「おっ兄―! たっだいまーっ!」
昨年から継続してる仕事を終えて飛び込んだお兄の部屋は。
「ひ、ひよりん……っ!?」
うちのお兄を押し倒す常磐さんの姿と。
「あー、えっと、おかえり」
既にあられもない姿にされかけていたお兄がいた。
おーこれはあれですね何があったかはわからんけどとりあえずわかることとしてお兄が常磐さんに襲われようとしていたってことですよねだって常磐さんもお兄も既に何か着替えてるもん常磐さんのあれ北条綱成ちゃんですよねーあー成程状況よーくわかりましたこれ確かに戦デレのシチュまんまですわ。
というか押し倒すの普通逆じゃないのかよ寧ろ常磐さんの方が肉食系なのかよそりゃまぁなんかちらっとそんな話は聞いてたけどこれは本気ですわ常磐さん目が血走った跡がありますわあれは捕食者の目ですわ。
「えっとな、これはな、いつもお前にちょっかいかける時のようなもんだ。あれだ、どすこいどすこい」
「いやそんな弁明いらんわ」
まぁともあれ、こんな状態じゃ流石に私がこの場にいてもただの針の筵になるのは確定なので。
「えーっと、それじゃごゆっくりー!」
三十六計逃げるに如かず。戦デレでも無謀な戦いの時はそうだもんね、紛いなりにもSSR状態の北条綱成ちゃん相手ですよ。私が幾ら北条氏康ちゃんでもノーマル装備じゃ勝てないっての。押し相撲でも圧で勝手に土俵際まで追い込まれる奴ですよ。どすこいどすこい。
「――ってことがあったんだよねー」
ということでその足で錦さんの部屋に直行してお土産の肉まん渡してそのままベッドイン。ごろんごろんして適当に私の匂いをマーキングしておく。うりうり北条氏康ちゃんの匂いだぞー。
「連絡だけでもいれろよな」
まぁまぁそんなことは言ったって。仕事は個人の都合で減らしてるけど大人気声優ひよりんは一人で外を二時間もほっつき歩いてるわけにはいかんのですよ。
「あぁ、これシキちゃんのネタに使ってもいいよ」
「えっ、でもお二人に悪くないかな……」
「私が許す」
「じゃぁやろうかな」
まぁぼかして喋ってもらう分にはネタとしては面白いもんね。今頃二人はズッコンバッコンと激しい頃だろう。換気だけはしておけー。
とりあえずLIMEに二時間は帰らないというメッセを飛ばしておく。今飛ばしたら寧ろ邪魔かな。ええい一周回って邪魔させろ。そもそも受験勉強はどうした。終わったのか。随分早いな。
「あ、そういや宿題家に置きっぱだまだやってないどうしよ」
「ひよりーん、流石に今は仕事を理由に休むってのを殆どしてないんだから、先生も見逃してくれないと思うよ」
「見せて☆」
「自分でやらなきゃ意味ないぞ?」
最近錦さんが私に対して容赦がない。いや片鱗はあったけどさ。まぁ遠慮をしなくていいと思ってくれているなら寧ろ嬉しい。
錦さん的には元々誰に対しても敬語だったわけだし、敬語からため口、果ては黒い部分を見せられるようになったのはきっと錦さんにとって大きな進歩だ。私が遠慮なくずかずか行ってるだけ、ではないと思う。ないよね。
「それにしても、先輩は今日も常磐さんと一緒ですかぁ、いいなぁ」
「錦さん、やっぱりお兄に色々思うところはあるんだ?」
「そりゃぁ、ね。先輩がいなかったら、今頃退学してた気がするし」
「あーやっぱり? 確かに私より学校来てなかったもんねぇ」
「ひよりんがあの時話してくれていたからというのはやっぱり大きいね。私の今の生きがいは誇張抜きでひよりんかなぁ」
「あ、そういう嬉しいこと言ってくれちゃう? うりうりー、愛い奴愛い奴ぅ」
「髪がぼさぼさになるぅ……」
まぁ、それでも私には仕事があって、錦さんには雪景シキの活動があって。二人してそれがあれば学校なんてなくてもと思うぐらい好きでやれてる節もあるから、だからこそ学校が息抜きになっているところは確かにあるだろう。
「それにしても、生徒会が終わっても、学校関係の生活が楽しいって思えることが続いてくれるとは思わなかったよね」
「だよねー、ほんとお兄とミリさんと、あとはみんなに感謝だなー……」
生徒会が解散してから、お兄は有言実行した通り、毎日生徒会メンバーを誘っていた。仕事の都合がある私とアメリ先輩、受験勉強がある詩桜先輩は来る率は低かったけど、彼氏彼女の関係であるお兄と常磐さん、それと錦さんの三人の出席率は特に高かったようだ。
それはそれとして、私もお兄とミリさんの前だけでしか出してこなかった家族的な素を出すようになった。常磐さんも錦さんも詩桜先輩も、あくまでそういう個が先に来ていたのに、私だけが『ひよりん』だったから、『和泉妃愛』としての私を前面に押し出して生活するようにしたんだ。
だから、当時の生徒会メンバーの前でだけでは、お兄は『お兄ちゃん』じゃなくて『お兄』になっていた。この人たちの前ならお兄は素を出せる。そして水を得た魚は今も尚生き生きとしている。
私としても、これだけ私生活で他人を信用できたのはいつ以来だろう。本当にあの生徒会は、和泉家全員にとっての転機で、そしてそれは確実にいい流れをもたらしてくれたんだ。
私にはこんな友人らが学校生活の中で出来るとは、一年ほど前には露程にも思ってなくて。何はともあれ、昨年の生徒会活動を終えてからは、完全に錦さんとお兄のために学校に行っている。
「ところでひよりん」
「何かな錦さん」
「そろそろ心の傷を癒してくださぁい……」
「えっ心の傷!? 何々、何があったの?」
自他共に認める一番の親友だと勝手に思っている錦さんが何かを抱えているなんて。それは是非とも相談に乗らなくてはいけない。
「ひよりんは仕事減らしたとはいえ、それでも最低限のお仕事はあって、その最低限でも週一は学校に来ないでしょ? そうすると放課後に集まるのは私と先輩と常磐先輩というのが多いでしょ?」
「うんうん」
「――カップルの前に独り放り込まれる私は……?」
「あー……」
それは、確かに、目の毒だ。そしてあの二人は、なんというか、無意識に『時空』をよく作り出している。一部の人は羨み、一部の人は全力で忌避する、そういう時空だ。
私? 忌避はしないけど、ずっと一緒にとはならない。まぁ雰囲気を参考にしてお仕事に応用はしてるけどね、あ、これはオフレコだな。
「そりゃね、わかるんだけどね。好きあってるのは素敵だと思うし、そして私はお二人共好きだから、是非とも幸せになってほしいとは思うんだけど、それでも一回当たりの許容摂取量というのはあってね?」
「いや、あのね、うん。うちのお兄が、ほんとごめん」
錦さんは、うちのお兄を少なからず好意を持っていたようだし、余計に辛いところもあるだろう。少なくとも、どこかお兄の隣にいるのが錦さん自身でないことに悲しみを覚えている節がある。
錦さんみたいなのを形容する言葉ってなんだっけ、そうそう負けヒロイン。何かしらの物語の上では幸せそうに恋仲になった二人を祝福していても、物語というカメラが向いていないところで悲しんでいれば、それは負けヒロインだろう。そういう意味では、錦さんは間違いなく負けヒロインだ。勿論人にはこんなこと言えない。
「はぁ……私も好きな人見つけられるかなぁ……でも先輩よりいい人は中々いなさそうだしなぁ……」
「錦さんってそこまで彼氏欲しいってなってたっけ」
「うーんとね、別に彼氏彼女に拘るわけじゃないんだ。だけど、先輩らを見てると、私にもいればなぁってなるかな」
「錦さんが望む人ってどんな人?」
「――先輩みたいな人?」
お兄みたいな人って。身内贔屓抜きにしてそれはどうなんだ。最近のお兄の外面よさを指してるのはわかるんだけど、内面全部知ってた上で、錦さんの性格を考えると、ねぇ? いやでも最近はそれも含めて改善が見られて……?
「あれ……うちのお兄、実は優良物件……?」
「なんでひよりんが驚いているの」
「う、ううん、私とお兄の生徒会前後の周囲の変化って、思ってたより大きかったことに驚いてるだけ」
あぁ成程、ようやく理解した。私が元来こうしていたいと思っていたことは、ずっと前にその前提条件が失われていたんだ。お兄は私から離れることはないとは言ってたけど、それでも常磐さんと過ごす内に、私がお兄に対してしていたことの大多数は常磐さんの役目か、又はお兄自身がやるようになっていた。私がお兄に対して生涯したいと思っていたことは、終ぞ失われていたんだ。
だとするならば、それは私にとっても失恋みたいなものだったのかもしれない。別にそんなこともないと思うけど、それでも、一番近い語彙を当てはめるとしたならそれしか浮かばなかったんだ。うっちゃりなんて望むわけもないけれど、それでも少しだけ悔しいと思う自分もいる。
だけど、それに気づいたところで、将来設計がそう数秒で易々と変えられるものでもなくて――あ、そうだ。
「錦さん! いざとなったら私と一緒に暮らそう!」
「えっひよりんと? あ、うん、でもいざとなったらそれもよさそうだね。その時は宜しくお願いします」
「まぁとりあえずは兄夫婦と同居できればそっち選ばせてもらうけどねっ」
「えええっ今のお話は何処へ!?」
梯子外してはたき落とすのは相撲の基本ですよどすこいどすこい。今は予防線ぐらい張っても許されるよね。
「錦さんは私の言いなりになっていればいいのだー配信しながら肉まん貪っていればいい体にしてやるー」
「なんか、幸せそうに見せてディストピアみを感じるね……?」
だって錦さん堕落化計画だし。誰かをお世話したいという私の中のバブみ欲求だし。あ、バブみと言えば。
「ところで常磐さん、北条綱成ちゃんだとめっちゃ胸ぷるんぷるんだった」
「それを私の前でわざわざ言う必要はないよね?」
「お兄―、準備大丈夫なの?」
「うんにゃ、寧ろ妃愛を待ってたとこ」
「おっとそれはいけない。寧ろ私が待たせてたのか」
確かに、男より女の方が支度に時間がかかることが多いわけだから、朝食をほぼ同時に食べ終わっていれば、その後の片付けなどの条件が一緒ならば、私がお兄を待たせることになるか。
「いってきまーす。それじゃ資正―、いい子にしてるんだよー」
お兄と二人で玄関を出る。鍵はっと、あれ、いつもお兄が締めることが多いからすぐに出ないや。あぁお兄鍵ありがと。
それにしても、少し前には考えられなかった光景だ。いや全くないわけではなかったけど、お兄と一緒に登校というのはそれこそSSRみたいなもので、それがNにまでランクが落ちるとは思ってなかったよね。SSRを乱発するサ終直前のソシャゲかい。
前は色々あったけど。今はかなり落ち着いた関係になってるとは思うし、それにこうやって仲睦まじいのは、個人的な都合で言うならば、家族思いという声優ひよりんとしてのイメージ戦略としても合致する。まぁ要するに公私共に思惑が合致してそういう意味でも丁度いい。
まぁ、そりゃそうしていることによって、私自身のイメージが保たれてる節もあるけど。別にそれを死守したいという理由でやってるもんじゃないし、それはあくまで副産物だ。
「結局昨日夕飯までどこ行ってたんだ?」
「いやそこで自分から振るんかーい」
夕飯も朝食もその話題出なかったから、意図的に避けてるのかと思えばこれだよ。というか話題的にも掘られたくないんじゃないのか。掘ってたのはお兄の方だけどさってやかましいわ。
「錦さんのとこ行ってたよ。それで生じゃない放送収録してた。それで私が飛び入り参加」
「えっ飛び入り!? それユキちゃんも妃愛も発表特にしてないよな?」
「そうそう完全サプライズ。だから今日の夜は大騒ぎになると思うよ。だからあえて生じゃなくて収録にしたんだし」
「いやまぁ雪景シキちゃんとの突発コラボは話題性もすごいし俺も嬉しいけど……事務所は?」
「流石に通した、つもり。でも突発だからうまく伝わってるかなぁ。幾ら人気VTuberと言ってもだからねぇ。まぁ問題があったら素直に怒られることにするよ」
「まぁ妃愛自身は問題ないかもしれないけど……錦さんの方が大丈夫か? それ」
「そこなんだよねー。そっからシキちゃんの中の人探り当てとかないかが確かに心配。まぁ今後のやってみたい事的にも、顔バレは寧ろどこかでってのはあるみたいだけどさ」
まぁ錦さん、その辺りのことは慣れてると言うか、存外にやり手だから心配はしてないけど。なんなら私が紹介して事務所に引き込んでしまえばいい――というのはやりすぎか。でも錦さんならその余地はあるだろうというのはわかる。
いやだって雪景シキの活動抜きにしても活躍できますよあれ。正直雪景シキじゃなくて錦あすみとして活動するなら、私ともコラボしやすいのになぁとは思うのは正直なところで。雪景シキとしての活動も勿論だけど、それはそれとして錦あすみ、強いて言うならmiasuとしての活動も見たいというのは、一ファンのエゴとしてはある。
そんな感じで、他に何かなかったかなとか思っていると。
「あ」
思わずお兄の声が漏れた。それは相手も同時だったようだ。ずっと私の大ファンでいてくれてる人。そして今となってはお兄の彼女。昨日はSSR状態の北条綱成ちゃんだったお胸は今日もぷるんぷるん。
「あんた、今日は随分と遅かったのね」
「妃愛を待ってたらちょっとな。というか妃愛が朝食ちょっとミスってそれで時間かかった」
「あんたそれはちょっとひよりんに失礼じゃない? おはようひよりん。ひよりんのお兄の言うこと真に受けなくていいのよね?」
「おはようございます。あぁいえ、今日は私が遅かっただけなので。ちょっと朝に作った味噌汁を沸騰させかけちゃったので、お兄と二人でふーふーしながら飲んでたらこんな時間なのですよ」
実際今日はお兄の世話を『出来ていた』感があって、寧ろ朝から満足している節もあるので、寧ろ気分がいい。だからそれくらいは全く気にしない。
さて、それはそれとして。この二人が揃ったなら言いたいことがあるわけで。
「で。私に言うことはありませんか」
「すみませんでした……」
うん。まぁいいや。これだけにしよう。
「――まぁ、盛るのもわかるんですけどね。お仕事が早く終わったのは私の方で、連絡も特に入れてなかったですし。それでもまぁ、心の準備が出来てないとなーというのはありまして」
「悪かった。今度から見せつける準備を整えてから妃愛に見せるようにする」
「いやそういう話じゃないなんでそうなるの」
「そういう話なんだよ。華乃、どうにも同人誌のネタとして浮かんじゃったぽくて」
思わず目を細めて常磐さんの方を見る。多分睨んでる状態になってるんだろうけど、案の定常磐さんはもう涙目だ。
「ひゅいませんひゅいません! でもファンレターで要望もあったんです! 羞恥プレイが看たいって要望かなりあるんですー!」
「いやまぁシチュだけならバレようがないですけどね……てかなんで見せつける前提なんですか」
言っちゃなんだけどそこまで倫理観は私は崩壊してないですよこの二人大丈夫ですか妹として心配ですよこれ割と真面目に。
「ねぇお兄……『まわし』、握ってるのどっち……?」
「まわし……あぁ手綱か? まぁどっちもどっちかな……各種要望は華乃からのことが多いけど」
「ふーん……?」
「ちょっと! そこまで話す義理はないじゃないわよ!」
いや寧ろそこは把握させてくださいよ主に今後の事故防止のために。
「あーんた、まさかと思うけど実の妹に色目使ってるっていうの?」
「なんでそんな話になるんだよ。それ色々とヤバい奴だろ」
「そりゃさぁ、あんたはひよりんが妹で女子を見る目が異様に高くなっちゃうのはわかるんだけどさぁ……」
「おいこらその前提で話を進めるな」
「でも、そんな中でも私を選んでくれたんだよね……」
あ、これはまた始まる奴だ。しまった耳栓持ってない。
「最初は私はあんたにとってのただの推し絵師だったのかもしれないし、そういう意味で私はただの器かもしれなかったけどさ」
「そ、そりゃぁ最初はそうだったかもしれないけど、でもそれ自体は全然関係なくて、結果的にそうなっただけだから! それに可愛いとはずっと思ってたから!」
「知ってる。だからあんたが『ののか』だけを愛してるわけじゃなくて、まずは『常磐華乃』としてのあたしを好きでいてくれてるのも、よーく理解してるつもりだから」
「本来彼女が推しになる方がまだ普通なんだよな。推しが彼女になるって必然かもしれないけど偶然で、とにかく俺はそんな幸運を絶対に手放さないし、華乃もそうだと嬉しい」
「はぁー、ほんと幸せ……彼氏にそれだけ言ってもらえるのほんと最高。大丈夫、私も手放さない。私からトモくん手放すなんてもう考えられない好き好き好きぃ~」
「あのー、これ私がいていいんですかぁ?」
「ひゅうっ!?」
あ、これ完全に私の存在忘れられてた奴だ。初めて会った時にあれだけキョドってた常磐さんの姿は見る影もない。この人すぐ傍にいるひよりんより恋人ですよ。うちのお兄すごいな。恋は人を変えるってほんとだね。でもののかさんってある意味その前は私の声に恋してなかったっけ?
というか常磐さん、段々お兄の呼びかけ方があんたとトモくんの比率が後者に寄ってきたよね、彼氏彼女なら当然かもしれないけど私の前で言われるとどうにもむずむずすると言うか。
「もう……そんなこと言ってたらもう学校じゃないですかー。まさかいつもこれ……?」
「いや、登校時はそんなでもないな。どっちかというと下校時の方がこうなるというか」
「結局なってるんかい!」
とりあえず、成程錦さんのぼやきはよくわかった。これは確かにずっと聞いてるには辛いものがある。
「あ、そういえば華乃、今日日直じゃなかったか?」
「あ、いけない忘れてた。ごめんじゃぁ急ぐわ。あんたはどうする?」
「うーん、じゃぁ俺も行くわ。妃愛悪い、錦さんに宜しく言っといて」
「あぁうん、とりあえずわかった」
そうして二人を見送って、それとなくため息が漏れた。まぁ、お兄が幸せなのはいいことだ。それは何よりも優先されるべきだろうから、それ自体に不満はない。そこに私個人の幸せが組み込まれてるとは限らないことが、少し寂しくはあるけれど。
人は、楽しみを感じていると、自身が抱える問題から結果的に目を背けていることが多い。そして私は、最近そういった問題というか、悩みを感じることが本当になかった。私自身がお兄離れしなければいけないのにだ。
だから、そういう意味では、生徒会が終わってからも、今に至るまで楽しい日々が続いていた。それ自体はとても幸せなことだ。間違いなくお兄のお陰で、この幸せな日々を楽しめている。
とはいえ、そろそろお兄が卒業してからのことも考えないといけないし、とするとぼちぼち私自身の今後も考えなきゃいけなくて。そしてどうせなら私のやりたいことを混ぜ込みながらいきたいわけで。
「やーっぱり、錦さんに相談してみるかなぁー。事務所とも相談だー」
まぁ、私が今のお仕事をずっと続けるかどうかはともかくとしても、余程のことがなければ暫くはこの仕事を続けるだろうし、多分一生涯続けるだろうし。だったら私が台風の目になってやりますよ。
戦は何事も自分の土俵に持ち込まないとね。それで次の戦は意地でも勝ってやりましょうやどすこいどすこい。