元勇者提督 作:無し
駆逐艦 朧
「ボーロ」
「…ごめん、今話しかけないで」
「……ごめんなさい」
ムカムカする
納得行かない
なんで潮が犠牲にならなければならなかったのか
あの時早く帰っていれば、4人で動けば
つまり私の指示に責任があるわけで
つまり、私が潮を…
「…朧、やめなさい」
「………何を」
「アンタは悪く無いわ、決してね…」
「やめて、私が悪いの」
私が悪い、ならば納得のいく落とし所なんだ
曙を許すための、潮を諦めるための
「…アンタにとっては違うかもしれないけど、私からすればアンタは姉妹、考えてることくらいはわかるわ」
「ならなんで私にそんなこと言うの」
「アンタが自分を責めても誰も納得しないのよ、そんなに気に食わないならアイツをもう1発ぶん殴ってやりなさい」
「………あぁ……どうしよう…」
そうだ、私思いっきり殴っちゃったんだった……
「口の中切れてたよね…」
「舌でも噛んだんでしょ」
「あぁぁ…」
どうしよう、謝らないと…
「……言ったでしょ、優しいって」
「うん、ボーロ」
「……何…?」
「さっきぼのたん、外に出てたよ」
「は…!?」
「龍驤さんも一緒だったし、艤装つけてたし…どうやら、諦めてないのはアンタだけじゃ無いみたいね?」
「そもそも私は諦めてないけどね」
そっか……そっか…!
「あー、なんか動き足りないかも、ちょっと演習でも行こうかしら?」
「あ、私も」
「………私も行く」
「よし、三人で行きましょ、だけど、曙のことはもう少し怒りなさい、提督も龍驤さんもとことん甘いから」
「………そうだね、次はローキックにする」
「ぼのたんハリセン使う?」
「それよりも、潮よ、ほら、急ぎなさい」
海上
軽巡洋艦 那珂
「………ふーん、手は借りられない、か」
眼前の二つの石板はあまり協力的ではなかった
『我等は其方とは違う存在』
『私達は意思ある波、違うな』
「……じゃあ、いいや、死んでもらおうかな」
用はなくなった
『不可能な話』
『其の力の傍はこちらにある』
石板の間から紫を基調とした変な帽子の子供が出てくる
「……その子は?小さな子供にしか見えな…い…………いや、その派手派手しい服装…ゲームの…」
『この者は我等と同じ』
『ゴレであり、支配を免れられなかったモノ』
『………』
「………なら、その力を貰えば、私は…完全にゴレを…!」
『開眼すらしておらぬ貴様には到底無理な話』
『碑文とは貴様のためのものではない、力に目覚めるには刺激が足りぬ』
「刺激?」
『望むなら、与えよう、力を』
『共に呑まれよ』
「………今更何も躊躇うことなんてない」
「狡いじゃないですか、那珂ちゃん、1人だけ抜け駆けして」
「神通姉さん」
『……メイガス…』
『…真に世界を壊すのは、貴様らかもしれぬ』
『目覚めよ、我が力』
『目覚めよ…波の力』
「………これは…AIDA…」
「…ああぁ…ぁ…なにか…何かが…身体の中を…」
工作艦 明石
「初めまして、宿毛湾泊地にようこそ」
「…初めまして、扶桑型戦艦、妹の方、山城です…」
「超弩級戦艦、伊勢です、よろしくお願いします」
「如月です、よろしくお願いします」
いやー、全員天龍さんっぽいことにはなってなくてよかった、それにしても戦艦が2人…これは扶桑さんと金剛さんの負担が減るし、助かるなぁ
「提督を紹介します、ついてきてください」
「はい」
「倉持海斗です、よろしく」
「あの…」
「ここのことを軽く伺いましたが、私達はどうすれば…?」
「いきなり実戦出てもらうつもりはないから安心して、明石、如月と山城は曙の指揮下に入ってもらってくれる?扶桑も一緒に」
「姉様がいるんですか?」
「うん、仲良くしてね、如月、伊勢の姉妹間は残念ながら居ないけど…伊勢には摩耶と金剛の指示に従ってもらうよ」
「了解です、連絡してきます」
「それじゃあ、これからよろしくね」
「「「よろしくお願いします」」」
私は提督に疑問を持ってしまった
間違った事だけど、提督が仲間だと言ってくれたけど
私は何処までも人間として扱われたかったのだろう
ーーわからない、人として見ていいのかーー
仲間であることに変わりはない、だけど人として接してくれない…モヤモヤする
「明石さん、なんですか?呼びつけといて無視は困るんですけど」
「あ、ごめんなさい、新入りを2人預かって欲しくて」
「………成る程、山城に、如月か」
「扶桑さんとも連携していただけると」
「わかってます、それより………提督は、潮の事は」
「強いショックはあったようですが…」
「……まあ、全員死ぬ前提なら………諦めもつく…という事でしょうか」
「………」
「失礼しました、口が過ぎましたね」
「…提督は、私たちを人としては見ていません」
「当たり前じゃないですか、私達は艦娘です、人間にはどうやってもなれない」
「………私には割り切れません」
「割り切る必要なんてないんです、提督をただ信じてれば…」
「……信じてはいます…でも、それ以上はない」
「…あぁ、求めすぎですよそれは、気持ちはわかりますけどね…」
「それ以上を求めてはいけませんか」
「………勘違いしてるかもしれませんけど、人でも艦娘でも、変わりませんよ、提督は、その先に進むことなんてあり得ないと思います」
「…そうでしょうか」
「提督が連れていってくれた集まりに居たのは?人間でしたよね、私たちと同じ気持ちを持ってる人間があんなに居た」
「…たしかに」
「明石さん、物事、諦めも肝心ですが、諦めない心も大事なんですよ、と言うわけで私は来世に賭けてます」
「………作戦に、本気で乗ったんですね」
「たとえ提督がなんと言おうと私はその意思のままに」
「…それは、恋心ではなく信仰です」
「……自覚はありますよ、だから…ふふっ…!」
「どうしました?」
「…いえ、それでは、失礼します」
「………最近の曙ちゃん、ちょっと怖いな…」
駆逐艦 曙
あぁ、素敵な気分
ニセモノはダメだった、ニセモノはいらない、だからスッパリ忘れたけど…コレは、最高だった
まさかこんなところで手に入るチャンスがあるなんて
私のものになるかもしれない
そう、そうなれば一気に私は…
駆逐艦 潮
「…傷、あんまり良くなりません…」
「………もう半日も入ってるのに、治らないなんて…」
「いや、普通そうだから、そろそろ出ようよ」
「…そ、そうですね…」
入渠ドッグで傷が治るのは、あのお風呂は、データを修復する力があるのかな…私達は電子生命体というものらしいし…
「とりあえず、泊地に連絡が取りたいです…」
「電話番号とかわかる?」
「………いいえ」
ケータイには入ってるけど基本直接会うし、かかってきても、かけても、名前が表示されてるから番号なんて…
「…………」
「送りたいけど、この怪我じゃなぁ…それに、四国まで行くとなると正直金銭面も厳しいし」
「病院は意味ないことだけは確かなのです」
「うぅ…」
「………何があれば治るの?」
「修復剤とか…でしょうか」
「修復剤か、どこにあるのかな」
「海軍施設ならどこにでもあると思う…のです」
「ここから一番近いのってどこだろ」
「…何するつもりなのですか」
「……連れて行ってみる、助けてくれるかもしれないし」
「それはやめて欲しいのです、おそらくここを家宅捜索されるのです、大破した艦娘を誘拐する事例が過去にあったので…」
「………じゃあ、修復材ってやつを持ってくる」
「…盗むつもりですか、軍の施設ですよ」
「……黙って見てるつもりはない…待って、待てよ…カイトだ!カイトさんを頼ろう!」
「え?」
提督の名前…?
「確か海軍なんだよね?きっと手を貸してくれるよ!」
「…そういえば、潮さんの提督だったのです」
「提督の知り合いなんですか…?」
「そういうこと、なのです……できれば電のことは知られたくないのです、お口チャックでよろしくなのです」
「は、はい…」
「はい、お願いします!修復剤を持ってきてくれるって!」
「持ってくる…?連れ帰るわけじゃないのですか?」
「……」
なんとなく理由がわかる気がする
「…うーん、その辺は俺はわからないかな、とりあえず、なんとかなりそうでよかったよ」
「そうですね、本当にありがとうございます、何から何まで」
「……そうですね」
提督 倉持海斗
「という事だよ、どうするかはキミの判断に任せる、朧」
「…曙にはまだ言いません、箝口令を敷いて必要なメンバーには伝えます、もう少しお灸を据えようと思います」
「うん、それでもいいよ、とりあえず僕は修復剤を持って行くから、明石達には先に伝えてある、勿論口外は禁止してるけど」
「わかりました、提督…本当にありがとうございます」
「…僕は何もしてないさ、ちゃんと君が、君たちが頑張ったから、助かったんだよ」
「………提督」
「朧、辛いことを言うようだけど、これからの戦い、君が沈むかもしれない、漣が沈むかもしれない、誰がどうなるかわからない今回助かった潮も、どうなるかはわからない」
「…それは、どういう…」
「夕張さんにね、もしかしたら潮は艦娘としてはもう戦えないかもしれない、って」
「………」
「八相の攻撃じゃないから治るはず、だけど…まるまる一日は経ってしまってる、傷がしっかり治って、戦える保証はないらしいんだ」
「そんな…」
「…もちろんコレは最悪の場合の話、でも、覚悟はしておいて欲しい」
「………」
「朧、本当にごめん」
「ぇ」
「僕が簡単に力を与えたから曙は暴走したし、結果君たちに辛い思いをさせた、謝って済むことじゃないけどね」
「……提督、死んだら帰ってこれません…だけど、潮は生きてるんです、帰ってこれるんです、私は、気にしてません、と言うより!曙が悪いんですよ!なんでいきなり今更その名前で呼ぶななんて…」
「あれ、曙って呼ばれるの実は嫌だったのかな…僕もみんなに合わせたほうがいいのか」
「………あれ?提督って曙とアオボノを呼び分けてますよね」
「みんなの前ではね、たまにそのまま曙って呼んじゃうけど、周りに関係ないことだったり、片方だけの時はどっちも曙って呼ぶ様にしてるよ」
「…あー…成る程、そう言うことか」
「何かわかったの?」
「いいえ、何もありませんよ、それじゃ、失礼します」
「うん、じゃあね」
東京
「いやぁ、倉持さん、わざわざすみませんねぇ来ていただいちゃって」
「…曽我部さん、態々車を出していただいて助かります」
「こっちのお願いを聞いてもらえてるんですから、まあこのくらいはさせていただきますよ、それに、お役にも立てるみたいですしねぇ」
「できるだけで早く済ませます」
「いえいえ、ごゆっくり、待たせるのは好きではありませんが、今回は待たせたい相手でして」
トキオ宅
「提督!」
「潮、酷い怪我だね…トキオ、お風呂を借りてもいいかな、コレをそのままここでひっくり返すわけには行かないしね」
「丸一日使われなければ全然問題ないです」
「…この服ってトキオの?修復剤をかけても大丈夫かな」
「あ、どうなんだろうな…元の服もボロボロだったからとりあえず俺のシャツとか渡しましたけど…」
「元の制服ごとかけてしまえばいいのです」
奥の部屋からひょっこりと電さんが出てくる
持っているボロ布は恐らく潮の服だろう
「…電…さん、生きてたんだね」
「電でいいのです、御無沙汰してます」
「とりあえず、先に修復剤をかけよう」
「ぷぇっ!」
「どう?痛みはある?」
「ひょ、表面的には傷は消えたんですけど…まだ痛みます…」
「…そうか、ダメか…」
「……おそらく、使うのが遅過ぎたのです………修復剤でダメなら通常のドッグで休むか、自然に馴染んで回復するのを待つしかないのです」
「…仕方ないか、トキオ、少し潮を頼める?いかなきゃいけないところがあるんだ」
「行かなきゃいけないところ?」
「……曽我部さんにね」
ベイクトンホテル
「ここは大正時代イギリスのギル・ベイクトン氏が自分に託した召使いに外国と交流のためにと託した遺産で建てられた、らしいですよ」
「詳しいんですね」
「前に来た時軽く調べたもので」
曽我部さんに連れられ、エレベーターに乗る
「勝手に進んでいいんですか?とてもしっかりしたホテルの様に見えますけど」
「何度も仕事の話をしにきているので」
最上階でエレベーターは止まる
ペントハウス・スイートと書かれていた
少し先に明らかにボディガードであろう、黒服が立っている
「やあジョンソン、元気だったかい?ほら、君の欲しがってる第二ボタンだ」
そう言って自分のシャツのボタンをむしりとり差し出す、よく見れば変な形をしている
ボディガードはそれを受け取ると曽我部をバシバシと叩きながらボディチェックを始めた
「ボディチェックをされる手間を省こうと思ったのに、これだから…」
次は僕の方に手を伸ばしてきたので大人しく手をあげる
一通り触り、上着を脱ぐ様に言われて脱いだところ、内側の背中の部分から発信機とレコーダーを取り外された
「おや、随分手が込んでますね」
「魔窟に入ると言われたものですから」
虎穴に空手で入ると言うのも、なかなか恐ろしいものだ
扉の先に進むとバーになっていた、
青い空とビル街が一望でき、右手にはバーカウンター、前方のソファ席には1人の外国人女性が腰掛けていた
「待っていたわ、リュージ、あら、そっちは?」
女性は立ち上がることなくこちらに流暢な日本語で声を掛けてくる
曽我部さんから目配せで挨拶を要求された気がした
「倉持海斗です」
「態々すみませんねぇ、本来女性は待たせない主義ですが、ささやかながら仕返しをしたくなりまして…ですが、あなたが一眼見たがっていた勇者を連れてきました」
「…へぇ、あのカイトを…?」
「………」
どうやら2人の仲は良くないらしい
女性はまるで品定めをするように僕を見る
「……思ったより、弱々しいのね、座って頂戴?」
言われるがままに席に着く
「今日も車ですので、ミルクセーキを、倉持さんもどうですか?」
「僕は結構です」
「おや、ここのは格別なんですがね」
何故、この人と僕を会わせたかったのか
「自己紹介がまだだったわね、ヴェロニカ・ベイン、サイバーコネクトサンディエゴの会長よ」
「…サイバーコネクト…CC社の会長…」
少しわかった気がする
「役職よりもこう言ったほうがわかりやすいんじゃ無いですか?私は日本を買った、と」
「あら、私が喋る必要は無くなったじゃ無い」
日本を買った、コレが指す意味は
「…貴女が、海軍の…大本営の実権を握っている…」
「その通り、と言ったところかしら」
…つまり、拓海の殺害も…なにもかも…全て…?
「…あら、弱々しいのかと思ったら、いいカオするじゃない」
「………貴女は、人の命についてどう思っていますか」
「それは人間?それとも艦娘かしら、提督さん……まあ、答えなんて変わらないのだけど、どちらも変わらない、私を楽しませるアクセントに過ぎない」
「アクセント…?」
「私がこの生を楽しむための、ね」
何を、言ってるんだ…?人の命がアクセント?
「倉持さん、こういう人なんですよ、ご馳走様でした、今日は顔見せだけということで」
「あら、相変わらずつれないわね」
「失礼します」
「それでは」
「………顔色が悪いですよ、大丈夫ですか」
「…少し、気分が悪くなりました」
「………倉持さん、アレは人じゃ無い、怪物だ」
「…あんな奴のために…拓海は、火野拓海は死ななければならなかったのかと思うと…」
「……あの女には表に出てない罪があります」
「…倒す策が?」
「それを公の場に出しても、痛くも痒くもないでしょう、証明のしようがありませんから」
「………どんな事を?」
「………量子コンピュータはご存知ですか、黒い森は?」
「量子コンピュータは聞いたことがあります、次世代の計算機器である、位には…黒い森、というのは全く」
「ああ、充分です、くだらない電卓ですから……なんと言いますか、いや、ここでは不味いか…とりあえず、行きましょう」
「簡単に言えば、量子コンピュータと黒い森は同じものです、そして、思っているよりもずっと非人道的だ」
下北沢
「………」
「こっちでは始めまして、カイト」
「ああ、うん、初めまして、司」
「随分と疲れた顔をしてる、それに思ったよりつまらない顔だよ」
「………考えなければならない事が多すぎるんだ」
「知恵を貸そうか」
「頷くことすら怖い」
「……キミは何のために、司を、庄司杏を呼んだの?」
眼前にいる庄司杏は、過去に精神だけをネットに取り込まれ、さらにデータドレインを受けている
精神だけ取り込まれた状態でデータドレインを受けた…それは自分の存在そのものを書き換えられたととることもできる
「成る程ね、そんな事が聞きたいの」
「言いたくない事かもしれないけど、どうしても知っておきたいんだ」
「………確かに、私はそれを受けた、そして……私の意識はデータで作り出されたまやかしなのかもしれないって、悩んだよ…でも、みんな私のそばで、信じててくれた」
「………」
「……信じ続けてあげなよ、みんな苦しいんだ、キミは勇者なんでしょ、諦めちゃダメだよ」
「…勇者、か」
「…同じ質問をしに来た人がいたんだ」
「え?」
「ブラックローズとワイズマン、速水晶良と火野拓海…2人とも、最後の戦いで腕輪の加護を受けられず、データドレインを受けた…」
「…まさか、ずっと悩んでた…?」
「そうだと思う、私の言葉は気休めにしかならないけれど…でも、信じ続ける事、誰よりも信じてあげて、大事な仲間を」
「………もちろん、そのつもりだよ…」
「…ああ、キミ、自分で手にかけるつもりなんだ」
「……この世界は滅びる、だから、正常な世界に戻す必要があるんだ」
「そんなのどうでもいいよ、それに、私はそれを止めるつもりも否定するつもりもない…」
「……キミも死ぬことになるのに?」
「まあ、一度データドレイン…いや、アレは半端なものだったけど、それを受けてから私は私なのか、それとも司なのか…それとも、ただのAIなのか分からなかった…だから、それが終わりの時に、ようやくわかるのなら」
「……」
「…迷うならやらなきゃいい」
「止まらない、託された以上」
「……それは人のせいにしてるだけだよ、それに、本気でやるなら、誰よりも自分が正しいと信じてやりなよ」
「正しい、か……」
正しいことだとは言えない
「キミが自信を無くしたら誰もついてこないんだよ」
「…そうだね、ありがとう、僕は僕のために、いいと思えることのために…戦うんだ」
「カイト」
「…何?」
「私…いや、ボク達は友達だよ」
「うん、ありがとう」
トキオ宅
「潮、帰ろうか」
「はい、おせわになりました…」
「……もう少し良くなるまで居てもいいんですよ、今の状態で歩くのは辛いと思いますし」
「そうなのです、階段で余計に怪我しても知らないのです」
「うーん、タクシー乗り場までおぶさって行こうかと思ったけど、ボクがこけたら大変だしなぁ…」
「おぶっ…さ、流石に恥ずかしいです…」
「俺たちはここに居てもらっても全然構わないので、もう少し良くなるまでゆっくりして行ってください」
「そうなのです、交通費と食費、光熱費だけ置いていけばそれでいいのです」
「い、いや、電ちゃん…?君も払ってないよね?」
「肉体労働してるのです」
「誤解されるからやめて!?」
「…潮、君が選んでいい」
「………ここにいるのも迷惑です、早く治すために泊地に帰ります」
「わかった、もう少し痛いのが続くけど、早く治そうか」
「はい」
「…電、君のことは?」
「知られたくないのです、電はもう戦えませんから」
「誰も戦えない事を気にしない、としても?」
「くどいのです」
「わかった、じゃあ、また」
「またなのです」
「トキオ、電、潮のことを助けてくれてありがとう」
「ありがとうございました」
「お大事に、また来てください」
新幹線内
「提督、アオボノちゃんは…」
「大丈夫、龍驤がついてるし、朧も…怒ってはいるけど、みんな心配してる気持ちの方が強いよ、ただ、漣は…仲が良かっただけに、思うところがあるみたいだね」
「……そうですか…」
「……君達は、姉妹だけど、四つ子みたいな仲だよね」
「あんまり姉とか妹を意識はしませんね…」
「うん、僕もそう思ってた、だけどさ、やっぱり朧は君たちのお姉さんなんだ、意識してかはわからないけど、漣と曙の中を取り持とうとしてる、君のこともすごく心配していたよ」
「…朧ちゃん…」
「……良かったら、落ち着いたらみんなで遊びに行ったらどうかな」
「…ありがとうございます、そうします」