元勇者提督 作:無し
倉持海斗
「……っ…ぁ………」
ここは…どこだろう…
車の中…?他に誰もいない…何で僕は車で寝ているんだろう
森?山…?
周りは木がたくさんある
鉛の様に重い体を必死に動かすたびに痛む
腹部、顔面、腕、首…そこかしこが痛い…
脚にも怪我をしている様だった、未だ血が流れてる
……そんなことより、何かを、忘れてる様な…
………ダメだ、思い出せない
今日はよく冷えるな…
また、眠くなって来た……
「っ!!」
次に目が覚めた時、目の前には焚き火があった
「……え…?」
「お目覚めになられましたか…よかったです…!」
「…天龍…?」
真っ暗な闇の中、焚き火だけが当たりを照らす
よく見たら、たくさんの人が眠っていた…
両脇には、北上と曙…曙…?
「……曙…!」
「動かないでください、傷に触ります」
「……曙は…?」
「…と言いますと…?」
「………東雲と名乗ってる方の…曙は…どうなったのか、教えて欲しい」
「………提督への暴行の後、何かを聞かされ…どうやら碑文使いとして目覚めたそうです」
「………何かを…」
思い出せ…あの時僕は確かに聴いた…
「…そうか、編集した音声だ……あの時の僕の声を継ぎ接ぎにして編集した音声を聴かせてたんだ…なんていってたか覚えてないけど…それだけは思い出せた…」
「……碑文使いとは、強いショックで目覚めるそうです」
「…強い…ショック………待って、じゃあ…」
「…提督…?」
「生きてるんだ…曙はまだ、生きてたんだ…!」
一瞬の喜びが、すかさず焦りに変わる
そうか、曙は…僕が曙は死んでいるなんて言ったから…だから怒らせたのか…
曙は誰より賢い、だからこそきっとAIチップとやらが埋め込まれてから自分自身を見失い、ずっと不安だった筈だ…そんな時に僕は曙に否定的な言葉をかけてしまった…
誰よりも辛い時に、1番傷つけてしまった…
「…何をやってるんだ…僕は…」
「……提督」
「…何かな、天龍」
「私は人の心に敏感ではありません、思い詰めて悩めるほど優しくはありません」
「誰もが自分のことで精一杯なんだ、当然だよ」
「その通りです、それで良い…と私は思います…提督も…」
「………僕にも、立場があるから…」
「…分をわきまえない、発言で申し訳ありません…しかし、提督は、まず自分のことに目を向けられるべき、だと私は思います」
「…そう見えるかな」
「………はい…あの、私達は…提督にとって…重荷なのでしょうか」
「そんな訳ない、僕が頑張りたい理由が君たちなんだから」
でも、また気持ちが揺らいでしまった
僕個人の感情を優先したくなってしまった
仲間を取り戻したい…それだけなんだ…
「……提督、私、着任した時に明石さんに言われたんです、性格に異常があるかもって」
「…話に聞くより大人しい子だな、とは思ってたけど、それが異常だなんて誰も思わないよ」
「………私、一度沈んだ事があります」
沈んだ事がある、つまり…一度死んだ、というふうに捉えても良いのか
「翔鶴さんや蒼葉さんの話を聞いて、羨ましいとも思いました、私は…自分自身を信じられませんので」
「……?」
「輪廻転生って、信じてますか?」
「…生まれ変わり、という事で良いのかな」
「………それで構いません、私、沈む前は戦艦だったんですよ」
「…戦艦…」
「…それが、また新たに生き返ってみたら…時代遅れの…軽巡洋艦…で……」
「………」
世界を再誕させる、そして全員を一度殺し、再誕させる
こんなカルマを産む事になるのか…
「…別にいまに不満があってこんなことを言うんじゃないんです……でも、頑張りすぎないでください、私たちの庇えるところだけで頑張ってください……私も、こんな私でも……役に立ちたいんです…」
何と答えれば、良いのだろうか
「…やさ、しいね…」
声が詰まる
どれだけの想いが有ったのだろうか
駆逐艦 曙(青)
全部、聞こえている
天龍とクソ提督の会話も、全部
なのに、頭に浮かぶのは…もう1人のカイト
私が何もできなかった時、戦っていた…あのカイトが…いや、島風が
羨ましいとか、妬ましいなんて事はなくて
純粋な尊敬、憧れに近かった
まだ、足りない、もっと強くならなきゃいけない
次は間違えない為に…
次こそ、道を違えない為に
限界なんてものはない、今決めた
限界が私の邪魔をするなら、斬り裂いて、追い抜いて…戦う
北上と目が合う、起きてたのか…
「……アンタにも、負けないから」
…何で笑顔で返すのかは知らないけど
やれる事をやるじゃダメだ、とことんやる
駆逐艦 東雲
成ってしまった、叶ってしまった
望んでた力を手に入れてしまった…
ならば、進む他ないのに
私の道標は失われた
「東雲」
体が強張る
そうだ、なぜ私の体は、動くのか…私の意思のままに
「私の手を取れ、そして、忠誠を誓え」
何故、貴方に…
ーモノでしょう、曙、は、力でしかないー
頭の中で何度も反芻する
やめて、もう聴きたくない
「東雲、貴様は自分の意思で拳を振るい、自分の意思で殺そうとした、違うか」
「…ちが……」
言い切れ、早く…揺さぶられる前に…!
「…ああ、言い忘れていたがな、AIチップはオンオフが可能な代物でな、今日の会では…ずっとオフだった」
「…うそ…!そんな…わけ…」
「……東雲、私の気持ちをよく考えて欲しい、何故あんな事をさせたのか、それは君の前任の提督の危険性をよく知っていたからだ、君の気持ちを玩ぶあの男の事をな」
「………」
…そんなわけが…ない……
「私はお前を愛そう、案ずるな、決して見放す事はせん」
やめろ…やめて…
「ほら、おいで」
動くな、頼むから…
やめて…もう、何も信じたくない…
元帥
「チョロいモノだな」
「名演でしたね、主演男優賞でしょうか」
「ハハハ、良い仕事だった、綾波」
「お褒めに預かり光栄です、と言っても雑な編集でしたけど」
「冷静ならば気付いただろうな、だが、一度信じたら疑う事を知らん…我々の勝ちだ」
「…しかし、まさか碑文を発現するとは」
「まだだぞ、あれは実験材料にするには惜しすぎる…」
「残念この上ありませんねぇ…しかし、良くあんな作戦を……」
「作戦?あれが?あんなの寸劇ではないか」
「確かに、お粗末すぎますからね…しかし、あはは、あー、馬鹿馬鹿しい、心の底から愛した相手と言うのを、ああも簡単に殺せるのですね?」
「嫉妬…いや、失望か?裏切られたと言う心が強く出ているのだろう、私としても感情が残っているまではわかったが…意識自体が残っているとは思わなんだ」
「愛は重そうですねぇ?」
「結局は玩具に過ぎんよ、この世で最強のな…!」
「ではその玩具を拾うお手伝いをした私にも褒美をください」
「ほう?なんだ、言ってみろ」
「黒い森の一端を」
「……分を弁えず、そんな発言を許されると思うか?」
「…嫌だなぁ、冗談じゃ無いですか、私は力さえ手に入れば良い……それを試す実験相手も…」
「…それなら用意してやろう、一時的なドーピングに過ぎないがな」
「充分です、件の脚技師も、やりたいですけどその前に隠れ蓑ってとこですかねぇ?」
「殺せばお前の手柄にしてやる、好きに遊べ」
「あはっ、綾波頑張りま〜ス」
「オリジンの追跡も怠るなよ、倉持海斗が吐かなかった以上、どんな犠牲を払ってでも手に入れなければならない、サイバーコネクトの魔女にいつまでも良い様にされるのは気に食わんからな」
「あれが魔女なら私達はなんなんでしょうねぇ?」
「悪魔さ、国を守る悪魔」
「じゃあ悪魔らしく拷問にでもかけますか?」
「…いや、やめておけ、あいつを拐えば宿毛湾泊地の戦力が一度に流れ込んでくる、万が一他のところがそれに乗って二正面作戦になった場合のリスクが大きい」
「そんな人望ありますかねぇ?あんな役立たずに」
「案外そう言うのに惹かれるマヌケが多いんだ」
「そうかもしれませんねぇ、でも、結局は烏合の衆ですよ」
「失礼します、大和です、宿毛湾泊地を調査した部隊が帰投しました、発見できなかったそうです」
「…そうか、まあ良い、月の樹への攻撃部隊は」
「…全滅です」
「チッ、役立たずばかりでいかんな」
「申し訳ありません、失敗した者は?」
「殺せ、いくらでも換えが効く上に顔が割れてる密偵など……」
「かしこまりました」
「佐世保の方はどうだ」
「……碑文使いに阻まれました」
「…何…?碑文使いだと?」
「残念ながら、そちらも全滅です」
「……チッ」
提督 徳岡純一郎
「黒い森…って、あの都市伝説か!」
「……都市伝説なのでしょうか、あれは…俺にはそうは思えませんね」
なんとか埼玉の方面まで逃げ延び、やっとこさ空いている銭湯に飛び込む、この真夜中ならさすがに手は出されないだろう
「…黒い森、人の脳でできた森……」
「……やめろよ、こんな真夜中に怪談なんて、壁の向こうのガキどもが眠れなくなっちまう」
「……徳岡さん、俺は…本当に黒い森があるとして……それを管理してるのは、CC社じゃないかと考えています」
「……あれは民間の企業だろ…!ありえねぇ…」
「…母体が違うとすれば?第一次ネットワーククライシスから生き残り続けた最大のOS、ALTIMIT…そのALTIMIT社に……今日、あの場にいたヴェロニカ・ベインが在籍していた事は良く知られています」
「…話が見えねぇよ…」
「CC社はいろいろな国に支社を置く一企業だが…ALTIMIT社は?…もし、そうなら…現CC社会長ヴェロニカ・ベインは…どうなんですか」
「………悪い冗談だ」
簡単に言えば…アメリカの裏工作…と言うことになるのか…
「一番たちの悪い冗談が一つだけありますよ」
「…なんだよ」
わかっている、が…それだけは想像したくない
「ヴェロニカの単独の計画である場合です、全てがあの女1人の手に収められていたとしたら?…国とか、そういうものじゃない……1人の、欲望や悪意…それのために起こされた戦いなら……この戦いの終わりは、最悪な物になる可能性が高い」
「……国が動いてるなら、国民の為とか、体裁だのでなんとか終わらせることもできる、表向きは……だが…個人が国家を…相手に…」
「相手に取る必要はない…買収すれば良い…それも、目標達成の瞬間まで利用できればそれで良い……俺の予想でしかありませんが、腕輪じゃなく……オリジンを狙っているのは、元帥だけじゃない」
「……なぁ、俺ら、帰って良いのか?冷や飯を食わせるなんて話じゃねぇ……俺らは、帰ることで…ガキどもを殺す事に…クソッ…NABの奴らは肝心な時に助けてくれねぇ…か」
「……頼れるのは自分と、信頼できる部下だけですよ」
「…それはお前もか?」
「お互い、退路はない…守るものもある…」
「……守るものがあるやつほど…弱いんだよ…」
「おう、五月雨も出てきたか」
「お待たせしました、みんな今出てきます」
「…この時期は冷える、ちゃんと暖まったか?」
「お気遣いありがとうございます、大丈夫です」
「…そういや、お前んとこの…1人足りないよな」
「大丈夫です、優秀な奴なので」
「……信頼できる部下、か…」
「提督、お待たせしました」
「………徳岡さん、どうします…」
「………コイツらだけ帰らせるのが…一番良い気もするがな…」
「…やはり考える事は同じですか、ネカフェくらいなら空いてるでしょう」
「…提督…」
「瑞鳳、龍田と共に佐世保に帰れ、舞鶴のメンバーも送るように」
「…本気ですか…」
「悪いな嬢ちゃん、俺らは仕事ができちまった」
「提督!」
「五月雨、お前はドジだがやる時はやる奴だろ?な、頼むから言うこと聞いてくれよ…オジさん困っちまう」
「…提督、私達は艦なんです…舵を切る人が居ないと…!」
「お前達は人間だ、自分の進む道は自分で決められる…良いか、瑞鳳…俺達は帰っても問題ないと言うことがわかるまでは戻らない、お前達がなんと言ってもだ…」
「………私達は人間じゃ…」
「お前は人間だ、じゃなければなんだと言うんだ」
「………」
「…瑞鳳…?」
「渡会、お前だけでも戻るか?カミさんが待ってんだろ」
「……危険に晒すわけには行きませんから」
提督 三崎亮
「…くっ…あぁ…よく寝た、はぁ……こんな青空の下で目覚めるなんてなかなかねぇよな」
「……嫌な夜だったねぇ…」
「おはよう、ハセヲ」
「…これ、朝御飯、北上と天龍が買ってきてくれたよ」
「…そういや麓にコンビニがあったな…つーか…起きてて大丈夫なのか?」
「うん、寝てる方が辛くて…」
「……コルベニクを発現しやがったぞ、アイツ…」
「…そっか…僕のせいだね」
「おい…そういうのはやめろ」
「……事実さ」
「お前、何する気だ…人殺しの目しやがって…」
「………想像通りだよ」
「お前がそんなことしたところで…苦しむのはお前の仲間だろ…!?」
「根源から絶つ…必ず…」
「あー、おはようございます、おふたりさん…もうちょっと明るい話題しない?」
「…なんかあんのかよ…」
「少なくとも指名手配はされなさそうだってことくらいか、月の樹の連中からの情報通りなら…その動きはない」
「……じゃあ、さっさと帰るか」
「………」
「その前に、人の事顎で使っておいて何も無しな訳ないでしょ〜?」
「曽我部さん、ありがとうございました、今は持ち合わせがないのでまた今度に」
「…大丈夫大丈夫、俺は勇者サマみてーな徳の高い相手には優しいから…それよりも、ほら、なんか情報吐けよ、死の恐怖サン」
「……チッ……呼んだのはカイトだろ…川内!」
「はいはーい」
「…お前が見たもんを、この場で、全員に報告しろ」
「……えー……気分のいい話じゃないからね…?…じゃあ…」
軽巡洋艦 川内
「私はあのホテルを短い時間だけどいろいろ調べてきたんだ、まず一つ上の階…そこでも銃撃戦があった、それも私達が呑気に話してる時にはもう人が死んでたんだと思う…冷たい死体もあったしね……でもさ、なぜか私達はその戦いに気づかなかった、1フロア違うだけで真上…爆発痕とかもう明らかに馬鹿みたいにやり合ってたのにね」
そう、消音銃でもないのになぜか気づかなかった
「明らかにおかしいからさ、何回かここに入り直して調べてたんだけど…空気が違った、比喩とかじゃなくてね…具体的には、海と同じ空気…あそこだけ、データがあるみたいな…こう、なんで言えばいいのかなぁ…思ったものを具現化できそうな空間だったわけ…伝わらないと思うけど、一回質問は待ってね……なんで気付かない事に繋がるかっていうと…バリアみたいなものが貼ってあったの、あの辺りだけ…で、それまで私はてっきり別の何処かの襲撃があった…そう思ってた、実際正しかったけど……」
でもあのフロアの戦いの痕は別
「………はぁ…ちょっと待って、落ち着かせて」
動悸が激しくなる
「…デジタルリアライズ…って伝わる?ネットの中のものをリアルに持ち出す技術…それを使って、銃弾や爆薬をいくらでも取り出せるんだよ…ふざけてるよね、それから…例えば、人間が取り出せたりして…」
あそこに転がってた死体は確かに本物の人間だと思われるものばかりだったけど…
武装も同じ、外国の傭兵みたいな身なりなのにタグも持ってない…違和感がありすぎた
「…その人間がさ、例えば…化け物みたいに強いやつまで取り出せたらどうかな………怖くない?冗談とかじゃなくてね…私、さらに上の階も調べたし、元帥と会長の跡もつけた…」
胃酸が上がってくる
私の頭の中である仮説が組み立てられ、それが結論つけられてる
「…5階のなんていうか、薄暗くて物々しい部屋…そこでさ、変なパネルがあって…それを見たの、これ…私が見たものそのまま写したメモなんだけど… hippocampus、Cerebral cortex…発音すら意味わかんないし…どうしたもんかなって思いながら他のところも見てた… brain stem…これは読めたよ…ブレイン、つまり脳…もしかしてこれは全部人間の体を…繋いで管理してるのかなって、それで急いでそれをメモしたんだけど、ドアが開く音がしたからすぐに隠れたんだよ…」
半日前
「NABも面倒ね、何度ここに人を送り込めば気が済むのかしら」
「ヴェロニカ様、森の出力が回復しつつあります、この調子ですと3月までには本来の出力に戻せるかと」
入ってきたのはヴェロニカ・ベイン、と…ホテルマンらしい格好の男…
「完璧なシステムね…脳だけを取り出し、量子コンピューターの一端として働けるなんて、この子達も幸せでしょう」
「老化が進んだものはいかがいたしましょうか」
「使い捨てていいわ、死ぬ間際のそれはそこそこな効力があるし、使ってあげなさい」
「かしこまりました」
わからない単語があったけど…人を殺す相談なのは間違いない
……助けられなくて悪いね
どうにか早く脱出しなきゃ…
「あの東雲も早く脳髄を取り出してしまいたいのですが…あれにAIチップを埋め込むなんて本当にもったいない」
「時期を見て連れてくればいいのよ…資料通りなら…数百人分の価値がある…それにしても、素敵じゃない?このままいけば食料問題、温暖化、人口の減少…全てが解決する…」
「ヴェロニカ様だからこそできた事です」
「ネットのものをネットに接続する、簡単な事よ…艦娘というシステムも、もうすぐ終わりを迎えるわ」
システム…?
どういう意味だろう
「もう少しで、私はオリジンを掌握できる…そうすれば私は永遠を生きる事もできる…永遠に、王に君臨できるのよ…なんて素敵な話かしら、まさかリアルとネットの境目がこんなにあっさり消えるなんて…」
リアルとネットの境目が消える…?
永遠の命…?
頭がヤバいやつなのは間違いないけど…考えてる事はもっとやばそうだね…
しかし、薄暗いなぁ…足元もよく見えないし…この無数の柱も一体…
そう思ってると急に周りの照明が付く
「ひっ…!?」
柱だと思っていたそれには液体が入っていて…よく知られてる脳と呼ばれる人間の体の一部が浮いていた
全部、100とかじゃ足りない数だった…
その時ようやく理解した、さっきのパネルはこれだったのかって、数字も一緒に書いてたけど、一番少なくても6桁はあった…つまり、ここ以外にも大量の脳を保管してる場所がどこかにあるって事だった…
「…今、人の声がしなかった?」
「ああ、機械に取り付けた拡声器の誤作動です、たまに電源が…まだ完全なシステムではないものですから」
「そう、ならいいわ、私は部屋に帰るから後はよろしく」
「はい、勿論です」
残るのか…なら、1人を尋問してもいいね
「な、なんだ…?」
「ッ!!」
スケィスが暴れた…というか、この感じ…別の碑文使いがいる…神通じゃない……誰…?
「しょ、照明が…!」
今なら抜けられる!
「何者だ!」
マズイな、廊下にもいた…しかもアレは武蔵…さっきの感覚…コイツが碑文使いなら…?
気付かれるのはまずい、ならば駆け抜ける!
「クソッ!大和!そっちに行ったぞ!」
前方にもいる…?なら…
「…スケィス!』
下へ逃げるしかないよね、大穴開けちゃうけど
「こんな感じでさ、何とか逃げてきたわけ」
「…黒き森って奴か…」
「……ナニソレ」
「都市伝説で…人の脳みそで作られた黒い森が有るってな…」
…そんな事より、私は…私の仮説通りなら…艦娘は…
「……クソッ胸糞悪ぃ…」
「………急がないと…」
「倉持さん、アンタの焦りはわかるが…アンタはそういう立場じゃないだろ」
「……僕には力がありませんから…できることは何でもやらなきゃ」
「焦って巻き込まれんのはあんたの部下だろうが」
「こっちはすでに巻き込まれる覚悟してんのよ…!」
「………なぁ、ここは一つ…共同戦線ってのはどうだ?」
「共同戦線…?」
「カイト、あんたは世界を滅ぼす…俺は世界を救う…それがお互いの目的だ」
「……」
「……ヴェロニカの目的は、こうも形容できるだろ?世界征服」
「…成る程、アンタらでそれを防ごうってか…」
「………わかった、乗るよ…どのみちアイツは倒す…」
「その為に、海をこっちのもんにしなきゃならねぇ、向こうが何をしようとも…海だけは守れ」
「その狙いは」
「退路だ、生き残りさえすれば…たとえ1からでもやり直せるんだからな」