元勇者提督 作:無し
宿毛湾泊地
提督 倉持海斗
「岩川への援護は任せたよ、強力な敵であることだけは間違いない、一層の注意を」
「了解!腕が鳴りやがる!」
「ちゃんと約束守りなさいよ、居ないからって無茶しない事、何かあったらすぐに無線で知らせる事、1人で思い詰めない事…わかった?」
「心配性だなぁ…大丈夫だよ」
「そうさせたのはどこの誰でしたっけ?」
「………何も言い返す事はないよ、ごめん」
「さて、じゃあ出撃メンバー!旗艦アオボノちゃんッ!」
「…やけにテンション高くない?…いいけど…」
「次、摩耶さんと加賀さん龍驤さん、阿武隈さん、イムヤさん!」
「いやアタシらはまとめんのかよ」
「って事でぇ!よっろしくぅ!」
「……明石さんが壊れた…」
「壊したのは提督だろ?ほっとけよ、それより保険入ってたっけ」
「保証の適用外じゃない?自損事故でしょこれ」
「言いたい放題だね…」
「そういうのいいから、早いとこ行こうぜ、こうしてる間にも向こうじゃ何が起こってるかわからねぇんだ」
「…気をつけてね、本当は僕も行きたいんだけど…」
「まだ無理だろ?無理すんなって」
「全力で戦えるようになったら、一緒に戦ってあげるわ…」
「……待っててね、すぐ治すから」
「……行った、か…」
「行ったか…じゃないよ、本当に今日はどうしたの?」
「あー、その、ちょっと工廠まで来てもらえますか?」
「……いいけど…」
「これ!データ兵器を利用して作った私たちに無害な電磁パルス製造機です!指向性も間違いなく、有効なのは着弾点から20メートル!」
「……えっと?」
「……曙さんが、そうなったのなら…助ける…仲間でしょう?そうしたいんですよね、例え、その傷をつけた相手が誰であっても」
「…敵わないなぁ…うん、手を貸してくれる?」
「勿論ですよ、私の甘さは提督譲りなので…これを使えば、件のチップを一時的に無効化できるはずです、全ての電子機器を使用不可にするほどのものなので」
「…それ大丈夫なの?」
「理論的には問題はありません、それとこれを」
「……それは?」
「……ヘルバさんに、あるものを見せてもらいました」
「…ヘルバに?」
「……月の樹は、海軍の傘下になりつつあるそうです、正確には国の傘下ですが…あれほどの施設、国が何も触れないわけがないですから…」
「……そう…か……それが?」
「………腕輪は月の樹…正確には国が掌握してる月の樹にあります、私は腕輪の解析データを見せられました…」
「…そうか…」
「先に言います、腕輪はもう特別なものじゃない…アレを解析し、精度の低いデータドレインを作り出すのが海軍元帥の狙いだそうです」
「……だろうね、それで?」
「…提督、今、腕輪は?」
「…アウラにどれだけの力があるか、かな…僕の中にあるアウラは断片だから…」
「セグメント、でしたっけ…どれだけの数に分かれたんでしょう」
「…さあね、でも、朝潮も持ってるのは間違いないと思う…それから…島風も」
「朝潮さんは何となくわかりますが…島風さんですか」
「…あのパーティーの時…島風がカイトになって戦ってたんだ、僕が今あの姿になれる事を思うと、間違いないはずだよ」
「……なら、舞鶴は心配ありませんね」
「あ、やっぱりそう思う?」
「…きっと強くなってますからね」
「よし、じゃあ…僕らも攻勢に出よう」
「攻勢ですか…?」
「………忙しくなるよ、明石、よく聞いて欲しい」
「…本気ですか?私達は…」
「うん、入念な下準備が必要になる、その第一段階に明石の力がいる…」
「……まあ、正直なところ、私もそれは考えました……どこまで復旧できるかはわかりませんよ…?」
「わかってる、さて…僕も行くよ、金剛と赤城をつけるね」
「……といっても、敵はうじゃうじゃ居ますから、不安はありますね」
「大丈夫…さ、行くよ」
東京 ヘルバのアジト
提督 徳岡純一郎
「…よっしゃぁ!!食い破ってやった!」
『こっちもシステムをダウンさせたわ、今なら…アクセスできる』
「……黒い森…その内部…」
「……クソ、御伽噺は御伽噺で終わって欲しかったぜ…!」
モニターに映る夥しい数の脳
これが全て演算の為に使われている…
「どうします、破壊するんですか…?」
…人道的な殺しだ、これは、許されるはずなんだ
例え、小さい脳があって、それがもしかしたら子供のものかもしれないとしても
例え俺が何人殺す事になったとしても
「……壊してやる、誰も苦しまないように…!」
『………迷うくらいなら利用しなさい』
「なに?俺にもコイツらを苦しめろってのか?」
『そうじゃない、この施設を全て壊し切る事はできない…なら完全に倒すために貴方も利用しなさい』
「やらなきゃわからねぇだろ…!」
『……ここを完全に沈黙させるには時間も何も足りない、中途半端に手を出せば、私も貴方もタダじゃ済まない…それならば利用するに留めるべき…それくらいわかるでしょう』
「………俺は失うものなんて…」
『仁村潤香、貴方の一人娘の事をCC社が本気で追えば…1週間とせず殺される…』
「……お前、味方じゃねぇのかよ…!」
『私も所詮1人の人間なのよ、弱みを握られれば…生きていけない…』
「……徳岡さん、セットアップ完了しました」
「……あぁ、クソ…」
『痕跡は完全に消したわ、あとは貴方たち次第』
「……どうするつもりだ」
『ここを報告して貴方たちを追わせる、そうしなきゃ私が犯人だもの』
「…チッ…アフターサービスがなってねぇな…」
『そのシステムをうまく使えば…貴方たちの所の部下は今まで以上の力を発揮できるはず』
「……部下じゃねぇ、俺にとっちゃ、あいつらは…娘だ」
「…徳岡さん…」
『……私の話を聞いた後でも、それを言い切るなんてね』
「いいか、出生なんてな、俺からすりゃどうでも良いんだよ…本音をいえば今すぐにでもアイツらを戦いから離れた環境に移してやりてぇ…それができないから…こんなもんに…!」
USBを強く握りしめる
「……守るための犠牲です、俺の所にも、コイツは必要だ」
『……間違えないで頂戴よ、私はあなた達の敵でも味方でも無い』
「…その割にはあの勇者に入れ込んでるようだが…?」
『………カイトは…そうね、もしかしたら入れ込みすぎかもしれないわ、後悔はしてないけど』
「…チッ、時間がねぇんだったな…急ごう」
「………協力に感謝する」
「………どこまで信用して良いと思う」
「そういう話じゃ無いんですよ、信用しなきゃもう生き残れない……しかし、本当にバレてないのか…?」
「ああ、らしいな、堂々と歩いてても…全く追われてる感じがしない」
「………泳がされてるだけだろ…」
「…帰るんですか?」
「帰らなきゃならねぇんだよ…俺は、俺は…!」
自分じゃやれねぇなら…せめて裏方くらいはやらなきゃならねぇ…
俺は俺の仕事がある…
「……俺もまだ若いのかもな…」
「なんだよ、嫌味か?」
「…いえ、俺も前に出て戦いたくなってしまったもので」
「……それが若さなら俺は10代だよ…」
「……徳岡さん」
「アイツらは機械なんかじゃねぇ、馬鹿みたいに飯食う財布に悪いガキどもだ…少し強過ぎるのが玉に瑕なだけで…俺の可愛い娘なんだ」
「………俺にとっては、アイツらは部下ですが…それでも、大切な奴らです、できた奴ら、とは言えませんが」
「全くだな、だけど部下には苦労させられるもんだろ」
「…俺は上司に苦労させられましたが」
「なんか言いやがったか!?」
「…いえ」
「…ったく……じゃあな」
「…もう二度と、会わないことを祈ってます」
「俺もだ、お前と会うと…だいたい修羅場だからな」
海上
正規空母 瑞鶴
『お疲れ様でした』
「うるっさいわね…!私だって残りたかったのに…」
「まあまあ、瑞鶴、そんなに気にしなくても…さっさと仕留めれば帰れるからさ」
「はぁ…トップがいないからってジャンケンで編成決めるのは如何なんですか?」
「良いんじゃ無いかしらぁ〜、早く敵を見つけましょ?」
「じゃ、彩雲行くわよ」
「…はっやいなぁ……」
「……でも、航空機を一瞬で落とす相手でしょう?」
「……いや、それについては想像がついてる」
その時の航空機との通信状況から、おそらくかなり低空を飛んでたはず…
そしてそれは、本当に撃ち落とされたのか
「居る…方位このまま!行くよ…!」
「待って、無線が…混線してる…?」
『あ、やっとクリアになった…』
『如何なってるのかしら、イムヤー!そっちは問題ないのね?』
『はい、一度浮上します!』
「…宿毛湾の奴らね…何してるのかしら」
『…他所の艦載機と出会ったようです、狙いは同じか…』
『つまりあの不明な敵を倒しに行く奴らが他にも居るわけ?』
「合流しましょう」
「あー、あー、こちら佐世保鎮守府第一艦隊、旗艦瑞鶴です、無線が混線しており会話が聞こえました、目標は同じようですし合流したいのですが」
『…こちら宿毛湾泊地第一艦隊、旗艦曙、了解』
「…旗艦が駆逐艦?」
「…駆逐隊ってこと?いや、空母がいるみたいだし…ま、いいか」
「標的はすでに発見済み、さっさと片付けましょう」
「ええ、勿論そのつもり」
駆逐1軽巡1重巡1空母が2の…?
「………」
「あ、イムヤ、出てきて」
「はい」
「ああ!あなた演習のときの潜水艦じゃない!」
「本日はよろしくお願いします」
「よし、じゃあ顔合わせも済んだ所で作戦でもすり合わせる?有るならだけど」
「………ないの?」
「だって私たちじゃんけんで編成決めてしたしね」
「…………は?」
駆逐艦 曙(青)
「いや、事情はわかるけど…そういうことならもう帰ってくれて良いわ、アタシ達がやる…」
「随分と自信があるのね」
「……生半可な気持ちで戦えば死ぬわ、そのくらいの覚悟が必要なのよ」
「死なないわよ、私が強いし」
足並みを揃える気がない、か…
少し前の私を見ている気分になる
「……尚更やめなさい、あんたが良くても味方がついていけないわ」
「随分慎重ね、宿毛湾の連中ってのはみんな大胆なのかと思ってたけど」
「…無駄に危険な真似をしなくなっただけよ」
「私たちが無駄に危険って言いたいの?」
「数だけいても連携が取れなきゃ無意味よ」
「そうかもねぇ……ん?………帰るならアンタらが帰れば良いわ、向こうはこっちを見つけたみたいだし」
「…見つけたって…加賀、まだかなり距離があるんでしょ?」
「ええ…まだ見つかったとは…」
「ああ、アンタ加賀なんだ」
「……何か?」
「私瑞鶴、よろしく」
「……よろしくお願いします」
何?あの瑞鶴…ほんとに態度悪いわね…
「……アオボノ、別の敵が居ます、ゴレが側に…」
「ゴレ?…ゴレ!?ようやくリベンジの時が来たってわけね…!」
「お互い相手が見つかったみたいだし、分担しましょ?」
混戦になって同士討ちとかになるよりは良いか…
「そうさせてもらうわ、加賀!」
「方位サンマルロク、行きましょう」
「よし!行くわよ!!」
「……ところでさ、あの瑞鶴と何かあったわけ?」
「いえ…私個人の意見を言うなら会えて大変嬉しいはずなのですが…」
「…めちゃくちゃ感じ悪りィよなぁ…」
「ま、加賀に非はないんやしええんとちゃうか?」
「そうですよ、加賀さんの味方はこんなに居るんですから、気にしちゃダメですよ!」
「……ありがとうございます……遠見すればそろそろ見える頃かと」
戦闘前に気持ちがブレるのは嫌ね…ミスに繋がるし…加賀に限って無いはずだけど…
『こちらイムヤより、友軍潜水艦と出会いました、直下にいます、浮上しても良いですか?』
「友軍の潜水艦…?アンタらって確か実験的に導入されたのよね…?」
「とりあえず上がってきてもらいましょう」
「イ号潜水艦の伊58、ゴーヤって呼んでくだち」
「よろしく、どこの所属なの?」
「横須賀だよ、宿毛湾さん」
「ッ!」
全員に嫌な緊張感が走る
「あれぇ〜?味方なのになんでそんなに構えちゃって〜、悪い事してないなら報告なんかしないから気にしなくてもいいよぉ?」
悪事は働いてないけど…下手に力を使えない…
「…横須賀ってぇとクソッタレの曙にウチの提督が殴られてるからな、アンタは悪くねぇんだけどあんまり良い印象がねぇんだわ」
「でも東雲さんは宿毛湾から来たよねぇ?宿毛湾の提督が悪いんじゃないの?」
「そんな事ありません、提督は褒められた人間ではありませんが私達には常に誠実に向き合ってくれますから」
「ふーん?」
「………何?今から戦闘なんだけど」
「伊号第百六十八潜水艦、伊168」
「な、なんですか!?」
「これ、呑んで」
カプセル…?
「え、な、何それ…」
「呑めば幸せになれるよ」
「い、いやです、怖い!」
ここで拒絶したりするのは…付け入る隙を与えるだけで危険か…
阿武隈と摩耶の方を見る、2人ともわかってるらしい、龍驤と加賀を連れて先に進む
「…あれ?お仲間が先に進んでるけど良いの?」
良し…予想通り、邪魔者を排除したがってその発言をすると思ってた
「あ、あんの馬鹿…!ほら!イムヤ!行くわよ!」
イムヤの手を掴み最大速で進む
「いい、絶対潜行しないで、あんたは記録役に徹しなさい…あのカプセルはどうにかして手に入れて解析するまで何があっても呑んじゃダメ」
「わ、わかった!あ、わかりました!」
「…爆雷を積んでるのは私と阿武隈だけ、アンタが潜行したら容赦無く投げるから…覚悟しときなさい」
「え…?」
「ついてきてんのよ…何がなんでも呑ませるつもりらしいし…」
「ひっ!?」
「… これが終わったらアンタは暫くお休みよ、心配ないわ」
「ゴレ発見!戦闘開始!」
「如何する!?」
「このままやるに決まってるでしょ!加賀!龍驤!」
「鎧袖一触よ、心配ないわ」
「っしゃあ!艦載機のみんな!お仕事お仕事!」
「阿武隈!やれる!?」
「観測がないのが辛いですけど…やる時はやるんだから!!」
せっかく完成させた召喚タイプの砲撃も、このままじゃ意味無いし…タイミング見て排除したい所だけど…事故じゃ無いといけないのよね…
『勇気あるものよ』
『蛮勇なるものよ』
ゴレが喋り出す
『今一度と死に急ぐか』
『我等に容赦はない』
「上等…アンタらは倒さなきゃいけない存在なのよ…!」
『物事の側面を見ることのできない者よ』
『その頭は必要がない、首から上には面をつけよ』
…要するに私の脳みそはスカスカって言いたいのか…
「あぁぁぁ!腹立つ!砲撃開始!」
摩耶に阿武隈と加賀を任せてゴレの周りを回りながら砲撃する
『………』
『………』
全く効いてないか…
「やっぱり火力が足りないか…!」
「艦載機にも全く攻撃してこーへんあたり…ホンマにダメージがないってことか…?」
「………まだあの潜水艦が居ますよ…」
「余計なことは言わないで、これは記録してるのよ、事故で有ることを証明するために…あんまり切り取ったら怪しまれるわ」
ゴレ自体もそうだけど、あの潜水艦を片付けないと…
……何、この感じ…
何か近づいてくるって…感じる
………お前か…!
「…コルベニク』
「曙ぉぉ!アンタ…何しに来たのよ!!」
『私の提督に仇なす敵を消し去りに』
青い紋様を纏い、チェックのマフラーを靡かせて、手に奇怪な形の剣付きのライフルのようなものを握りしめて
私を抜き去って行くコイツを…私は、指を咥えて見ていることが…できるわけがない
「待て、落ち着け…操られとるんやろ…やったら助ければええ…敵やない」
「………わかってるわよ…」
あの銃の1発で私たちの砲撃の何倍の威力があるのか、ゴレはその醜い顔を歪めて退がりながら攻撃を飛ばし始める
『愚かな者よ…』
『貴様は愚かだ』
『それで結構…大人しく死ね』
「………本当に、アイツ、なの…?」
戦い方に影がない
無駄な動きはないのだろう
だけど、どこか…機械のような…
「……アンタ…本当に…!」
信じたくはないが、そうだとしたら横須賀の元帥は、殺してやる…
アンタが…曙で居られる様にして見せるから
「摩耶…もうなりふり構わなくていいわ…」
『おい!待て、見られてるんだろ!?』
「わかってるでしょ…!?アイツがあんな戦い方してるのなんて…耐えられないのよ」
『…先に潜水艦を落とせばやれる、阿武隈に位置を』
「…魚雷でやる気…?…イムヤ報告!!」
「は、はい!阿武隈さんの位置から今の私の位置を狙ってください!全く同じ速度ですので!」
『…オッケーです…やります!」
後方で水柱が上がる
『当たった!!』
「…アンタも化け物じみて来たわね…摩耶!!」
『行くぜ!』
水を突っ切り、姿を変える
「雷舞!!」
「ガンドライブ!!」
『…下がってて、邪魔だから』
「アンタが邪魔なのよ!狐昇斬!」
「でぇぇぇッりゃぁぁぁッ!」
摩耶の攻撃のタイミングは完璧にわかる
アンタがまだ曙なら…これだけ見せたらわかるでしょ…?合わせなさいよ…!
「クソッ!コイツ馬鹿硬ぇ!?」
「どっちも同じよ!!」
『………』
「なんで来ないのよ!来なさいよ!」
『… 塵球至煉弾』
銃を上に向けて一回撃った…?
何を…
「…マズイ!」
上空で弾けて私達に降り注ぐ
「アンタ…この…ホントに…!!」
操られてる…?これが…?
「きゃあ!?」
「飛行甲板に直撃…!」
「アオボノォ!アカン!もたへんぞ!」
「……アンタ…アンタは今…自分の意思で私たちを攻撃した!」
もう我慢ならない
「ふざけんなぁぁぁ!!」
殺す…アンタがそうなった理由はチップなのかもしれない、だけど、仲間を攻撃するなんて許されることじゃない
『…邪魔よ』
銃口を向けられる
冷たく、殺意のこもった銃口を躊躇いなく
…せめて、一瞬でも迷ってよ…!
「ああァァァァッッ!」
水面を蹴る
速く、疾く、一発ぶん殴ってやる
『……馬鹿ね』
あ、ダメだ…これ、死んだ
殴る前に切先と銃口が両方こっちに向けられる、間に合わない…
「…がはッ…はぁ……はぁ………生きてる…?」
頭がぐらぐらする
何が起きたんだっけ…
『強き者よ』
『勇ましき者よ』
「…っ…ゴレ…!!」
『我等は貴様にこそ屈する』
『私達は貴方の糧になる』
「…如何言う意味よ…!」
『我等は策謀家』
『私達は意思なき駒ではない』
「………操られてたって言いたいの?」
『正確には違う…正しき主人を取り戻す為、我らは死なねばならぬ』
『しかし我らの力は強大なもの…それを食わせてはならぬ…』
『故に知恵ある者を求めた』
『故に勇気ある者を求めた』
「勇気と、知恵…?」
私に、そんなものはない…
結局は蛮勇なだけだ…
『貴様は既に知っている』
『我らも既に知っている』
…何を…?
『貴様は敗北し、1人の無力さを知った』
『戦うことの意味を知った』
…潮を失いかけた、漣を失いかけた…あの戦いは…
『我等は正しき形の世界を知った』
『この世界は既に我らのあるべき世界ではない、ならばあるべき形に戻るべきだ』
「…アンタらのあるべき世界って…なんなのよ」
『…我らは禍々しき波』
『何度も日が登る世界は似つかわしくない』
『勇者となったものよ』
『我等は貴様を助けよう、しかしそれは今ではない』
「…逃がせ…って?」
『逃げる事など容易だ』
『我等は一度だけ貴様の助けとなる』
暗転
「…なに、これ…」
みんなボロボロになって、倒れてる
ゴレも居ない…
立ってるのは私と…
『……あの動きは何?』
「…なんのことよ」
『確かに、殺したつもりだった、だけど…私の追えない速さを…貴方は…何になったのよ』
「駆逐艦、曙…それ以外のなんでもないわ」
『………貴方も来ない?私達のところに』
「…死んでもお断りね」
『貴方をあんなクソ提督から救ってあげるって言ってるのよ』
「…次、私の前で提督を馬鹿にしてみなさい……殺すわよ」
『………そう…ここは退かせてもらうわ』
「…………なんで、最後に泣くのよ」
「…クソッ…やられたな…」
「………ごめん、最後、余計なこと言って危険に晒しちゃって」
「…貴方が言わなければ私が言ってました、みんな思ったことです」
「…………あ、あの…コレ」
「…カプセル…抜け目ないわね、イムヤ」
「……私は戦闘ではほとんど役に立てませんから…」
「気にすることねぇさ…しかし…この状態じゃ援護にはいけないな…」
「……帰りましょう、立てる?」
「…なんとか…」