元勇者提督   作:無し

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番外 勘違い

宿毛湾泊地

駆逐艦 暁

 

「ふんふ〜ふふ〜ん♪」

 

「今日のご飯は何かな、私としてはそろそろ洋食が食べたいんだけどな」

 

「響は洋食好きよね、私は今日も和食がいいけど」

 

「…向こうにいた時に干物ばかりだったからねらそれは嫌になるさ……暁はどうだい?」

 

「私阿武隈さんのカルボナーラが食べたいわ!」

 

「そういえば今日の当番は…阿武隈さんと北上さんだね、ちょっと期待できる」

 

「早く早く!」

 

「あ、待って!暁!」

 

食堂の方から話し声が聞こえてくる

段々とはっきりと

 

「あ…つき…嫌いなんだね」

 

「えっ」

 

「え?」

 

「…今の声って……」

 

場の空気が凍った

 

 

 

 

 

駆逐艦 朧

 

「あれ?暁達だ、何してるのかな…」

 

「よーし、脅かしちゃえ!」

 

「ウッシーオ!それは私が提案するべき事だと思うなぁ!?」

 

「…止めへんのか?」

 

「気力と時間の無駄」

 

食堂の入り口で止まってる暁達、そしてそれにゆっくりと、そろりそろりと近づく潮と漣

 

「ばぁ!」

 

「うびゃぁぁ!べろりんちょッ!」

 

「びぃぃぃぃ!?」

 

「………最悪のタイミングに最低な事をしてくれたね、さて、やりますか」

 

「逃げるなら今のうちだよ?逃がさないけど」

 

泣き出す暁、響と雷の溢れんばかりの殺意

 

「ちょっ、まっ待って!マンマミーヤ!」

 

「それをいうならマンマミーア、よ…どうしたの?2人ともえらく機嫌悪いみたいね」

 

「じ、じれいかんが…あがづぎのごど、ぎらいっでぇ…!」

 

「うわっ!こ、こっちこないで!」

 

「いや曙、そこは受け入れたれよ…ほら、こっち来ぃ…んー、司令官はそう言うこと言うタイプちゃうと思うけどなぁ…いつ言われたんや?」

 

「今、食堂から声が聞こえてきて…暁が嫌いなんだねって…」

 

「……本当にぃ…?ご主人様がそんな事…」

 

「疑うのかい?……私たちも無理矢理厄介になってる立場だ…迷惑になっていても……」

 

「……私達、邪魔なのかしら……」

 

「………ゃだ…暁はここに居たい…」

 

「いや、というか…陰口なんて言うんだ…ちょっと……ショックだな…」

 

そう話してると声が聞こえてくる

 

「実は私もおぼろ苦手なんですよね」

 

「ッ!?」

 

「あ、阿武隈さんの声だ…!」

 

「阿武隈さんまでそんな事を言うなんて…!」

 

「……ごめん…ちょっと私部屋に戻るね」

 

「ま、待ちぃや!なんかの間違いやって!」

 

「いや…でも……ハッキリと朧が苦手って…」

 

「………待って、阿武隈さんって駆逐艦にはちゃん付けするよね、基本的に」

 

「…だから?漣は何かわかったの?」

 

「………よし、行こう!多分なんかの間違いだ!」

 

 

 

 

「あ、みんなもお昼?先にいただいてるよ」

 

[こんにちは]

 

「今日は海鮮巻き寿司とお吸い物ですよー!」

 

「ちょっとクソ提督!暁の事が嫌いらしいわね!」

 

「え?」

 

「……?」

 

「…曙ちゃん、なんの話ですか?」

 

「阿武隈さん、あの、私何かご迷惑をおかけしてましたか…?」

 

「えぇ!?い、いきなりなんですか!?」

 

「じれいがんずでないでぇぇぇ!」

 

「もう何言ってるかわからないね」

 

「響は落ち着きすぎよ!」

 

「うーん…暁が捨てられそうになってて、朧が迷惑…?……待って、朧ってもしかしてこっちのおぼろの事?」

 

「……それって、桜でんぶじゃない」

 

「……あぁ!そう言う事かいな!阿武隈は桜でんぶあかんのか!」

 

「桜でんぶと朧になんの関係が…?」

 

「…え?これって桜でんぶとも呼ぶんですか?」

 

 

 

 

 

「なるほどなぁ、確かに桜でんぶとかそぼろは元々祖朧って呼ばれとって、それを今でもおぼろ言う地域もあるしなぁ…」

 

「阿武隈と朧の方は解決したみたいだね」

 

「……ごめんなさい、勘違いしてました…」

 

「あ、あはは…わ、私こそ…ごめんなさい、好き嫌いはやめます…」

 

[そう言う話じゃ無いと思います]

 

「さて、次は…」

 

「びぇぇぇぇぇ!!!」

 

「……そもそも暁が嫌いなんは誰なんや?」

 

「いや、この流れから阿武隈の食わず嫌いネタでしょ」

 

「…暁って食べもんはないやろ…」

 

[多分、私が残してるコレです]

 

「それは私が巻き寿司に使ったあさつきですね!」

 

「…あさつきか…うん、解決したね」

 

「………しょーもな!!なんやねん!暁!アンタのことちゃうって!」

 

「…ほんと…?」

 

「……あさつき…ネギの仲間で独特な辛味で好みが分かれるってさ」

 

[ちょっと口の中で苦かったので…なので外して食べました]

 

「あれ?そういえばこれ辛く無い…というか苦かったんだけど…」

 

「……うーん…?」

 

「あ、阿武隈さん!」

 

「あれ、間宮さん、どうしました?」

 

「あ、ああ、あの…置いてあったやつ使いましたか…?緑色で…細長い…」

 

「あ、あさつきは使っちゃダメでしたか…?」

 

「……あの、御免なさい、それ、畑に生えていたスイセンです」

 

「………えっ」

 

「は、はよう吐き出しぃ!」

 

「……そりゃ、毒草が好きな奴なんていないわね…」

 

「苦味ってそもそも毒物を検知するものだから…」

 

「……つまり、北上以外は毒を検知できずに苦しむ…と」

 

「ごめんなさい!もっと早く捨てておけば…!」

 

「ああぁぁぁぁ!なんだかお腹が痛くなってきたぁぁ!」

 

「スイセンの食中毒は喫食より30分以内の短い潜伏期間の後に発症、主な症状は悪心、嘔吐、下痢、流涎、発汗、頭痛、昏睡、低体温など…だってさ……昏睡!?ご主人様!早くぺってして!」

 

「…うーん、僕2人が食べる前に食べちゃったからなぁ…」

 

「あかん!異様なほどに汗かいとる!」

 

「じなないでぇぇぇ!!」

 

「……これが混沌か…!」

 

 

 

結局阿武隈さんは昏睡と低体温を除くすべての症状に見舞われ、今後この様なことがない様にと食品衛生責任者の資格を取る勉強を始めた

提督は汗をかいたくらいで大事には至らなかった

北上さんは巻き寿司は美味しかったと言っていたが、残念ながら用意されていた巻き寿司は全ては行き、間宮定食をみんなで食べたのだった

 

「……呆れてものも言えんわ」

 

「全くね」

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