「俊典、起きとるか」
オールマイトもとい
「師匠」
そう現れた小柄なお爺さんは、
「グラントリノ、お久しぶりです」
「おぉ、久しいな。サー・ナイトアイ」
サー・ナイトアイは一旦説明を止め、入ってきたグラントリノに挨拶をした。
「で、どうなんだ。俊典は」
「えぇ、大丈夫です。異常はありません、すぐにでも復帰可能ですが、丁度良いので長期の休暇を取ってもらおうかと、考えております」
オールマイトは、少し離れて静かに話す二人の会話が聴きとれず。何を話し合っているのだろうと、見ていた。
「この位の期間は休んでもらおうかと、ですので説得をお願いしたいのですが・・・」
「ふむ、確かにな。俊典は働き過ぎだからの」
コソコソと話しあう二人を尻目に、オールマイトは考え込んでいた。
最後の吹き飛ばされ意識が飛ぶ、あの光景で見た少女と少女につき従う化け物達の事だ。
(私を吹き飛ばして気絶させた技は『アザトースのこぶし』・・・だったか)
見えていれば回避しただろうか?そんな思考をする中で、話し終えたのか二人は近づいてきた。
「オールマイト、すいません。続きを話しますね」
「あっあぁ、よろしく頼む」
「えっと、被害が大きいでしたね」
「あぁ、そうだ。どういう意味なんだ、サー」
サー・ナイトアイは懐から手帳を取り出し、説明の続きを開始した。
「この度の作戦で、重軽症者が合わせて1782名であり、死者は0です」
オールマイトは死者が0だと言う事に一旦は安堵する。
「これだけなら、良かったんですけどね。行方不明者が分かっているだけでも100名は超えているんです。これには警察、自衛隊、ヒーロー全てを含めています。発見の手掛かりはありません」
「そうか・・・」
今の所死者が0だったのは良いが、行方不明者が居る事にオールマイトは拳を握った。
グラントリノは、黙ってその様子を見る。
「ひとまずは以上です」
サー・ナイトアイは眼鏡をクイッと上げて、手帳を仕舞いこんだ。
「俊典」
黙っていたグラントリノが、口を開く。
「なん、ですか」
色々な情報が入り、精査し、無力な自分に嘆いているのだろう、声が震えている。
「ひまずは休め、お前は動き過ぎだ」
「ですがっ‼」
グラントリノの言い分に、オールマイトは声を荒げる。
グラントリノは、その声に少したじろいだ。
「っ、すみません師匠」
「いや、いい。とにかく休め、余裕が無い証拠だ。しっかり休めておけ、鍛え直してやる」
グラントリノ最後の一言に、オールマイトは少し納得をして、同時に身震いをしたのだった。