元勇者提督   作:無し

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提督不在鎮守府

鎮守府遠洋

 

勇者 カイト

 

「…やっぱり、これが全てというわけだね」

 

『想像はついていたとでも言いたげですね、忌々しい』

 

「だってその通りだからね、僕はここでお前を倒すよ、モルガナ」

 

『その前に、仮説を聞いて置きましょう』

 

「ことの発端は2020年のあの日、モルガナのコピーの残滓、つまりお前がリアルに打ち出された、しかしデータに、今までデータとしても実態を与えられなかったお前だ、いわば水に姿形はない、だから、お前はこの海に取りつけた、そして、お前と一緒に現れたウイルスバグ、これが深海棲艦の住処を奪った、なぜそんなことをしたか、理由は単純、何でもかんでも襲うようにプログラムされたモンスターのデータだからだ、相手は無敵の化物、勝てない戦いをするほど深海棲艦も馬鹿じゃない、これにより深海棲艦の行動が人間を狙う動きになった、そしてさらにお前は力をつけ始めた、この海の生物に寄生して…ウイルスバグを作り出した、その結果があのプロテクトに守られた深海棲艦だ、不死身の化け物を増やし続けて、何がしたいのかは知らないけど、僕がここで止めさせてもらうよ」

 

『大筋は正解と言ったところ、ですが、お前が止めにくることまで想定されていたとしたら?』

 

「関係ない、ここでお前を倒せば、それで全て解決する!」

 

『なるほど、いいでしょう、ここで死になさい』

 

 

 

 

想定通り、ここまでは…ここからは賭けだ

 

 

 

「雷独楽!」

 

『無駄、と言っても聞かないでしょうね、その子たちはすでに私の手先、お前が不死身の化け物と言ったソレです』

 

パリンと弾ける音がする、緑色のエフェクトが現れる

やはりプロテクトは頑強ではない

 

「…いける…雷々剣の巻物!リプス!」

 

『何が狙いかは知りませんが、ここでお前はすり潰されるように、じっくりと死ぬのです』

 

 

そう、これは勝てない戦いだ、だけどそれじゃあゲームにならない

 

 

『よくもここまでやりましたね、万という数を、私の手駒をまさかお前一人が!ははは!』

 

「まだ…あと一つ…あと一つだけ…」

 

 

だからこれをゲームにしよう、フェアな、勝てる闘いに

 

 

 

「三爪炎痕!!」

 

プロテクトが剥がれ、エフェクトが現れる

これで全ての深海棲艦のプロテクトを破壊した

これで必要な物は揃った

 

『そうか…これが狙いか!まさか全てのプロテクトを…!そしてドレインハートでこの場の全ての手駒を…!」

 

「そうだ!ドレインハート!」

 

腕輪を展開し、データドレインを空に放つ、降り注ぎ、そして、数々の敵を貫く

 

『やめろ!私の…手駒を………クハッ…ククッ…ククククク!………ここまで…ここまで計画通りに進むとは…!これで、これで全て私の思うがままに…!』

 

そうだ、データを改変された、つまりデータとして認識されてしまった、それが故にモルガナは深海棲艦により深い操作のチャンスが生まれる

でもそれは僕にもチャンスなんだ

 

 

「勝つのは僕じゃないけど…お前でもないんだ」

 

勇者カイトが存在する限り、クビアという化け物は必ず現れる

そして、これからどんどん深い夜になり、闇が増す

月明かりで照らされた光も、僅かなうちに消える

 

月が沈み、夜が明けるその瞬間こそ最も暗い

 

 

自分をデータドレインで貫く

この腕輪は、アウラに化けたモルガナの作った偽物、だから暖かくない

 

 

「この仮初の腕輪は返すよ、やっぱりアウラの腕輪じゃないとダメだ」

 

『気づいていたのか…だとしたらなぜ…』

 

「ゲームをする為、そしてこれからが始まりだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇者カイトを、破壊した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工作艦明石

離島鎮守府

 

 

「…ん?なんでこんな時間に明かりが…ここは、提督のパソコンを置いてる部屋…」

 

胸にざわめきがある

ドアを開きたくないと思った、だけどその意思と反対に自然と私の手はドアを開けた

 

何かに貫かれた、心臓を、間違いなく

 

目に映ったのは、提督が、パソコンの前に倒れている姿

 

「…そんなところで寝てちゃ、風邪をひきますよ…?」

 

悪寒、ざわめき、嫌な鼓動

怖い…まさか…

 

 

 

結果として、死んではいなかった

身体だけは

 

本土から呼んだ医者の話では、脳にダメージがあり、目覚める可能性はほとんどないと言っていいそうだ

 

何が起きたのだろう、何もわからない

 

『大丈夫、僕を心配しないで、君がやるべきことは他にあるんだ』

 

…私がやること?それにこの声は…

 

『パソコンを調べて欲しい、君にしか頼めない』

 

 

私の足はもう止まらなかった

 

 

パソコンを調べ始めると色々出てきた

中でも目を引いたのが

 

勇者カイトからのメッセージ

 

これを、みんなに見せるのが私のいまやるべきこと

 

 

 

 

 

 

『いきなりこんな形になってごめん、僕は今からこの勝てないゲームを崩しに行く、僕とつながりを持った全ての人へ、夕暮れ竜の加護のあらんことを、前置きはここまでにしておくよ。

とりあえず、今の君たちならきっとあの不死の化け物を倒せる、約束する、そして君たちにはそれを討ち果たしてもらいたい、僕は暫く眠るけど、君たちの中にいる、きっと助けになるから」

 

 

 

 

 

 

 

「意味わかんない、頭おかしくなったの?あのクズは」

 

「…さあね、でも、本当にアレを倒せるのかな」

 

「…気分アゲていってみる?」

 

 

みんな反応はそれぞれ、提督が倒れたことを嘆くのは、私と朝潮ちゃん、それから曙ちゃんたちくらい

赤城さんや加賀さんは毅然とした態度で混乱が起きないようにしてくれている

 

実際なんでこうなったのかまるでわからない

何があって、提督は意識不明になったのか…

 

「明石ー、どったの」

 

「…北上さん…」

 

「気にしちゃダメだよ明石、提督は私たちの中にいる変態クソ提督らしいから」

 

「…何があったんでしょうか」

 

「一部始終ではないんだけど私は知ってるよ」

 

「…え…?」

 

「私の中の提督が教えてくれたからね」

 

「北上さんの中の提督…?」

 

「変なこと言ってるって思ったでしょ、嘘だよ、甲標的で警備巡回をしてた時の報告だよ」

 

「…何があったんですか?」

 

「提督は人間じゃなかったー!って話さね、なんか赤いダサい服着て、髪も水色に染めて、変なナイフみたいなの両手に持って、深海棲艦とやり合ってたらしいよ」

 

「…それ本当に提督なんですか?」

 

「私が保証するわ、クソ提督で間違い無いわよ」

 

曙ちゃんの目元は真っ赤なままだった

 

「あいつがネットゲームの中にいるときは、その姿なのよ、胡散臭いおっさんと話してたけど、現実にそのキャラクターを持ってくるって話をしてたわ」

 

「…じゃあ、本当に提督が一人で戦ってたってこと?」

 

「おぞましい程の数の深海棲艦と、ね」

 

「そして負けた…」

 

「負けてないわよ、あいつ自称勇者なんでしょ?負けるなんて許さないわよ」

 

「自称っていうかー…思ってるよりすごいかもよ?」

 

「北上さん何か知ってるの?」

 

「勇者カイトは、ネトゲプレイヤーの中じゃPKKに並ぶ伝説だったからねー、世界一有名なThe・Worldというネットゲームの最後の謎を解いた集団、.hackersのリーダー、それがカイト、やったことは知られてないけど、誰もが憧れるプレイヤーだよ、噂では本当に世界を救ったとかいろんな噂があるし…ほら」

 

北上さんの見せたスマホには色々な記事が載っていた

そしてどれもが勇者カイトについて

 

「とにかく有名なことはわかったでしょ?」

 

「…へぇー…クソ提督ってゲームだけはすごかったのね」

 

「ゲームだけなのかな、もし、本当にその現実に持ってくるのが成功して、絶対に勝てない戦いを、本当に崩したとしたら?」

 

「…でも話が不明瞭すぎて…」

 

「物は試しよ、とりあえず出撃してみるわ」

 

「そだね、行ってみよう」

 

 

 

 

「提督、私はどうすればいいんでしょうか……」

 

 

 

『僕が、みんなを助ける…だけど、この世界を救うのは君達だ、僕にできるのはここまでなんだ…』

 

 

 

「私が世界を救わなきゃいけない…?」

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