元勇者提督   作:無し

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礼儀

横須賀鎮守府

駆逐艦 綾波

 

「はい、どうぞ」

 

「ほう、できたのか…」

 

「ええ、あ、これ検証結果です、それから気候の変化や環境、データ濃度による動作の予測も入ってます」

 

レプリカの腕輪、科学者としては血が騒いでしまうものだ、かなり完成度は高いだろう

 

「……ふむ、暴走の可能性という項目があるが?」

 

「失敗で30人くらい消し飛んでます、まあ誤差でしょう」

 

「暴走の条件は」

 

「まとめてある通り、連続使用が原因かと、使用回数は絞ってください」

 

なぜ連続仕様で暴走するか、これは元々が不安定だからだと思われる、この腕輪と言われる装置は現実にしてみれば専用の処理フロアを作るべきレベルのもの、それを人間大の、それも右手首を一周するサイズの幾何学模様が全て担うというのだ、安定するわけがない

 

「ふむ……ふむ、悪くない、これでもうアイツは要らんな」

 

「あら、捨て時ですか?」

 

「なんであれどうであれ、コマでしかない、使い潰すだけだ」

 

「らしいですねぇ…構いませんが」

 

「……なるほど、これは面白い」

 

私が作ったものは正確には腕輪ではない、データドレインをオンオフさせる装置

 

「東雲さんを壊す時は私にくださいね」

 

「好きにしろ、その時には半死半生だろうが」

 

「いやー、うれしいですね、死にかけの東雲ちゃんが生きたいって追い縋る姿…興奮しません?」

 

「悪くないだろうな、ところでお前…全身が鋼鉄になったのか」

 

「人工筋肉になっただけですよ、おかげさまで私の力は誰にも止められません」

 

「ならば例の黒い方も噂を立てられる前に殺せ、漣と朧はこちらから出頭命令を出す」

 

「従いますかねぇ」

 

「従わなければ今潰す、従っても潰すがな」

 

「あら怖い、ところで提督、実は宿毛湾の提督なんですが…」

 

「……完治していた?どういう事だ、立つこともままならないはずなのに」

 

「何か隠してるかもしれませんよ〜」

 

「調べろ、それがお前の仕事だ」

 

「はぁい…頑張りま〜ス」

 

 

 

 

 

宿毛湾泊地

提督 倉持海斗

 

「……はぁ…」

 

いきなり朧と漣を渡せ、か

想像はついてた…暁たちのことを隠しているから尋問する、と

 

これから月の樹が壊れて、その後処理に向こうは追われてくれる

 

だけど有耶無耶にできるかは別問題だ

それに第七相は……最悪の敵だ

 

コルベニクは確かに1番強いだろう、だけど僕が懸念してるのはタルヴォスの方だ…タルヴォスには発動したら確実に1人殺す技がある

 

絶対に死ぬ…

ゲームなら蘇生アイテムで済む話なんだ

 

犠牲が出るなら僕が戦う…としても……

結局それは明石たちの意思に反する、だから、明石に一つ頼み事をした…もし、死んだ場合…レプリカの腕輪で僕を再形成する

 

明石は丸め込めた、だからその時は僕が戦えばいい…今は朧と漣を守る事だ

既に返答はしてある、当然断った

 

「………みんなで生き残らなきゃ」

 

……生き残っても、僕が…

 

いや、ダメだ、考えるな…

 

 

 

 

 

 

 

佐世保鎮守府

正規空母 瑞鶴

 

「……なんか、微妙よね…そう思わない?陽炎」

 

「微妙…か……私にはただ、瑞鶴さんが逃げてるように見えます…」

 

逃げてる…

確かに私は逃げ続けてる

 

私はどうすればいいの?必死にやっても…追いつける気がしない…

私は正規空母、瑞鳳は軽空母、空母としての性能差は歴然…だけど今、そんなものは求められてないんだ、千代田がいる、祥鳳がいる、葛城がいる…

 

私は…正規空母って肩書きに縋ることはできない

 

私は瑞鳳にならなくてはならない、碑文使いとして変わりを果たすのが私の役目

 

「他の誰かにも…話を聞いてみたらどうですか?」

 

「……他…?」

 

「不知火とか、千代田さんとか…よそと繋がりのある人に……」

 

「他所か…確かに、呉は碑文使いが多いって聞いたし、呉の知り合いって誰かいたっけ…?」

 

「………私が把握してる限り他所と関わりがあるのは宿毛湾と仲がいい千代田さんと不知火位しか…」

 

「つまり呉はいないのね…」

 

宿毛湾……使えなくなった北上と、横須賀に行った東雲か、特に他に強い奴は居なかった…っけ…?

 

まあ、聞くだけ聞いてみよう

 

 

 

 

「おーい、千代田、不知火」

 

「ん、瑞鶴さんだ…なんですか?」

 

「こんにちは、どうかされたしたか」

 

「いや、その…宿毛湾って誰か強い奴とか居た?」

 

「強い奴…?赤城さんに加賀さんに…」

 

「阿武隈、伊168、青い髪の曙…師匠も元は誰にも負けないほどに強かったですし」

 

…知りたいこととは違う

 

「……その、規格外の強さって誰かいなかったの?」

 

「規格外…?」

 

「……規格外ですか、私からするとどなたも規格外な強さを持ってますけどね」

 

「…どういう事?」

 

「タフ過ぎるんです、あり得ないほどにタフで…羨ましいくらいに真っ直ぐでした」

 

タフで、真っ直ぐ…?

 

「……よく、わからない…」

 

「迷われてるなら…きっといい刺激になりますよ、私がご紹介しましょうか」

 

……藁にも縋りたい

今はそれしかないか…

 

「お願い」

 

 

 

 

 

 

宿毛湾泊地 食堂

正規空母 翔鶴

 

『旧みなとみらいに誕生したレジャー施設が謎の火災により…』

 

「…何人、死んだのでしょうか」

 

「加賀さん?」

 

「この火事で何人が死んだのでしょうね」

 

「……敵だったかもしれませんよ」

 

「味方かもしれない…いや、まだ味方ならいい…何も知らない人が死んでいたら?」

 

「……加賀さんは優しすぎますね」

 

「違う、私は…弱いからこの戦いの決着が1日でも早く着くことを望んでるんです」

 

「勝っても負けても…」

 

私達で終わり…

 

「赤城さんの様にはなれないの」

 

「私の目には、赤城さんと加賀さんは真逆に見えますよ、ワンマンプレーの精神、言っちゃえば前の提督に似た考えの赤城さんに対して、加賀さんは全体との協調を大事にしてきた」

 

「…そうかしら?」

 

「私にはそう見えます、だから加賀さんは提督と一緒に戦いたい、赤城さんはみんなを守りたい…なのに、赤城さんは自分のやり方を捻じ曲げて無理にみんなに合わせすぎてる、加賀さんはそんな赤城さんを見て強くなろうとしすぎてる」

 

「……弱くては誰も守れないから」

 

「……コレは例え話なんですけど…ある司令部に来たばかりの新人の司令官は、とても無能でした、経験も、技術もなかった」

 

「…ねぇ」

 

「例え話ですって…毎日誰かが死ぬような現場でみんなのために必死になんとかしようとし続ける司令官を見て、みんなどんどん気持ちが変わっていきました…なんででしょうね、決して誰よりも強いわけではなかったのに」

 

「だから…」

 

「だーかーら!例え話ですって!…その人がみんなの心を動かしたのは、ただ優しかったからなんですよ、加賀さんも優しい、赤城さんも優しい…ね?」

 

「……何が言いたいのかよく伝わってこないけれど…提督が背後に」

 

「…え?」

 

「……ごめん、翔鶴、君達にお客さんが来てたから連れてきたんだけど」

 

「……やだもう!提督ったら!あはははは!」

 

「翔鶴、提督の背中を叩くのはやめなさい…貴方そんなタイプだったかしら…?」

 

 

 

 

 

「………」

 

「貴方が、客ですか」

 

「…なるほど、瑞鶴…私は初めて見ます」

 

妹なんていた事なかったですからね…

 

「その…ここの主力って、みんな強いって聞いたわ…心が」

 

「心?」

 

「…確かに、強いですね、加賀さんも、赤城さんも」

 

「翔鶴、やめて…はぁ…」

 

瑞鶴、怪訝な顔してるなぁ…

 

「その…私は碑文使いなの…伝わる?」

 

「知識としては」

 

「超常的な力を持つ、という意味でしたら伝わってます」

 

「…佐世保には私と瑞鳳、2人の碑文使いがいた」

 

「聞いています、お悔やみ申し上げます」

 

「ご愁傷様です」

 

「…私はみんなを守りたいの、だけど…私は瑞鳳のように強くない」

 

「強くない、とは…?」

 

…加賀さんと、赤城さんと同じ事だ

私にはなんとなくわかる…力がある、実力があるのに…自信を持てない…

 

「……私には敵を殲滅する力がある、だけどそれは…私じゃなくてもできる事、瑞鳳のように誰よりも強く、誰にも負けない力じゃない」

 

違う、きっとその瑞鳳も負けた

負けて悩んでるから…

 

「………ねぇ、加賀、この前会ったことがあったよね、アンタが強いなら…何か、教えて…アンタは一航戦の先輩なんでしょ…?」

 

「………」

 

瑞鶴の頬を平手で打つ

 

「翔鶴…?」

 

「…翔鶴…姉ぇ……?」

 

「貴方は勘違いしてます、今二つ目も発覚しましたけど…まず、今わかった方から、あなたと私は他人ですよ…会ったこともない相手に姉を求めるのは間違いです、この世に翔鶴は何人もいます」

 

「翔鶴…やめなさい…瑞鶴、ごめんなさい、出直して…」

 

「加賀さんは黙っててください!聞いてればなんですか?確かに加賀さんは一航戦の先輩ですよ、でもそれは艦であって私達じゃない!」

 

私たちは今を生きてる、艦であった事に拘り続けては、きっとこの子は成長しない

 

「私が何を言ってるかわかりますか?瑞鶴だって1人じゃない、加賀も、翔鶴も、同じ型の艦娘は沢山いる…それがわかりますか?貴方が岩川の救援に向かった際に加賀さんに不遜な態度を取ったことも聞いています、私は強くない?だから何なんですか!教えを乞うなら立場を弁えなさい!」

 

「碑文使いでも無いくせに…!アンタに何がわかるの!?私のプレッシャーも…恐怖も…全部わかんないくせに…!」

 

「わかりませんよ、貴方と私は別の存在ですから…それに、今自分で言いましたよね、碑文使いじゃない私たちに何がわかるんですか?何を求めてるんですか?瑞鶴さん」

 

「…!この…!」

 

「翔鶴!やめなさい!」

 

「加賀さんは甘いんですよ、こんなやつ…」

 

……重いなぁ…加賀さんの平手…私よりもずっと

頬が熱くて、痛い…

 

「やめなさいと言いました」

 

「はっ!いい気味ね!アンタらなんか頼ったのが間違いだったわ!」

 

「……黙りなさい五航戦」

 

「何よ、文句でもあるのかしら?」

 

「翔鶴が何故貴方に喧嘩を売るような言い方をしてたか、わからないの?この子は優しいわ、ここのみんなそうなのよ、優しいがために自分を犠牲にし過ぎる…」

 

…ぜーんぶ、お見通しだった、敵わないなぁ…

 

「何?お仲間の自慢?」

 

「ええ、自慢ですよ、この子は貴方に恥じない姉ですから」

 

「誰がこんな奴…!」

 

「間違いを指摘し、道を糺す、コレはとても難しく…誰にでもできることじゃありません、かと言って翔鶴のやり方は回りくどいですが」

 

「何が言いたいのよ!さっきからぐだぐだと講釈を垂れて…」

 

「貴方の求めた答えですよ、優しくて、心の強い…それを今体現しているのは他でもない貴方の姉、翔鶴です」

 

「何処が!」

 

「貴方は何になりたいの」

 

「…は…?」

 

「艦娘?人?碑文使い?」

 

「……それは…」

 

「そのどれも全てが…私には、私たちには人に見えます」

 

「…人…?」

 

「艦娘も、人間も、碑文使いも…力を持ってるかどうか、人間より強い艦娘も、艦娘より強い存在、この場合は碑文使いね、それですらも…同じ人よ、想い、悩み、迷いながら生きていくの」

 

「……迷いながら…?」

 

「……良いと思ったことをやりなさい、そうすれば前に進めるわ」

 

あ、狡いなぁ…その受け売り

 

「良いと思ったこと…?それって何…」

 

「自分で考えて、私は佐世保にいない…貴方は強い人なんだから…ね?瑞鶴…」

 

「……あの…加賀、さん…ごめんなさい、ありがとうございます…」

 

「それが貴方の考えた、今の良いと思った事…ですか」

 

「…はい、私は…みんなを守りたいから、何にでも縋る…コレはそのためには絶対に必要」

 

「上々ね」

 

「加賀さん、それ赤城さんの台詞ですよ」

 

「そうだったかしら、ふふ…瑞鶴さん、もう大丈夫?」

 

「はい、これなら…いけそうです」

 

「たった数分話しただけなのに、すごく良い顔つきになった気がしますね…」

 

「元が凛々しい子でしたから、姉によく似て」

 

「やだ、加賀さんったら、ふふ…瑞鶴、実は私、一度沈んでるのよ」

 

「…え…」

 

「でも、みんなが私を元に戻してくれた、助けてくれた……あ、そうそう、加賀さんなんて泣きながら怒ってたらしいですね?…もし瑞鶴が着任したら私はなんで言えばいいのか、なんで私が貴方を憎まなきゃいけないのかって」

 

「翔鶴、叩いたのは悪かったからあまりイジメないで頂戴…誰に聞いたの」

 

「赤城さんでーす♪」

 

「へぇ…ちょっと意外、いや、この人ならそうなのかもね……優しさ故にって感じ?」

 

「……ふん…そんな事ない、わ…」

 

赤くなってる赤くなってる!

 

「おーおー、盛り上がってるねー」

 

食堂の戸が開き、北上さんが杖をつきながら入ってきた

 

「北上さん…!?しゃ…喋れるの…?」

 

喋ってるってことは杖をつくのは偽装とかじゃない、まだ杖なしでは移動は無理なんだ…ただ単純に喋れて、多分この感じ、記憶も…

 

「北上ってあの…!?」

 

「ん、なんか、不知火が居るって聞いてきたんだけど…ここじゃなかったかぁ〜、邪魔したね」

 

「…そうね…ビックリしたわ、もっと早く教えてくれれば良いのに…」

 

「のめんごめん、じゃ、ね…」

 

…雰囲気がちょっと前と違う…?

気の所為かなぁ…

 

「…え?」

 

「瑞鶴さん、どうかした?」

 

「……あの北上…さん、小声でこれなら大丈夫だねって…ほんとにまちがえてきたのかなって思って…」

 

「…まあ、北上さんは元からよくわからない所がありましたから」

 

「…そうですねぇ…」

 

 

 

 

 

 

駆逐艦 不知火

 

「…そう、ですか…」

 

「ごめんね、私は拳銃一発も撃てないよ」

 

……残念だ、けど…

 

「私はずっと教えを胸に戦います」

 

「…教えって言っても、一回見せただけだけどね…アレだけできるのは…不知火自身の頑張り、凄いね」

 

「……ありがとうございます…!」

 

私は強くなれたんだ…ようやく…

本当に嬉しい…

 

「不知火、まちがえちゃダメだよ、その強さは不知火の物、私があげた物でも、なんでもない、不知火だけの不知火が作り上げた強さなんだから」

 

「…はい!」

 

「じゃあその強さを次はみんなに分け与えてみて、いや、違うな…ま、他の子も不知火くらいに強くなればきっと楽になるよ」

 

「楽、ですか…」

 

「んー、言い方悪いのわかってるんだけどね…」

 

「………そう、か…私だけじゃなくて、みんな強ければ誰も、傷つかない…」

 

「それも違う」

 

それも違う…?

 

「そうなると不知火はみんなにそれを押し付けなきゃいけなくなる、求めてる子はきっと、不知火にその力の秘密を知りたいと思ってる…だからさりげなく誘ってみなよ、食いついてきた子に見せて」

 

「…そうするとどうなるんですか?」

 

「もっと、みんなを守れる」

 

「……わかりました、頑張ります…」

 

「無理しちゃダメだよ、疲れたらいつでもおいで、話し相手にしかなれないけどね」

 

「……ありがとうございます、師匠」

 

 

 

 

 

 

 

横須賀鎮守府

駆逐艦 東雲

 

「……報告しろ…!」

 

「月の樹の全システムは完全に沈黙、量産体制に入った腕輪は全て壊滅、関係者にはヘルバの関与を疑う声があり、そのヘルバは完全な雲隠れです」

 

「チッ!!役に立たんクズどもめ!!」

 

「それから倉持海斗はこちらの要求を拒みました」

 

「今はそんな事はどうでも良い!早く次の段階へ進めろ!」

 

……ずいぶんイラついている…

 

「聞こえないのか東雲!」

 

「わかりました」

 

「失敗したのなら貴様を捨ててやる」

 

心臓が凍る、なんでこの人まで、こんな事を…?

自分が動かしてるわけじゃないのに、体が重くて硬い

 

壊れそうな…

 

やっとの思いで部屋を出る

何故私は涙を流しているの、怖い…

 

こんなの成功するわけがない、私は捨てられる、捨てられたくない…

嫌だ、帰る所がなくなる、また冷たくて寒くて…心が凍って…壊れて…ガラスみたいに砕け散って……

 

嫌だ、捨てられたくない…捨てないで…私のことを捨てないで…!なんでもするから、どんな事でもするから…私は、私は…1人じゃ生きていけない……

 

お願いだから声を聞いて、喋らせて…!

こっちを向いて、耳を傾けて…

 

私を無視しないでよ…私はここにいるのに…

なんで私の声は…誰にも届かないの……!

 

「東雲さーん」

 

振り向きざまに頭に強い衝撃が走る

額が熱い

 

「あはァ〜…ようっやく!漸く!遊べるんですね…あー、嬉しい」

 

…始まった…また…

 

「早く実験にいきましょうか」

 

「私は腕輪の増産の命令を…」

 

「どのみち研究室に行くんですから、そんなコト気にしないでくださいよ」

 

……痛みは、痛覚は…私に強く感じ取らせてくる、恐怖心を増幅させて…

 

「あれ?泣いてる、貴方たまに泣きますよね、何のバグなんでしょう」

 

バグ?バグか…

……私自身が、バグなのかもしれない

 

…私には、誰が残ってるんだろう

 

 

 

 

 

 

舞鶴鎮守府

駆逐艦 島風

 

「ひぃっ!?」

 

「だから、本当にお願い!私と勝負して!」

 

宿毛湾に行った時、アオボノさんはいなかった、ので後から私と提督の戦いを聞いたらしい…

そして何故か私と戦いたい…

 

「て、てーとくとやれば良いじゃん…なんでわざわざ私と…」

 

「アンタを尊敬してるからよ、お願い、私には何が足りないかわからない、アンタからそれを掴めるなら…と思って…」

 

「……いい、けど…」

 

「本当!?よかった…渋るかなって思って朧にコレもらってきたんだけど」

 

「…それは…!新作格闘ゲーム…!わぁ…気になってた奴だ…!」

 

「やっぱ朧とアンタって仲良いのね」

 

「…うん、共通の趣味だから…自然と」

 

「そんなもんなの?まあ良いけど…早速やりましょ」

 

「………ねぇ、アオボノさんは強くなりたいんでしょ…?」

 

「…そうだけど?」

 

多分、私のやり方じゃダメ…特に剣撃と砲撃を同時に使おうとしてるなら…

 

「真似はダメ、多分やり方がガタガタになっちゃう…」

 

「……アンタもそういうのね、わかってるわよ、あたしはあたしのやり方があるから」

 

あ、気づいてたんだ

 

「さ、早くやらないとこのソフト…刻むわよ」

 

「……誰も私には追いつけないって…見せてあげます…!」

 

 

 

 

「行きます!」

 

「こっちも遠慮なくやるわ…ちゃんと怪我しないようにしてるんでしょうね!」

 

「大丈夫…修復剤もあります」

 

「じゃあ遠慮なく!」

 

 

 

 

駆逐艦 曙(青)

 

「さて……阿武隈に土下座してまで…アレを見せてもらったんだから、やらなきゃね…狙いなさい……」

 

島風は速い、そしてそれをよく理解してる、早すぎると急な進路変更などに強い負荷がかかるのは実体験済みだ

 

「捉えた…そこ!」

 

剣を振るい、砲撃を召喚する

 

「狙いがおそーい!」

 

何かを蹴るようにして無理矢理の方向転換…

かなり負担がかかるはずなのに顔色ひとつ変えずにやってのける…つまり、それは一つの才能、体の作りや、経験…

 

スピードに体が振られることもなく、自分のタイミングで方向や速度を変えられる…島風の速さを私が捉えきれない理由…

 

「捉えたのに…!このッ!!」

 

点では当たらない、面を使って捉えるしかない!……いや、網を作り捕まえる…!

 

「いっけぇ!」

 

前方に砲弾をぶちまける

もう一つ、ここで仕込む

 

「お札…落雷注意!ライドーン!」

 

雷が砲弾を炸裂させる

 

「この晴天で…冗談でしょ…!あーもう!インファイトでもなんでもやってやるわよ!」

 

双剣を構え直す

 

剣を撃ち合う 

 

「このッ!流石にやるわね…!」

 

「にひひっ…!砲撃に拘りすぎてると思いますよ…!」

 

「うっさい!この…天下無双!飯綱舞い!」

 

飛び上がっての連続の斬撃

 

「んぐぐ…!」

 

「受けた時点でアンタの負けよ…!召喚できるのは砲撃だけじゃない…!」

 

「…魚雷!お札、大地の怒り!ガンゾット!」

 

島風の足元から岩が隆起して島風を吹き飛ばす

吹き飛んだ直後に魚雷が岩を破壊する

 

「この!!猪口才な!」

 

「ふふっ…言い回しがふっるーい…」

 

「はぁぁ!?アンタねぇ…決めた、アンタを叩き潰して!ゲームも叩き潰す!!」

 

「そんなの許さないよ!アプドゥ!アプコーマ!」

 

「それ、確か移動速度と魔法の威力上昇、って聞いたけど…効果あるの?」

 

「……お札、落雷注意…ライドーン!」

 

爆音を立てて雷が一つ、島風との間に落ちる

 

「…当たったら死ぬんじゃないの…?」

 

「海水は雷を逃してくれるから大丈夫です」

 

「それ水中にいたら大丈夫ってだけ…あーもう!やってやる!!」

 

「お札、爆炎の吐息…バククルズ!」

 

炎が私を囲むように…

 

「炎…今更そんなもんに怯えるわけ無いでしょ…!見せてあげる…あたしの本気を…!」

 

「……炎が蒼く…?」

 

「行くわよ…炎舞!!」

 

「熱っ!!」

 

攻撃を弾かれるのは想定内…

次にかける…!

 

「くらいなさい……三爪炎痕!いっけぇぇ!」

 

「まだやられないよ…!」

 

 

 

 

「はうぅ…この私がやられるなんて…」

 

「あたしもここまでやられるなんてね…あり得ないわ…」

 

「大技を砲撃でさらに強力にされて…防ぎきれなかった…」

 

「でも、島風も…何?魔法?アレが邪魔で攻められなかった…私にも使えたら良いんだけど」

 

「…使えないの?」

 

「試してはみたのよ、でもほとんどは使えない…」

 

「……別々の形のカイト…って事…?」

 

「島風は魔法使い、あたしは…双剣使い?」

 

「……何か掴めた?」

 

「多分、私は小綺麗な戦い方はできない、だから泥臭い戦い方でもなんでもやるわ」

 

「……頑張ってください、私はそこには行けないから…」

 

「そんな事ない、いつかまた肩を並べて戦う時が来るわよ」

 

「…楽しみにしてます!」

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