元勇者提督   作:無し

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和解

宿毛湾泊地

提督 倉持海斗

 

「あー、あの…もういいですから…」

 

「いや、本当に貴方のところの艦娘さんに命を助けられた事は絶対に忘れません、ありがとうございました」

 

うーん…響が連れてきた人にいきなり感謝されるし、その次は雷、最後は暁…僕は何もしてないんだけどな…

 

「やっと帰ってくれた…」

 

「お疲れ様です…これ、お茶です」

 

「ありがとう…うん、落ち着くね…」

 

「まさか雷ちゃんも暁ちゃんも同じように人を助けてるなんて…」

 

「そういえば車についてたって言うやつは…?」

 

「…よくわかりません、何かを散布するような機械なんですけど…オンラインで受け取ったものを散布するというシステムになってて…これ本当に現実のものですか…?」

 

「さあ…僕にはわからないよ」

 

「……これ、何を散布してるか全くの謎なんですよ…散布するものを入れるの袋とかもついてなかったし………あれ…?待って、何をオンラインで受け取ってるの…?信号だと思ったけど…これってまさか…」

 

「明石?」

 

「…………そうだ…そうだったんだ………これ、横流ししてもらってる情報なんですけど…」

 

「…黒い森か……」

 

「……黒い森のエネルギーを利用して…小範囲に擬似的な電子世界を作り出すことができるらしいです、今私が思ってる事、わかりますか?」

 

「…それを作り出す機会がそれ…あのタクシーは擬似的な電子世界だった…と」

 

「はい…」

 

ちょっと信じられる話ではないけど

警戒するに越した事はない

 

「…今後陸上での戦いも必要になるかなぁ…」

 

「…アオボノさんのように艤装を用いない戦いをできる人はいいのですが…」

 

「………そうだね…君たちの自由は尊重したいけど危険なのなら…とは思う」

 

「……ど、どうしましょう…」

 

「状況を軽視するわけじゃないけど、狙いが暁達である以上は…あの方法を取るべきかなぁ…」

 

「わかりました、用意は進めておきます…それと10分後に長門さんが入港の予定です……あ、でももう輸送船が見えますね…」

 

「え?あ、本当だ、予定より早く…え…」

 

近づいてくる輸送船が…真っ二つになって…

 

「ひ、被雷!?こんな港の真前で…!?」

 

「全体放送、泊地のすぐそばで敵の潜水艦による攻撃があった模様、急ぎ対潜装備を整えて救助活動にあたって」

 

「わ、私も行ってきます!」

 

「どうなってるんだ…」

 

 

 

 

輸送船内部

軽空母 瑞鳳

 

「…まさか本当に来るなんてね…でも、相手が悪いんじゃない…タルヴォス…!』

 

籠手を現出させて壁を叩き壊し、船を飛び出す

 

「長門さん、無事ですか!?」

 

「あ、ああ…これは一体…!?」

 

千代田達も周囲を警戒してるけど…見なきゃいけないのは水中…

海水が完全に覆ってるから匂いはない…

 

だから?匂いが無ければ私が手出しできないと?…考えが甘い

 

『タルヴォス!!』

 

世界が崩れていく

別の世界に、変わっていく…ここには、私とお前達しかいない

 

『逃しはしないよ』

 

4隻の潜水艦か…

 

『……相手が悪かったね』

 

 

 

「な、なんか浮いてきた!?」

 

「か、艦娘だ…ていうか…この服装は…潜水艦かな…」

 

『そいつらが敵…今仕留めた…拘束しようか…」

 

いや、待てよ…アレを見せなきゃな…

1人でも意識が残ってたらいいんだけど…いや、2人意識があるな…この匂いは…火薬…

 

ハンドサインで船室を見るように千代田に連絡をする

 

「え、あ、うん…」

 

…ごめん、千代田

 

「きゃ!?な、何これ…おぇっ…おええ……」

 

「提督に連絡して、輸送失敗って」

 

「……な、なぁ…」

 

「長門さん、先に行って、私は千代田を介抱しなきゃいけないし」

 

「…そ、そうか……」

 

自爆はさせない、というか…この躊躇いのない感じは…少し不味いか

 

「どうするかなぁ…宿毛湾に連れてくか、佐世保に連れて帰るか」

 

「瑞鳳ぉ!な、何が…アレは…何!?」

 

「…船室内はぐちゃぐちゃだったか…まあ、アレじゃ…いくら艦娘でも…耐え切れないよね」

 

作戦成功のハンドサインを送る

船室には適当に期限の近い魚と肉、あとは生ゴミを入れて暖房を効かせておいた

多少は腐ってたはずだし…まあ、そりゃ…吐きそうになるだろう

 

「!……そ、そう…」

 

顔が引き攣ってるな…後が怖い

 

「…はぁ、引き摺っていくか…」

 

「……そうね、安全なの?」

 

「多分」

 

 

 

 

 

「へぇ…コイツらがその潜水艦ねぇ…」

 

ここの曙、なんか雰囲気変わったな…

パーティーの時より余裕ある感じだ

 

「「「「………」」」」

 

「とりあえず本部に連絡して回収させてもらえれば」

 

「…本営は…」

 

「余計な事は言わないで、後暁達の事は申し訳ありません」

 

「……そう、まあいいわ、アレはどうしようかしら」

 

物陰から北上さんがこっち見てるし…

逃げた方がいいかな

 

「気づかなかったことにします、じゃあ、また夜には帰るので」

 

「了解」

 

 

 

 

 

提督 倉持海斗

 

『成る程、海上警備をさせていたのだがなぁ、誤認して攻撃したらしい、こっちで処罰を与える、帰らせてくれ』

 

「…冗談でしょう…?それだけですか」

 

『それだけだ、命令に背くなよ』

 

「……」

 

受話器を置く

暁から聞いたが、本来輸送船には暁達が乗っていたと言う

それを機転を効かせて陸路で帰ってきたと言うのだからすごい事だ

 

だが、それだけに…その殺意が許せなかった…

 

「…そう言う事だから、解放していいらしいよ」

 

「…流石に腹が立つってレベルじゃないですねぇ…」

 

「………イムヤを呼んでおいて、それと夕張さんも」

 

「わかりました」

 

 

 

 

「まず夕張の話から終わらせよう」

 

「このカプセルの中には薬が入ってました、案の定と言うか、当たり前と言うか…まあ、詳しい施設は無いので簡易的な検査などになりましたけど…うーん…なんて言えばいいのかな…サックリ言うなら麻薬ですね」

 

「ま、麻薬!?私そんなものを飲まされそうになってたの!?」

 

「麻薬って打つとか吸うとか聞くけど…?」

 

「ここからは明石と協力して解析した情報からの憶測も含まれますけど…」

 

「それでいいよ」

 

「…正確にはこれは電子ドラッグとか、そう言うものですね…」

 

「…男子ドラッグ…?」

 

「目や耳から脳へ影響を及ぼす薬のことです、でも、これは…私たち艦娘の特異な生い立ちを利用してる」

 

「…私たちが電子生命体である事ですか?」

 

「そう、この中に詰め込まれてた薬はいわゆる…コンピューターウイルスに近い物なんです」

 

「…その効果は?」

 

「これは正確ではありませんが…脳内に快楽物質を発生させ、この薬に強い依存をさせる物であるかと…そしてそれが許容量を越えれば…意識不明になると思われます」

 

「…随分ハッキリわかったね」

 

「…これを調べるのに使ったのはネットなんですよ…ネットを調べてたら、適合する情報を見つけたのでハッキングしました、そうしたら…」

 

「…どこが作ってたかとかは…」

 

「海軍が直接手を出してました」

 

頭を抱える

 

「…イムヤ、君は自分の置かれてる立場はよく分かったと思うけど…」

 

「は、はい…」

 

「………」

 

どうしようか…対潜を徹底する?いや、それにしても…

 

「ごめん、君に仕事を振るつもりだったけど、こんな状態じゃ君を出撃させたく無い」

 

「…そ、そうですか…」

 

「妥当な判断だと思います、私からの報告は以上です」

 

「ありがとう…2人とも今日はもう休んでくれていいよ」

 

イムヤだけが部屋を出る

 

「…?」

 

「提督、もしご迷惑じゃ無ければ、私達も…同じように扱ってください」

 

「え?」

 

「夕張とお呼びください、私たちは今は…火野拓海ではなく、貴方の指揮下にあるんです」

 

「…わかった、夕張、気を使わせてごめん」

 

「…気持ちは同じですから、同じ志の仲間として」

 

「勿論だよ、ありがとう、夕張」

 

 

 

 

 

 

戦艦 長門

 

「…初めまして、君が長門だね」

 

車椅子に乗った男がそう呼びかける

 

「………」

 

「明石、出して」

 

「え…ダメですよ!」

 

…どうやら、嫌われてるな

 

「外で話す方がいいんじゃ無いかと思ってさ、先に外に居るから」

 

「………ああ…そう言う事ですか…肝を冷やすんだから…」

 

「…明石…久しいな」

 

「できれば貴方とは二度と会いたくなかったです」

 

「……そうか、お前は人の話を聞かないやつだからな」

 

「それはお互い様です、貴方は…望んだことでは無いとは言え…独善的すぎる」

 

「…誰かが死ぬのなら私であるべきだった、それが私の答えなのだ」

 

「…貴方は提督と似てる、だから嫌なんですよ」

 

「…それはいつの提督の話だ」

 

「…私の最愛の提督に、です」

 

「………あの男がか…!?機械弄りにしか興味のなかったお前が…!?」

 

「だから私は貴方が嫌いなんですよ…提督に手を出したら私が貴方を倒します」

 

「…やれる物ならそうすればいい」

 

 

 

 

「…まるで、リングだな」

 

「あんまり野次馬は欲しくなかったんだけどね、最低限止めてくれる人がいればそれで良かったんだけど…みんな心配性だなぁ…」

 

ここの所属だろう艦娘が周りを囲むように…これが全員か?

見覚えのある奴もいな…アレは北上か…?なぜ杖を…まさか…こいつが…?

 

「何をするつもりだ」

 

「いや、うーん、普通に話をしたかっただけなんだけどな…みんな何を期待してるのか知らないけど」

 

「…ならば期待通りにしてやろう」

 

「え?」

 

車椅子を蹴り倒す

 

「った……容赦ないなぁ…」

 

「怪我をしてるとか、そう言うのは関係ない…どうせ殺すのだからな」

 

「待ちなさい長門、貴方、自分の立場がわかってるのかしら」

 

声のした方向には加賀がいた

弓矢を引き絞っていた、私に向かって

 

「…加賀、お前はなぜ私に矢を向けている」

 

「私達も向けていること、お忘れなく」

 

後方には、赤城と翔鶴が…同じように

 

「赤城、翔鶴…お前達も…何故だ!コイツは人間だぞ!」

 

「…私達の司令官であるから、です…それ以上の理由はありません…」

 

「そう言うことだ、離れろ」

 

青葉と摩耶が一歩出る

 

「青葉!摩耶!お前達まで…!」

 

「ぽっと出のアンタをアタシらが止めるのは実に簡単よ…でも、アンタ、赤城達と長い付き合いなのよね?その長い付き合いの仲間から止められてるのよ…状況をしっかり把握しなさい…アンタの味方は今ここにはいない」

 

全員が艤装を向けている

人間にではなく…私に向かって

 

「曙、言い過ぎだよ…よっ…と…まだいきなりで混乱してるだけなんだから」

 

「お前…私の仲間に何をした!?」

 

「え?」

 

ありえない、赤城達は洗脳された、そうに違いない

 

「赤城達はこんなことを言うやつではなかった!お前が何かしたんだろう!?」

 

「…これは最早ビョーキね」

 

「長門、あんまり聞き分けがないなら私は貴方を射ますよ」

 

「待ってろ赤城、すぐ元に戻してやるからな」

 

「うーん…ちょっと流石に想定外だな…僕じゃどうにもできないか…」

 

「だから私は貴方が嫌いだったんですよ、何も治ってない…」

 

「明石…これはどう言うことだ!」

 

「あなたは、よく言えば勇敢な…自分の恐怖に負けない人でした…でも、悪く言えば思い込みが激しく、野蛮で、こだわりが強すぎて…」

 

「長門、貴方を疎ましく思った訳ではない…私たちは貴方の仲間ですが…その前に提督の仲間です、貴方がその輪を乱すと言うなら…容赦はしませんが?」

 

「こんなちっぽけな人間に指揮される事など無価値だ!私達が考えて戦えばいい!」

 

明石がパンと手を叩く

 

「ああ、なんだ、そんなことかぁ…長門さん、自分の方が強いと勘違いしてるんですね」

 

「…何?」

 

「貴方は、そこの曙さんにも勝てないし…勿論、提督にも勝てませんよ」

 

「あ、明石…」

 

「巫山戯るな!こんな人間に私が負けるだと!?」

 

「試せば良いんじゃないですか?提督、私は出すの止めましたから、こうなった責任は自分で取ってください」

 

「良いじゃねぇか、やっちまえ!」

 

「え、えぇ…?本気…?」

 

「もうみんなそのつもりよ」

 

まるで、誰1人コイツの負けを考えてないような空気…

本気でコイツが勝つと思っているのか…?

 

それとも、コイツは本当にそれだけ強いのか?

 

なんでもいい

 

「死ね!!」

 

「うわっ!?」

 

みっともなく、地べたを張って逃げることしかできないコイツに、私が負けるだと?

 

「やはりあり得ない」

 

「よし、長門はやる気だぜ!いくぜ曙!」

 

「死にたくないならやるしかないわよ」

 

そう言って摩耶と曙と呼ばれた駆逐艦が何かを持って走ってくる

…アレはバケツか?修復剤か?人間には効かんはずだが

 

「そぉっれ!」

 

「さっさとやりなさい!」

 

潮の香り…海水か?

 

「…なっ…」

 

服装が変わった…?

 

「…これ、傷に染みるからやめて欲しいんだけど…」

 

「ほら、しゃんとする!」

 

無理矢理立たされている…

立てたのか?

 

なんでも良い、コイツを倒して私が正しいと証明する

 

「ちょ、ちょっと待って!僕は戦うつもりはないよ!」

 

「黙れ!よくも!よくも!」

 

「提督ー、戦わなきゃやられますよー」

 

「…いや、よっぽど良く思われてないんだし…」

 

私の拳が顔面を捉える

 

「あ!ちょっと!」

 

「わざとくらったわね…このクソ提督…」

 

「焚き付けたのがこっちである以上怒りにくいわね」

 

「この!この!この!」

 

マウントを取り殴りつける

 

「…あの身体ってどうなの?」

 

「わからねぇけど、当たるとそこそこ痛い」

 

「…じゃあ止めた方がいいんじゃ…」

 

「いや、無策な馬鹿じゃないんだし…」

 

「え?」

 

「えーっと…?」

 

「あー…止めるか?」

 

「止めましょう」

 

邪魔される前に…!

 

「うわぁぁぁぁっ!!」

 

最後の、一撃を…見舞いたかったのに…

何故、私は、私の拳はコイツを殴らない…

 

「……落ち着いた?」

 

「なんで…なんでやり返してこないんだ!」

 

これではただ、弱い者をなぶるだけ…

あの時の人間と同じことをしているだけだ…

 

「僕が手を出したら、二度と和解するチャンスがなくなるじゃないか」

 

「和解だと!?私はお前を殺すことしか考えてなかったんだぞ!!」

 

「…今は違うんだよね?それに…そうだとしても、これからは一緒に戦う仲間になるんだから…手を出す訳にはいかないよ」

 

「…クソッ…」

 

なんでこんなに…負けたみたいな気分に…

 

「長門さん、わかりましたか?」

 

「…明石…何が言いたい」

 

「貴方の辛さは知っています、私たちは特に…だけど、それでも私たちは提督の方を選ぶくらい、この人は優しくて、自分のことを顧みない馬鹿な人なんです」

 

「………」

 

「長門さん、今の貴方はわがままなだけです、歩み寄る姿勢を見せてください、私達の仲間になりたいのなら」

 

「…そうか………」

 

わがまま、か…

そう見えているのか…

 

「長門、悪いけどそろそろ起きてもいいかな…」

 

「…すまない…」

 

「…あ、車椅子…車輪壊れてますよ」

 

「え?…しまったな…ここでこれを解いておきたかったんだけど…」

 

「私がお手をお貸ししますので」

 

「…はぁ…染みるから嫌なんだよね…いたたた!」

 

…元の服装に戻っているか…

足から血が流れ出ているのを見るに…本当に立てなかったのか

 

「あ、傷口開いちゃってますね…というか、背負うとなると私じゃダメかな…扶桑さん提督背負ってくれませんか?」

 

「わかりました」

 

「ごめん扶桑…」

 

「退けない状況にしてしまった私達の責任ですので…それでも、少しは抵抗されないと…」

 

「…さっきも言ったけど、仲間だからね」

 

「………」

 

仲間、なのか…

まだわからない…だけど…もう少しだけなら…待ってくれるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京

九竜トキオ

 

「クソッ!ダメだ!逃げきれない!」

 

時間の問題だとは思っていた

電ちゃんの存在がバレることは…

 

だからって急に街中で背中から銃を突き付けられるなんて…

 

「…こうなったらやるしか無いのです!」

 

「やるって何を!?」

 

「…私は理解してるのです…フィドヘル!!』

 

「紋様!?電ちゃん…キミは一体…」

 

『トキオさん、逃げてください!』

 

オレ1人で逃げる…?

 

「そんな訳にいくか!オレも戦う!」

 

かと言っても撃たれたら死ぬ…いや、悪運だけはある

そんなもんに頼る訳にはいかないけど…絶対にこんな所で電ちゃんを死なせるもんか!

 

『…言っても聞かなさそうなのです…さっさと片付けるのです!!』

 

世界が音を立てて崩れていく

 

「これは…!?まるで…ゲームの中みたいな…」

 

『な、なんでトキオさんが居るのです!巻き込んで無いはずなのに…』

 

「オレにもわからないけど…」

 

『とっとと倒すのです!!』

 

追手にどこからか雷が降り注ぐ

 

「うわぁ!?か、雷!?どこから!」

 

『あれは電が操作してるのです!心配は無いのです!」

 

一瞬目を閉じたら風景は元に戻っていた、追いかけてきてた奴らが倒れてること以外はそのままに

 

「…死んだ…?」

 

「…わからないのです…敵の狙いは電です、トキオさん、1人で逃げ…きゃっ!?」

 

「とにかく今のうちだ!カイトのところに行こう!」

 

電ちゃんを抱えて走る

 

「え、ば、場所はわかってるのですか!?」

 

「宿毛湾泊地!場所は後から調べる!」

 

なりふり構ってる暇はない…

絶対に死なせるもんか…!

 

 

 

 

 

駆逐艦 電

 

「…はぁ…なんとか新幹線に乗れたね…」

 

「……あの…トキオさん…」

 

「ん?あ、車内販売はないのかな、お弁当とか買わなきゃ」

 

…聞く気はない…と言う感じに、私の話を聞こうとしてないのです…

 

「トキオさん!」

 

「……絶対に死なせないから」

 

「……なんで…電達はたまたま会っただけの…他人なのに…なんで!」

 

「困ってる子を…それも命を狙われてるような子を放って置ける訳ないだろ!!」

 

「…それは…優しすぎるのです…優しいだけじゃ生きていけないのです…!」

 

身を持って…よく知ってる…

 

「…オレは、絶対に電ちゃんを死なせるつもりはない…」

 

「………!」

 

私は…どうすればいいのですか…

この予知では…貴方は…死ぬ…

 

 

 

 

 

 

「…あ、しまったな…もっと確認して切符を買えば良かった…広島から行けると思ったけど新尾道のあたりの方が近いのか……」

 

着いてしまった…

 

私達は、待ち伏せに合う…そして私だけが生き残ってしまう…

どうすれば…どうすればいいのです…

 

「無駄な出費だなぁ…着くまでお金が持てばいいけど…いや、大丈夫!多分!」

 

予知に逆らえば?次の駅で降りればどうなるのか…

ダメだ…生き残れる未来は見えない…

 

ああ、なんで無理矢理にでも振り切らなかったのか…

 

「……どうしたの?」

 

「…あの…この駅で降りるのは…」

 

「あ、もうすぐ出発だって、早く行こう、乗ってたら余分にお金取られちゃう」

 

降りてしまった…

この余地の場所はどこなんだろう、この駅であることは確か…そこを避けて通れば…

そのためには、伝えなくてはならない…貴方はここで死ぬかもしれないと

善意だけで私を助けてくれるこの人に

 

人ですらない私を助けてくれるこの人に…

 

弱い私には…幾分勇気の足りない話だ

自分が生き残れるのだからと言う気持ちがある

 

私には…他人のために死ぬ勇気なんてない

 

「トキオさん!!」

 

「…今は何も聞く気はないよ、オレは絶対君を連れて行くから」

 

「違うのです!このままじゃ貴方が…!」

 

「だからオレは心配ないって…」

 

「そうじゃないのです!このままじゃトキオさんは死んじゃうのです!!」

 

「へ?何の話?」

 

「……電は、未来が見えるのです…それも、全部碑文の力で…」

 

「碑文使いって事…!?そうだったのか…!どの碑文なの?」

 

え?トキオさんは…碑文を知ってる…?

この力を…知ってるの…?

 

「…フィドヘルなのです」

 

「つまり…八咫の碑文か…あんまり詳しくないけど、その力が強力なのは知ってるよ、それで…なんでオレが死ぬ事になるの?」

 

「…フィドヘルは、予知ができるのです…そして、その力で…」

 

「…オレが死ぬのが見えちゃった…と……ええぇぇぇぇ!?そ、そんな、オレ死ぬの!?」

 

「…はい……」

 

わざと戯けて…こっちを不安にさせないつもりですか…

その優しさが眩しいのです…

 

「どうしよう…流石にリアルでのゲームオーバーは聞いてないよ…」

 

考え込んでいる…

やっぱり誰でも死にたくない…

 

私1人なら、きっとこの人を巻き込む事にはならないはずなんだ…私1人なら…!

 

「あ!電ちゃん!待って!」

 

もう、振り返ることもしない、絶対1人で逃げて…予知を変える!

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…!」

 

随分走ったけど、此処はどこだろう… また運良く拾ってもらえるとは限らない…何より…私の中にある、利用して生き残ればと言う汚い気持ちが…

 

「…あ…れ……?」

 

待って、ここは…最悪だ、そんな訳ない…

ここは予知の場所…?

 

駅が見える…しっかりと駅名が、読めてしまう…ここだ、間違いない…

 

でも、しっかり私は振り切ったはず…

 

「おーい!電ちゃん!どこにいるの!」

 

「…なんで…」

 

前方の歩道橋の上に居る…

こっちは振り切るために出鱈目に走っていたが向こうは行き先を予測して直線で来たのか…

そして、あんなに目立つところで…あ、目が…

 

「あ!いたいた、よかっ……」

 

歩道橋を降りてくるトキオさんの腹部から鮮血が噴き出す

体が力なく、階段を転げ落ちる

 

わかってはいた、だけどこんな街中で…!

 

そんなに私を排除したいの…!?

 

「トキオさん!」

 

狙撃の方向は私の正面側から…先にトキオさんを撃つ理由はわからないけど、この階段の下は射線が通ってない…

 

急いで駆け寄り、腕を肩に回し、引きずって別の物陰に移動する

 

「…息はある…弾も貫通してるけど…なんでこんな事…!」

 

此処で、逃げれば…予知通り私は助かる…

 

「…電ちゃん…オレは大丈夫…救急車呼ぶから…逃げて…」

 

「トキオさんも狙われてる事がわからないのですか!?もう、ダメなのです…!」

 

足跡…誰か近づいてくる…

 

逃げる…逃げるの…?

……電は…

 

電は未来を変えます!!

 

物陰から飛び出すと同時に接近してきていた足音の主人とぶつかる

 

「うわっ!?」

 

「っ!艦娘…!やらせないのです!」

 

「うわっ!?わぁぁぁ!?」

 

相手はぶつかった拍子に転んだ

なら優位なまま物陰に引き摺り込んで締め上げて…!

 

「待って!待ってくれってぇぇ!」

 

「黙るのです!うるさくするなら此処で始末するのです…!」

 

「ひぃぃ!!って!い、電…!」

 

…吹雪型の深雪…成る程、これもまた運命か

 

「…やっぱり貴方は私の手で沈む運命なのです」

 

「ごめんなさいぃ!何もしてないけどごめんなさい!」

 

「何やってんの…?」

 

「…川内、さん…?」

 

「川内ざぁぁぁん!!だずげでー!」

 

「深雪となんか有っ…待って、その人…撃たれてるの?何が…」

 

…運命を、変えるチャンスかもしれない…!

 

「お願いします、川内さん!この人を助けてください!」

 

「状況がわからないけど…わかった、あとできっちり説明してもらうから!」

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