力を修羅に与ふ」

 

 かつて砂の里にいた時、彼自身から聞いた言葉だ。

 それが意味するところはつまり…

 

「貴方の砂には数多の人間の血が吸われていて…その血に含まれる鉄分、そしてチャクラによって砂の力を強くしている──しかし」

 

 その特性こそが彼の砂の弱点だ…何故なら…

 

「"断刀・首斬り包丁"は血を吸収し修復する…貴方がどれ程砂で刃を劣化させようとその砂に含まれた血を吸収して修復を繰り返し、更にその砂から力を奪う。…つまり相性は──」

「最悪ってことさ!!」

 

 遂に我愛羅君を間合いに入れた水月が首斬り包丁を右から左へ大きく振るう。

 胴体を容易く切断するであろう渾身の力を込めた一刀だ。──しかし

 

「厄介な刀だ…だが、それならば俺自身のチャクラをより多く練り込めば良いだけのこと」

「っ…何て硬さだよ…この…」

 

 刃と我愛羅君の脇腹の間に集まった砂の壁は途中までめり込んだ首斬り包丁の刃を完全に捕らえ、動きを封じた。

 

「──『砂漠送葬』!」

「っ!? くそ、ボクの首斬り包丁が!」

 

 砂の圧力で包み込んだ相手を押し潰す我愛羅君の得意忍術…まさか首斬り包丁の刀身を壊すまでとは…。

 血の吸収で押し切れれば良かったがやはりそう上手くはいかないか…こうなると外傷を与えることで修復が可能になる首斬り包丁に対して、傷付けることが困難な我愛羅君との相性は逆転してしまった。

 

 砂に吸収されている血の吸収だけでは刀身の半分近く折られた首斬り包丁を完全に修復する分まで賄えるかどうか…ましてや刀身が短くなったことで先程までのように砂の攻撃を首斬り包丁で受け流すことも難しくなった。

 

「これで刀は封じた…そして、その刀が血を吸収するのならお前自身を狙えば良い」

「くそっ!」

 

 形勢は完全に逆転した。

 刀ではなく水月自身を狙う砂の塊から刀で防ぐ事も出来なくなった水月は躱すだけで精一杯だ。

 幸か不幸か、首斬り包丁の重い刀身が半分近くなくなったことである程度身軽に動けるようにはなったようだがこれでは時間の問題か…。

 やはり早くこちらの作業を完了させないとまずいか…

 

 目の前の刀に人差し指を当て、指先に集中したチャクラで術式を刻んでいく。

 特別な素材は必要ない。この刀そのものと繋がりがある力を呼び出すその道を造ってあげるだけで良い。

 

「っ! 彼女があの刀に何かしています!!」

 

 流石に気付かれたか…困った。

 あともう少しで完了するのだが…いや、この作業をより早くすれば良いだけのこと、問題ない。

 

「君は彼の相手を! 彼女はボクが止めます!」

「いや、あの女に何かされると厄介だ…纏めて葬る」

 

 我愛羅君が地面を足で踏み鳴らし、足元の地面にチャクラを巡らせる…つまりこれは瓢箪の砂以外も利用した大技か? 

 

「『流砂漠流』!!」

「…は?」

 

 人、いや巨大な建造物さえも軽く飲み込むであろう程の規格外の砂の波が彼の足元から溢れ出す。

 これに飲み込まれれば身動きさえとれなくなる…いや、そこから砂とチャクラの圧力で押し潰してくるはずだ、どちらにしてもこの砂に囚われればお終いだ。

 これ程の質量の砂は水化の術でどうこうなるものでもない…だが。

 

「水月! こっち!!」

「っ! くそ、頼むよ!!」

 

 敵に背を向けてでも全速力で水月が戻ってくる──が、それとほぼ同時に到達した砂の波に飲み込まれ視界の全てが黒に覆われた。

 砂に飲み込まれ視界は奪われ、更に何も聞こえない中、僅かに砂の上から声が聞こえる

 

『──砂漠大葬!』

 

 激しい地響きが耳を鳴らす…恐らくチャクラの圧力が加えられ、この砂の中に飲み込まれた者を葬る一撃だったのだろう──しかし。

 

『や…やったのですか?』

『…どういう事だ…なぜ、あの辺りだけチャクラが届かなかった?』

『…え?』

 

 やはり…上手くいったようだ。

 砂に覆われる中、手元にある砂とは異なる感触…その刀に触れその刀身へチャクラを流しこむと刀身から溢れる液体が周囲の砂を崩し始める。

 視界が晴れ、陽の光が差し込むまで然して時間はかからなかった。

 

「…ふぅ、脱出成功」

「ぺっ! ぺっ! 口の中まで砂塗れだよ…ジャリジャリする」

 

 当然、傍らにいた水月も無事だ。まぁお互い口の中まで砂塗れだし、身体は少しベトベトしているが。

 

「そんな、あの砂の波からどうやって!?」

「…お前達のその身体…"油"か…」

 

 流石…身体に付着している液体を見ただけで分かるとは、やはり我愛羅君は凄いな。

 

「この巨大刀は先日ある口寄せ蝦蟇が持っていた物、つまりこの刀には蝦蟇達との繋がりがある…それを利用して力の一部を引き出すことが出来る。勿論契約を交わしていない口寄せ動物自体を呼ぶことはできないけれど、"蝦蟇油"程度ならば可能」

 

 油で砂は崩れ、チャクラの伝導性は失われた…おかげで私達は無事に砂の波から脱出できたということだ。

 もっとも、脱出が出来たからと言って今の戦況をひっくり返せたという訳ではない──だから。

 

「水月、申し訳ないけれど、この巨大刀に水月の血を与えて欲しい」

「え、何で!?」

「術式の用意はもうできてる、早く」

「あぁもう! いつも思うけど何かするなら全部説明しろっての!!」

 

 ごめん、時間がないのと話を纏めるのが苦手だから、つい…罪悪感に苛まれながらも腕にクナイを走らせたことで溢れた血を刀身に刻んだ術式に組み込ませる。

 

「っ…させるか」

「いいえ、もう準備はできた」

 

 血を吸う首切り包丁を折る為にもかなりのチャクラを練り込んだ上に、先程の砂の大波、やはりかなりのチャクラを消費したのだろう。ほんの少しだが我愛羅君の砂の速度は落ちている。

 そしてこちらは今、あの伝説の爆発忍術を刀に宿らし再現する。

 

 そう、先日闇市で出会った男性の話を聞いてからずっと考えていたものだ──こんなぶっつけ本番になるとは思わなかったが…いや、あの男性の言葉を借りるならば造形とは衝動のままに自由に造ること! 

 

 

 

「芸術は…爆発」

 

 

 

 その瞬間、周囲の砂が弾け飛び上空に何故か水月の顔が浮かび上がる…血の供給者だからだろうか? どうせなら私の顔にしてほしかったな…

 

「何ですか…アレは!? 幻術なのですか!?」

「いや幻術じゃない、幻術は口寄せ動物に頼っていてあの女自身に幻術スキルはない」

「ではアレは?」

 

 これは"蝦蟇油"、"水遁"、そして"鬼灯一族の血"によって再現された二代目水影様が用いた究極の無限爆破忍術を宿した刀。──二代目水影様に敬意を込めてその名を継承するならば…そう。

 

 

 

「無限爆刀・蒸気荘怒(ジョウキソード)

 

 

 

 

「いや、何その名前?」

「……だめ?」

 

 これはこれでカッコいいと思うんだけど…何故かこの場にいる3人からの反応はいまいちだ…まるで先程の水蒸気爆破によって持ち上げられた空気が上空で冷やされて降ってきているこの霰の様に冷やかで……辛い。

 

「と、とにかく、この刀は振るえば振るう程刀身の鉄と蝦蟇油が急激に熱せられ、水遁術式として刻まれた水が一気に蒸発現象を起こし、水蒸気爆発を起こす仕組み」

 

 基となった二代目水影様の『蒸気暴威』と比べ、刀身の鉄が熱するのに一役買い爆発速度を上げているし、体内の水も油も使っていないから術者が弱体化するという欠点も克服している。

 何より振るえば振るう程に刀身が闘志を宿すかの様に熱せられ爆発する…さながら純粋な戦闘欲に呼び覚まされた暴君の如く荒々しくも勇ましいその姿…正に傑作だ! 

 

「蝦蟇油は刀に刻んだ術式を通じて蝦蟇から常に供給できる、だから水遁チャクラを供給し続ける限り無限に爆発を繰り返すことが可能…そしてその爆発は砂の盾でも防ぎ切れるものではない…これで」

「…で、このバカデカい刀を誰が振るうの?」

「………え?」

「いや、え? …じゃなくて…え? まさかボクにこれを持ち上げて使えとでも?」

 

 

 

「「………」」

 

 

 …ちょっと一息、そして冷静に考えよう。

 えっと、この"無限爆刀・蒸気荘怒"は振るえば振るう程刀身が熱せられ、水遁術式の水が爆発する仕組みだ。

 そしてこの刀はガマブンタさんから拝借した刀にそのまま術式を刻むことで蝦蟇油を供給している…ガマブンタさんから拝借した刀をそのまま…つまり物凄く大きい…。

 凄く大きいから…水月がこの刀を持って振るうなんて不可能…振るうことが出来ない以上刀身が熱せられることもなく、水蒸気爆発も起こらず…何も出来ない。

 

「しまった!?」

「君はバカかい!?」

 

 何て事だ、我愛羅君との相性と優れた爆発の刀を造る事に囚われて根本的なところを見落としていた。

 …というか、これと似たようなことが最近もあった様な…私には反省というものはないのか、何たるバカだ私は…

 

「…あの、彼女は一体何がしたいのでしょうか?」

「チャクラも残り僅かだ…次で確実に仕留める」

「「っ!?」」

 

 砂の波よって足元に広がった大量の砂が私と水月の足に纏わり付いてくる…マズい。

 

「──『砂縛柩』」

「ヤバい!」

「させない! かくなる上は──」

 

 既に下半身が砂に纏わり付かれて新たに巻物を取り出すことは出来ない。

 咄嗟に近くにいる水月の手元から首斬り包丁をひったくり思い切り振り被る…大丈夫、断刀・首斬り包丁はその能力で壊れても修復できる…だから

 

「ごめんなさい大爺様…ごめんなさい首斬り包丁…少し手荒くなる!」

「え!? まさか──」

「っ!? マズい…俺の近くへ!」

「え?」

 

 水月も我愛羅君も私の意図に気付いた様だが…もう遅い。

 全力で首斬り包丁を放り投げて足元の表面に蝦蟇油を纏った巨大刀に叩き付ける。

 ガキィンッ! …と痛ましい金属音と共に火花が飛び散り、蝦蟇油に引火する──そして刀身が炎に包まれ水遁術式が起動する。

 

 

 

「"無限爆刀・蒸気荘怒"──『火遁・蝦蟇油爆弾』!!」

「ただの自爆じゃないかこのやろォォォオオオ!!」

 

 

 

 私の会心のネーミングも水月の叫びも全てが水蒸気爆発の轟音によって消えていく。

 大量の砂煙を巻き上げて私も水月も我愛羅君もおかっぱ頭の少年も、その場の全員が爆発に飲み込まれるのだった。

 

 

 

 ▼▼▼

 

 

 爆心地の一角、周囲の地面が吹き飛び抉れる中その一角は砂で造られた狸の盾にとって唯一被害を免れたのだった。

 その狸の盾の後ろで爆発を回避した我愛羅とリーは疲労感に導かれるまま座りこんでいた。

 

「あ、嵐の様な方でした…やること全部滅茶苦茶で、最期には自爆してでも相討ちに持ち込もうとするとは…」

「いや、どうやらあの女は爆発の砂煙に紛れて逃げたようだ…」

「え?」

 

 爆発が収まった後周囲を見渡せば村雨ともう一人の男の姿はどこにもなかった。

 確かにあの爆発によって跡形もなくなってしまったのかとも思ったが、あの巨大刀も断刀・首斬り包丁もその場から消えていた。

 死を偽装するならばそれらの刀は置いていく方が確実だがそれが出来ず、きっちり回収していく辺り村雨はあの爆発を受けても狂った平常運転をしているらしい…そう我愛羅は語る。

 

「…何というか、意外です。失礼ですが君がああいう人と仲が良いイメージが…すみません」

「別に仲が良い訳ではない…ただ、狂った人間同士お互いを忌避する必要もなかっただけだ」

 

 現に向こうは自分を殺し得る武器を造ろうして、こちらは何度もそれを壊し続けた…そして先程まで互いに互いを殺すことに微塵も抵抗感がなかった…これが仲が良いという関係であるはずがない。

 決してあのうずまきナルト君が言っていた"友"という様な大切な存在などではない。

 

「あの女にあるのは己の刀造りを高め続けることだけ…他者と関わるのも全てはその為の過程でしかなく"関わる人間そのもの"に対しては無関心だった。ただ刀を愛し、人との繋がりを望まず孤独さえも辞さない人であって人ではない者…霧隠れの"狂人"とはよく言ったものだ」

「…恐ろしい、そして…寂しい人ですね」

「そう思うか…いや、それが正しいのかもしれないな…だが、だからこそ俺にとっては楽だった」

 

 他者に対してはどこまでも無関心…しかし自らの刀造りを高める存在には誰であっても目を輝かせる。

 糧になるかならないか、大きく分けて2つの分類しかなくそこからは如何なる者であっても平等であり、そこに恐怖も蔑みもない。

 

 決して友と呼べるべき存在ではないが、ただ無言で刀を造る彼女の鍛冶場に何度も足を運んだのも、もしかしたらその狂った価値観に安らぎがあったのかもしれない。──だとすると…。

 

「或いは大蛇丸を始め、奴と深く関わる者も同じなのかもしれないな」

「え?」

「人の枠組みから外れた者ほど、枠組みさえ持たないあの狂気に惹かれるのかもしれない」

 

 あの女と同じ空間にいて思ったのは正しくそんな感覚だった…化け物と呼ばれた自分さえもあの女の目には自らの刀造りの過程にある存在の一つでしかないのだから。

 

「しかし…大蛇丸といえばあなた達砂の忍を利用し木ノ葉崩しを行った極悪人…そんな人が彼女に安らぎを感じるのでしょうか? …それどころかいつか殺されるかも…」

「かもしれないな。だが…少なくとも今はあの女が大蛇丸を振り回している可能性もある」

 

 そもそもあの女は刀匠だ。

 彼女の利を求める人間…特に大蛇丸の様に利に聡い人間ならばあの女をこんな戦線に出すはずがない。

 だというのにあの女はこうして自分達の前に姿を晒した…つまり。

 

「……あの女は大蛇丸の手にさえ余るのやもしれないな」

 

 そうなると村雨の傍にいた水月という男は随分苦労していることだろう。

 自分は砂の里の兵器としておよそ常人が背負うものではない使命を背負わされたものだが…彼は彼で常人が背負うべきではないものを任されたものだ…大蛇丸の命令なのだろうか…不憫な奴だ。

 初めて会った見知らぬ人間に同情するなど初めての事だが何故か哀れみの感情が溢れてならない。

 

 …しかし、随分とチャクラを使わされたのも事実。

 うずまきナルトを追い、その援護も可能ならばするつもりだったが、これ以上進んだところでチャクラ不足による足手纏いにしかならないだろう。

 

 自身を負かした相手、そして自身と同じ復讐に囚われた者…彼らがどの様な結果に行き着くのか。

 あとはただ…本人達に委ねるばかりだった。

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