廻人の物語『僕のヒーローアカデミア』   作:蟲鳥獣

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第十話

「俊典、起きとるか」

 

 オールマイトもとい八木 俊典(やぎ としのり)の居る病室に入ってきたのは、小柄なおじいさんだった。

 

「師匠」

 

 そう現れた小柄なお爺さんは、酉野 空彦(とりの そらひこ)ヒーロー名『グラントリノ』の活躍していた男でありオールマイトの師だ。

 

「グラントリノ、お久しぶりです」

 

「おぉ、久しいな。サー・ナイトアイ」

 

 サー・ナイトアイは一旦説明を止め、入ってきたグラントリノに挨拶をした。

 

「で、どうなんだ。俊典は」

 

「えぇ、大丈夫です。異常はありません、すぐにでも復帰可能ですが、丁度良いので長期の休暇を取ってもらおうかと、考えております」

 

 オールマイトは、少し離れて静かに話す二人の会話が聴きとれず。何を話し合っているのだろうと、見ていた。

 

「この位の期間は休んでもらおうかと、ですので説得をお願いしたいのですが・・・」

 

「ふむ、確かにな。俊典は働き過ぎだからの」

 

 コソコソと話しあう二人を尻目に、オールマイトは考え込んでいた。

 最後の吹き飛ばされ意識が飛ぶ、あの光景で見た少女と少女につき従う化け物達の事だ。

 

(私を吹き飛ばして気絶させた技は『アザトースのこぶし』・・・だったか)

 

 見えていれば回避しただろうか?そんな思考をする中で、話し終えたのか二人は近づいてきた。

 

「オールマイト、すいません。続きを話しますね」

 

「あっあぁ、よろしく頼む」

 

「えっと、被害が大きいでしたね」

 

「あぁ、そうだ。どういう意味なんだ、サー」

 

 サー・ナイトアイは懐から手帳を取り出し、説明の続きを開始した。

 

「この度の作戦で、重軽症者が合わせて1782名であり、死者は0です」

 

 オールマイトは死者が0だと言う事に一旦は安堵する。

 

「これだけなら、良かったんですけどね。行方不明者が分かっているだけでも100名は超えているんです。これには警察、自衛隊、ヒーロー全てを含めています。発見の手掛かりはありません」

 

「そうか・・・」

 

 今の所死者が0だったのは良いが、行方不明者が居る事にオールマイトは拳を握った。

 グラントリノは、黙ってその様子を見る。

 

「ひとまずは以上です」

 

 サー・ナイトアイは眼鏡をクイッと上げて、手帳を仕舞いこんだ。

 

「俊典」

 

 黙っていたグラントリノが、口を開く。

 

「なん、ですか」

 

 色々な情報が入り、精査し、無力な自分に嘆いているのだろう、声が震えている。

 

「ひまずは休め、お前は動き過ぎだ」

 

ですがっ‼

 

 グラントリノの言い分に、オールマイトは声を荒げる。

 グラントリノは、その声に少したじろいだ。

 

「っ、すみません師匠」

 

「いや、いい。とにかく休め、余裕が無い証拠だ。しっかり休めておけ、鍛え直してやる」

 

 グラントリノ最後の一言に、オールマイトは少し納得をして、同時に身震いをしたのだった。

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