ここだけの話、感想とか評価が増えると更新ペース上がるらしいっすよ(棒読み)
「ぐすっ……ひっく……ハジメも、シュウも、つらい……」
「どぅうわぁ〜ん! ハジメさんも鬼畜白髪も辛い目にあってたのかしら〜! 可哀想なのだわ〜!」
「次その名前で呼んだらその無駄になげえもみあげ引きちぎるからな」
「ぴうっ!?」
ユエとレイシアが号泣しているのは、ハジメたちが奈落にいる理由を話したからだ。
この世界の神に勝手に呼ばれ、戦争に巻き込まれた挙句、仲間に裏切られて奈落に落とされた。そして生きるために魔物の肉を食べるしか選択肢はなく、結果人の道からかなりはみ出てしまった。
最初は掻い摘んで話そうとしていたが、ユエが「全部教えて欲しい」と頼んできたのでハジメが一から順に説明した。
勿論ユエとレイシアの事情も聞いた。長くなるので大まかにまとめて話すと──
【ユエは先祖返りの吸血鬼らしく、十二歳の時に『魔力操作』や『自動再生』に目覚めてから歳を取らなくなった】
【力に目覚めてから僅か数年で吸血鬼族の王位についたユエを補佐していた叔父が、ある日突然その力や権威に目が眩み、周りを洗脳してユエを殺そうとした】
【不死身のユエを殺すことは叶わず、仕方なくあの地下に封じ込めることにした。レイシアは叔父の娘で、ユエを『お姉様』と慕うほど懐いていたのでユエを必死に守ったのだが、抵抗虚しく捕まり、同じく封印された】
このような感じだ。レイシアは最初、自分は殺されたと言っていたがそれはどうやら仮死状態にされただけのようで、コールドスリープの状態であの水晶に閉じ込められていたらしい。
ちなみにユエは全属性に適性があり、なおかつ無詠唱で魔法を発動できる。しかし魔法をイメージで補完するために魔法名を呟いてしまうらしい。この癖は魔法を使う者なら誰でも起こりえるものなので、色々規格外のユエもそこは例にもれなかったようだ。
『自動再生』に関しては魔力がある限りは何をされても死なないが、魔力が枯渇した状態で致命傷を貰えば死んでしまう。長い間封印されていたユエが、神水を飲まずにサソリから攻撃を受けていたら死んでいたかもしれないということだ。
レイシアの場合は氷属性が一番適性があるようで、氷属性だけならユエをも凌ぐほどの実力らしい。シュウは疑っていたが。
ユエのように『自動再生』のような不死性は持たないが、王族に近い血統を持つからか、『魔力操作』には目覚めており、コールドスリープで身体を仮死状態にしていたことで魔力も枯渇せず、消滅せずに済んだようだ。
二人も中々ハードな人生を歩んでいるようで、ハジメとシュウは自分たちと同じシンパシーを感じた。
ちなみに四人は今、大サソリを倒した部屋ではなく、手前のサイクロプスの死体がある部屋にいた。やはりと言うか、今まで自分たちが封印されていた部屋で休息を取るのは精神衛生上良くないようだ。
「それで、これからどうする? 俺たちは地上への出口を探してるんだけど、お前ら知ってたりしないか?」
「ずっと封印されてたから……ごめんなさい……」
「私もかしら……」
「使えねーかしらだな」
「私にだけ冷たくないかしら!?」
「じゃあどうすっかな。なんかいい案ないハジメ?」
「うーん……僕からはなんとも、情報が少なすぎるからね……」
むきー! と怒るレイシアは無視して話を戻すシュウ。シンプルに酷い。
考え込むハジメの服の袖をユエが小さく引っ張った。
「うん? どうしたのユエ?」
「この迷宮についてなら……少し知ってる。この迷宮は反逆者の一人が作ったと言われている……」
「反逆者? 聞いたことがないな……話してもらえる?」
こくり。頷き肯定の意志を見せる。気の所為かもしれないが、ハジメと話す時だけユエは声色が高くなる。加えて、話す時の仕草や動作は一々ハジメにスキンシップを通して行う。ユエは実年齢三百を超えるといっても見た目は美少女そのもの、ユエが何かする度にハジメは顔を赤くしてキョドる。
女子の相手は香織や黒乃で慣れているかと思いきや、ユエから醸し出されるのは妖艶な大人の女性の雰囲気。子供のような見た目から繰り出される雰囲気は激しいギャップとなりハジメに襲いかかる。
ハジメが照れて視線を逸らした時、ユエはニヤリとほくそ笑んだ。気の所為じゃなかった、あざとい。この吸血鬼あざとい。
「こほん。……反逆者は神代に神に挑んだ七人の眷属のこと。有用な説として、世界を滅ぼそうとしたと伝わってる……。神に負けた反逆者たちは世界の果てに逃げて、その身を隠した。それが後に七大迷宮と呼ばれたところ……ここ、【オルクス大迷宮】もそのひとつ。最深部には……反逆者が暮らしていた住処があるかもしれないと噂されていた」
「なるほど……てことはそこに辿り着けば地上に戻れかもしれないね。まさか迷宮を作った張本人がショートカットを作らないわけがない。一々下から上へ登るなんて非効率にも程がある。神代の魔法使いなら転移やら移動やらの魔法陣くらい使えてもおかしくないしね」
「迷宮を作っておいて転移魔法陣を用意するの忘れてたらそれはそれで傑作かしら」
「その場合俺らは地上へ戻れなくなるんだがな。ははは、笑えねぇ」
談笑しながらこれからの方針を決めた。取り敢えずは四人で最深部を目指し、地上へ戻る道を探す。その後のことは……これから考えよう、そういうことになった。
そして現在、ハジメたちは二百体近くの魔物に追われていた。
「なんなんだアイツらは! Xカノン!!」
「知らないよもう!」
「ん、洗脳されてるみたい。『緋槍』」
「頭のお花が怪しいかしら、『氷槍』」
シュウは高熱の火球を、ハジメは二丁の銃を連射し、ユエは渦巻いた炎を槍のように投げつけ、レイシアは吹雪を槍の形に固めて投げつけ、それぞれが思い思い魔物に向かって放つ。
ハジメの新たな武器、その名もシュラーク。ドンナーの対となるリボルバー式電磁加速銃だ。ユエを背負ったまま二丁拳銃など出来るのか? と思われそうだが、ハジメは魔物を食べたことでステータスが人間では到達できない境地まで上がっている。そのステータスならユエ一人背負いながら両手で銃を撃つことなど造作もないのだ。ユエ自身が力いっぱいハジメに抱きついていると言うこともあるが。
一方シュウはと言うとハジメに合わせるために飛行はせず、片手でレイシアを抱え、空いた片手でXカノンを打っていた。
「魔物全部があの花を頭につけてて、他には見向きもせず迷いなく僕らを追いかけてきている。その事から導き出されるのは──」
「ん、洗脳支配。あの花が魔物に寄生して操っている」
「正解。ユエは賢いなぁ」
「ん、ふふ。じゃあ……頭……撫でて……?」
「今は無理かな。両手塞がってるし」
「……なんかあちらの空間だけ甘ったるいかしら……」
「ユエめ……俺のハジメとイチャイチャしやがって……!!」
「こっちはこっちで怖いのかしら……」
魔物の大群に襲われているというのにこのイチャつきっぷり、大物である。しかも殲滅力に関してはユエがダントツだ。敵がでてきた瞬間、頭についてる花もお構い無しに魔法を放つ。見敵必殺はハジメの専売特許だったのだが、ユエにお株を奪われている気がする。
どれくらい走っただろうか、痺れを切らしたシュウが魔物を操っている大元を探し始めた。そう、直感で。
「あっちだな。超直感が反応している」
「便利だよねそれ」
「自分でもそう思う。入口狭いな……ハジメ」
「分かってるよ」
遠隔錬成を使い狭い抜け穴を人が通れるサイズまで広くする。勿論中に入ったあと魔物たちが入れないよう入口を塞ぐのも忘れない。
道なりに進んでいくと大きな広間へ出た。奥に縦割れ耳が続いているのが見える。恐らく下層へ続く階段だろう。
しかし四人は一向に進もうとしない。何故か、それはこの広間に出てから形容しがたい嫌な空気が漂っているからだ。『超直感』を持つシュウなど眼光だけで魔物を殺せそうな目付きをしている。
「気をつけろよお前ら。さっきから超直感がビンビン反応してやがる」
「『気配感知』には何も無いけど、確かに嫌な感じだね」
「ん……気持ち悪い。ハジメ、抱っこ」
「お姉様がどんどん壊れていくかしら……」
何が起こるか分からないこんな場所でいつまでも背負っている訳にはいかないのでユエとレイシアは降りてもらっていた。先程魔物相手に無双を見せてしまったギャップを狙ってか、ユエがここぞとばかりにハジメに甘える。
一方のレイシアはと言うと、クールで頼れる博識な姉貴分だったユエがデレデレになる姿はクる物があるのだろう、レイシアの瞳からハイライトが消えていた。
「ビビってても仕方ない。行くぞ」
イチャつこうとするユエをジト目で睨み、シュウが先行しつつ前へ進む。全方位を警戒しながら歩いていたが、中央へ差し掛かった辺りでそれは起こった。
警戒していた全方位から突然ピンポン玉サイズの緑色の玉が飛んできたのだ。その数は数えるのも億劫になるほどの多さだった。不意打ちまがいの攻撃だったが、四人の対応は早かった。
「錬成!」
「ん、『嵐帝』」
「『氷嵐』、かしら」
「Xカノン、
互いの背後を守るように背中合わせになりそれぞれ技を放ち迎撃する。しかし如何せん量が多く、時間が経つにつれて捌ききれなくなってくる。埒が明かないと思ったハジメが錬成で四人を囲むよう壁を作った。威力は無いのか、緑の玉は壁にあたり霧散する。
「さて、この攻撃をしてきた本体がいるはずだよ。魔物を操ってたやつで間違いないだろうね。気配感知にも引っかからないし……シュウ、どこにいるか分からない?」
「玉の気配が強すぎて無理だ。小賢しい事考えるぜ。ユエ、お前ならわかったりしないか?」
「……」
シュウの声に反応しないユエを不思議に思い、レイシアが呼びかけた。
「お姉様? どうしたのかしら?」
「……? ッ!? ダメだレイシア! ぐあっ!!?」
「きゃっ!? は、ハジメさん!? お姉様! 一体いきなり何を!!」
ハジメはレイシアに向けて放たれた風の刃を自身の体で防いだ。流石はユエと言ったところだろうか、ステータス的に勇者でも傷をつけれるか分からないハジメの背中は庇った時の裂傷で血だらけになっていた。
その傷をつけたユエはいつもの無表情を崩し、血の気が引いた顔面蒼白の悲痛な顔でハジメのことを見つめていた。頭からは魔物たちと同じように一輪の赤い薔薇が咲いている。
「いや……違う、ちがうのハジメ……わ、わたし……わたしは……」
「分かってる。大丈夫だよユエ、操られてるんだよね」
「花さえ散らせば問題ないわ──」
「対策もバッチリ、ってな。腹立つぜおい」
痛みに顔を歪めながら神水を飲み、ハジメはなんでもないように話す。花を散らせば洗脳は解除されることを魔物の花を散らした時に気づいているのでレイシアは氷塊を撃とうと魔法を発動させる。その瞬間ユエの手がユエ自身の首元に当てられる。つまりは脅しだ。攻撃したらこいつを殺すという。
ユエの魔法の才は全員が十分に理解しているつもりだ。いくら『自動再生』があろうとも上級、最上級レベルの魔法を喰らい塵にされても再生出来るかと言われるとそれは厳しい。
「逃げて……! みんな……」
仲間を傷つける苦しみを味わい涙を流すユエの背後に植物と人間の女が融合したような魔物、RPG的に言うならばアルラウネと呼ばれる魔物が現れた。洗脳を扱う性格の悪さを表すように醜悪な顔をしており、見るものを不快にさせる汚らしい笑みをニタニタと浮かべている。
「うっわキッツ」
「こwれwはw酷wいw」
「心だけじゃなく顔まで不細工なのね」
順にハジメ、シュウ、レイシアがそれぞれ思ったことを吐き出す。ハジメはシンプルに見るに堪えない顔していたアルラウネから目を逸らし、シュウは余りの酷さに腹を抱えて爆笑し、レイシアは想像を絶する醜さに、思わず「かしら」をつけ忘れる程辛辣な言葉を吐き捨てた。
三者三葉それぞれの反応を受けたアルラウネは笑みを止めてその醜悪な顔を憤怒に染めた。
『こんな奴にユエを操られたのか』とイラついたハジメがアルラウネに銃を向けると、ユエがアルラウネの盾となるよう立ちはだかる。ハジメが舌打ちするのを見て、怒りからニチャついた笑みに表情を変えるアルラウネ。
「……ムカつくなぁ」
「同感かしら……」
柔和な笑みを引っ込ませ途端に冷酷な表情になるハジメとレイシア。魔物であるアルラウネも恐怖を感じるのか、一瞬たじろいだように見えた。が、すぐに敵意を見せてあの緑の玉を打ち込む。
恐らくあの玉はアルラウネの胞子を固めた神経毒の花粉の塊なのであろう。玉を薙ぎ払ったと思いきや目に見えない花粉が巻散らばりそれを摂取したユエは操られてしまった。
胞子がハジメやレイシアに当たるが、花が一向に咲かないのを怪訝そうに見るアルラウネ。ハジメは『やっぱりね』と確信した。
神経毒、毒なのだから技能の『毒耐性』で無効化にできるハジメには効果がない。レイシアは自身の身体から冷気を発することで花粉を凍結させ花を咲かせないようにしているのだ。結構な力技である。
二人を操れず悔しがるアルラウネであったが、まだ胞子を喰らってないシュウを見て狙いを定める。
胞子が飛んできているのにシュウは動かず、避けようともしない。ただ息を深く、深く、大きく吸っていた。
「すぅ〜…………GAOOOOOOOOOOO!!!!! 」
吼えた。
百獣の王のライオンのように咆哮を上げたのだ。空気の振動が広間全体に伝わり周りの花粉を吹き飛ばす。アルラウネだけでなくハジメもレイシアもユエまでも全員が動けなくなっていた。
「Xカノン、
一つの熱の塊だった火球が八分割されユエを避けて背後のアルラウネに放たれた。呆然としていたアルラウネは火球が当たる直前でようやく我に返ったが時すでに遅く、火球はアルラウネを容赦なく燃やし尽くした。
アルラウネが炭になったのと同時にユエの頭から花がポロリと落ちる。体の硬直が解けたユエが崩れ落ちるのをハジメが優しく受け止める。
「おっとと、大丈夫? ユエ」
「ん……ありがとう、ハジメ……レイシアとシュウも、ありがとう……」
「お姉様がご無事でなによりかしら!」
「ま、そういうことだな。まだ辛いところあるだろ、背負ってやれよハジメ」
「お姫様抱っこがいい……」
「元気じゃん……」
と言いつつもお姉様だっこをするハジメにごお満悦なユエさんなのだった。
「んふふ……ちゅ〜もして?」
「調子にのらない」
「むぎゅ、ハジメのケチ……」
「!!?!!!? 」
「お、落ち着くのかしら! 怖いかしら……!」
ユエさんがご機嫌なのだ、イチャイチャが加速するのは仕方ない。シュウの額がピキピキするのも仕方ない。
それから迷宮攻略を進めていき、気がつけば終着点らしき階層まで辿り着いていた。恐らくこれが最後の戦いになるだろう、そう考えた四人は簡易拠点を作り装備の確認や道具の補充をしていた。
「戦力確認もしておくか。今現在、自分が何ができて何ができないのか」
「そうだね。僕とシュウはステータスプレートを見て確認するのがいいかも」
「確かにな。ほら」
澤田シュウ 17歳 男 レベル:82
天職:炎闘士
筋力:2480
体力:2500
耐性:2300
敏捷:2770
魔力:2150
魔耐:1920
技能:超直感・炎属性適正[+性質変化柔炎][+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]・大空七属性適性[+調和]・魔力操作魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・縮地[+爆縮地][+重縮地]・限界突破・復活・言語理解
魔物を食べていった結果、ステータスは人類を超越したものになっていた。対するハジメはと言うと……。
南雲ハジメ 17歳 男 レベル:79
天職:錬成師
筋力:1850
体力:2180
耐性:2380
敏捷:2510
魔力:2360
魔耐:2220
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+圧縮錬成][+高速錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解
ハジメもハジメでステータスは人を遥かに超越したものになっていた……幼なじみ二人がいつの間にか化け物になっているのを黒乃が知ったらどうなるだろうか。発狂するだろうか、小説みたいで面白いとでも言うだろうか? 言うだろうなぁ……。嬉々として言うだろうなぁ……。
「僕は魔物の技能が増えているのにシュウは全然ないね……」
「『魔力操作』だけ追加されたな。あとはこの『大空七属性適正』か……でもこれは魔物から得たものじゃない。感覚だけど、多分そうだ」
「うーんもしかしたら、この『調和』が原因かもね。異物を受け付けない的な、いやでもそらならステータスが上がるのはおかしいし……」
「あー! 細かいことはめんどくさいし考えんのやめやめ!」
「そうだね。分からないことを考えていても時間の無駄だ。僕は錬成で臨機応変に対応かつドンナーやシュラークで援護射撃、ユエとレイシアは遠距離から強力な魔法を撃つ砲台係、シュウはユエとレイシアからヘイトを剥がすタンク役、一番危険な役なんだけど……」
「気にすんな。そもそも前衛張れるのが俺しかいないしな」
確かにシュウは前衛だが、
確かに神水は万能な回復薬だが絶対ではない。神水で治せない攻撃をしてくる魔物だった場合、意味をなさなくなる。加えて、この場で回復魔法を使える者は誰もいない。ユエやレイシアはあくまで魔法アタッカーだ、勿論命の危機の時は回復優先だが、その分火力が減ってしまう。二人が回復に入るのは最終手段となる。
「シュウに当たる攻撃も……まとめて撃ち落とす……」
「あんたが死ぬ前に敵を凍りつかせてやるかしら。だから……その、うんと……」
「トイレならあっちでしろよ」
「違うかしら!!」
モジモジしているのをトイレを我慢していると勘違いされた憤るレイシア。荒らげた息を整えて真剣な表情でシュウを見つめる。
「貴方は死なないわ、私が守るもの」
「……なんで知ってんだ?」
「……? どういうことかしら? と、とにかく! 安心するかしら! 私がいる限りは貴方は死ぬことはないのよ!」
「……そうか。じゃあ期待してるぜ、レイシア」
「ええ! 任せるかしら!! ……え? 待っていま名前で──」
「うっし、そろそろ行こうぜ」
「ちょ、ちょっと待つかしら! 今名前呼んだわよね? 呼んだわよね!?」
「うるせぇぞかしら女」
「もきぃいいー!!!」
これからラスボス戦だと言うのに緊張感の欠けらも無い。だがこれはこれで自分たちらしいな、とハジメとユエは顔を見合わせて笑った。
シュウ「いよいよオルクス大迷宮のラスボスに挑む俺たち。今までの魔物とは違いこいつは強い……! 死ぬ気でやらなきゃ勝てねぇぞ……!!
そういえばこういうボスって大体第二形態からが本番だよな……?
次回、ありふれた親友
『大迷宮の湖獣! ラース、カース、デストロイ!』
熱き闘志に、チャアアアアジ! インッ!!」
レイシアの当初の予定はユエと対象のつもりで銀髪ショート、そんで無口無表情盲目美少女だったんだけどなぁ……どうしてこうなった。