色々語っているのでそちらの方もご覧頂けますと幸いです。
大蛇丸のアジトに存在する鍛冶場の扉を開けばガツンガツンと鎚を鉄に打ち付ける音が耳に響く。
それは水月にとって慣れたもの…村雨のいつもの作業風景だ…だが今、そんな鉄の音に混じって奇っ怪な声が聞こえてくる。
事の発端は数日前…村雨に刀を四万本造れと無理難題を吹っ掛けて実質的な監禁を企ててから大体1年ぐらい経ったぐらいだ。
突如としてあの女の刀を造るペースが爆発的に上がったのだ。
それこそ山の様に積みあがっていた適当な素材が全て無くなってしまう程に。
一体どういう事なのか、流石のあの刀バカが今更急激に腕を上げるとも思えず、更にはこのまま大蛇丸の集めた素材を際限なしに渡し続けるわけにもいかず、やむを得ず村雨の刀造りの様子を確認に足を運んだのがついさっきだ。
何かあった時の為に誘っておいた重吾に鍛冶場を扉を開けさせると予想通り予想外な光景が襲ってくる。
非常に不本意ながら聞き慣れた声、しかし今まで聞いたことがない程にご機嫌な…それでいて狂ったような笑い声だった。
「ぅひははひふふふふ、楽しい、楽しい、ック…ぁはははふふふ」
普段ならば常軌を逸した集中力で黙々と作業を続けるあの女にとってそんな笑い声を伴う作業は珍しいというより異常だ。
もっとも、異常なのはそれだけではない。むしろそれ以上に意識を引くの部屋の中心で鎚を振り上げて、振り降ろしてを繰り返す村雨の姿だ。
つなぎ服と手袋の間の露出した肌は真っ白い鱗に覆われ、その瞳は大蛇丸そっくりな琥珀色へと変貌していた。
更に鎚を振り回すその左肩には一本の小刀が突き刺さり時折赤い血を床へと滴らせていた。
「…こ、こいつ…今度は一体何を?」
「彼女から俺や呪印に近い力を感じる…まさかとは思うが──」
戸惑う内に思わず声に出した疑問に対する重吾の予測に思わず目を見開く。
「自然エネルギーってのに手ぇ出したの!? でもソレって前に村雨の言ってたやり方だと取り込む相手が必要なんだろ? どうやって!?」
「それは分からない…だがもしもあの姿がそれによるものなら…最近の異常な刀造りのペースにも納得だ」
それはそうだ。
聞いた話では自然エネルギーを取り込み造られる仙術チャクラとやらは使いこなせば桁外れた力を手にすると言う。単純に鎚を振り降ろす力も作業を続ける持久力も今までの比ではないだろう。
そして何よりも恐ろしいのは飛躍的に上昇するという感知能力だ…これまで香燐などの感知タイプに協力を求めるか自力で慎重に進めるかで行っていた作業が自分自身の感覚で正確かつ高速で行える様になったということだろう。ここ最近の刀造りのペースが爆発的に増加したのも納得だ。
「それはまぁ…大笑いもするし楽しくて仕方ないだろーね」
「そういう認識で良いのか? 彼女の言動…或いは俺の様に自然エネルギーによって暴走している可能性もあるぞ?」
「ぅ、それもあるか…こいつが暴走してんのは平常運転だけど種類が違うとなるとそれこそ何をやらかすか…」
「あはははははふふふ…ック…ふふぅふ~ふふ、楽しい…」
こちらの心配を他所に村雨は自分の鍛冶場に僕らが来たことに気付いてすらいないのか、バカみたいな笑い声と楽しい楽しいとうわ言の様に繰り返しながら刀造りを続けている。
白蛇と人が混じった様な異形の姿に狂った言動、しかしその顔は仄かに紅潮し口元も半開きでだらしなく、琥珀色に変貌した瞳も寝惚けているかの様にトロンとしている。
不気味さと間抜けさって同居って出来るんだと現実逃避の一つもしたくもなる。
「ホンッットに、今度は一体何したわけぇ!?」
▼▼▼
"暁"の方々と関わる様になって1年程が経った。
相も変わらず手裏剣やクナイなど、簡単な物ばかり造る日々だが庭に置かれたクシナダの進捗状況を眺めているだけで退屈しない。
飾り気も仕込みもまだだが頭部と胴体の素体は纏まってきており、この先の更なる進行を想像すればどうしようもなく胸が高鳴る。
サソリさんからはそろそろ持たせる刀と希望があるなら仕込みの内容も考えておけと言われたが…こうして完成に近づく姿を見ていると様々な案が浮かび上がり取捨選択に頭を抱えるばかりだ。
そんなクシナダの進捗以外でこの1年の出来事といえば、自らの事で分かった事が1つあった。
どうやら村雨の同一体として造られた私に身体的な成長というのは存在しないのか、あの日から身長も体重も変化なく、髪すらも伸びることがない様だ。
サソリさん達にとっても"象転の術"とやらで造った分身がこれ程長く存在し続けた例は知らない様で「そういうものなんだな」と少し反応してみせていた。
もっとも、私も彼らもそんなことにはさほど興味もなく、ただそういう認識をしただけで終わったのだが。
そんな事よりも変化した事で言えばもっと重要なことが1つある。
そう、サソリさんとデイダラさん以外のメンバーの方々もそれなりの頻度でここに訪れる様になったことだ。
理由は少し前、彼らの内の誰かが五尾とやらを捕まえたとデイダラさんが言っていた日の事。
3日程部屋を使わせろとサソリさんと共に茶室に座り本当に3日間、ろくに飲食、睡眠も無しにただジッとし続けていた。
修行僧か何かかと思うその行動は何でも封印術に関するものと言うのだが、近くで見ている限りは相当の苦行の様に見えた。
…と、言うよりやはり相当な苦行だったらしく、特に当時雨に打たれながらその作業を行っていた飛段さんと角都さんがデイダラさん達がここで雨風を凌ぎ、時折運ぶ茶を飲みながら封印していたと知ったのを切っ掛けにここに来るようになったのだ。
そして意外な事に鬼鮫さんも同様にその出来事を切っ掛けにイタチさんを連れてここに来るようなった。
おかげで七尾とやらを封印する時は茶室に同じ装束を纏った男性6人が目の前に並んで3日間ジッとし続ける異様な光景が目の前に広がった…正直物凄い圧迫感に息が詰まりそうだった。
まぁ実際、3日間も野外で身動きもせずに留まるというのはどれ程の実力者でも堪えるだろう。
空腹に眠気、天気の変化、何より追い忍達への警戒など神経を磨り減らす要素だって多いのだから尚更だ。
そんな訳で意外と暁のメンバーの多くと関わる様になってきた、それでも誰一人として刀の素材と成り得る様な細胞物質を入手出来る隙などはみせてはくれていないのが残念だが。
…いや、そもそも忍がその手のものを簡単に渡すはずがない、そう考えれば彼らの様な大物達がここに足を運んでくれるようになったことを喜ぶべきだろう。
焦ることはないと落ち着き、とりあえず庭の鯉達に餌でも与えてやろうと餌袋を片手に外へ出ると最近はよく見る装束を纏った人物が立っていた。
折り紙の花で飾られた青紫の髪が特徴の女性…暁のメンバーの1人、小南さんだ。
といっても目の前の彼女は本体ではなく紙を媒介として造られた"紙分身"という特殊な分身体なのだが。
「小南さん、いらっしゃいませ」
「…発注したものは?」
「今月分の忍具類はこちらに」
大量の手裏剣やクナイを納めた巻物を彼女に手渡す。
何でも暁にはサソリさんや角都さんなど配下の者を従えている人もいるらしく、小南さんもその部類…それもかなりの数の配下がいるらしいが土地柄上武器の調達に不便があるらしく、こちらで大量にお造りしてそれを提供させて頂いているのだ。
それにしても…発注された忍具の量はおよそ中隊分どころではない。
流石に数が数なので月ごとにお渡ししているのだが、これを本当に全て配下の人間に渡しているとすれば小南さんの配下の人数は小国が持つ忍の人数にも匹敵し得る。…或いは本当に小国一つを従えているのか?
…いや、流石にそれはないだろう、多分。
常識的に考えて配下の人間の他にどこかの組織に横流しして利益を得ているのではないだろうか?
造り手側からすればちょっと悲しい使い方ではあるが…まぁ私としても本気の刀造りとして造っている訳でもないし、何よりここまでお世話になっているのだ、家賃+食費代わりと考えれば仕方ない。
それよりも…だ。
「…本当に今月分のノルマの倍の量を造るとは…ご苦労」
「いえ、…それで、例の件なのですが」
「分かった。私の方からリーダーに話は付けておくわ」
「ありがとうございます」
今月分のノルマの倍の忍具を造る事で約束した交換条件…正式に受理されるかは小南さんを通してのリーダーの判断と他の人達の協力次第だが…まぁダメならダメとして別の方法を考えよう。
「それにしても…わざわざこんな事をしなくともサソリと2人で決めれば良いと思うが…」
「そうでもないです。七人衆の刀は代々受け継がれるシステムなので、それを目指す以上は多くの人に使われる可能性も考慮したい…そうなると様々な人の意見を集めるのはとても重要な事ですから」
「なるほど…まぁ意味のある作業ならば好きにすると良い。それじゃ次の作業に移りなさい」
「はい、ありがとうございました」
そういうと彼女の肉体はバラバラの紙に分裂し手渡した巻物を包みながら上空へと舞い上がっていく。
本当に珍しい術だ…個人的に折り紙は剣を造ろうとして指を切った嫌な思い出があってちょっと苦手意識があるが蝶々や鶴の形になって飛んでいく姿は実に華やかだ。
…来月のノルマも倍の量にしたら折り紙の剣とか造って貰えないだろうか? 茶室の壁に飾ったらオシャレになりそうだ。
さて、それはそれとして…果たして要望は通るのか、上手くいってくれればサソリさんに良い報告が出来るし私と村雨の計画にもプラスになるのだが…そんな期待感にソワソワすること3日、思った以上に早く要望の結果が届くのだった。
それから3週間後…"クシナダ"設計の為訪れたサソリさんを呼び止める。
「サソリさん、"クシナダ"の仕込みですが…私なりに考えてみました!」
「そうか、作業しながら聞く。言ってみろ」
「はい、…私は傀儡についての知識は浅く、また戦闘自体専門ではありません。そこで考えたのですが…戦闘のプロフェッショナルの方々の意見を纏めれば最高の戦術が組みあがるのでは…と考えました」
作業しながら…と言っていたサソリさんの手がピタリと止まり、その視線が私と私の隣で得意気な顔で茶を飲むデイダラさんに突き刺さる。…それは水月が時折見せる視線に似た種類のものだ
「おい、既に嫌な予感がしてきたんだが?」
「大丈夫です、小南さん経由でリーダーさんに許可を取り、暁の皆さんそれぞれに望む機能や仕込みを聞いてもらいました」
「どいつもこいつも暇なのか?」
「いえ、要望を出して3日程で要望が集まったので皆さん興味を持ってくれているのだと思いますよ」
やはり巨大傀儡に巨大かつ強力無比な刀を持たせるという基本的なコンセプトが良いからだろう、浪漫があってそれでいて実現性がある計画ならば自分も計画に参加してみたいと思うものだ。
それでは早速、小南さんから頂いた要望を纏めた紙を手に取ってそこに記された内容を上から順に読み上げていく。
「では最初に…小南さんからです『飛行機能が欲しい』と」
「いきなりふざけた要望を…質量を考えろ」
「続いて鬼鮫さんからですが…『水中戦に対応できると良いですね』…との事です」
「2人目の時点で陸、海、空に対応することになってんぞ旦那」
「頭痛ぇ」
確かに2人の時点でかなりの困難を極める要望だ。
さっきまで落ち着いてお茶を飲んでいたデイダラさんもすっかり呆れ顔だ、とりあえず次の人の要望を言ってハードな要望の流れを変えてみよう。
「次にゼツさん? という方から『土中潜行が出来ると便利』だと」
「今度は地下か…大喜利やってるだけじゃねぇだろうな」
「そんなはずは…あ、次にリーダーさんからです『拳の射出機能と分離した腕からチャクラの気弾の放射、弾道弾による爆撃攻撃』などの要望が」
「多い上に具体的だな…」
「あの人案外こういうの好きなのか、でも弾道弾の爆撃攻撃はいいな。芸術的だ、うん」
私はホログラム状の姿でしかお会いしていないが、確かに少し話した限りではここまで沢山の意見をお出しするイメージはなかったが…でもリーダーさんが協力的なのは私にとっては願ったり叶ったりといったところだ。
それに具体的であっても仕込み武器としての意見が出てきたのも良い傾向だ、勢いがついて来た、この調子で次の要望を…
「飛段さんから…ジャシン様像なるデザイン案がリーダーさんに送られてきたそうです。ジャシン教って偶像崇拝でよろしいのでしょうか?」
「知るか! 仕込み機能だっつってんだろうが、デザイン案なんざいるか!」
いや、私もリーダーさんに頼んだのは皆さんから仕込みや機能として欲しいものの意見を集めて欲しいと頼んだのであってデザイン案は頼んでなどいない。
…正直飛段さんが描いたと思わしき悍ましさの中に僅かに神聖さが混じったようなデザイン案を見ていると精神的な体力が削られている様な感覚に襲われる…血で描いたと思わしき雰囲気と合わせて意外な絵心に普段ならば尊敬の念を抱くが余裕がない、次にいこう。
「えっと…次にイタチさんから…甘味…製造機能? あぁなるほど、つまり兵糧確保の機能ですね、攻撃機能や移動機能に目が行きがちなところを敢えて戦略的な部分に目を向けられるとは…搭乗型の傀儡ですからこれで籠城戦も可能に…」
「明らかに真面目に協力する気がねぇだけだろ…んな機能いらねぇ」
個人的に結構良いと思ったのにサソリさんからの反応はいまいちだ。
暁の方々にアイデア出しに協力して貰っておいて言うのも何だが、正直攻撃の為のものなら私…正確には村雨の造る刀があれば事足りるのだからこういう機能こそ幅が広がって良いと思うのだが…。
まぁ良い、甘味製造機能に関してはまた今度サソリさんに粘り強く交渉してみるとして…とりあえず次の人のアイデアを…
「えっと…デイダラさんから…じば──」
「搭乗型だっつってんだろ、何が悲しくて爆弾なんぞと相乗りしなきゃならねぇんだ、ボツだボツ」
「せめて最後まで聞けよ旦那ァ!?」
ごめんなさいデイダラさん、私としても搭乗型の傀儡に自爆機能は流石に嫌です、通常の遠隔操作型の傀儡ならアリだと思うんですが…
「…というか、爆発ならリーダーさんからの要望にもありましたしそちらではダメなのですか?」
「悪くはねぇ、だが爆発の美しさの本質はその存在が散りゆく一瞬の美! つまり"クシナダ"そのものが爆発し、その存在を昇華させ始めて本当の美しさが現れるのさ! 確かにオイラの作品の中にも爆発物を生成するC2ドラゴンってのがあるがアレも実は──」
「おい、どうせ次の角都ので最後だろ、とっとと読み上げろ」
「え? しかしまだデイダラさんの芸術論が…」
「…じゃあ適当に相手してやってろ」
そう言うと同時にサソリさんは鋼鉄の尾で皆さんの要望書をひったくり自身の目線まで持っていってしまう。
確か角都さんの要望は千本の腕を生やして一斉に殴り掛かれる様に設計してほしいとだいぶ難しい要望だったはずだが…
「腕を千本? あの野郎まだ例の悪い夢引き摺ってんのか? …しかしまぁ、三代目風影の腕に近い仕込みがあるしそれを流用すればどうとでもなるな…腕が増えるってんならあの女の刀の使い方にも幅が広がるし悪くねぇかもな…」
…出来るんだ。
デイダラさんの芸術論を拝聴しながら聞こえてきた呟きに少々驚く。
とはいえ、"クシナダ"設計計画に投資して下さっている角都さんの要望が通るのは良い事だ、サソリさんには感謝するばかりだ。
…いや、感謝するというのであれば意見を下さった全員に対してだが…。
今回の皆さんの要望を集めた件には"クシナダ"の能力を高める為というのもあるがもう一つ、暁の方々が必要と思う要素の調査の目的もあった…まぁ思惑と違う答えをした人もいるがそれはそれ。
鬼鮫さんなどが分かりやすい例だが『水中戦に対応したい』という事は普段から『水辺での戦い』を想定されているということだ…そしてあの人は実際に自らの力で戦場を水場に変えることが出来る。
つまり彼に近い意見だった小南さんとゼツさんとやらはそれぞれ、空中や土中に関連性のある能力者であると推測できるしイタチさんは甘味好きなんだと思う。
ただリーダーさんと角都さんはちょっと良く分からない…多分だが純粋にこんな戦略兵器が欲しいと思っての要望だったのだろう。そして飛段さんは…まぁまた次の機会にでも。
…それにしても、今も黙々と作業を続けてらっしゃるサソリさんは勿論、ご自身の美学を熱く語るデイダラさんも本当に自らの芸術に真摯に打ち込んでいるのだろう。…偽物として存在する私には出来ないソレがどうしようもなく羨ましい。
…
……
………
仮にこの羨望に導かれるまま本気の刀造りを始めたらどうなるのだろうか?
私は村雨が造る物と同等の刀を造れるのか? それともやはり劣化した贋作にしかならないのか?
もう、1年近く本気で刀を造っていない。いや厳密に言えば"この私"には刀を造った記憶と経験が引き継がれているだけで本当に造ったという実績はない。
ズキリと胸に何かが突き刺さる様な感覚に襲われる。
刀を造りたいし刀を造る為にここにいるのは確かだが、刀を造ったことはないしこの先私が刀を造る事もない…私は…一体何だ?
…いや、つまらない考えはやめよう。
私という存在が造られた時点でこうなる事は決まっていたことだ。私のこの苦悩さえもいつか村雨が至高の刀を造る過程として組み込まれ、一つの作品として仕上がるのだ。
例え歪な存在だとしても自らの生き方が刀となるのなら…これ以上の幸せはない。
だから…以前に言われたイタチさんの忠告も初めから気にするような事でもないんだ。
村雨が刀を造り続ける限り私にろくでもない最期など訪れない…それにオリジナルは私などとは比べ物にならないほどの先見性を持った策略家だ。
イタチさんに疑われる事を見越してサソリさんを味方につけるという並外れた策略を打てる彼女ならば何も心配はいらない。…最悪水月もいるし何とかしてくれるだろう。
不安になることなんて何もない。
刀を造れないのは残念だが、それでもここで"クシナダ"作成の協力と暁の方々の能力の調査…それらに力を注ぎ、時にはお茶をご一緒に…そんな少し退屈だけど楽しい日常を過ごせばそれで良い。
そう結論付け…ゆっくりとした時間が流れて行った。
偶に訪れる暁の方々とも気が付けば世間話を何度も繰り返し、芸術観やお金の魅力、ジャシン教…色々な事を聞いたものだ。
そうしてイタチさんの忠告さえも意識の内から無くなった頃だった。
いつもの様に"クシナダ"作成に訪れたと思っていたのだが…どうやら別件を目当てに来たのだというサソリさんとデイダラさんから少し意外なお誘いを受けた。
「今から砂の里へ向かう。こいつの"ノルマ"を捕まえるついでに…クシナダの"制御パーツ"も捕りに行く、お前も協力しろ」
──刀造りを何よりも尊ぶのは良いが、その過程で他者の道を踏み躙ることの意味をよく考えておくことだ。
イタチさんの忠告の本当の意味を…その時の私はまだ分かっていなかった。
長い幕間編にお付き合い頂きありがとうございました。
次回からついに本編に復帰、いよいよ第二部突入となります。