ところでネット環境が悪いからか感想と評価が表示されないバグが起こってるんですよね、本来なら評価や感想が合わせて1103兆3543億件くらい届いてるはずなんですけどね……おかしいなあー?皆さんもう一度おくってみてくださいね。1103兆3543億件
シュウとハジメ、そしてベヒモスが橋から落ちていくのを殆どの人間は見ているだけしか出来なかった。
「南雲! 澤田!」
「やめろ光輝! もう無理だ、間に合わん!」
「けどメルドさん!!」
二人を助けに行こうと飛び出そうとしてた止められた光輝はメルドに食ってかかる。自分でも不可能な事に気づいているのだろう。悔しさが顔に滲み出ている。
「南雲くん!? 南雲くん!! 離して雫ちゃん!!」
「ダメよ香織!! あなたまで死んでしまう!」
「南雲くんは死んでない!? まだ助けられる!」
「くっ……! 香織、ごめんなさい!」
雫に羽交い締めにされながらも前に進もうとする香織。これ以上力を込めれば香織の体が壊れてしまう。そう案じた雫は香織の首に手刀を落として意識を刈り取った。
「うっ! なぐも……くん……」
「香織……」
気絶した香織を悲しげに見つめる。そんな雫の横を黒乃がするりと抜けていく。フラフラとした足取りは人目見て危ない精神状態だと分かる。
「黒乃!」
「……ハジメ、シュウ……ああああああああぁぁぁ!!!!」
「やべぇ……待ちやがれ日狩!」
「離せっ! 離せぇぇぇぇ!!! 僕はっ! 僕は二人を助けに行かないと行けないんだっ!! 離せ!!」
「くそっ! すまねぇ日狩!!」
「うぐッ!?」
龍太郎は黒乃の無防備な腹に拳を入れて無理やり気絶させた。周りは龍太郎の行動に引いているが、そうでもしなければ黒乃は飛び降りかねなかったので仕方ない。
「檜山てめぇえええ!!」
「なっ、グバァッ!?」
唐突に清水が檜山を殴り飛ばした。クラスメイトが落ちて呆然としていたように見えた檜山を殴った清水に対して近藤たちから非難の視線を向けられる。当然殴られた檜山も立ち上がり清水の胸ぐらを掴み声を荒らげた。
「テメェ……! いきなり何しやがる!!」
「それはこっちのセリフだクソ野郎!! なんで南雲たちに魔法をぶつけやがった!?」
「なっ!?」
「嘘だろ……!?」
清水の言葉に生徒たちは『信じられない』と表情を変える。告発された檜山は先程までの強気な態度を一変させ口をどもらせ、しどろもどろになる。
「いや、それ、は……み、見間違いだろ!」
「一回目はそう思ったさ……! けど二回も撃てば分かるに決まってんだろ!!」
「み、みみミスったんだよ! 緊張してさ、魔法の操作をさ!」
「だったらなんで適正のある風属性の魔法を使わなかったんだよ! お前、使ってたの火属性の『火球』だったじゃねーか!」
「それ、それは……」
清水の言葉が図星だったのか、檜山は視線をあっちこっちに彷徨わせながら黙る。生徒たちは自分たちの中から死者が出て、尚且つそれをした殺人犯がいることに恐怖した。
「お前ら! まだ魔法陣は機能しているんだ!! 大介への尋問は後にして、取り敢えずここを脱出するぞ!」
メルドたち騎士団はトラウムソルジャーを薙ぎ倒しながら指示を飛ばす。ハッとした生徒たちは不安を抱きながらも上層へ向かい走り出した。
なんとか迷宮入り口まで戻ってきた一行だったが全員疲労の色が濃く、その日は話し合いなどできる気力は無く雰囲気でもなかった。
翌日になり冷静になった生徒たちは騎士団のメンツと顔を合わせて昨日の出来事をまとめていた。
「じゃあ幸利、大介がハジメとシュウを狙って魔法を撃ったと言っていたな? それは本当か?」
「ち、違ぇよ! 俺は──」
「今は幸利に聞いているんだ。弁解があるならまず話を聞いてからにしてもらおう……で、どうなんだ幸利?」
「はい。一発目の軌道は分かんないんで誤射でもまだ頷けるんですけど、二発目完全に当てにいってました」
「何故大介が魔法を当てたと分かった?」
「軌道が見えたからです。俺、敵の攻撃を見やすくするために『
『闇透』とは自身の視界を明るい状態と変わらないものにする魔法だ。副次効果で斬撃や魔法の軌跡を見やすくするという効果もある。
それを聞いてメルドは「なるほどな」と納得した。
「だ、そうだが。何か言い分はあるか?」
「うっ、ああ……ち、違うんだ……」
「何が違うんだよ!!」
「清水、待ってくれ」
檜山を問い詰める清水に光輝が待ったをかける。またいつもの悪意のない押し付け正義感かと思っていた清水だったが、光輝の真剣な表情を見て素直に引き下がった。
「檜山、一昨日の夜。君は俺と約束したはずだ。『もう南雲にちょっかいはかけず、仲間として助け合う』って……あの言葉は嘘だったのか……?」
「う、嘘じゃねぇよ……なあ天之河、信じてくれよ……確かに南雲と澤田に魔法を当てたのは悪かったけどよ。けど慌てて撃ったせいで狙いが定まらなかっただけなんだ! 信じてくれよ天之河!」
雫は不快そうに顔を歪めた。光輝は『相手の方に原因があるからこの人は悪さをした』という性善説めいた考え方を持つ。これは光輝のクラスメイトなら誰もが知っている思考パターンで、檜山はそこを狙ったのだろう。まず光輝に謝れば自分を庇ってくれるはずだ、と。
「光輝」
「いや、いいんだ雫。分かってる」
その事を指摘しようと声をかけたが、雫の予想と反し、光輝は冷静だった。檜山の目をじっと見つめ何かを考えるような素振りを見せて口を開いた。
「檜山、今の言葉に嘘偽りはないんだな?」
「あ、ああ! 嘘じゃねぇ!」
「そうか……確かにあの状況ならそうなっても仕方ない。南雲と澤田には悪いが、俺たちはいつまでも下を向いているわけにはいかない。二人の死を受け入れて前へ進むべきだ」
「光輝!!」
「……って、少し前の俺だったら言っていたはずだ」
「…………へ?」
自分の思い通りに事が進んだと確信した檜山は浮かべていた笑みを固定させて間抜けな面になる。雫もいつもと変わっていないと思っていたので、こちらも呆けた顔になっている。
「悪いが檜山、今の君の言葉を俺は信じられない」
「なっ、なんでだよ!? 俺は!」
「君から南雲と澤田に対して心の底から申し訳ないっていう謝罪の気持ちが感じられない。自分の保身しか考えていない、そういう風に俺には見える……仲間を疑うのも、追い詰めるのも、あまりいい気分じゃないんだ。檜山、正直に言ってくれ。……君は、南雲と澤田にわざと魔法を当てたな?」
光輝の声は確信めいた自信がある声色だった。もう言い逃れは出来ないと悟った檜山は諦めたのか、ぽつりぽつりと話し始めた。
「……最初は妬みからだったんだ。あんな、南雲みたいなパッとしないやつが白崎や日狩にチヤホヤされているのが気に入らなかった。手を出そうにも澤田がいるから出来なかった……けど、こっちの世界に来てからは自分がすげー強い人間になって、これなら白崎も……南雲なんかよりも俺の方がいいって気付くはずだって思って……でも違った。南雲は雑魚のくせに諦めねぇし、白崎も南雲から離れねぇし、澤田がもっと強くなったせいで手出し出来ねぇし……面白くないこと続きだった……あのリンチも、南雲が気に入らなくてやったんだ……丁度誰もいなかったからよ……」
そこまで話すと両手を頭に抱えて俯いた。声は震えている。
「あの夜、天之河が俺に話しかけてきた時思ったんだ。あっちの世界じゃ殺すのは犯罪だが、こっちな事故で済ませられるって……そしたらベヒモスみたいな化け物がいる場所に飛ばされて、南雲と澤田は取り残された。チャンスだと思った……。今なら殺れるって……今を逃せばもう二度とチャンスは来ないって……」
ガバりと顔を上げて声を荒らげた。必死の形相をしており、そうとう追い詰められているのが伺える。
「だから魔法を当てたんだよ!! 俺だってバレないように『火球』を使ってよぉ!! 一回で落とせると思ったら澤田が助けやがったからもう一回当てたんだ!! 仕方ねぇんだよ! こうしなきゃ白崎はずっと南雲のことを見続ける!! 俺の方を見ねぇんだからよぉ!!」
「……そんなことの為に、二人を殺したのか」
光輝の握りしめる拳が震える。怒りを覚えているのだ。こんな自分勝手な理由でクラスメイトがクラスメイトを殺して、言い訳をしているのだから。
「檜山」
「なあ天之河……俺は悪くねぇんだよ……あいつが、アイツらが悪いんだ……俺は悪くねぇ!!」
「檜山!」
パァン!
乾いた音が部屋中に響いた。光輝は振り抜いた平手を見つめながら叩かれて呆然としている檜山に諭すように声をかける。
「檜山……君がやった事は間違っているし、人としてやってはいけないことだ」
「あ、天之河……」
「……俺は南雲がお前らにリンチされたその夜に、聞いたんだ。アイツらに虐められて辛くないのかって」
呆然としながらも檜山は清水に視線を向ける。それは光輝も他の生徒たちも同じで皆が清水に注目している。
「そしたらアイツこう言ったよ。『確かに辛いけど、でもこういう状況だし力を合わせなきゃいけないからさ。それに戦っていくうちにお互いに背中を任せれるくらい親しくなれるかもしれないでしょ? 日本に戻ったら漫画本とか貸してみようと思うんだ』ってな。笑いながら話してたよ」
「……嘘だろ? 俺は、気に入らないからって理由でアイツをいたぶってたんだぞ……?」
「嘘じゃねーよ。今は仲が悪くても、いつかは信頼し合える関係になれるって、本気で思ってたぜ……」
「……あ、……ああ、あああ!!!」
自分がしでかした事の大きさに漸く気づいた檜山は涙を流しながら後悔する。もう謝ることも出来なければ、仲を深めて信頼し合えることも出来ない。今まで虐めていた自分に対してそこまで言ってくれた人間を殺したのだ。後悔や罪悪感が津波となって檜山の心に押し寄せる。
「……メルド団長。檜山はどうなるんですか……?」
「……神の使徒とはいえ仲間殺しは重罪だ。死ぬまで牢屋か、攻略の力になってもらうために奴隷となって探索に加わってもらうことになるかのどちらかだな」
「そう、ですか……」
そう答えた光輝以外の生徒たちも黙る。部屋にいる人間は二十人を超えるというのに檜山の泣き声しか聞こえないほど静かだった。
そんな中、清水が口を開いた。
「檜山……許されたいか?」
「…………ああ。いや……許されなくてもいい、けど……謝りたい……俺がやってきた馬鹿なことを、やらかしたことを全部、謝りたい……!」
「そうか……メルド団長、あそこから落ちて生き残る可能性ってありますか?」
「……いや、殆どないだろう」
「殆どってことはほんの少しは生きてる希望があるってことですよね」
清水がそう言うと光輝や檜山を初めとする生徒たちの顔がハッとなる。メルドは清水が言いたいことを察していたようで表情は曇ったままだ。
「しかしな、希望的観測にすぎんぞ。ましてや二人揃ってとなるとな……」
「けど死んでると思って探索するよりは生きてると信じて探した方がいい!」
「ああ、清水の言う通りだ。俺は南雲も澤田も生きてると信じるぞ!」
「幸利……光輝……全く、お前らがそう言ってしまっては俺らが信じないわけないはいかないな。大介!」
「は、はい!」
突然名前を呼ばれ慌てて返事をする。
「仲間に対して攻撃したということから本来はパーティーメンバーから外さなければならない。が! お前に二人を助けたいという意思があるのなら俺はお前をメンバーに残したままにする! どうなんだ!」
「……あります! もう馬鹿なことはやらねぇ……南雲と澤田に俺がやってきた馬鹿なことを謝りたい!」
「よし、わかった! 今回のことは厳重注意で済ませる! しかしお前がもう一度同じようなことを起こした場合は問答無用で牢屋へぶち込むからな! 肝に銘じておけ!!」
「分かりました!!」
声を張って返事をしたあと、檜山は清水と光輝に向き直り頭を下げた。
「清水も天之河も悪かった……俺の謝罪なんか意味なんかないと思うけどよ……でも、すまなかった……!」
「……俺は謝られても許すつもりは無い。けど、謝罪を認められたいのならこれからの行動で示すんだな」
「俺も清水と同じだな。一度犯した罪は消えない。その罪を背負って戦っていくんだ」
「ああ……分かってる」
その場はそれでお開きとなり、生徒たちのメンタルケアも含めて迷宮探索は十日間の間隔を開けることとなった。
夜、光輝が自室で今まであったことを整理しているとドアがノックされた。
「光輝、私よ。入ってもいいかしら?」
「雫? どうぞ」
「お邪魔します。夜遅くにごめんなさいね」
「いいさ。何の用なんだ?」
ネグリジェに上着といった無防備な雫の姿に内心ドキドキしながら平静を装って話を聞く。雫は部屋に備え付けられていた椅子に座ると光輝の目をジィっと見つめた。
「ど、どうしたんだ雫」
「……いえ、本物の光輝よね」
「当たり前だろ。いきなり何を言ってるんだ?」
素っ頓狂なことを言い出した雫に困惑が隠しきれない。
「だって……いつものあなたなら檜山のことを庇ってたはずよ」
「ああ……そのことか……」
話そうか話さまいか逡巡していたが『雫に隠し事をするわけにはいかない』と思い、話すことにした。
「実は、迷宮を探索する前日に澤田に呼び止められたんだ。『檜山と中村に注意しとけ』ってね」
「檜山と、恵理まで? どうしてまた……」
「うん。俺も最初は何故? って思って聞いたよ」
正確には『仲間を疑うなんて信じられない!』と怒っていたのだが、そこは雫の預かり知らぬ話だ。
「澤田には『超直感』っていう技能があるらしいんだ」
「『超直感』……虫の知らせとか、第六感みたいなものなのかしら?」
「その解釈であってる。それが強化された感じの技能だってね。それで檜山と恵理を見た時にその『超直感』が反応したらしいんだ。具体的に説明するのは難しいんだけど、嫌な予感がするから注意しておけってね。だから俺はその日の夜、たまたま会った檜山に南雲に絡むのはやめろって注意したんだ」
「あの光輝が……!? 嘘でしょ!?」
「雫から見た俺は一体……」
まるで幽霊でも見たような反応をする雫にげっそりとする。しかし一々反応していれば話が進まないので切り替えて話を進める。
「ま、まあ澤田に忠告されたのに檜山を止めきれなかったんだ。俺にも責任がある。現に南雲と澤田の二人は奈落へ落ちてしまった……」
「光輝……」
あの時手を伸ばすことしか出来なかった己の掌を見つめ項垂れる。
「俺の目が間違っていたんだ。あの二人は誰よりも広い視野で戦況を把握していた。俺は自分のわがままで皆を殺しかけている間に……」
開いていた掌を力強く握りしめる。
「だから強くなるんだ。南雲と、澤田を助けるためにも! この世界の人たちを守るためにも!!」
「……でも、道のりは険しいわよ」
二人が落ちていったのは六十五階層の奈落。下へ降りて行けば何か見つかるかもしれないが、今の光輝たちでは太刀打ちできる場所ではない。
それでもやるしかない。仲間を信じるために、仲間を見つけるために、やるしかないのだ。
「分かってるさ。けど、やってみせる……!」
「……私も手伝うわ。あんただけじゃ心配だからね」
「……ありがとう、雫」
幼なじみの優しさに顔を綻ばす。と、雫が穏やかな笑みを曇らせたのを不思議そうに尋ねる。
「どうかしたか?」
「いえ、その……香織と黒乃には、どう説明するの?」
「ああ……そうだな……話すさ、嘘偽りなく」
「大丈夫かしら?」
「大丈夫さ。香織も黒乃も強い。きっと受け入れて前に進んでくれるはずさ……」
「そうだといいけど……」
まだ眠り続けている親友たちの姿を思い浮かべる。やはり精神的ショックが大きかったようで香織も黒乃も迷宮で気を失ってから未だに目を覚まさない。
無理もない……方や想い人を、方や家族同然の二人を失ったのだから。
「……ところで雫。香織は、香織は南雲のことを……」
「……好きなのか? でしょ。気づくのが遅いのよ。あの子、中学の頃から好きだったのよ」
「そ、そんな前からか……幼なじみの俺よりも、南雲をとったのか……」
「聞きたい? 香織がどうして南雲くんに惚れたか」
「……いや、言いさ。香織の目が覚めたら本人に直接聞くさ」
「…………本当に変わったわね、光輝。大人になったって言うか……」
「まるで母さんだな雫は。でもまあ、自分でもそう思うよ。多分……吹っ切れたんだと思う」
そう言う光輝の横顔は憑き物が落ちたように晴れやかな顔をしていた。まるで我が子の成長を慈しむように雫は微笑んだ。
雫「奈落に落ちた南雲くんと澤田くんは、そこで神結晶と呼ばれる奇跡の鉱石とありとあらゆる傷を治す神水を見つけた。
魔物の肉を食べて生死の境をさ迷った果てに澤田くんは自分の本当の力の使い方を知ることになる。
次回ありふれた親友、
『覚醒強化! エンハンス、デンジャラス、サバイバル!』
熱き闘志を、チャージイン!
……ってやっぱり恥ずかしいわよこれ!」
檜山をどう修正するか、当初の予定からは外れたけどこんな感じになりましたね。光輝も同じくです。この光輝の正義感は異世界に来てから少し揺らぎ始めています。俺の考えは絶対間違ってない、ではなく俺の考えは間違ってないはずだ、考えてみよう。と考えるようになりました。故に出来たのが綺麗な光輝と檜山です。ちなみに近藤達は後日「俺らも見て見ぬふりは出来ねぇししたくねえ!」と言って檜山と共に浄罪のためハジメたちを探すことを決意しました。
清水くん?あれはもうオリキャラでしょ(適当)