元勇者提督   作:無し

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妥協

海上

提督 三崎亮

 

『うおおォォォォォォッ!!』

 

ゴレの顔面を鷲掴みにしたと同時に世界が元に戻る

海面にゴレを叩きつけ、引きずる様に滑空する

 

暴れる腕を蹴り飛ばし、迷わず進む

 

もうこれ以外に思いつかない、今此処でやるしかない

 

『何処だ!?何処に…!』

 

一方向に薔薇の花弁が連なって落ちて行く

 

『…そっちか!』

 

今は信じる他ない、仲間の正気を

 

 

 

 

 

 

軽巡洋艦 川内

 

『…退くつもりはない…って訳…?』

 

紋様を纏い、威圧する

 

『当然です…鎮守府にとって、私たち全員にとって…看過できる者じゃない!』

 

『看過できない?ちょっと待ちなよ…那珂が何したの?那珂は誰かを傷つけたりなんかしてないでしょ』

 

『これからが危険なんです…!』

 

大井も冷静じゃない、私もだけど…

迂闊に口を開けば余計な言葉が飛び出しそうになる

 

『神通は罰を受けるべきだし、間違った事をするなら私が止める…それでもダメなんだろうね…』

 

『……当たり前です…』

 

お互いに退けない…か

球磨も、那珂も、みんな止まってる

 

碑文とAIDA両方に頭がヤラれても、獣みたいに理性をなくす訳じゃないなら問題はない…

 

『…薔薇…?』

 

『…何を…あら…?』

 

薔薇の花びらが私と大井の間に壁を作る様に舞う

 

『…どこから…!?』

 

薔薇の出所を探ろうと全員が周囲を見渡す

 

『…アレは…』

 

水平線の向こうから大きな水飛沫を立てて迫る物体が目に入る

 

『…スケィス…!?』

 

『提督!?』

 

『見つけた…!来やがれ…朔!!』

 

飛び上がったかと思えばソレは何かを此方に向け投げつけた

自身の丈を越える…青い巨人を

 

『ッ!?…ダメ!取ラナイデ…ヤメテ!』

 

『何、何が起きてるの…!?』

 

ピンク色の巨人が霧散していく…

その粒子は青い巨人に集まっていく様で…

 

『…成る程な…こうなったか…朔…出て来やがれ…!』

 

 

 

 

 

 

 

提督 三崎亮

 

『………』

 

ゴレが霧散し、小さな人型に集まる

2つに分たれたゴレが、ようやく1つになる

 

ポォーーン

 

ハ長調ラ音

色々な楽器の調律に使われるその音が、今は待ち遠しかった

 

『……ゴレッ!!』

 

青いゴレが光に包まれる

 

ピンク色のゴレは、先ほどよりも大きくなり、此方を見つめる

 

太陽と、月を象った装飾…

2人で1人の碑文…

 

『……コイツはオマケや…ちゃんとやってや…信じとるで』

 

ゴレからAIDAが噴き出す

 

『……成る程な、誰のAIDAだ…?』

 

『ウチを無理矢理に使っとったアホンダラや…』

 

指さされた方を見る

随分と髪が伸びているが…那珂か…?

 

ダラリと力なく腕を垂らし、後ろにのけぞるように此方を見ている

つまり、那珂も感染者だった訳か

 

『じゃあ、たっぷり礼をしねぇとな…遠慮なく来いよ…!』

 

『アアァァァッ!』

 

以前と変わらぬ突進

ゴレは碑文使いが子供だったせいで戦い方まで単調で、回避も容易な…

 

『ハァッ!』

 

直前での急停止と同時にゴレが青色に染まり、無数のシャボン玉が放たれる

こんな見た目でも、一つでも触れればダメージを受けるのだから油断ならない

 

『何ッ!?』

 

鎌で斬りつけて消してはいるが、多い…

 

それよりも、以前とは違う戦法…

それは中西伊織の心が成長した事の何よりの証明だ

 

『じゃあ…俺もやらねぇとな…Helen!!』

 

ゆらゆらと泳ぎながらスケィスと分離し、尾ヒレの部分で泡を弾く

 

ゴレは此方に背を向けて逃げている…

急ぎ詰め寄り、斬りかかる

 

『……甘いわ!!』

 

急遽ゴレの体がピンクに染まり、突進攻撃

 

『クソ!Helen!!ぐぁぁッ!』

 

激しく後方に吹き飛ばされる…先ほどより遥かに強い威力、あれでも分離したせいで力が落ちていたのか…

このままでは少し厳しいものがあるな

 

『良いぜ…来い…来いよ!!』

 

鎌を振りまわし、シャボン玉を掻き消しながら

 

『行くで…望…!』

 

『俺もいつまでも短絡的なやり方じゃねぇんだよ!!』

 

Helenからのレーザーとスケィスの肉弾戦

 

レーザーを防ごうとすれば後方から斬りつられ

此方に来よう物ならレーザーを放ち進路を塞ぐ

 

『鬱陶しいわ!!』

 

『朔!お前この戦いで消えるつもりだな!?』

 

朔は、強い奴だ…

だからこそ、自分が望の重荷になると感じ、自身の消滅を望む…

 

『……当たり前や…ウチは元々おらん存在…今更何処に居れ言うねん!』

 

『望は!お前が必要なんだよ!俺もそうだ!何度だって言ってやる、お前は望にとっても、俺にとっても必要な存在なんだ!』

 

『……やめェや…!ウチは此処でやられて…消える!!』

 

『消さねぇよ…!!』

 

懐に潜り込み、大きく逆袈裟に斬りあげる

 

『終わりだ…!』

 

何度も、何度でも斬りつける

 

プロテクトは叩き壊した

 

『データ…ドレイン…!』

 

AIDAを、AIDAだけを抜き取る…!

 

『ハセヲ…アンタのソレは優しさちゃうで…!』

 

『……わかってるよ…コレは俺のエゴだ』

 

朔は望と居ても良いんだ…姉と弟として…

 

『朔、お前には望の考えてることがわからないのか?思ってる事がなわからないのか?…俺は望じゃねぇ……だから、わからねぇよ…だけどな、望にはお前が必要だ…俺はそう思った』

 

『……わからんわ…ウチにも…』

 

ゴレが、光の粒となって、消えていく

 

『………でも、ウチはここに在りたい…弟離れできてなかったんわ…ウチの方か…』

 

『…それで良いじゃねぇか』

 

『……ゴレは、ウチにはもう必要ないわ、どんどん居らんくなってく』

 

光の粒子が、流れていく

 

『………ちゃんと面倒見たりや…自分の仲間くらい』

 

『ああ、俺から行くのは難しいだろうからな…会いに来てくれよ』

 

『……ありがとな…ハセヲ…』

 

 

 

 

 

 

軽巡洋艦 球磨

 

『……アレは、本当に人なのかクマ』

 

『………バケモンになる人間…ってだけだニャ』

 

『…時間をかけすぎたと思わない?提督は私に味方するよ』

 

だろうな…那珂を殺す?あの甘ちゃん提督にそれはあり得ない考えだ

 

だが、大井は…

 

『そんな事ないわ、提督は私を…』

 

『やめるクマ、時間の無駄だクマ』

 

大井は…物事を正しい目で見られない、自分の正しいを何処までも信用している…AIDAを宿してからはそれが顕著な気がする…

 

『姉さん!』

 

『………那珂、お前…意識は…あるのかクマ』

 

……弱い自分が嫌になる

無かったことにして、日常に帰る選択をしている、うまく行くとは限らないのに

 

『…………』

 

『無いようね…なら…』

 

『やらせないよ』

 

何かが、火をつけて仕舞えば…一瞬で戦いになる…

それだけは止める必要があるのに…

 

思いつかない、頼む、何か思いつけ、思いついてくれ…ことなきを得る手段を

 

「よっと」

 

派手に水飛沫をあげて提督が着地する

 

「いいモンだな、水に落ちねぇなら泳ぐ必要もねぇし殆ど濡れねぇ、さて…お前らはどうなってるんだ?」

 

最悪の、着火剤が降ってきた…!

 

『……』

 

『………提督』

 

「あ?なんだ、大井」

 

…マズイ…どうなるか全く想像がつかない…

 

『提督は私の味方ですよね?』

 

「味方って…どう言う意味だ?俺らは同じ鎮守府の仲間だろ、なぁ球磨、川内…なんだ?この空気」

 

…いや、お前はこの現状を理解してないのか?暴走した那珂と神通を諫めて連れ帰るために来たんだろうが…!というか自分のとこの問題が終わったら「はい平和」じゃねぇんだよ!終いにはブッ殺すぞ!

 

……と、キレたいところだけど…

 

『意見具申致します、暴走した那珂、並びに神通を処刑するべきだと』

 

言いやがった…とうとう…

 

『……提督、提督がなんて言うとしても…やらせないから…』

 

「……いや、別にそんな話通すわけねぇだろ…おい、神通…だよな?神通!お前も来い!」

 

『カオスにダークサイドを突っ込んでダークマター作るのやめてくれクマ…!』

 

『…ニャ…一触即発の空気ニャ…』

 

『…なんで…なんで私の言うことを聞いてくれないの…?ねぇ、提督…私の思い通りにしなさいよ…』

 

「…いや、流石に那珂や神通を殺す理由なんてねぇ、そんな事認める訳ねぇだろ…苦労かけすぎて疲れたのかもしれねぇが……」

 

提督は大井の異常性に気づいてないか…

一度ついた火は大きくなるばかり…

 

『……』

 

「おい、大井…お前、AIDAに侵食されかけてるのか?」

 

『……そんな事…!』

 

「だとしたら頭に血が上りすぎだ、一回落ち着け」

 

 

 

 

 

提督 三崎亮

 

しかし、大井がこれじゃ話にならねぇな

下手に何か言えば一気に拗れそうな雰囲気だ

 

「…大井、一度退がれ」

 

『お断りします』

 

「……お前まで暴走してどうする、お前の考えを聞く以前の問題だろ」

 

『……私は鎮守府のためを思って!』

 

「その鎮守府には誰がいるんだ?此処に居ない古鷹や由良、春雨達か?それともお前達球磨型だけか?違うだろ、お前が排他的になりやすいのはよく知ってるが…AIDAに振り回されすぎだ」

 

『…私は…私は!!』

 

何を焦ってるんだ…?

大井の考えが読めない…いや、感情に身を任せてるのか

 

「大井、落ち着け、AIDAは碑文同様に心の闇を増幅させる…もっと落ち着け」

 

『……落ち着いてます…』

 

「…なら少し待ってろ、後でゆっくり話せる」

 

自分の口から出た言葉には責任を持つ奴だ…流石に今の一言に責任を問うつもりはないが

 

「川内、説明しろ」

 

『……那珂も、神通もAIDAと碑文が同時に出てきて…いきなり宿った力に困惑して…こんな事を…」

 

「こんな事ってなんだよ、しっかり説明しろ、神通と那珂の命はお前にかかってるんだろうが」

 

「そんな…!」

 

「そんなも何もあるか、お前は姉なんだろ?……いつまで護られてるんだよ」

 

「………」

 

…まだ、早かったか…だが、もう退けない

 

「神通も、那珂も危険性はない…私の命を賭けてでも…それだけは誓える…!」

 

「他の仲間をお前の不確かな推測のために賭けるのか?」

 

「………2人は…」

 

立ち向かってくれ

 

「…………2人とも、ただ不安に押しつぶされそうになったから、力を求めただけ…充分強いんだ、それさえ伝わってくれれば…暴走する理由なんかなくなる…」

 

「じゃあ、今は暴走するかもしれないって事か?」

 

「……うん、だけど…そうなるなら私が止めてみせる」

 

「…できんのか?」

 

那珂が此方を見る

不安そうな顔をしている様に見える、それはゴレを急に失ったからか?それともこれからの事か

 

「………少なくとも、那珂は何もしてないんだ、まだ誰かを傷つけたりした訳でもない」

 

そうだ、それにAIDAも消えている、碑文の力も朔が全て奪った

 

「…なら、那珂は放免でいいだろ、次は神通だ」

 

「………私が直接佐世保まで連れていく、どんな罰でも受けさせるから…」

 

そうなるのが道理だろうな、俺には佐世保の奴らがどうするのかまで把握できねぇし、何より俺が罰を与えたところで納得もしないだろうしな…

 

「神通はそれを受け入れるのか?」

 

『…………』

 

こっちはそうは簡単にはいかないか

 

「神通、お願い…私は神通に居なくなってほしくないよ…!お願いだから…!」

 

『………』

 

「神通、一度戻れ、別に首輪をつけられる訳じゃねぇんだ、此処で考えるより戻って考えろ」

 

『………わかりました…」

 

 

 

 

 

 

 

「………大井は仕事をさせてる間は静かだな」

 

「…困ったもんだクマ…」

 

「早いとこ話を進めよう、神通、那珂」

 

「………先に聞きたいんだが、2人ともそんな姿になってるのはAIDAの影響か?深海棲艦になってるのはわかる、春雨を見てるからな…AIDAのせいでそうなってるのか?それとも深海棲艦になったからAIDAに感染したのか、どっちだ?」

 

「………AIDAが先…としかわからない…」

 

つまり、AIDAに感染した、そして気づけばその姿になった…深海棲艦はAIDA感染者が暴走した姿なのか?

 

「そんな事より…もっと他に話すべき事があるクマ」

 

「……だな……川内、お前は強いのか?」

 

「え?」

 

「どうなんだ?」

 

川内は、ずっと暗闇に怯えていた、その弱い自分と訣別するなら、今だ

 

「………強いよ、私は」

 

「神通、那珂…お前達が暗闇から護ってた弱い川内はもう居ない……」

 

「………知っています、だから…」

 

「だから、力が欲しかったのに…」

 

やっぱりそうか、コイツらは朔と同じ事を考えた…

 

「だったら大間違いだよ…!なんで…!」

 

「姉さんにはもう私達は要りません、私達より強くなって、私達が要らない…それを私達は受け入れられない…だから私達は…」

 

「…守ってやるだけが姉妹じゃねぇだろ…」

 

「提督に何がわかるの!?私達は強くなっていく川内姉さんにずっと置いていかれて…」

 

「川内がいつお前達を置いて行ったんだ、お前達は置いていかれたと勘違いしてるだけだ」

 

「………」

 

「……私には、2人が必要なんだよ…私が戦えなくなった時、守ってくれたのは2人だった、此処に連れてきてくれたのも、此処にきてから私を助けてくれたのも…!」

 

「…それは恩義であって…必要、ではないんですよ…」

 

「なあ、俺は兄妹なんて居ねえけど…なんでお前らは一緒に居ることの理由を探してるんだ?お前らは姉妹なんだろ?それだけで充分だろうが」

 

「…そんな訳…」

 

「神通、那珂、お前らは川内が嫌いか?嫌で離れたいなら川内の意見を無視して異動でもなんでもさせてやる」

 

「………そんな事は…」

 

「嫌いになったんじゃなくて…」

 

「じゃあ、別に離れなくていいだろ、なぁ、球磨」

 

「…何でこっちに振るクマ……はぁ…お互い拒絶してる訳じゃない…それがお互いの為を思っての行動の結果であるなら…別に離れる意味はない…と思うクマ…」

 

「だってよ、流石5人姉妹の長女だな」

 

「………」

 

「川内がお前らを軽んじたように見えたのか?それなら川内を殴り飛ばしてやればいいだろ」

 

「ちょっ」

 

「神通、那珂、お前らは川内の妹だろ?何でいつまでも姉に気を使ってるんだよ…妹なんだから、甘えればいいんじゃねぇのか?」

 

「………」

 

「…神通、那珂…」

 

「………」

 

「2人とも私いないと生活できないもんね」

 

「おい」

 

「いや、そっち方向に持っていかないでくれませんか?」

 

「那珂ちゃん心外なんだけど」

 

「今ちょっと軌道修正終わったとこだったのに何で脱線させるクマ…!」

 

「だった2人とも料理も洗濯も掃除も、何もできないんだし?」

 

「お前なぁ…!」

 

「ほら、せっかくご飯作っても2人分余るじゃん…掃除の時間とか、洗濯の時間もね…だからさ…帰ってきてよ、私1人じゃ寂しいからさ……」

 

「………那珂ちゃん、もっと濃い味付けがいい」

 

「私の本棚の配置を勝手に変えないでくれるなら……」

 

「………クマぁ…」

 

「やめとけ、本人達なりの妥協点を作る事で帰ってやる、と言う形にしたいんだろ……と言うか今下手に拗らせたら俺ももう我慢できねぇ…」

 

「………明日から疲れるクマ…もうすでに疲れてるのに……」

 

「…万事解決、は…先の話だろうな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駆逐艦 曙

 

暗い…

私の視覚は光を感知してる

 

私の脳は……働いてる…?

 

「東雲、務めだ」

 

「はい」

 

涙が流れる、止める事もできない

悔しさや、悲しさに私の心は反応してしまう

 

確かに私は死んでいるのだ、死んでしまったのだ

 

なぜ私はものを思う事ができる?

 

確かに、あのマフラーを焼いた時…私の心は…完全に…

 

そう、私は、マフラーを、焼いた

提督が用意してくれたものを焼いた、私が壊した

 

私が壊してしまったんだ

 

脳に伝達される触覚、味覚、視覚、聴覚、嗅覚…

全てが伝達される、嫌がろうが何だろうが…

 

汚物を処理すれば鼻の曲がりそうな臭いを嫌な顔一つできずに鼻呼吸で受け入れなくてはならない

 

犬の餌を出されれば私の体は疑問を持たずに食さねばならない

 

見たくないものを見ながら、引き金を引かねばならない…

 

触れたくないものを…触れなければならない…

 

聞きたくない命令や計画を聞かされ………肯定しなくてはならない…

 

私は、此処のそこまで私である事を失った

 

体の全てを失った

 

「涙だけが流れるとは、中々面白かったな」

 

「ありがとうございます」

 

やめろ、そんな言葉を発するな

私の口はそんな奴に……

 

吐き出す事もできない

暴言一つ吐けない

 

全身をかきむしりたい、この身体を…消し去りたい

 

私は全ての感覚へ抗う術な受け入れ続けなくてはならない

 

私の意思は…体のどこへともいく事がない、ただ、頭の中に埋め込まれたチップが…意思や、考えなんか無視して…

 

「提督、東雲をお連れしました」

 

「呼んだ覚えはないが?」

 

「少し気になりまして…ベロニカ様が庇う勇者について…この子の口から話したい事があるそうです」

 

「ほぉ…!」

 

やめろ…やめろ…!

 

「倉持海斗は、大本営に火野拓海を殺されたと思っており、強い憎悪を抱いております、そして前々から叛逆的姿勢、報告書の改竄を何度も行なっております」

 

ああぁぁぁぁぁ!!やめろ!やめて!もうやめて!

喋らないで!お願いだから!

 

「成る程な、細かい聴取は大和、貴様が行え」

 

「わかりました………では、その様に」

 

ダメ、やめて…もう、これ以上は…いや、すでにもう遅い…

 

私が…提督を……殺すんだ…

 

 

 

「さあ、詳しくお話を聞かせてください」

 

「大きい改竄から」

 

わかる、それだけはダメ…

それだけは言わないで…

 

「あそこには暁型駆逐艦、暁、響、雷、青葉型巡洋艦、青葉、衣笠、夕張型巡洋艦、夕張、以上6名が隠れています」

 

ダメなのに…私の意思を無視して、記録だけが口から出ていく

私は全て、話す、拒む事も、死ぬ事もできずに

 

「…それは…横須賀の…?」

 

「はい、逃亡して来たようです、それと前々から報告していた北上は全く使えない存在になってしまいました、こちらは碑文使いという存在との交戦による結果とされています」

 

………もう、全て…終わりなの……?

私は…私には…なにが残さ、どう…あれ…?

 

私って、何だっけ…

 

 

 

 

 

 

 

 

宿毛湾泊地

提督 倉持海斗

 

「………最近、沈んだ表情ですね」

 

「…まあね、何か報せ?」

 

「はい、こちら…パーティーの招待状です」

 

「…パーティー?」

 

ヴェロニカ・ベインからの…

ベイクトンホテルへの招待状は…波乱を呼ぶ気がした

 

「………これ、他のところにも届いてるみたいだね」

 

「他って言うと…?」

 

「呉、佐世保、舞鶴、横須賀…あとは新鋭の施設も幾つか…海軍との関わりを隠すつもりもないらしいね………艦娘を3名連れてこいってさ…」

 

「………提督」

 

「わかってる、これに主力メンバーを連れていくつもりはないよ…でも…誰を連れて行こうか」

 

「…天龍さんはどうですか?礼儀正しい方なので…」

 

「うん、問題は無い、と思うよ…あとは…」

 

2人、思い浮かんだけど…

 

「………その2人でいいと思いますよ、きっと」

 

「……うん、じゃあそうするよ、曙と北上を連れていく…摩耶と阿武隈を泊地に残すローテーションにしてね」

 

「わかってます」

 

「………それと…念には念を…かな」

 

ヘルバを頼る…しか、ないか……

 

 

 

 

 

 

 

 

舞鶴鎮守府

提督 徳岡純一郎

 

「へぇ〜…って、簡単に受け入れる訳にはいかねぇ…んだ、けど…なぁ…や、弥生?戻ってこーい?」

 

「………や…です…お願い、します…」

 

「お願いします、僕を此処に置いてください」

 

「……どうしろってんだ、俺に…」

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