「じゃあ、バーバラ以外で鳳凰の像に向かおう。俺は奥蔵山に、フィッシュルは琥牢山に、香菱はすぐそこの像に」
「謎解きの正解が分かったら、空を飛べるパイモンとオズに情報共有してもらうから。フィッシュル、オズを借りるよ」
「永夜を切り裂く彼の翼に、世界の秘密を乗せると良いわ」
『冒険者協会で慣れた仕事ですな』
「オイラに任せとけ!」
各々意気揚々と返事をすると、向かうべき山へ向けて
「みんな、気を付けてね」
「ああ! バーバラもしっかり休んでて」
「ありがとう」
手を振ってパーティメンバーを見送るバーバラ。
空が最後に飛び立つと、バーバラだけがその場に取り残された。
「ふう……っ!」
皆の姿が豆粒ほどになったところで、バーバラは振っていた手を下ろし、スカート越しに内腿をしきりにさすり始めた。
衆目から開放された反動からか、大袈裟にも思える仕草で腰をくねりくねりと揺する。
「皆どれくらいで戻るのかな……
眉尻を下げ、アイドルとしてグレーゾーンな言葉をぼそりと呟く。
心中の欲求を構わず吐露しまうほどに、彼女は今の状況に安心感と焦りという相反する感情を抱いていた。
今なら誰も見ていない。乙女のティーポットも満杯だ。つまり冒険者であれば、幾ら乙女といえどお外で用を足すことが認められる十分な要件を満たしている。おしっこしても許される状況である。
しかし、ここは岩山の頂上。足場が狭い。
もしバーバラが
先程香菱が用を足した時にも、岩肌の溝を伝って幾らかの
「おトイレしたいよ……したいけどぉ……!」
バーバラは自らの秘水の出口がやや下付きであることを知っている。崖際とて、しゃがんで放った熱水は足元に叩きつけられるだろう。腰を下ろして大開脚すれば……なんてのは以ての外だ。バーバラの僅かに残ったプライドがそれだけは拒否した。
たぷんと溜まった下腹の水袋の栓へ、捻りを加えて引き締めるように、小刻みに身体をひねる。上下する。
脳裏で繰り返されるのは、先程の香菱の艶やかな姿。つるりとした柔肌の向こうに迸る水流。女性特有の音。安堵の吐息。
そんな記憶の中の香菱に、自分の姿を重ねてしまう。
それが引き金となった。
「あーもうっ……駄目、限界! 」
バーバラの天秤が"おトイレ"に傾く。
今しかない。皆が戻ってきてからでは遅い。モンドにいた頃からは想像もつかないほどの逞しい思考により、彼女は排尿を決意する。
判断してからの行動は早い。せめてもの措置としてパーティメンバーの居る場所から死角となる崖際に歩を詰めると、スカートの両脇から手を入れ、白タイツとショーツを──
「意外と簡単だった〜! ただいま!」
「きゃ……ッ!! あっ……んっ!」
──瞬間、背後から届く声。
開門まであと一歩まで緩んだ乙女のダムはそのままに、バーバラは驚きのあまりビクリと僅かに飛び上がる。
そのまま硬直。霧散しかけた尿道の力みを取り戻すために全身の意識を秘所に集中し、なんとか首の皮一枚で耐えきることに成功する。その間コンマ数秒。
「あれ? バーバラどうしたの?」
ひょこっと顔を出したのは香菱だ。
ここからほど近い鳳凰像の謎解きを任された彼女は、呆気なく解決してここに帰還した。
一仕事終えた開放感から瞳を煌めかせる香菱。こちらに背を向けるバーバラに向け、素朴な疑問を投げる。
それに対しバーバラは、アイドル活動で会得した鋼鉄の笑顔を顔面に張り付かせ、ツインテールをふわりとたなびかせて振り返った。
「お疲れ様! そ、その──タイツ! タイツの寄りを直してて……!」
「そゆことね! ねぇ聞いて! あの鳳凰の像さぁ──」
◇
(したい……したいよ……っ!)
「それでね、それでね──」
「そうなんだ──」
香菱と二人で岩に腰掛け、彼女の身振り手振りを交えた会話に相槌を打つ。
うん、うんと笑顔で頷くバーバラの両の手は腿の上で組まれていた。それは爪が食い込むほどに強く組みこまれ、スカートに皺が出来るほどに強く股間に押し付けられている。
香菱が話の合間に余所を向くたびに、腰を仰け反らせ、秘所を腰掛けた岩に食い込ませる。太腿はぴっちりと閉じられ、ヒールの内の足先は忙しなく動かされていた。
括約筋の疲弊が凄まじい。モンドでの長時間の礼拝に鍛えられたバーバラの膀胱も、これ程まで追い詰められたことは記憶になかった。
気を抜けば漏れる。気を抜かずともいつか決壊する。冷や汗が止まらない。いつの間にか意識は下腹部ばかりへと向けられ、香菱との会話は上の空となっていた。
そんな折。
「……バーバラさ、もしかして我慢してるよね?」
「うん、うん──へ?」
おしっこをさ、との香菱の突然な問い掛けに、バーバラの思考がストップする。
やや伏せ目になった香菱の申し訳無さそうな仕草に、バーバラは"おしっこを我慢できない自分"が見透かされていたことにようやく気が付いた。
「あ、えと……その……そ、そうというか……うん……」
気付かれた。恥ずかしい。いつから? 無数の思考が脳裏に入り乱れ、みるみる頬に血流が巡る。口をきゅっと閉じ、顔から湯気が出そうなその顔色は、さながら鍋に入れられた火スライムのようであった。
「ご、ごめん! そんなに恥ずかしがらなくても……。 ほら、同じ女の子だし、ね? 」
バーバラの見たことのないような赤面に香菱は焦る。
「限界そう?」
「う……うん……」
香菱にバレていたことから諦めがつき、バーバラは少し控えめながらも腰の揺すりを再開させる。腰掛けていることから脚も動かし、ヒールが岩をコツコツと踏み鳴らす。
「無理しなくていいんだよ。そうだ、アタシがさっきした場所でしちゃいなよ! 恥ずかしいならアタシがまたおしっこした事にするから!」
香菱は僅かな草むら──先刻何も隠せないままに彼女の欲求を開放した場所を指差した。川を作っていた迸りは岩に滲み込んだのか、もう跡しか残っていない。
「でも……」
「アタシもさっきまで辛かったから見てられないよ。誰にも言わないから!」
くるりと反対を向く香菱。バーバラを慮っての行動だが、今はその思いやりが非常に辛い。
「……ありがとう……!」
ああ、もっと早く行動しておけばよかった──そう後悔しながら、バーバラは再度意を決した。
もう本当におしっこする。香菱と同じ場所で。もう我慢しなくていいんだ。
「出る、出ちゃう……っ」
気休め程度の草むらを避け、バーバラは今度こそタイツとショーツを膝まで下げる。
そしてついに、その場にしゃがみ──
──込もうとした時、山頂に上昇気流が巻き起こる。
「わぁっ!?」
「きゃぁあっ!!?」
ごうと吹き荒れる風と共に、香菱とバーバラの絶叫も流れてゆく。
バーバラのスカートは圧に負けてぶわりと浮き、中腰だった彼女のショーツのクロッチ、白磁の太腿、ぴっちりとした秘裂、薄く整った茂みの全てを白日の下に晒す。
今まさに尿道をこじ開けようとした激流は余りの驚きに引っ込んだ。バーバラは両手でスカートを押し下げ、何とか下着とストッキングを穿き直す。
バクバクと鳴る心臓を抑えていると、間もなく空達が続々と山頂に戻ってきた。
「この風に乗れば"仙人の住処"か……。皆、よくやったな」
「この程度、断罪の皇女の前には障害にすらならないわ」
「よーし、いこう! 宝箱にはモラがいっぱい入ってるといいな!」
鳳凰の像の謎解きを終え、行きと異なり光の道を辿って慶雲頂へと戻ったようで、集合が早い。そのまま間髪入れずに更に上へと出発となってしまう。
「バーバラ、休めたか?」
「……うん」
ジンジンする膀胱を抱えたバーバラは、空の声にか弱く応える。その声には、絶望と悲しみと若干の怨みが込められていた。
◇
(もう駄目。漏れちゃう。ホントに──)
「うおーーっ! お宝だぁーーーーっ!」
「なんて美しい杯……! 断罪の皇女に相応しい!」
『今更ですが、これは盗難に当たりませんか?』
「……それは言っちゃダメだ」
「これ調味料を入れるのに丁度いいかも!」
小さな浮島に建つ東屋と机、そして大きな宝箱。それが"仙人の住処"の真実であった。一行が覗き込んだ宝箱の中には、概ね噂通りの代物が詰まっており、興奮の渦が巻き起こる。
たった一人──青い顔をして震える少女を除いて。
「……っ! っ!」
バーバラは一行の後ろに離れて立ち、両手をスカート越しに秘所へと添えている。
彼女の精神はもう憔悴しきっていた。
もはや一刻の猶予もない。一歩も踏み出せない。膀胱が痛い。お股を揉んでないと出ちゃう。もう我慢しなくていいかな──。
びく、びくと不意に腰を落とす仕草は、尿意の波と括約筋の限界が頻繁に訪れていることを言外に訴えていた。
……とその時、彼女に天啓が降りる。それは追い詰められた精神にとって、これしかないと思えるほどの閃きであった。
「……ふ……っ!」
意を決したバーバラ。片手は陰部を抑えたまま、もう片方の手をスカートの下に潜り込ませる。
一挙一投足が膀胱の出口を叩く。
くねりと捻った腰、腿はそのままに、ゆっくりとショーツとタイツに手を掛け、下げる。先程のように膝までは行かず、腿の中ほどで手を止めた。バーバラの恥ずかしい割れ目、普段は肌触りのいいショーツとタイツに守られている大事な場所が、再び外界の空気に触れる。
そして、彼女は気力を振り絞って
服に提げられた神の目が光を帯びる。青色に輝くそれは、大気に満ちた水元素を収束させて真水の球を中空に作り出す。その場所は──
それを彼女の割れ目に押し付け、水中に放尿する。……それがバーバラが閃いた方法であった。
これなら音もしない。最中の恥ずかしい姿も、もっと恥ずかしい液体すらも見られない。終わったら、皆が余所を向いてるときにスカートの下から崖に捨ててしまえばいい。
なんて完璧。なんて完全犯罪。これも風神様からのお恵み──と救われた感情も、排尿欲求という
(おしっこ……おしっこ……っ!)
お尻を突き出した姿勢となり、スカートの下に忍ばせた手を秘所の前から差し込む。そのまま人差し指と中指を一本の筋に対し並行に添わせ、柔い陰唇を左右へと押し開いた。
露わになるのはピンク色の肉の異なり。夜中に稀に優しく触れる乙女の蕾と、未だ誰も踏み込んでいない秘口、そして──今まさに役目を終えようとしている小さな孔。おしっこの出口。
そこへ向けて、神の目を使って慎重に水球を動かし──遂に、触れる。
ぴとっ。
「ぴゃっ」
しかし彼女は、その水球が冷たいことを失念していた。
ただでさえ敏感な箇所に鋭い刺激が走り、思わず声が漏れる。
それと同時に、彼女は我慢から解き放たれた。
……じょおおおおおおっ!
しゅいいいいいいいいっ!
尿道から直接、水球へと我慢に我慢を重ねた激しい水流が吹き出していく。音は無く、しかし放出したおしっこが出口で激しく霧散していくような感覚。
「はぁっ……〜〜〜〜っ……!!」
じゅいいいいいいいい──!
(はあぁっ……おしっこ……きもちいい……っ!)
声にならない声が肺の奥から漏れ出していく。乙女のダムの全開の放水は、体内の全てをお股から押し流していくような気さえした。
(ふぅぅ…………っ!)
力が抜けていく。忙しなく動いてた足先、力んでいたふくらはぎと腿が震えをやめ、尿道が水流に擦れる快感のみに彼女は身を委ねた。
しかし、至福の時間は長くは続かない。
「……ん? どうかした? バーバラ」
「ふぁあっ……へっ!?」
先程の「ぴゃっ」というバーバラの素っ頓狂な声を聞き、パーティメンバーが一斉に振り向いたのだ。
彼等の視線が、今まさに快感を迸らせるバーバラに集中した。
(あ──)
なんとか振り向かれる直前で手をスカートから出すことに成功する。
しかし限界放尿は止まらない。
今更止められない。
一度緩んだ彼女の括約筋はその仕事を放棄してしまった。
「な、なんでもないの! ほらっ……はぁ、んっ……凄い景色だから、こわくなっちゃった、なんて……」
しゅいいいいいいい──。
あれだけ冷たく感じた水球も、彼女のティーポットから溢れるおしっこと混ざり合い、段々と温くなっていく。
(お願い、見ないで……)
バーバラは眼前の仲間達にぎこちない笑顔を振りまきながら、内心で神の救いを仰ぐ。
(私に一人でおしっこさせてぇ……っ!)
弛緩した表情で。
肺の中の空気を温く息づきながら。
出来れば誰にも見られない個室の中で、おしっこをさせてほしい。
しかし現実は、バーバラのささやかな願いの尽くに不認可の印を押していく。
仲間達の目の前で。
誤解を解くために言葉を発する必要があり。
テイワットの雄大な景色全てを見渡せる天空の小島で──彼女は水の球へと、乙女の熱水を放出していた。
間を置かず、香菱が再び宝箱の中身を持ちながらメンバーに話しかけた。
「……あ、この聖遺物はフィッシュルに良いかも! ねえ見て!」
「ん? ああ、確かに」
「わたくしに?」
彼女はバーバラにウィンクしてから話題を移す。
(しゃ、香菱……!)
バーバラは香菱の優しさに内心感涙しながら、再び脱力する。
そうこうしているうちに、乙女のティーポットの中身は大部分が放出されていた。
しゅいい……しゅいっ……しゅいっ。
ぶるりっ。
「んっ、ふぅぁっ……」
きゅっ、きゅっと緩みきったおしっこの出口を数度締め、腰から背筋を走る震えに身を任せる。
(気持ちよかったぁ……)
おしっこできたときの開放感。尿道を激しく擦る水流。快感に浸る自分を見つめる皆からの視線。自分はアイドルなのに、もう子供じゃないのに我慢ならずもじもじとしてしまった自分への敗北感。
(クセになりそう、かも)
色々な感情が綯い交ぜになる。そんな中でも、バーバラはなぜか心の奥底から湧き上がる高揚感を知覚していた。
そんなアブノーマルな感情を抱きながら、バーバラは大きく膨れた水球を崖下にこっそりと投げ捨て、一行の輪に混ざっていった。
その後、慶雲頂から麓に降りてすぐに戦闘に入った水スライムの一匹が、奇妙な色合いと香りを発しており、皆が首を傾げる中バーバラだけは普段見せないような力(物理ダメージ)を発揮し、それを速やかに撃滅したという。
おしまい。
原神楽しい!
鍾離先生4凸したいなあ