ありふれたハジメさんには親友達がいます   作:妖魔夜行@

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 よう……折り返しだぜ?気張れよ


第十六話「亜人族の敵意」

 帝国兵だった死体から視線を外し、ドンナーをホルスターにしまってカムたちに向き直る。ハジメたちの圧倒的な強さは既に見ていたハズだったが、帝国兵相手でも容赦しないその()の強さに恐れ、畏れ、そして感嘆した。

 カムが一歩前に出て頭を下げる。

 

「ハジメ殿、シュウ殿、殺された者たちの無念を晴らして頂き、また私たちを守って頂き、ありがとうございます。一族を代表して深く感謝します」

「俺が言うのもなんだが、怖がらねぇんだな」

「……いえ、正直御二方の強さには内心恐れています。しかし【ライセン大峡谷】からここに戻ってくるまで、皆様には何度も助けて貰っています。感謝することはあれど、負の感情を向けるなど有り得ませぬ……お気になさられたのなら謝罪致しましょう」

 

 やはりハウリア族は苦手だ。こうもストレートに好意をぶつけられるのは慣れていない。そっぽを向いてぶっきらぼうに答えを返した。

 

「……分かった、分かったよ。別に謝罪なんざ欲しくねぇし」

「気にしないでちょうだいねカムさん。これはタダの照れ隠しなのかしら」

「おいレイシア」

「私は事実を言っただけかしら」

 

 ニヤニヤと揶揄う様な可愛らしい笑みを見ると毒気を抜かれる。しかし自分の本心を暴露されたことに対しての報復としてレイシアを抱きしめ、その唇を奪った。

 

「ん……!? んぅ……っぷは、もう! 人の目がある所でなんて恥ずかしいじゃない!」

「俺を辱めようとした罰だ」

 

 レイシアと恋人関係になってからシュウはどこか振り切れた様子になった。元からハジメや黒乃以外を気にしない我が道をゆくタイプだったのだが、それに磨きがかかったと言うか何と言うか……とまあそんな事もあり人目を憚らずイチャつくのに抵抗を感じなくなったのだ。

 ちなみにシアを連れて魔道駆動四輪『アルファジェネラル』を運転していた時もレイシアとイチャつくことがしばしばあった。

 

「あはは、ゴメンなさい。彼らちょっとバカップルなところがあって……」

「ん……私とハジメも負けてない。証拠に今からちゅ〜を……」

「僕は人並みに羞恥心があるからダメです」

「ハッハッハ! 我らも愛の種類は違えど愛を伝え合うのに抵抗はありませんのでな、どちらかと言うとシュウ殿やユエ殿の考えに賛成できますな!」

 

 こんな和気あいあいと話をしているが辺りには帝国兵の無惨な死体が転がっているままだ。勿論子供たちや女性陣は見えないように配慮しているが男性陣は顔が青い者も多い。誰も言い出さなかったのでシアが死体を片付けないか提案した。シュウは「魔物の餌にでもしたらどうだ?」と冗談半分で言っていたが衛生的な面も考えて、結局死体をまとめて塵も残らない火力で焼き尽くすことにした。死体を燃やしている時、シュウが残念そうにしていたのは何故だったのだろう……? 深く考えては行けない。

 

 このまま歩いて移動してたら日が暮れると判断したハジメが、三台の馬車から荷台の部分を外し、アルファで牽引出来るように錬成した。荷台部分にハウリア族を乗せて【ハルツィナ樹海】にある亜人の国フェアベルゲンへ向かい、アルファを走らせた。

 

 フェアベルゲンへ向かう道中、車内ではシアにハジメたちが何故ここにいるのか、どうして四人で行動しているのか理由を知りたいと言われこれまでの経緯を語った。自分と同じように魔力を直接操れる彼らに仲間意識を感じたのだろう、シアの生い立ちから考えるに無理もない。

 話を聞き終えたシアは周りのメンツがドン引きする勢いで号泣し始めた。

 

「どぅわああああ〜!! ひっく、ぐすっ、うえ、うぇえええ〜ん!!」

「そ、そんなに泣くほどかな?」

「逆に聞きまずげど、み、みなざんはどうじで平気なんれすかぁ〜! 皆ざんに比べだら、わ、わたじなんで恵まれずぎでばじだぁ〜!」

「ほらほら、そんな泣いてちゃ美人が台無しかしら……チーンしなさい、はい、チーン」

「チーン! ズビッ……ありがとうございますレイシアさん……」

 

 シアと出会ってからレイシアのママ化が進んできている気がする。封印されていた期間を含めばレイシアもユエも300を超えるおばあちゃんなワケだが……見た目は12歳ほどの美少女で、身長なども見た目相応だ。対してシアは16歳、体つきも何処がとは言わないが年相応以上にたわわに実っている。傍から見れば妹に甘える姉のように見えてしまう。

 

 そんな二人を見ながらハジメがぽつりと呟いた。

 

「そう言えば何も感じなかったな……」

「何がだ?」

 

 運転席に座るシュウが呟きを拾ったので答える。

 

「いやさ、さっき初めて人を殺したけど、嫌悪感も拒否感も何も感じないなって」

「相手が下衆だったからじゃないか?」

「うーん……それもあるだろうけど、一番は価値観の変化かな」

「ほう」

 

 横目で「続けて」と言われ、話を続ける。

 

「奈落にいた頃はシュウ以外全部敵だったからさ、敵は殺すっていう精神が染み付いているんだよね。僕にとってはあの帝国兵たちは人でおる前に『敵』なんだ。だから殺すのにも躊躇は無かったし、何よりユエやレイシアに欲望にまみれた感情を向けられたことで完全にキレてた。自分がこんなに怒りっぽくなってたとは思わなかったよ。それと……人を殺しても何とも思わないほど冷酷になってるなんてね……」

 

 奈落にいた魔物はハジメたちのことを見つけると例外なく問答無用で襲いかかってきた。そんな相手に情けを掛けていては自分が死んでしまう、そんな殺伐とした場所から生還したのだ。多少倫理観は歪むだろうし、魔物を食べた影響で肉体が変質している。肉体につられて精神も、考え方や価値観も変わってしまうはずだ。

 一応ハジメの中でも最低ラインとして殺すのは敵だけと決めている。その敵としての基準は『対話が出来ず、こちらに危害を加えようとしてきた相手』、『対話は出来るが、それでもこちらに危害を加えようとしてきた相手』としている。先程の帝国兵は後者に当たる。

『敵』として当てはまった相手だったから殺した、だとしても元の世界じゃ重罪だった殺人をしたのに全く動じない自分に虚しい気持ちになったのだ。

 

 悩むハジメに呆気からんとシュウが言い放つ。

 

「気にしなくていいだろ」

「へ?」

「やらなきゃこっちがやられてたんだ。ユエとレイシアを犯すって言われてからキレた? んなもん俺だってそうだわ。もうブチ切れすぎて血管破れそうだったわ」

「で、でも」

「じゃあ聞くがハジメ、お前はあの帝国兵の家族も殺すか?」

「え……」

「これから俺らの敵になった奴らに家族がいたらその家族も殺すのか? 違うだろ? お前は快楽殺人鬼になったんじゃないんだ」

「…………」

「ハジメ」

 

 シュウの話を聞いてもモヤモヤが晴れないハジメに凛とした声で名前を呼ぶ。

 顔は正面を向いたまま、しかし気持ちは自分の方に向けてくれていることにハジメは気付いた。

 

「ブレるな」

「っ!」

「一度お前が決めたことなんだろ? じゃあブレるな。迷うな。逃げるな。その考えを、信念を貫き通せ」

「シュウ…………うん、分かったよ。もう迷わない。僕は、僕を否定しないよ」

「それでこそ俺が好きなハジメだ」

「わっ、もう……ありがとう、シュウ……」

 

 左手でハジメの頭を撫でる。いきなり頭を撫でられて驚くが、それはいつもの事。無骨な掌はゴツゴツとしているがハジメにとってらそれすらも心地良く感じる。目を閉じて撫でられる感触を味わいながら、大事なことを気づかせてくれた大切な人(シュウ)に感謝を伝える。それに対してシュウは、微笑みで返した。

 

 そしてその光景を後部座席で見ていたシアは、有り得ないものを見る目でシュウとハジメを交互に見ていた。

 

「……なんですかアレ? え? ハジメさんの恋人はユエさんでシュウさんの恋人はレイシアさんですよね? 私の目には男性同士のお二人が恋人同士に見えて仕方ないんですけど」

「シュウとハジメはお互いが私たちより付き合いが長い相手になるから、誰よりも信頼出来て心を許せる関係なのかしら。正直嫉妬しちゃうかしら」

「ん。たまに本当に恋人同士みたいに見えて困る……でもシュウならハジメの恋人になっても許せる」

「それは私も同感かしら。ハジメさんならシュウの恋人になっても構わないかしら」

「いやお二人共お願いですからもう少し構ってください! 私だけ除け者なんていやですぅ!」

 

 ハジメとシュウの関係は親友を超えたものになりつつあるのは誰よりも二人が一番理解しているだろう。それでも一線を超えないのは互いにユエやレイシアと言った特別な人(恋人)がいるからだ。それでもユエとレイシアは構わないと思っているようだが……。

 

 一人だけ蚊帳の外にされているシアが半べそで叫んだのだが、その声は四人の誰にも届かなかったとか。哀れシア。

 

 雑談をしながら数時間、ようやくハルツィナ樹海と平原の境界に到着したハジメ一行はアルファや荷台を『宝物庫』に戻して鬱蒼とした森の中をハウリア族に先導される形で着いて行った。

 出発の際にハジメの『気配遮断』が兎人族の策定能力を持っても探知できないレベルでもう少し抑えて欲しいと言われたり、逆にシュウは気配を消せなすぎだからもう少し何とかして欲しいと懇願されたりと多少のトラブルはあったがどうにか出発することが出来た。

 道中魔物が襲いかかってくることもあったが、発砲音で亜人族に感知されることを嫌ったハジメが左腕の義手の機能を駆使して倒していた。

 手首の付け根から楔が付いたアンカーを射出して頭部を粉砕したり、掌から散弾銃のように放たれるニードルガンで撃退したりと派手な音を出さないよう暗殺者じみた攻撃を披露した。

 やはりどこの世界でも共通なのか、ハウリア族の少年たちはハジメの義手を見て目を輝かせていた。慣れない憧れの視線を受けて苦笑いするハジメであった。

 

 順調に進んでいたハズだったのだが、いつの間にか周りに多数の気配があることに気づく。カムも何かを掴んだのだろう、苦虫を噛み潰したような顔を見せる。

 ハジメたちも気配の対象に気付き、これから一悶着が起こることにウンザリする。

 

 視線の先には両刃の剣を片手にこちらを威圧する虎の亜人とその部下であろう亜人族が30人程いたからだ。虎の亜人はシアを視界にとらえ、殺気を滾らせて吠える。

 

「貴様ら……報告にあったハウリア族だな! 長年忌み子を隠し同胞を騙し続けた挙句、このフェアベルゲンに人間族を招き入れるとは、最早弁明など聞く必要も無い! 反逆罪だ!! 処刑──」

「少し静かにしなよ。それと……隠れている人たちも動かないでね」

 

 ハジメの言葉に憤っていた虎の亜人が口を開けたまま固まる。それは周りの部下たちも同じで皆一様に冷や汗を流して身体を硬直させていた。『一歩でも動けば殺される』、まるで喉元にナイフを突きつけられているような濃密な殺気に押さえつけられ、先程までの威勢はどこへ行ったのか、借りてきた猫のように大人しくなる。

 またここハルツィナ樹海は木々が鬱蒼としているだけでなく深い霧が漂っている。だというのにハジメは木の上で待機していた亜人の腹心に視線を送っていた。

 動いたら殺す、言外にそう言われているようにしか見えず、この亜人は木の上で震えてることしか出来なかった。

 

 魔力を直接放出して物理的な圧力をかける『威圧』を使いながら、処刑だなんだ言っていた隊長であろう亜人に話しかける。

 

「僕らはその気になれば5秒も掛からず貴方たちを殺すことができます。でもそれをしないのは何故か、それは()、貴方たちと敵対する意味が無いからです。……で、どうします?」

 

『今』を強調するのは『手を出してきたら反撃する』と言う意味だ。隊長格の亜人は恐慌に陥りそうな自分を必死に押さえつけ、震える声を必死に絞り出しハジメに問う。

 

「……な、何が目的だ……?」

「話が早くて助かります。僕たちはただ樹海の深部にある【大樹ウーア・アルト】の下へ行きたいだけです。そこに大迷宮があるかどうか、確認したいんですよ」

「……何を言っている? 迷宮なら、この樹海がそうだ。一度踏み込んだが最後、亜人以外には決して進むことも帰る事も叶わない天然の迷宮……それがこのハルツィナ樹海だ」

「それはおかしいです。ここが本当に大迷宮だとしたら、魔物が弱すぎる。少なくとも【オルクス大迷宮】の奈落の比較的上層にいた魔物くらいは強いはずです。けどここらの魔物は片手で事足りる程度しかいない……それに、大迷宮は『解放者』と呼ばれる人たちが残した試練なんです。亜人族が簡単に辿り着ける場所なら試練とは言えない」

 

 ハジメの言っていることを亜人は理解出来なかった。

 フェアベルゲンまで来たのに亜人族を奴隷とした捕まえに来たのではなくわざわざ大樹へ向かいたいと言うハジメに困惑が隠せないでいた。

 樹海の魔物が弱い? 馬鹿な、自分たちはフェアベルゲンの中ではそれなりに実力がある方だと自負しているが、それでも樹海の魔物は小隊でかからなければやられてしまう程手強いものしかいない。

 オルクス大迷宮の奈落? 解放者? そんな話、聞いたこともない。しかし、亜人はハジメが嘘をついているようには見えなかった。

 普段なら戯言と切り捨ててハジメたちを殺していただろうが、今この場において、圧倒的優位に立っているハジメが嘘をつく必要などない。

 

 国のことと仲間のこと、考えて考え抜いて亜人は口を開いた。

 

「……お前らが国や同法に危害を加えないと言うのなら、大樹の下へ行くくらい構わないと私は判断する。が、それは一警備隊長如きが判断していいものではない。よって本国に指示を仰ぎ、長老方から話を聞いてもらう。お前たちに本当に害意が無いのであれば、長老方を連れてくるまで我々とここで待機していて貰いたい……」

「うーん……ま、いっか。分かりました、それでいいですよ」

 

 随分と軽く了承されたが、その答えに深く息を吐く隊長。数分話しただけでこれだけ神経を使うことになるとは思いもしなかっただろう。隊長は声を張り上げて部下に指示を出す。

 

「聞こえていたなザム! 長老方に伝えてきてくれ!」

「了解!」

 

 ハジメが睨んでいた木々の辺りから声が聞こえ、気配が遠ざかっていく。それを確認したハジメが『威圧』を解くと虎の亜人たちは全員脱力したように跪き肩で息をする。

 そんな光景を見つつ、ハジメは警備隊長である彼を評価していた。

 聞けば樹海に侵入した他種族は問答無用で処刑されると言うではないか。恨みもあるだろうし、本来ならハジメたちを処断したくて仕方ないはずだが、そうすれば間違いなく部下の命を失うと彼は確信していた。ハジメたちの意見を汲みつつ、自分たちの命を守るには、今の提案が最善だったのだ。

 恐怖でパニックになっても仕方がないこの状況でよく理性的な判断が下せたものだとハジメは感心していた。

 

 それから一時間くらいだろうか、イチャつきながら待っていると霧の奥から数人の亜人たちが現れた。注目すべきは中央にいる初老の男性だろう。雰囲気から話にでてきた『長老』だと見てわかる。年老いた細身の体だと言うのにその容姿は美しく威厳に満ち溢れており、蒼き瞳は知性を蓄えていた。視線は耳へ向かう。人よりも長い尖った耳、サブカルチャー的に言うならばそう、エルフ耳だ。王国の図書館で培った知識から種族を導き出す。

 

森人族(エルフ)のお爺さん、貴方が長老さんですか?」

「いかにも。私はアルフレリック・ハイピスト。フェアベルゲンの長老の座を一つ預からせてもらっている者だ。お前さんの名は?」

「僕は南雲ハジメ。こっちの金髪娘はユエで青髪の方はレイシア。で、目つきの悪いバンダナが澤田シュウ。宜しくね、アルフレリックさん」

「貴様! 長老に対して何だその口の利き方は!!」

「よさんか、構わぬ」

 

 ハジメの言葉遣いにアルフレリックの護衛にあたっていた亜人が憤りを見せるが、それをアルフレリックは片手で制すると話を続けた。

 

「して、ナグモハジメよ。お前さんは『解放者』という言葉を何処で聞いた?」

「オルクス大迷宮の奈落の底にあったオスカー・オルクスの住処で、オスカーさんが残したメッセージから教えてもらったよ」

「ふむ……しかし奈落の底か、聞いたことがないな。証明出来るか?」

 

 アルフレリックは思考する。オスカー・オルクスという人物も『解放者』という言葉もフェアベルゲンでは長老と一部の側近しか知らぬ言葉だ。警備隊長が寄越した伝令からの報告ではハジメたちは大樹の下へ行きたいだけだと言っていた。実際にハジメが嘘をついているようには見えないし、むしろ嘘をつく必要などなく堂々としている。しかし周りに同胞がいる手前、人間族の言葉に素直に頷くことは出来ない。故にアルフレリックはハジメに証拠を提示するよう求めた。

 

「証明か……オスカーさんが付けてた指輪とかはどうかな? これなんですけど……」

 

 宝物庫から紋章が刻まれた指輪を取り出してアルフレリックに渡す。指輪を受け取り、その刻まれた紋章を見たアルフレリックの目が見開かれる。そして気持ちを落ち着かせるように大きく息を吐き、ハジメに指輪を返した。

 

「……どうやら本物のようだな。お前さんは大迷宮を攻略し、オスカー・オルクスの住処に辿り着いた解放者のようだ。掟に基づき、アルフレリックの名においてお前さん方の滞在を許そう」

「信じて貰えたようでなによりです。そうだ、ハウリア族のみんなもいいですかね? 一応僕たちの連れなんですけど」

「構わん」

 

 指輪を宝物庫にしまいながらハウリア族の同行も許してもらえるか聞くと、アルフルリックは当然のように肯定した。その言葉に周りの亜人族から抗議の声が上がる。中でも最初にハジメたちと相対した熊の亜人たちからの声が大きい。

 

「いいのですか長老!? 奴らは人間族、しかも裏切り者のハウリア族まで招き入れるなど!!」

「解放者である彼等は客人として扱わなければならん。それが長老の座についた者に伝えられる掟の一つなのだ」

 

 静かな声色だが言い知れぬ迫力を感じる。掟を厳守する長老にそう言われては亜人たちも黙るしかない。

 と、今まで黙っていたシュウが口を開いた。

 

「待てよ、俺たちは大樹に行きたいっつってんだろ。問題ないんだったらさっさと通せよ」

「む? いや、それは無理だ」

「はあ?」

「シュウ、霧が濃い樹海だけどその中でも大樹の周囲は特に霧が濃くて亜人族でも方角を見失うから、一定周期で霧が弱まる時になったら案内するってカムさんが言ってたでしょ? 峡谷を歩いている時に話してたかしら」

 

 困惑したように否定するアルフレリックに同じく困惑した視線を返すシュウだったが、レイシアに以前カムが説明してくれたことを教えられ記憶を探る。

 

「あ〜……んなこと言ってたような、言って無ったような……」

「言ってたかしら。もう、無駄に凄んでアルフレリックさんたちを威圧しちゃダメでしょっ! 謝るかしら」

「むう……その、悪かった」

「いや。分かってくれればそれでいい。にしても……シュウ、と言ったかな?」

「ああ、そうだが」

 

 アルフレリックはシュウを見定めてからレイシアに視線を移す。ひとしきり見てなにか理解したのか、くつくつと笑った。訝しげに思ったシュウが聞く。

 

「なんだよ?」

「いや、なに。その歳でもう尻に敷かれているとは……と思うと笑いが、な」

「んなっ──」

「あ〜……確かにシュウってレイシアに頭上がんないもんねー」

「ん。ベッドの上でも主導権を握らてることが多い……」

「確かに想像つきますねぇ。って、ちょっと待ってくださいユエさん。何でそんなことを知ってるんですか?」

 

 ハジメを皮切りに次々と思ってたことを言葉にする一行。プルプルと怒りに震えていたシュウだったが、そのシュウの腕にレイシアが抱きつくと怒りは収まり黙って彼女の頭を撫で始める。

 

 その光景を見て警備隊長であるギルは困惑していた。

 

(本当に先程まで威圧していた奴らと同一人物なのか?)

 

 と。

 

 残念ながら同一人物である。

 

 

 

 

 


 

 アルフレリック「なんともまあ騒がしい客人だ。解放者とは変わった者しかいないのだろうか……? まあ我らの国を世辞なしに褒めちぎったのは嬉しく思うがな。

 ……予想していたとはいえ、手を出すのが早すぎるぞ。

 

 次回、ありふれた親友

『話し合い、出来たらいいな。ディベート、デリート、アウトサイド』

 

 熱き闘志に、チャージ、イン。ほっほっほ」




 おねショタは正義なのになんであにロリは害悪みたいな言われ方をされなきゃいけないんだ……!おねショタのショタの方がキモガキとかどうみてもオッサンにしか見えないとか色々あるじゃないか……!!くそうくそう!
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