乃木若葉は勇者である-希望のバトン-   作:裸の錬金術師

1 / 1
乃木若葉ちゃんの祖先がいるってことは、結婚して旦那がいるってことだよなと思い書きました。

わかひな派の人は許して・・・!


プロローグ

 

とある暑い日、6月にも関わらずセミが鳴いているのを珍しいなと思いつつも、ただボーっと、窓の外の夕焼けに染まる景色を眺めていた。

鳴き声がうるさいとは思わず、ただ時間だけが過ぎていった。

 

その時、「7・30天災の悲劇から、後一月半ほどで四年になろうとしています」

という、テレビからニュースを告げるアナウンサーの声が耳に入ってきた。

その声に、思わずテレビの方へ顔を向ける。

 

 

そこに、一人の少女が映っていた。

 

 

 

 

 

それが彼女との初めての出逢いだ。

 

 

"たとえ地獄に落ちようとも、鮮明に思い返すことができるだろう"みたいなアニメやマンガであるような大それたものではない。

だけど、今でもその姿を鮮明に覚えている。

 

彼女は美しかった。ただ端正な顔立ちをしていたからではない。

青い装束を纏い、刀を携え、胸を張り、大人たちに、いや四国の人々に語る姿があまりにも勇ましく凛々しかったから…。

 

 

「私たちはあの日、多くのものを奪われました。人命、国土、自由に見上げることのできる空。あの日、空から出現した人類の天敵たちは、あまりにも強大でした。ですが、私たちは決して無抵抗で終わりませんでした。力は弱くとも、人間には智慧と勇気という、他の何者も持たない武器が――」

彼女は拡声器を使わず、自らの肉声で語り続ける。

 

「――そして今、敵もまた自らの力を強化し、再び人類は苦境に立たされています。勇者・土居球子と伊予島杏は、戦いの中で命を落としました」

『勇者の死』という事実に、聴衆の表情が曇る。

 彼女は一際、声を大きくして告げた。

「しかし、我々はまだ敗北していない! 必ずや、奪われたものを取り返すことはできる!! そのために今、大社と私たちは対策を講じています。間もなく戦況を覆す方法が見つかるでしょう!」

 

 

 

 

 

彼女の演説は半時間ほどで終わった。

彼女を赤く染めていた夕日はとうに沈み世界は、自分の部屋は、いまや暗闇が支配している。

 

 

彼女の演説を聞き終わった後、体の奥底からふつふつと湧き上がるモノがあった。

 

 

多分、コレは"怒り"だ。

 

 

彼女に対してではない。彼女たちのような自分と同年代の"女の子"が"勇者"として戦わなければならない事実に対して、その"勇者"を偽りの希望の象徴として祭り上げようとしている大社、聴衆の大人たちに対して、そして、そんな現実に何も出来ない無力な自分自身に対してだった…。

 

 

 

 

 

 

神世紀2年 6月

 

あの日から3年の時が経つ。

彼女たちの戦いは終わりを迎え、人類は平和を手に入れた。………人々の間では。

 

本当は、6人の巫女の生命を代償に神に赦されただけのまさに、"仮初めの平和"だという事実は大社…名を改めた大赦たちによって隠蔽されている。

 

 

何故そんなことを知っているかって?

それは、俺が大社に名を連ねる家系の一つである、十六夜家の次男坊だからだ。親父や兄貴たちから話は聞かされていたし、生贄となった巫女の中には幼馴染もいた。

 

 

3年前のあの時、中学生のガキだった俺は、彼女と再び出会うことになるとは思わなかっただろうし、まさか俺なんかが"乃木家の婿養子"になるなんて想像すらできなかっただろう。

 

 

 

 

これは勇者の物語ではない。

輝ける星たちを道しるべとし、希望と共に歩いて行く誰かの物語だ。

 




(つづくかは、わから)ないです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。