霧隠れの狂人   作:殻栗イガ

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偽りの村雨

 圧倒的…いや、もはや無慈悲と言うべき光景だった。

 サソリさんが操る人傀儡が放つ黒い砂…砂鉄を浴びた傀儡人形達はその身体中に砂鉄が入りこみ戦闘用の人形からただの物言わぬ人形へと成り下がってしまった。

 

 砂隠れが誇る独自技術…戦術絡繰・傀儡人形、それを使いこなす砂の傀儡部隊は30秒と掛からずに崩壊した。

 未知の事態に狼狽える彼らにサソリさんの操る黒い傀儡人形の腕に仕込まれた数多の刃が振るわれる…いずれも皆僅かに斬られた程度の軽傷だが…それで全てが終わった。

 

「…か、身体が…痺れて…」

 

 傀儡仕込みの肝である毒が彼らの身体を蝕み出した。

 指先の動きで傀儡糸を操る彼らにとって身体の動きを阻害する毒は戦術的な意味でも致命傷だ、繊細かつ緻密な動きは痺れ毒によって痙攣する彼らの指では望むべくもない…もはや彼らに戦う術はなくなった。

 

「バ…バカな。その術、その砂鉄は三代目風影様の…しかもその傀儡の如きお姿は──ッ!? まさか人傀儡…だとすると貴様…サソリか!?」

 

 あの黒い傀儡も人傀儡ならば…同郷の人間だけあってその人物に心当たりがあったのだろう。

 毒に苦しみ砂原に倒れた壮年の男性が驚愕に染まる顔で布で全身を覆うサソリさんへと視線を向ける。

 

「サソリだと!? じゃあこいつが傀儡部隊の天才造形師と謳われた…赤砂のサソリだってのか!?」

「…こんなガキにまで名を知られているとは光栄だな…さて」

 

 壮年の男性が口にした名にカンクロウもまた驚愕の反応を示した…傀儡部隊として彼もまた、傀儡師としてのサソリさんに関する事を何かしらで知っていたのだろう。

 しかしサソリさんはそれに然したる反応も見せず、三代目風影様だと言う黒い人傀儡を巻物に戻す…既にこの場にいる者は皆動けないのだからこれ以上出しておく必要もないという判断だろう。

 

 続いて三代目風影様とは別の巻物…『赤蟻』と書かれた巻物を取り出しその中の傀儡を呼び寄せる。

 カンクロウが操っていた傀儡人形の内の一体と同系統らしき人形だが彼の物と違い装飾の髪は赤く、何より二回り以上巨躯の人形だった。

 

 バシュ、バシュという音と主に胴体の施錠が開き空洞の内側が露出するとその奥から無数のロープ付きクナイが傀儡部隊の者達の中から数人に絡みつき、或いは突き刺さり巻き取っていく。

 砂原をズルズルと引き摺られながら徐々に空洞の中身へと飲み込まれる彼らの顔は焦燥感と恐怖に満ちていた。

 

 …当然だ、その場で殺されるならばまだしも明らかな捕獲行為…自らと里の情報を秘匿とする忍達にとって捕獲ほど恐ろしいことはないだろう。

 

 "クシナダ"の制御パーツとは彼ら傀儡師を人傀儡化させることで造るものだとは知らなかったとはいえ今更止めることは出来ない。…そもそも事前に知っていたとして私はサソリさんを止めたのだろうか…分からない。

 

「……あ」

 

 傀儡人形のお腹の中へと引きずり込まれる彼らの中にカンクロウの姿を見つけて無意識の内に声が出る。

 彼もまた優秀な傀儡師としてサソリさんに見込まれた…いや、彼に関しては元々私がサソリさんに教えていたことだったか。

 

「──ッ!?」

 

 ロープに引き摺られるカンクロウから不思議と目を離せず見つめていると彼の指先がほんの僅かに動くのが見えた。

 風切り音と共にバラバラにされたカラスの腕のパーツが仕込み刃を剥き出しながらサソリさんへと向かって動き出した…三代目風影様の傀儡が消えたことで砂鉄の拘束の効力が消えたのか。

 

 毒を受けて動けないという判断が早かった、カンクロウの決死の反抗はサソリさんにとって予想外のものだった…が、有効なものではなかった、半歩後ろに下がるだけで仕込み刃は容易く避けられ──軌道上にいた私の編み笠に突き刺さり、それを跳ね飛ばした。

 

 地面に落ちた編み笠がパサッと乾いた砂の音を奏でると共に夜の砂漠の冷えた空気が顔を撫でる。

 あと少し刀の軌道が違っていたらそれこそ私の顔にでも突き刺さっていたのだが…そんな事が気にならない程に脳が働かない。

 

 何をするのでもなくただ…私に向けられた愕然とした視線を受け止めていた。

 

「お、お前!? 村雨、何でテメーがこいつらと!?」

「……いつも通りに過ごした結果」

「──砂の里に攻め入るのがテメーのいつも通りだってのか?」

「至高の刀を造る為に出来ることをする…それが"村雨"にとってのいつも通り」

 

 カンクロウの目が戸惑いから一転、私を強く咎めるものへと変わるのを真っ向から受け止めながらそう語り聞かせると彼はもう毒の影響か言葉も発することなく、傀儡の腹部に飲み込まれていった。

 

「……」

 

 やがてロープで捕えた傀儡師全員を飲み込み終えた"赤蟻"は腹部の扉を施錠し、彼らを完全に閉じ込める。

 これで彼らはもう逃げることも出来ず、サソリさんに人傀儡化されるまで待つことしかできない。

 

 そうして私の作品はより完成に近づく…得も言われぬ感覚が胸の内に込み上げてズキズキと傷み出す。

 それは今までの作品造りで経験したことのない程の感覚だった、苦しいほどに感情が騒めいているのを感じる。

 

 …奇妙な感覚だ。

 

 同一体として与えられた"村雨"の記憶の通りに…つまりはいつも通りに作品の完成度を最大限に高める方法を実行しているというのに、記憶にない感覚に包まれる。

 

 これは…多分今までにない程大掛かりな作業工程だっただけあって色々な感情が溢れているということなのだろう。サソリさんも布で全身を覆っていることで表情を窺い知ることは出来ないが上質な素材が手に入りご機嫌なのだと感じる声を出す。

 

「クク、毒が回った状態でも喰らい付いてくるとは…確かにあのカンクロウとか言うガキは他の連中よりも質も傀儡の術の筋も良い様だな」

「はい、カンクロウは昔から優秀な傀儡師でしたから」

「他の傀儡師どもは誰を使うかは後で吟味するとして…残りの連中は要らねぇな」

 

 そう言うとサソリさんは再び鎧型の傀儡の中に潜り、その鋼鉄の尾で"赤蟻"の中に納めることのなかった"残り物"の傀儡師達の命を刈り取って行った。

 事切れた彼らの鮮血が乾いた砂を湿らせる中、デイダラさんは"赤蟻"を指差し口を開く。

 

「あん中の連中は生け捕りにすんのか旦那?」

「一尾を狩ったらまた封印で3日は掛かるんだ…腐らねぇ様に処置する場所も時間もねぇんだから仕方ねぇだろ…鮮度が落ちると傀儡の質も落ちるんだ」

 

 確かに砂の里のすぐ手前でそんな作業を始めるわけにもいかないだろう。…つまりカンクロウ達に使った毒もあくまで命に関わるものではなく動きを封じる為の痺れ毒ということか。

 

 …まぁそれはそれとして──

 

「ところでサソリさん、先程の砂鉄を操る傀儡は一体? 三代目風影様と言われていましたがあれも人傀儡なのですか?」

 

 一瞬にして十数体の傀儡を行動不能に追いやったあの特異な術…我愛羅君の砂に近しいものを感じたがアレは一体どういった術なのか。砂鉄…となると四代目風影様とは性質は異なるが磁遁という可能性が高いか? 

 

「ふん、以前鬼鮫の奴に言われてたろ。相手の手の内を無闇に暴こうとしねぇことだ」

「そうでした」

「いいじゃねぇか旦那、ちょっとぐらいなら話してやりゃあ…どうやら暫くは暇になりそうなんだしな、うん」

 

 そう言ってデイダラさんは砂原の先に聳える城壁へと目をやった。

 …先の傀儡部隊の方々の亡骸の山に劣らぬ凄惨な光景だ…何人もの砂の忍が血塗れで倒れていた。

 ただ一人、返り血を浴びながらその場に立っている見知った人物の姿があった。

 

「ご苦労、由良…俺の事思い出してくれた?」

「ハッ! 勿論です、サソリ様!」

「まさか由良さんがサソリさんの言う潜伏させたスパイだったとは…驚きです」

「それをいうなら私の方だ、まさか3年前に行方不明になった君がサソリ様と一緒に来られるとは…風影様…我愛羅からは君は大蛇丸の部下になったと聞いていたが…」

 

 あぁ、そう考えるとこれも私が想定して以上に危険な状況だったのかもしれない、降龍山での一件がなければこの場で初めて露呈する形になっていたということか。

 降龍山の様に他に人がいない場所ならともかく、こんな敵地の前でそんな怪しい情報を唐突に出したら余裕がないということで即処断されていたかもしれない、つくづくオリジナルには感謝するばかりだ。

 

「さて、それじゃ行くか…サソリの旦那は見てればいいぜ、うん。──里へは空から攻める」

 

 起爆粘土で造られた大型の鳥に騎乗し編み笠を取り払いながらデイダラさんはそう言う。

 里という巨大な組織に一人で攻め込むという自殺に等しい行為だが事実空を飛び自由に動き回れるデイダラさんに組織の最大の強みである"数の力"は通用しない。

 絶対の自信と確かな勝算故の発想だからこそ、サソリさんも「あまり待たせるなよ」とだけ言ってそれを見送るのだった。

 

 

 

 しかし、驚いたのはそこではなかった。

 里へと乗り込んだデイダラさんと空中で激闘を繰り広げたのはカンクロウ同様に見知った顔の少年──我愛羅君だった。

 

 …状況からして単純に我愛羅君がデイダラさんを見つけて迎撃に出てきたのか、或いはサソリさん達が口にしていた"人柱力"、"一尾"という彼らのターゲットとは我愛羅君の事だったのかのどちらかだが…我愛羅君が時折言及していた「己の中の化け物」なる存在が彼の二面性の表現ではなくそれ以外の何かという意味だったとしたら…後者の可能性が高いだろう。

 

 それにしても驚きだ…里の人達からあれ程恐れられていた彼がまさか里の長、風影となり里の人々から声援を送られながら戦っているとは。

 サスケ君勧誘の際に会った時だいぶ雰囲気が変わったとは感じていたが…3年間で更に変わったものだ。

 

 一体そこに至るまでどれほどの研鑽を繰り返したのだろうか? 

 嘗ての彼は他人から恐れられる行動を自ら執ることもあれば、周囲から理由なく悪感情を向けられている印象もあった。

 自身の行動による悪印象、他者の偏見による悪印象…どちらも完全に払拭し新たな信頼を築くなど容易なことではないはずだが…彼はそれを成し遂げたのだ。

 

 

 …素晴らしい事だ。

 

 

 風影として彼はこれから"砂の里"という作品をどの様に高め、造り上げていくのだろうか。

 寡黙だが聡く、そして嘗ての在り方と大きく変貌した今ならばきっと彼にしか造れない至高の作品を造り上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──はずだったのだろう。

 

「ア"ア"ア"ア"……」

 

 川の国に存在する暁の方々のアジト、私という存在が造られたその場所にデイダラさんとの戦闘に敗れ、意識不明のまま拘束された我愛羅君は運ばれ、そこで何らかの術を受けていた。

 我愛羅君はその目、口といった場所からチャクラを引き摺りだされ苦悶の声を出し続けている。

 

 巨大な人型の石像の指先にホログラム状の身体で集まった暁の方々による特殊な封印術だ、以前に私の茶室に集まって何らかの術を行使していたのもこれなのだろう。

 ただ、分かるのはそれだけだ。この石像が一体何なのか、この様な儀式めいた大掛かりな封印術で彼らが何を望むのかそういったことは何も分からない。

 

 …あぁいや、分かることはないが、推測できることであればもう一つだけあるか。

 恐らくだが…我愛羅君はこのままだと死んでしまうであろうということだ。目の前の光景はとても対象の命が無事で済むものだと思えるほど生半可な物ではない、このままだと彼の命が失われるであろうという想像は容易なものだ。

 

 村雨の記憶では砂の里にいた頃は彼を殺し得る刀を造ろうとしていた事もあったが…それがこの様な形になるとは何とも虚しいものだ。

 

 

 

「──偽雨、どうかしましたか?」

「? 何がですか?」

 

 不意に隣の指の部分に立っていた鬼鮫さんらしきホログラムから名を呼ばれて思わず問いただす。

 

「いえ、普段と何も変わらない様子ですが…何となくですが、泣いている様に見えたのでね」

「オイオイ何言ってんだよ鬼鮫よォ、封印術の邪魔にならないところで待っていろって言われて空きの指にシレっと立ってる様な神経の奴が泣くなんてあるわけねぇだろ?」

「あぁ、まぁそれは確かにそうですが…むしろ誰か早く突っ込んでくれないかと思ってたんですがね。私隣なので気が散るんですよ」

「それは…すみません、他に良い場所が見つからなくて…」

 

 アジトに着くや否や、ホログラム状のリーダーさんが口寄せしたこの石像はアジトの半分以上を埋め尽くした。

 その状況で今から封印術を行うから邪魔にならないところにいろと言われても私としてはどこなら巻き込まれない場所なのか全く分からなかったのだ、そこで皆さんがそれぞれ石像の指の部分に立っていたのだからその左手の小指に空きがあればとりあえずそこにいれば安全と思うのは普通だと思うのだが。

 

 …いや、まぁそれはどうでも良いか。

 

「特に泣く様なことは何も。あまり言い触らすものではないですが他人を素材にして刀を造る事もありましたので」

「…そうですか」

 

 そう、"蛇刀・蝕"を造った時に木ノ葉の暗部の人を犠牲にした。"灰刃・遺骨"を造った時も、病に侵され死に瀕していた君麻呂さんを利用した意味では同じだし、それらの刀のテストの為に何人もの人を傷付けた。

 だからカンクロウ達を素材にするのも同じ事だ。

 気にすることではない…とまでは決して言えないが優先順位は変わらない。

 

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"……」

 

 ──ならば目の前で苦しむ我愛羅君をただ眺めていることは? 

 

 彼が苦しんでいることは私の作品とは無関係な事柄だ。

 サソリさん達の本来の目的であり"クシナダ"作成の事を思えば彼らの邪魔するのは得策ではないのは確かだが…それは彼を見殺しにする理由になり得るのか? 

 もっと言えば、刀を造る為ならばカンクロウ達を犠牲にするというのも…本当にそれで良いのか? 

 

 我愛羅君は風影としてこれから砂の里を発展させて。

 カンクロウはきっとそんな我愛羅君の兄として彼を支えて、互いにそれぞれ輝かしい"未来"を造り上げていたのではないか? 

 

 

 ──刀造りを何よりも尊ぶのは良いが、その過程で他者の道を踏み躙ることの意味をよく考えておくことだ。

 

 自来也さん、そしてイタチさんから受けた忠告がふと脳裏を過ぎる。

 より良い作品を造る為…深く考えずに多くの"造られるはずだったもの"を台無しにしていた…それが"村雨"の記憶だ。

 

 私が村雨(オリジナル)だったならば、だからこそ犠牲になった方々が造り上げるもの以上に価値のある至高な刀を造ることで報いて見せると言い切るやもしれない。

 …他者の視点からみれば実に傲慢、不条理な理屈だが…彼女は実際にそれ程の刀を造り上げてしまうやもしれない。

 

 

 ──だが、偽雨(わたし)は? 

 

 報いる程の物を造れない…造らないと決めた、"刀匠"ですらない村雨に──彼らを見殺しにする理由はあるのだろうか? 

 

 

 ふと無意識に右腕に力が入り、宙に浮かび上がる我愛羅君へと伸ばそうとして…彼の身体が突如重力に導かれるまま地面に落下する。

 ドサッ…という音が耳に入り急に夢から覚めたような感覚に襲われる。

 

「…終わったようだな、解散だ。──サソリとデイダラは外の連中を片付けておけ」

 

 あぁ、考え事をしている内に随分と時間が経っていたらしい。

 状況からして…封印が完了したということだろう…思考に没頭すると気が付けば時間が経過していることはよくあることだが…今回ばかりは考え過ぎて手遅れになったらしい。

 

 

 …もっとも、手遅れになろうがなるまいが今更私に何か出来たとも思えないが。 

 

 

 何時の間にか人型の石像が消滅し、地面に着地すると岩で閉ざされた出入り口へと視線を向ける。

 確かに外から微かに複数の人の声が聞こえる…恐らく風影・我愛羅君の奪還の任務を受けた人達だろう…もっともそれもまた一足遅かったのだが。

 

 出入り口を塞ぐ岩が壊され5人の忍がアジトへ突入してきた…1人を除いて見覚えのある顔ぶれだ。

 

「テメーら、ぶっ殺す!」

 

 金髪の少年、うずまきナルト君が怒りを宿した声でそう叫ぶが、サソリさんは一切意に介さず彼らと共にいる老齢の女性へ視線を向けた。

 

「まさか、本当にアンタが同行しているとはな…どういう風の吹き回しだ?」

「…お前が連れ去ったカンクロウという男が万が一に備えて傀儡部隊の一番の新入りだけ最後まで隠れさせておったのだ…おかげで色々とお前の話がワシの耳に届いてのぉ」

 

 なるほど、カンクロウがそんな事を…。

 里の防衛の第一陣として我愛羅君を護る為色々と手を打っていたということか…転んでもただは起きない、流石は砂の忍といったところか…

 

「お前の話もな…村雨! …今度ばかりは…ぶん殴る程度で許されると思うなよ!」

 

 老齢の女性の隣に立つ、大きな扇子を背負った女性…テマリさんもナルト君同様に憤怒の形相でこちらを睨みつけていた。

 まぁ…彼女の弟2人を連れ去ったとあっては当然のことだ、報告者がいたのなら私の顔も見られていたのだから猶更だろう。

 

 普段ならばその怒り様に慄いていたやもしれない…いや、案外そんな恐怖心もなく的外れな謝罪をして更に怒りを煽っていただろうか? 

 分からない、何だか記憶の私と自分自身が乖離している感覚がずっと続いていて眼前の光景さえいまいち目に入らない…一体どうして? 

 

 ボーっとする意識の中、いつの間にか始まっていたサソリさんとデイダラさんの問答がふと耳に入ってくる。

 

「旦那、これ言ったら多分旦那は怒るだろーけどよ。あの"人柱力"はオイラがやる…うん」

「ノルマは1人1匹だろうが、図に乗るなよデイダラ」

「"芸術家ってのはより強い刺激を求めていねぇと感情が鈍っちまうもん"なんスよ旦那…九尾の人柱力は──」

 

 あぁ…そうか…漸く全てが納得できた。

 村雨のチャクラを基に私が造られて3年…茶を振舞って、簡単な忍具ばかりを造って…造りもしない"クシナダ"に持たせる刀のアイデアを練り続けて…そんな本気の作品造りをしない刺激のない日々。

 

 

 刀を造らない偽物の村雨(わたし)は…鈍ってしまったのか。

 

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