「──お前さんが、カカシの奴が言ってた砂の里から来た鍛冶屋のお嬢さんか?」
木ノ葉の里にある焼肉屋さんのテーブルに座っていると男性の声が聞こえ、その方向へ顔を向ける。
咥えタバコと整えられた髭が特徴のダンディ感のある男性だった。
カカシさんとの問答の末、私は般若面の死神に魂を持っていかれたかのように抜け殻になっていたようで、そんな私の精神状態を気遣ってくれたカカシさんが、木ノ葉の里の上忍であり特殊な忍具を使う"アスマ"という人物を紹介してくれるという運びになったのだ。
他里の人間にここまで良くしてくれる辺り、本当にカカシさんは心の広い人物なのだろう──白光のチャクラ刀を折ったという揺るぎない事実は許しがたいが、戦場で刀が破損するのは仕方のないことであり、彼を責めるのも筋違いというものであろう。
などという経緯はさておき、今は目の前の人物だ。
ただでさえ会話能力が低いのだ、出来る限り最初の印象を損なうような真似だけは避けておきたい。
「はい、砂隠れの村雨と申しま──」
改めてアスマさんの方を見てみれば、彼の傍には2人の少年と1人の少女が控えており、先のカカシさんと教え子さん達と同様の関係なのだろうと察する。
「あぁ、こいつらは俺の教え子だ。折角の焼き肉屋での待ち合わせだからな。ついでだから連れてきてやったんだが迷惑だったか?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか悪ィな。──という訳だ、お前ら"遠慮して"食え」
お前ら──というより3人の内一人、一番ふくよかな少年を見ながら言い聞かせる。
その表情からはまるで余裕が感じられず何やら嫌な思い出があるらしい。
そこまで必死に言い聞かせるのなら教え子さんを連れずに来れば良かっただろうに、それでも連れてくる辺りこの人もカカシさんに負け劣らず良い人なのだろう。
何より腰のポーチから感じる刃物の匂いがそれを告げている。
流石に詳細までは分からないが、とにかくこの人は刀の類を持っている。
ならば、一先ず話を伺うためにも相応の姿勢を見せよう。
「お支払いは私が……。稼いでいますしお呼び立てしたのはこちらですので……」
「いやいや流石にそれは止めてくれ。教え子の前だ、俺の顔を立ててくれ、──それに気軽に払わせていい額じゃないしな」
神妙な面持ちのアスマさんの言葉と、例のふくよかな少年以外の二人の教え子さん達の表情に流石にこの場は引き下がる。
それに先のカカシさんとの会話で顔を立てるどころか信頼関係に皹を入れてしまった経験があるため、やはり引き下がるのが無難だろうという判断だった。
とはいえ何もしないのも申し訳ないため、せめて肉を焼く係くらいは受け持とう。
肉を炙る際の熱や油跳ねなど、普段鉄を打つ際のものに比べると些細なものだ。
そうして暫くの間肉を焼き、途中途中で隣に座った少年が何やら肉を取るという行為自体を面倒に思っている様子だったため、焼けた物を適度に彼の皿に乗せていきながら向かいの席に座ったアスマさんに自身の事情を伝える。
「──という訳でカカシさんから紹介して頂いた次第です」
「成程な、事情は分かった。とはいえ、仮にも自分の手の内である忍具をほいほい他里の人間に明かす訳にもな」
「……勝手は承知、です」
「そうさな──お前さんが持っている刀の中でもとびきり上物でこいつらで扱えそうな物を半額でどうだ?」
アスマさんの持ち掛けた取引に私が反応するより早く、彼の教え子さん達が箸を止める。
いや一人は尚も箸を動かしているが、一応は顔を自身の先生へと向けてはいるようだ。
「おい何言ってんだアスマ?」
「そうよ、私達はそれぞれの忍術を伸ばしつつ連携の強化が当面の方針なんじゃなかったの?」
「まぁ色々とあってな」
教え子達の疑問にアスマは軽く手を振り曖昧に答える。
しかし彼としても今回の取引は別に思い付きではなくちゃんとした事情があった。
近々、各忍里の下忍達を集め行う忍の昇格試験、すなわち中忍試験があるのだ。
チームで挑むその試験、木ノ葉の秘伝忍術を扱う一族者達が集まった自身のチームは家柄由来の連携能力故に有利に進むことは間違いないが、個々の能力には不安が残る。
加えてこの試験、最終的には個人技の能力が要求される上、やはり忍同士の競い合いだ、不測の自体などそれこそ考え出したらキリがない。
だからこそ自身の教え子達は連携以外の個人技も伸ばさねばならないが、彼らより一回り年上の者であっても下忍ならば参加できるこの試験、一朝一夕の技能では生き残れるものではない。
ならば担当上忍としてせめて良さげな忍具でも用意してやろうかとも考えていたのだが、そんな折にカカシから自身の代わりに他里の鍛冶屋の少女を相手してやってくれないかと相談された。いったい何事かと思いはしたが渡りに船な話でもあった。
そうして、向かい席に座った村雨という少女が自身の持ち掛けた取引に深く頷いたことで、ポーチから愛用の忍具を取り出すのだった。
「これが俺のチャクラ刀だ」
アスマさんがポーチから取り出してテーブルに置いた独特な形状の忍具をじっと見つめる。
形状は簡単に言うならばメリケンサックと刀が交わった形状。リーチで考えれば一般的な刀に遥かに劣るが、狭い空間であっても問題なく使えるという「場所を選ばない」点は様々な任務を受け持つ忍にとって圧倒的長所だと言えるだろう。
手入れも完璧に行き届いており錆びも欠けもなく状態も美しく素晴らしい、そして何よりも興味を惹くものが──
「この刀……特殊な金属で造られている。恐らくこれは持ち主のチャクラに反応する類いの……」
「嘘!? 見ただけで分かるの!?」
「チャクラに反応する忍具は何度か造った事もありますので……これぐらいは。しかし、このチャクラ刀の物はかなり質が良い上に他とは少し違うものを感じる……」
「ほぅ、大した観察眼だな」
歓心したようにそう呟くとアスマさんはテーブルに置いていたチャクラ刀を手に取るとそれを握り"チャクラ"を流し込む。
流し込まれたチャクラが刀全体を包み込むように広がり
実態のない刃として"薄く鋭く"伸びてゆく。
「このチャクラ刀は持ち主の"チャクラ性質"を吸収する特殊な金属で造られているのさ、例えば俺が持てばこんな風に研ぎ澄まされ切れ味最高の一本となる」
「……素晴らしい」
「え? 素晴らしいって? さっきアンタが言ってたチャクラに反応する武器とそんなに違うの?」
会話の中で出した例と目の前のチャクラ刀の差異が理解出来なかったのだろう、イノという少女が首を傾げる。
「例えば雲隠れの忍などが使う"雷遁刀"、あれは持ち主が雷遁の忍術をチャクラに反応する刀に纏わせることで切れ味の向上と帯電という性質を持たせることを実現している訳です。対してこちらはチャクラ刀そのものが持ち主のチャクラに呼応してそれに準じた性質を宿す訳ですからチャクラと刀の同調に無駄が生じない為、"性質変化"の力をより強く発揮させることが可能です。加えて前者のものと異なり忍術の使用が必要ない為燃費の良さでも勝っていますので長期任務での体力が必要な忍者の方々にはとても有用な特徴と言えるでしょう」
「へ……へぇ……そうなんだぁ」
先程までの途切れ途切れの話し方から一転、淀みなく刀の性質について解説しているといのさんから若干引いている様な反応が返ってくる。が、それは今は良い。それより気になることがある。
「──しかしアスマさん、"性質変化"ではなく"チャクラ性質"を吸収すると言っていましたが本当ですか?」
「おっと……そこにも気付かれた」
困った様に笑うとアスマさんは握っていたチャクラ刀をテーブルの上に置いてそれを指差しながら語る。
「お察しの通りだ。こいつは火や水と言った基本性質以外のチャクラ性質であっても吸収し呼応する。一族由来の秘伝忍術であってもな。まぁ使いこなすにはそれなりの訓練が必要だがな」
「成程……やはり素晴らしい、小刀より更に小さく暗器としても使いやすく、それでいて長刀にも劣らない殺傷能力は忍の持つ刀としてある種の完成形と言っても良いかもしれない」
「ははっ、愛用の武器をそこまで言って貰えるとは嬉しいねぇ。……持ってみるか?」
「い、いえ! そんなはしたな──恐れ多い、お見せ頂けただけで十分でございます!」
思わぬ言葉につい頬を赤らめ両手を振る。
アスマさんは良い人であることは間違いないが少々器が大き過ぎるのかもしれない。──もしも伴侶の方がいるのならいつか泣かせてしまうのではないかと少し不安になってしまう。
それにあのチャクラ刀を手にして万が一水遁の性質変化の特徴が出てしまったらそれはまずい。
砂隠れの忍に水の性質変化を持つ者は極端に少なく、場合によっては水の国の者だとバレる心配もある。
(出来る事なら目の前のお刀に触りたい……しかしここは我慢するしかない……)
欲求をグッと堪えてただじっとテーブルの上に置かれたチャクラ刀を見つめ自らの記憶に焼き付ける。
刀自体に属性を持たせるならば大爺様の造った雷刀"牙"なども存在するが持ち主に合わせて顔を変えるというのは中々斬新だった。
例えば水遁の性質変化を持つ忍が大半である霧の忍にとって、土遁使いの忍は天敵であり、雷刀"牙"はそれを補う、相性補完のための刀でもあった。
その例で考えるならば、水遁の忍が持てば水遁の性質が現れるこのチャクラ刀はそう言った役割とは真逆の、自らの性質変化の力を底上げする正統派な武器であるとも感じた。
「さて、俺がお見せ出来るのはこんな程度だ。次はそちらの物を見せてもらいたいが良いかな?」
「おいおい、マジで俺らに刀使わせる気かよめんどくせー」
「そういうなシカマル、現状お前らの連携じゃあ決め手となるのはチョウジ一人だ。お前らの連携が完成するまでの繋ぎと思うだけでも良いさ」
奈良一族の影縫いの術や山中一族の心乱心の術をまだ使えない彼らの戦術は到達点がチョウジ一人に任されている。
それではただでさえ気の弱いチョウジに負担が大きい。
刀を完璧に使いこなせるまでとは言わないがせめて戦術の幅を広げられる程度には別の武器があった方が良いのだとアスマは語る。
「つってもなぁ……」
「ご心配なく! 気乗りしない方でも使いたくなる様な刀を造るのも私の仕事です」
「おぉ、そりゃ頼もしいな」
それでもなお気だるそうにしている隣の少年にそう告げるとアスマさんが楽しそうに笑い、豪語しただけあってその他の3人もほんの少し興味が惹かれたのだろう、視線が一斉に集まる。
近くの皿をどけて懐から取り出した巻物を広げる。
それは木ノ葉の里で売り歩いたのとは異なり、霧の里と砂の里で売っていた自作の刀達が眠るもの。
──砂の里を出る際に何かと言われたが最早どうでも良い。
そんな心境の下、自らが造り上げた刀の中でも特殊な性質を持たない"初心者向け"の、ただ"切る"という一念のみを追及した"最高の一振り"を取り出す。
それは大爺様の傑作達の様な異形な刀とは異なる正統派な長刀、しかしアスマさんにはそれがどういうものか心当たりがあったのだろう、楽しそうに笑っていた表情を驚愕で動かした。
「こ、こいつは『草薙の剣』の一振りか!?」
「草薙? なぁにそれ?」
「簡単に言っちまえば名刀中の名刀ってやつだ。一口に『草薙の剣』と言ってもいくつかの種類があって形状もバラバラらしいが、いずれもとんでもない切れ味を誇り──伝説の三忍の一人が好んで使っていた程のものだ」
「「っ!?」」
自身の先生の言葉に教え子の三人が息を呑む。
自分が語るとついつい長くなりそうな内容を簡単に伝えてくれるのはありがたいが少し誤解があるようなのでそこだけは弁明しておこう。
「厳密にはこれは『草薙の剣』ではありません。『草薙の剣』の一振りを参考に私が造った模造刀です」
「あぁ……何だ、流石に驚いたな」
「申し訳ございません。こちらの刀は私が『草薙の剣』にあやかり造った『叢雲の剣』シリーズ中でも最高の切れ味を誇る一刀『叢雲の剣・紫雲』です。完成した日に同じくらいの剣の腕の者二名に依頼し、参考とした『草薙の剣』の一刀と力比べをして頂いた結果『草薙の剣』に切れ目を入れてしまった少し困った子ですが、その分自信を持ってお薦めできる──」
「待て待て待て! 冗談じゃねぇぞ!?」
思いもよらない逸話にシカマルは必死にその話を止める。
いくら何でもまともに剣を使ったこともないものが持っていいものじゃない。剣の良し悪しなど分かりゃしないが、少なくとも『伝説の三忍』が好む程の刀を越えるものを持つなど冗談ではない。
強い刀を持てば当然自身より強い相手に勝つ手段も増えるだろうが、度が過ぎればそれを目当てとした者達に狙われる毎日だ。切れすぎる刃はなんとやらという言葉を思い出しながら自身の担当上忍へと視線を送る──頼むから買うなんてしないでくれよ……と。
彼の先生であるアスマも流石に絶句していた。
確かにとびきり上物を頼んだ、しかしこんな物が出てくるなど思ってもいなかった。この第十班の初任務達成の打ち上げで焼き肉を奢ってやった際に、生徒の一人に財布の中身を食いつくされた時以上の衝撃だった。
何とか落ち着きを取り戻そうと頭を冷やすと同時に、目の前の少女のことを頼んできたカカシから告げられた言葉を思い出す。
──すまないが、ある鍛冶屋の少女の相手をしてくれないか? ……本人は砂の里から来たと言ってるが恐らく霧隠れの、それもかなりの刀匠だ。
そう言い、最終的な判断はお前に任せると付け加え、教え子達を待たせたという演習場へ去って行った同僚の姿を思い出し、洒落にならないもん任されちまったなとアスマは後悔する。
──カカシの野郎、とんだ狸を掴ませやがったな。
とにかく、目の前の少女は普通の者ではない。あの『草薙の剣』の実物を参考にしながら刀を造れる時点でそれは間違いない。──ならば、とにかく今の親しげな空気を利用して探りを入れるとこから始めようと決心する。
「おいおい、こりゃガキが持つにはいくら何でも背伸びし過ぎだろ? 何なら俺が欲しいぐらいだが幾らだい?」
「えっと……通常価格三千万両のところお約束の半額ですから一千五百万両です!」
「高ぇ!? い、いや、あの草薙の剣以上のものとなれば適正……むしろ半額で安いぐらいか……」
「ていうかただの口約束で一千万両以上割引きとか大丈夫なの!?」
自身の家が花屋を経営していることもあり、いのは村雨の採算の雑さに心配の声をかける。
「ご心配なく……アスマさんのおかげで次はこれ以上の物を造れるような気がします……それに──」
「それに?」
「……皆さん切れ味は誉めてくれましたけど、そのままの売値だと高過ぎて誰も買ってくれませんでした……」
「あー、そりゃぁ……ねぇ」
例えそれがどれ程良いものであっても無い袖は振れない。
ましてや村雨が普段売っている刀は安いものならそこらの忍具屋とさして変わらない値であるにも関わらずかなりの業物が買えるのだ、わざわざこんな物を買わずとも実戦に支障がないのだから買い手など出てくるはずがない。
──結果この『叢雲の剣・紫雲』は店に訪れた人が何となく拝んで行くだけの存在と化していた。ひどく納得がいかない。
「……という訳で端数の五百万両も引いて一千万両で如何でしょうか? 初心者の方であっても切れない物などそうそうない非常に初心者向きのものとなっておりますが?」
「「それは初心者向きとは言わねぇ!」」
師弟の叫びが重なり店内に響く。
結局『叢雲の剣・紫雲』は"予約済み"という形になり特製のクナイと手裏剣数個と練習用として砂の里の忍具屋で用意した一般的な刀三本を売る形でこの場は決着するのだった。
▼▼▼
店を出ると辺りはすっかり暗く、夜の帳が降りていた。
どうやら会計をアスマさんに任せるのはお決まりらしく、彼の教え子さん達は席を立った際にアスマさんに「ごちそうさま」と告げるとその場で解散してしまった。
一人店の前で待っていると、刀の話をしている内にいつの間にかかなり積みあがっていたお皿の山の会計を済まして店から出てきたアスマさんに深く頭を下げる。
「本日は……ありがとうございました、お話、大変参考になりました」
「そりゃ良かった。ところで村雨っつったか?お前はもう砂の里に戻るのか?」
アスマさんに問われ少し考える。
衝動的に自作の刀を売り始めてしまった時は最悪別の里に行くか木ノ葉にもう少し滞在するかして砂の里には帰らないようにしようかと考えていた──傀儡の術もある程度は身についた為そこまで優先する理由もなくなったからだ。
しかし、結果として自作で売ったものはクナイと手裏剣が多少だけ。これなら何とでも言い訳はできるはず。
ならば里に戻ったところで問題はなく、自分の店が安定していることもあって砂の里に戻るのが妥当に思えた。
「そのつもり……です」
明日最後に一楽であと一食だけしてから砂の里に帰ろう。そう予定を決めるとアスマさんの問いに頷き応える。
「そうか、そりゃ残念だ。実は俺の教え子達にはまだ言ってないが近々中忍試験があってな。各里の下忍とその担当上忍が集まる時期だからもしかしたら刀を持った奴が何人かこの里に来るかもしれないんだが──」
「暫く下宿できる家を探します! ありがとうございました!」
「待て待て! 行動が早すぎる!!」
「っ! ──すみません……つい」
刀と聞いて少々目の前が見えなくなっていた。
今はもう夜中だ、今から探しても仕方ない。今日は一先ずこの2日間使っている旅館に戻って明日探す方が現実的だ。
「まったく、随分刀が好きなんだな。砂の里の人間つったらあくまで傀儡人形に拘って刀はそこまでだと思っていたが……」
「っ……そ、そんなことはないですよ」
「そうか……まぁ良い、住む場所が必要なら俺が掛け合ってやろうか? これでも木ノ葉じゃ顔は利く方でな」
「よろしいのですか?」
アスマさんの思わぬ言葉に少し驚く。
たった数分前に会った相手にここまで良くして頂けるとは……木ノ葉の里の人はどれ程良い人ばかりなのだろうか、父から聞いたかつての自里と比べ凄い違いだ。
きっとこの里は血継限界などの特異体質などであっても差別や迫害などのない素晴らしい里なのだろう。
「おっと、勿論タダとはいかないぞ。そうだな、さっきの刀を買うときおまけで何か付けといてくれ」
「……分かりました! 手元に残っていた『叢雲の剣』シリーズの残り2本を!」
「それはもう良い!!」
そうして村雨は近々行われる中忍試験の日まで木ノ葉の里に滞在することを決めるのだった。
(一先ず何とか里に留めることには成功したか……さて、後で親父にでも話してこいつの身元を調べさせるか──割と本気でとんでもない経歴が出てきそうな気がすんだよなぁ)
想像以上に簡単に釣れた少女に呆れつつも、アスマは気を緩めずそう思案するのだった。
『叢雲の剣』
『草薙の剣』を参考に村雨が造った全10種類のシリーズ。
霧隠れの里にいた頃に10本中3本売れ、残る7本中4本を父に残してきた為村雨の手元には3本しかない。
シリーズ最高傑作である『叢雲の剣・紫雲』はオリジナルである草薙の剣さえ超える切れ味抜群の一本ではあるが特異な能力はない純粋な刀であり価格は脅威の三千万両(地陸さん一人分)