転生して5年目の月日が流れる。
ナルの転生体は、ナルが思った様に動きやすくなった。
後は強化系の魔術を併用する事で、パルクールなんてお手のもの。だがやり過ぎると筋肉痛になっってしまうので、身体がもう少し成長するまでっは、パルクールなんてするつもりはないようだろう。
してそれはさておき、前話で作っていたポーションの売れ行きは、表裏問わず好調である。
ポーション転売は、出来ない様にこっそりと契約魔術を仕込んでいるので、ご安心ください。
もし転売しようものなら、財政破綻や謎の強盗(=ナル達)にあい悲惨な事になるだろう。
そして最近はどこからか、この場所を特定して、ポーションの作成法や完成したポーション自体を奪おうとする輩が、やってくる事がある。それらは全員、行方不明になっているが・・・。
行方不明になった彼ら、彼女らがどこへ行くのかは、ナル達しか知らないだろう。
「・・・うーん、見つからないなぁ」
現在ナルは、普通の本を読みながら、そう呟いた。
見つからないと言うのは、魔術書の事だ。オカルト系でなら幾つか見つかるが、それらは全て偽物であった。
いくら探しても本物の魔術書は見つからないのである。
ティックや星の精の『スーフェ』の故郷世界では、1年も経過すれば写本の類いが最低でも1冊程、最高で5冊程が、簡単に見つかり集める事が、出来たのだがどうやらこの世界は外れの様だ。
(まぁ、あの世界と比べるのは違うよね・・・)
本を読み終わり、しばらくフッカフカのベットの上でゴロゴロしていたが、身体を起こして部屋から出て家のキッチンへと向かった。
〉テケリ・リ〈
キッチンに行く時に通るリビングにて、『ショゴス』の『シード』とティックが、チェスをしていた。割と接戦である。
「おっと、ナル様いかがなさいました?」
〉テケリ・リ・・・リー〈
両者がナルに気が付き、ティックが席を立ちこちらに歩みながらそう言ってきた。
シードは丁度その時にチェックメイトされ、意気消沈したのか真っ平らになった。
「なんかパスタが食べたくなったので」
時計を見ると丁度12時である事が分かる。
「そうですか、なら準備いたしましょう」
ティックはキッチンにエプロンをしながら、入っていった。
〉ピッ〈
すると今度はテレビが付いた。どうやらシードがテレビを点けたようだ。
チェス盤と駒を片づけながら、点けたテレビを見ている。
この世界のテレビは面白くない。子ども向けの番組もドラマもアニメも、まったくと言っていいほど無いからだ。
最悪の場合、一か月ずっとニュースや議論だった時もある。
どれもこれも全てのニュースで「ヒーローがこんな活躍を・・・」とか、「新人ヒーロー○○」とかばっかりだ。
終いには『オールマイト』とか言う一人のヒーローに焦点を当て続ける番組もあった。
「いつ見ても化け物だよね。オールマイトって」
テレビが点き、画面に現れたヒーローを見て、ナルはそう言った。
絶対に現実で遭いたくないヒーローだ。だって『狂気』と『混沌』を司るあの邪悪と似た気配がするのだから・・・