霧隠れの狂人   作:殻栗イガ

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全てを知らない者

戸惑い目を丸くしてこちらの顔を見つめるもう1人の私…しかしきっと私も彼女を同様に顔で見つめているのだろう…"象転の術"と輪廻眼の上司さんが術の名を口にしていたがまさかこんな術が存在するとは…。

 

「えっと…初めまして…私?」

「あ…はい、初めまして、私。…えっと、好きな刀は何ですか?」

 

うん、これは間違いなく私だ。我ながら話の展開が早い、そういう話はもう少し段取りを踏んでからにすべきだろうに…それはそれとして──

 

「絞り込むのが難しい…せめてトップ10にした上で決めるまでに5日は…せめて3日は欲しい」

「分かる。聞いておいて失礼だけど私も決められない」

「気が合う。話していると不思議とまるで10数年の付き合いがあるかの様な安心感がある」

「私もとても初対面とは思えない。むしろ他人とは思えない程に親近感を感じてならない」

 

確かに不思議と他人とは思えない…というかこの人他人じゃない、私だ。何を言っているんだ目の前の私は? 私ながら大丈夫だろうか? 話していて不安になってきた…。

 

「何か一人? 二人? 漫才始めてんぞ、うん」

「素でやってるんでしょうね、あれ。…仕方ない、こちらから声を掛けますか、多分止めないとずっと続けそうですし──村雨」

「「はい、如何しましたか鬼鮫さん?」」

「何か思った以上に面倒くさそうですねコレ…」

「「何故!?」」

 

何で返事をしただけで面倒扱いをされなければならないんだ? 何か気に障る事でもしてしまったのだろうか、思わずもう一人の私と顔を見合わせ愕然とする。

 

「…まぁとりあえず説明を始めますが、貴女の目の前にいるそのもう一人の村雨は貴女から拝借した8割のチャクラを基として生み出された貴女の同一体です」

「同一体…」

「成程…この私はそういう存在なのですね」

『そうだ、思考回路や記憶は同じくとしているが力や使える忍術も切り離したチャクラに比例して限られ、チャクラを使い切ったり激しい損傷を受ければ術も解ける』

 

任意の存在を影分身させる術といったところか…便利ではあるが少し気になることがある。

 

「では、先程の男性は?」

『この術には生贄が伴うからな…あの男の事は気にすることはない。あの程度の人間ならば幾らでも代替が利く』

「簡単に言ってくれるな、あの程度の男でも一応は俺の部下なんだがな」

『幾らでもいる部下をより希少な存在に変えてやったんだ…お前の傀儡造りにも遥かに役立つと思っての事だったのだがな』

「ふん…」

 

つまり…目の前の同一体の私はあの男性を"上書き"して造られた特殊な分身体ということか。

なるほど、今の話からしても大筋の目的は何となく察することができる。

 

「つまり…オリジナルであるこちらの私は自来也さんの下へ行き情報の入手。そして同一体の私は皆さんの下で"クシナダ"制作の進行とその他の武器の作成に当たれ…という事ですか?」

「流石、仕事の話となると理解が早いですね」

「ちょっと待って下さい!」

「何です!?」

 

同一体の私が声を張り上げて会話を遮る。

只ならない雰囲気に思わず私も大きな声が出てしまったが隣の人が慌てた様子で待ったを掛ければ仕方のないことだろう。

 

「つまり…私のこの身体は"私"のものではない…そういう事ですよね」

「…あ──」

 

自身の両手を物寂し気に眺めながら呟いたその言葉に私も漸くもう一人の私の言わんとしている事に気付く。

彼女は私の同一体であり偽物…それだけならばまぁ良い、同一体である以上彼女が造る物も"村雨"の造る物と言っても構わないだろう。

しかし彼女のあの身体は"村雨"とは全く違う"別人だった"ものだ。今や術によって上書きされ、自身の物になったと言ってもアレは他人の身体、他人の腕だ。

 

そんな身体で私が刀を造るのか? ──それは無理だ…私でない身体で造った私の作品など"村雨の作品"ではない…ただの贋作だ──認められるはずもない。

 

「心配するな、偽物のお前に刀を造らせるつもりはない」

「「え?」」

 

サソリさんの予想だにしていない言葉に同一体の私共々間の抜けた声を出してしまう。

 

「さっき言った様にその術はチャクラを使い切ると解ける。大半の物に術式を刻むお前の刀造りでは数本造ればそれで終わりだ」

「では、私は何を?」

「これもさっき言っていたが、力も使える術も限られる分身でも思考回路と記憶は同一の物だ…ならば分身のお前でも"クシナダ"の設計に合わせてオリジナルならばどんな刀を造れるのか、必要となる物は何なのか…その程度のことならば分かるだろう?」

「「っ! なるほど!!」」

 

今度こそ彼らの本当の意図を理解する。

つまりは同一体の私には彼らの下で"クシナダ"の開発に合わせて、現在の設計ならばオリジナルの私はどの様な刀を造れるのかの判断。

そして3年後に彼らに自来也さんの情報を渡す際に、それらの進捗記録と交換しオリジナルの私が同一体の私が構想を練った刀を造れば良い…"私"を構想担当と制作担当で分けたという事か。

 

それに加えて、3年後にもしも私がより良い素材を思い付いていればそれに合わせて調整してくれるという話しも合わせて正に至れり尽くせりだ。──しかし…

 

「そのようなやり方で良いのですか? 私として願ってもない方法ですがやはりサソリさん側の負担も大きいと思いますが?」

「構わねぇ…そもそも同一体といえども所詮は8割の力しかない分身なんぞに俺も関わる作品の一部を任せられるか」

「「なるほど!!」」

 

これ以上ない程に信用できる理由だ。

仮に私とサソリさんの立場が逆であったとしても同様の発想になっただろう…やはり同じ物造りとして通じるところがあるようだ。

 

「もっとも、進捗に合わせてテスト用にサンプル程度の刀は造ってもらうがな、それと手裏剣やクナイの消耗品もな」

「裏取引で調達するルートは確保していますが組織で造れるならそちらの方が遥かに便利ですからね…それに8割程度と言っても貴女の方がよっぽど良い物を造れるでしょうからね」

「うぅん…良いですか、私?」

「……少し気乗りしないけど…こればかりは仕方ない」

 

こちらの都合に合わせて色々と融通してくれている以上は向こうの要望を聞くのは当然のことだ。

それに実際、今までの制作でも本製作の前にサンプルを造る事も何度かあったし、そういう時は手を抜いている訳ではないが費用や時間の都合を考慮してある程度の折り合いを付けて造っている事も事実だ。

ならばこれぐらいの要望は受け入れよう。

 

「それでは構想はお願いします、村雨」

「はい、そちらも可能であれば3年後までにより上質な素材をお願いします…えっと…村雨?」

 

……

………

 

「「名前が紛らわしい」」

 

思った以上に言葉を交わすと紛らわしい、鬼鮫さんが面倒扱いしたのも納得だ。

 

「どうする…区別の為にも名前を変えた方が良い?」

「確かにその方が良さそう。…なら私は偽雨という事で」

「もう少しまともな名前にしても」

「これで良い、こういう名前にでもしておかないと自制が効かなくなりそうだから…余計な贋作を生み出さない為の戒めとしても丁度良い」

「…貴女がそれで良いのなら…」

 

物寂しげに語る彼女の身体を抱き寄せる。

"私"としての自我を持ちながら刀を造る事が出来ない彼女の立場を思うと胸が苦しくなる…きっと彼女自身、私以上に苦しい思いをしており…しかしそれでもなお下した決断なのだろう。…彼女もまた私なのだからその気持ちが分かるのだ。

 

 

 

──それはそれとして…

 

 

 

「……自来也さんの情報は引き受けた。そちらはあの"写輪眼"をお願い」

「勿論、…私の予想が確かならば──あれは十拳剣…何としても確かめてみせる」

 

抱き寄せた彼女の耳元で小さく呟く。

うちはイタチさんの眼から感じる気配、草薙の剣と似た…それでいて屍鬼封尽の死神の持つ小刀にも似た気配…それらに該当する物といえば…突き刺した者を永遠の睡夢の世界へと封印する草薙の剣の一振りに他ならない。

 

この推測が当たったならば──是非とも私の刀造りの糧として提供して頂きたい…例え奪う形となったとしても。

 

勿論…刀を正しく扱える人間から奪い取るというのは私としても出来れば避けたい。

しかし、幸いあのうちはイタチさんに関してはうちはサスケ君が打倒せんと思っている人だ…つまりいつかはサスケ君の手によって打ち倒される人と言える。

それにもしもあの写輪眼を奪った場合、イタチさんは大きく弱体化しサスケ君にとっても嬉しいはず。

おまけにサスケ君の写輪眼…というか身体はハレンチ博士の物だから遠慮していたが、イタチさんの物ならばハレンチ博士とも奪い合いになる心配もない、私もハレンチ博士も喧嘩しなくて済む…つまり皆が幸せになる最良の結果と言えるだろう。

 

偽雨と互いに頷きあう。

 

「──3年後を楽しみにしている」

「うん、写輪眼、それにあの輪廻眼も…大丈夫、刀は造れなくても──刀を造る為に出来ることは多い…退屈なんてしないはず」

「うん…お願い」

 

もう一度だけ偽雨と頷き合って彼女の肩に回した手を解いて離れる。

互いにやるべき事は決まった…偽物だろうと本物だろうと心は一つ──至高の刀を造る為に全てを尽くすだけだ。

 

「すみません、お見苦しいところを──もう大丈夫です」

『そうか、なら取引も成立だ。偽雨だったか? お前には一先ずこのアジトに留まり巨大傀儡の開発と我々の忍具の作成に当たってもらう。オリジナルの方は自来也とうずまきナルトの情報を得る為に潜伏を頼む』

「「はい」」

『だが──あの自来也が相手では…専用の訓練を積んでいないお前では悪意を持って接している内に気付かれる可能性も捨てきれん…最後にそれの対策だけしておこう』

 

確かに相手は伝説の三忍、自来也さん…加えて私は本当は自来也さんと親密な仲という訳でもない。怪しまれずに近づくというのは容易ではないだろう対策をしてくれるのならば有難い。

それにしても…そんな対策まで出来るとはこの方々は本当に凄腕の人達なのだと改めて思わずにはいられないな。

 

『サソリ、頼むぞ』

「あぁ…それじゃあ村雨──3年後までさっきまでの記憶は封印させてもらうぞ」

「はい! ──はい?」

 

え…今なんて言った!? 

 

『万が一にも全てバレてこちらの情報を吐かされる可能性を思えば、下手に動かず自来也の弟子として、奴の下で過ごす内に入ってくる情報だけで十分だ。その方がお互いにとってリスクは少なくて済むだろう』

「改竄後の記憶についても心配するな。お前は川の国で俺と会い…巨大傀儡"クシナダ"の共同開発の約束を交わし、3年後こちらの進捗を確認した後に傀儡用の刀を造る…そういう打ち合わせをしたという事にしておいてやる」

 

サソリさんの視線が僅かにイタチさんへと向く。

なるほど…さっきまでの私の記憶消して、その上であの写輪眼による幻術で記憶の改竄をするという事なのだろう、確かにそれならば私自身何も違和感を持たず帰還して、普段の生活に戻り自然と目の届く範囲で彼らの望む情報を得られる事だろう、実に完璧な算段だ! 

 

 

──私が本当に自来也さんの弟子だったならば!! 

 

 

 

マズいマズいマズい! 

このままでは私は自来也さんの情報を集めなければならないという記憶が消えて3年後、何の情報を握っていないままこの人達と取引の場に向かわなくてならなくなる──どう考えてもアウトだ、ちょっと待って下さい! 

 

見れば偽雨も突然の絶望感に顔を青ざめさせて震えている──当然だ、さっきまでの算段が全て水の泡になろうとしているのだから。

 

何とかしないと…しかしどうすれば良い!? 

とりあえず掌かどこかにメモ書きしておくか──無理だ確実にバレる! 

──というかそういえば以前君麻呂さんと話している際に大蛇丸さんをハレンチ博士と呼んで良いのかどうか確認をすることと掌にメモ書きしてたぞ!? 完全に忘れていたじゃないか、ダメだこの方法!? 

 

いや、今はそれどころではない! 早く別の方法を──あぁ…駄目だ、頭がボーっとしてきた。

 

 

 

記憶が…

 

 

 

掠れていく…

 

 

 

私…どこで間違えたんだろう…。

 

 

 

 

 

 

 

ふと気が付くと森の中を足取り軽く歩いていた。

サソリさんと無事に取引を結べた事で些か高揚し過ぎていたのかもしれない、しかし3年後"クシナダ"制作の途中報告が今から楽しみで仕方がないのだ。

 

…とはいえ、だ。

今からハレンチ博士のアジトに戻る以上他里の忍達に見つかる訳にはいかない、そうでなくとも私自身、砂や木ノ葉、霧隠れの里の人間に見つかると厄介な立場なんだ…浮かれる気持ちも程々に慎重に帰投しなければ…

 

そう意識を切り替えた刹那──音も無く頭上から迫った大蛇に私は丸呑みにされた──

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

アジトに存在する広い演習場…サスケ、水月、重吾の3人を目の前に並べ静かに椅子に腰を掛けていた大蛇丸はクワッと大きく目を見開いた。

カブトに前もって持たせて置いた共有口寄せ用の巻物…そこに描かれていた蛇の紋様が消えたのだ。

…それは事前に決めていた口寄せの合図だ。

 

「水月!」

「っ! あぁもう…まさか本当にこれを必要とするなんてね!?」

 

忌々しい封印によって両腕が動かず印を結べない為、予め自身の血を入れた小瓶を持たせた水月に即座に命令を下すと彼も困惑…というよりもうんざりとした様子で蛇の紋様が消えた巻物を開き小瓶の中から血を垂らす、そのまま素早く印を結び──

 

「口寄せの術!」

 

自身が従える多数の大蛇の内の一体が広い演習場を圧迫しながらも召喚されると、彼はすぐさまその大きな口をカパッと開き、その中に押し込んだ人物を2人纏めて吐き出す。

 

「痛…カブトさん? これは一体!?」

「──大蛇丸様!!」

「重吾、サスケ、水月! 手筈通りに動きなさい!!」

 

両手を背の後ろで掴まれ戸惑う村雨を無視し、焦った様子で叫ぶカブトに頷きながら周囲の者達へと指示を飛ばす。

 

「すまない、村雨。耐えてくれ」

「重吾さん? 何を──っ!? あ…あぐ…うぅ」

 

最初に飛び出した重吾が村雨の肩に触れ、彼特有の力──呪印仙力を村雨へと流し込む。

呪印適合者ではない村雨はその異質のエネルギーに苦悶の表情を浮かべるが知ったことではない…そんな事に構ってやる余裕がないのだ。

 

やがて彼女の身体から白い塊──否、白い人間が4体這い出てくる。

 

「え? …え? 何故私の身体から人? が生えて…」

「クソ!? 何で!?」

「久しぶりねゼツ…残念だけどお前達柱間細胞は実験で知り尽くしているのよ…感知する方法もね。村雨の様子からして大方この娘と何らかの取引を結んだ際に密かに保険として付くよう言われたのだろうけど…甘かったわね」

 

かつての組織のメンバーに…といってもこいつらはオリジナルのゼツとは別の白ゼツなのだろうが…簡単な挨拶をしながら控えている3人へアイコンタクトで次の行動の合図をする。

 

「ぐあッ!?」

「ギャアァ!?」

「…あ…あぁ…」

水月の首斬り包丁が、サスケの千鳥がそれぞれ白ゼツを絶命させ、重吾のみ白ゼツからチャクラを吸い尽くし村雨に与えて縮んだ身体を回復させる。

残りの1体はそれを見て歯噛みしこちらに憎々し気に視線を向けながら身を捩っているが、無理やり引き摺り出された影響か、満足に逃げることも儘ならないようだ。

 

「クソ、何でこの女とお前が!?」

「あら…てっきり私は裏切られたと思ったのだとけど、そうでもないのかしら?」

「はぁ!? …ま、待てよ、まさかハレンチ博士ってお前のこと──ギャア!?」

 

非常に不愉快な名前を口にされて思わず腰に挿していた"灰刃・遺骨"を舌で絡めとって白ゼツの眉間に突き刺していた。

突き刺さった位置から皹が顔全体に広がってその身体をボロボロと朽ち果てさせていく…終ぞ手に入れる事の叶わなかった男の能力から派生したその光景に本来ならば心震えたことだろうが…不思議と今は全くと言ってそんな気分にはならない。

 

不快な気分はそのままだが、白ゼツを全て葬った事でとりあえずは一段落と言ったところか。

奴らは地中を移動でき、その数と合わせて広い情報収集の能力を持つが他の白ゼツ達との記憶の共有はしていない…ここで一体残らず処理したことでこちらの情報は掴まれずに済んだだろう。

 

ならば、あとは──

 

「え? …? …?」

 

一連のやり取りが全く理解出来ていなかったのだろう…口を半開きにして周囲をキョロキョロとしている。

この様子では白ゼツ潜伏の為、奴らに良いように利用されただけの可能性もあるが…それでも一応聞いておこう、もしも彼女自身の意志で奴らに協力しているのだとしたらそれ相応の罰も必要なのだから。

 

「さて、村雨、単刀直入に聞こうかしら…貴女、暁とどういった関係かしら?」

 

 

 

「……暁?」

 

この期に及んでとぼけている…という訳ではなさそうだ。

この娘は本当に何も知らない…これはそういう反応だ、数多の人間を観察してきた経験からその程度の内心を見抜くことは容易い。

それと同時にもう一つ、分かったことがある。

 

彼女は何らかの術に掛けられている…この状況と反応からして──

 

「なるほど、サソリの仕業ね。それにしても…クク、私を相手に2度も同じ手口とは舐められたものね」

 

記憶の消去…彼の部下として潜り込ませたカブトが受けたのとまったく同じ手口だ。

カブトが2重スパイであることに気付いていない事もさることながら…芸術を語っていながら芸はないのだと思わず嗤いが込み上げてくる。

 

「カブト、術を解いてあげなさい」

「ハッ──解!」

「うぅっ! ──こ、これは…」

 

カブトが印を結び、チャクラを纏った手を村雨の額に添える。

記憶を取り戻す際の頭痛の様子からしてやはり推測は当たったようだ。──ならば今度こそ。

 

「さて、記憶は戻ったわね村雨…では改めて聞こうかしら。貴女、暁とどういった関係かしら?」

 

 

 

「……暁?」

 

この期に及んでとぼけている…という訳ではなさそうだ。

この娘は本当に何も知らない…これはそういう反応だ、数多の人間を観察してきた経験からその程度の内心を見抜くことは容易い。

 

 

 

……

………どういう事なの? 

 

 

 

「お、大蛇丸様…これは一体?」

 

カブトが珍しく困惑を隠そうともせずにこちらに目を向けてくる。

……聞きたいのはこちらの方なのだけれどね。

 

恐らくだが村雨は暁の連中と接触し、何らかの取引を結んだのだろう。

彼女がこうして生きており、記憶の改竄を受けていることからしてもそれは間違いない。

 

問題はそこからだ…。

 

暁の連中は取引の際の村雨側の条件のクリアの為に村雨が自分達について知らないまま動いた方が都合が良いと判断し自分達の記憶を封印したのだろう。

だが、村雨はそもそも暁について何も知らない状態で彼らと接触していたのだ。だから何も知らない上でサソリによって暁に関する記憶を消され…結局何も知らないまま今に至る…と。

 

 

 

………何なのこの子? 

 

 


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