元勇者提督   作:無し

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監査

 

 

ただ、人より努力した

必要だったからやっただけで

求められたから応えただけで

 

それ以外の理由はなかった

 

今、それをみんなに求めている

 

世界が

 

世界が勇者を求めている

 

劇的に今を変える力を、そして、彼女を目覚めさせる力を

 

このブラックボックスはもう開かれた

しかし中身は見えない

それに気づいて取り出してくれれば

そうする事で、世界が揺らいだとしても

 

世界を救う機会はやってくる

 

 

 

 

 

 

 

「どもっ青葉です!恐縮です!」

 

「何か用かね」

 

「用がなきゃ来ちゃいけませんかね?」

 

「…私は君のようなタイプが苦手でね」

 

「うわぁ、直接的ですねー、別に良いんですけど、ところで最近電ちゃんが元気になりましたねぇ、司令官」

 

「……部下のケアも仕事のうちじゃないのか?」

 

「やぁ、ロリコンなんて一言も…」

 

「ふむ、そういう目で見てることは伝わったよ」

 

「じゃ、冗談が通じないですねぇ……」

 

「それよりも、君は私に用があったんじゃないのかね」

 

「あ、はい、色々と査察艦として見て回ってきたんですけど、あ、こちら資料と写真になります」

 

「……ふむ、これに目を通すだけでも構わないが、君からの意見も聞きたい」

 

「……えーと、その…緩くないですか?うちより色々、爛れてるというか、そう、戦果を上げる気がないというか…」

 

「私は君たちに基準の3倍の仕事を課しているからな」

 

「え、初耳」

 

「冗談だ、私はそれぞれの能力にあった分野の仕事を割り振っている、多い者は多いがそれでも1.25倍の量になるように調整している」

 

「結局多いんですか…」

 

「まあ、ここは日本の誇る横須賀だ、むしろそのレベルで済んでいることを感謝してほしい」

 

「……それかなり嫌味ですね」

 

「嫌味だからな、だが、他所にやる気がないのは困る……ふむ、出撃時の怠慢?」

 

「あー、弾薬って結構重いじゃないですか」

 

「まあ、運搬には苦労させられるな」

 

「だから半量だけ積んで最低限の戦果を報告してるっぽい形跡が…」

 

「………成る程、それはどこの指示かね」

 

「…指揮系統ではないと思われます」

 

「よし、対象のものをさらに詳しく調べ上げて報告せよ、度合いによっては解体処分もあり得るな、これは」

 

「ひぇっ……あと、ここなんですけど」

 

「…呉か」

 

「ここも随分と爛れてますね」

 

「……いや、ここはそのままでいい」

 

「地獄抜けしたからですか?」

 

「…いや、指揮官と知り合いなのだが、よく苦労話を聞かされる」

 

「じゃあ艦娘への処罰を?」

 

「彼にはそのまま苦労してもらいたい」

 

「なんか恨みでもあるんですか…」

 

「まあな、それに報告書を読む限りでも…相変わらずと言ったところだな」

 

「戦果自体は前より上がってるんですけど…ホの字ばかりで鬱陶しい鎮守府でした」

 

「…ふむ、彼には想い人がいたはずだが…ああ、しまった、データを間違えて旧友に送ってしまったな」

 

「ちょっそれ軍事機密…!ってめっちゃ悪い顔してるし!」

 

「うーむ、しまった、もう取り消せないらしい…目を瞑ってくれるなら何か褒美を取らせるが?」

 

「わーい!青葉何も見てませんから一眼レフが欲しいです」

 

「新作を与えよう、それで?結局君の意見は」

 

「…うちは確かに厳しいところですが、他所は軍規も何もないようなところばかりですね」

 

「と言うと?」

 

「気に食わなければ異動は当たり前、戦果を上げないと暴力、と言った事例も数件はあります、裏を取れば取るほど芋づる式に新しい事件に直面します」

 

「そうかね、しかしそれは単に指揮官一人が起こしたものではないだろう?」

 

「何処もみんな問題がありますね、佐世保は以前と比べると良くなりましたが」

 

「そう、佐世保は良くなった、今上り調子なのは私たち横須賀、佐世保、呉くらいだ」

 

「……いえ、あと一つあります」

 

「ほう、私にはそんなデータは上がってこないが」

 

「司令官が関係ないのでしたら構いません、大淀さんが処罰を受けるだけですから」

 

「言ってみたまえ」

 

「離島鎮守府、地獄から上がってくる戦果は随分といいものになりましたね、今月も轟沈0ですか」

 

「ほう、その情報の裏は?」

 

「…色々回ればあそこ出身の子も多いです、聞ける話は大抵地獄絵図でしたが、でも呉で…最近あそこを出てきた朝潮から話を聞けました」

 

「成る程、正直に今を語ってくれたと」

 

「ええ、随分と余裕が出てるみたいですね、あそこ、そして私たちの鎮守府に架空の明石の着任履歴、そして解任、さらには軍港を私的利用して誰かを送り込みましたよね?」

 

「やはり君は素晴らしい諜報力を持っている」

 

「お世辞はいいので、なにか言うことはありますか?」

 

「全て私がやった、それで?」

 

「…何が目的なんですか?」

 

「この戦争を終わらせる為だ」

 

「新戦力育成、と言ったところですか?」

 

「まあ、それでも構わないが…君は確か継承組だったね」

 

「…ええ、青葉の記憶は引き継がれてます」

 

「建造の際に以前の、艦ではなく、轟沈した艦娘の記憶を引き継ぐ…」

 

「悪いことを幾つも摘発してきました」

 

「ならばこの世界が何度救われたかも知っているかね?」

 

「…意味がわからないのですが」

 

「君の理解が及ばないことがあると言うわけだ、さて、そっちに関しても口止めさせてもらおう」

 

「では、離島鎮守府への取材を」

 

「許可しよう、君にもいい勉強になるかもしれない」

 

 

 

 

 

 

離島鎮守府

 

「どもっ、重巡洋艦青葉ですっ!お出迎え感謝します!」

 

「提督代理の明石です、よろしくお願いします」

 

「あれ?提督代理…?」

 

「今提督は体調を崩しておりまして、申し訳ないのですが私が対応させていただきます」

 

「ふーん…あ、色んな子がいますねぇ」

 

「まあ、着任数も増えましたから…」

 

「名簿ってあります?」

 

「ええ、こちらに」

 

「…へぇ…赤城、加賀、鳳翔、鳥海、高尾、大潮、満潮、霞、曙…曙さんが二人いるんですねぇ、珍しい、朧、漣、潮、間宮、んー…?この空白なんですか?」

 

「そこは区切りです、その下は直近の着任の子と、後は教導艦になります」

 

「へぇ…北上…この練度、本当に強いんでしょうか、演習に出てきてもよく変な動きでやられるって聞きますけど」

 

「練度はあくまで指標、実際の強さとなると話が変わりますからね」

 

「そんな人が教導艦…ねぇ…えーと?阿武隈、金剛、扶桑、龍驤、千代田、愛宕、暁、雷…戦艦はこの二人だけ?」

 

「ええ、しかし新人な上に危険海域ですので演習まで待機してもらってます」

 

「そうですか、じゃあ施設の方も見せてもらいますね」

 

「一般レベルのものしかないですけどどうぞ」

 

 

 

 

確かにここは普通なものしかない

だけどそれが異常、もっとボロボロだと聞いてたのに…よくここまで整えてる

何か裏があるはず

 

「あれ?そういえば憲兵は」

 

「人員不足という事で引き払われましたけど、ご存知ないですか?」

 

「そうですかー、要請しときますね」

 

「…はい」

 

憲兵を嫌がってる…?

なんでだろう

 

「鎮守府裏も見せて貰いますね」

 

「…そこは墓地しか…」

 

「…墓地?」

 

「沈んだ方のお墓を、提督の方針で設置しています」

 

「成る程、それはなかなかな事で…」

 

 

 

「こう見ると壮観ですね、こんなにも…」

 

「まあ、その…最前線ですから」

 

「ふーん…ふむふむ、お手入れされてるんですね、全員姉妹がいるわけじゃないのに」

 

「娯楽も少ないですし、何よりみんなお互いを助けるために沈みました、誰も軽くみたりしません」

 

「御立派ですねぇ…あとはー…えっと、訓練の方を見てもいいですか?」

 

「構いませんけど、主力艦隊は出払ってて…」

 

「あ、大丈夫です、見たいのは北上さんの方なので、居るんですよね?」

 

「はい、いまは執務手伝いを主にされてますので…」

 

「よかったー、情報通りで、じゃあ早速行きましょう」

 

 

 

 

「次ー、金剛ね、狙いつけてー」

 

「行きマース!fire!」

 

「うーん、外してるし、私射撃許可出してないよ、減点、次ー」

 

 

「ちゃんとやってるようですね、マニュアル通り」

 

「まあ、練習巡洋艦が派遣されていないので…」

 

「それはご迷惑おかけしてます、それにしても…ふむふむ…せっかくだしもっと色んな風景が撮りたいんですけど…」

 

「確認してみないことには…」

 

 

 

「んー、模擬戦でもする?確かに実験経験も積ませたいしねぇ…」

 

「今誰が残ってましたっけ」

 

「新人8人と私、あとは明石と鳳翔さんくらいかなぁ、戦えるのは」

 

「でも北上さんはまだ本調子じゃないでしょう?」

 

「だいじょーぶだって、このままじゃなまっちゃうよ」

 

「oh!北上も戦うのデスネー!ぼっこぼこにしてやりマース!」

 

「鳳翔さん今どこだっけ?」

 

「執務室かと…」

 

「おっけ、内線繋ぐね、ん、あたしー、演習場これる?艤装持ってきてねー、よし、久々に暴れるぞー!」

 

「随分と軽い人ですね…」

 

「まあ、その…そう言う人なので…」

 

 

 

「え?あの…私実戦は経験が…」

 

「大丈夫、明石もないけど、二人とも基礎知識はあるでしょ?」

 

「まあ、そのくらいでしたら…」

 

「それに明石はともかく、鳳翔さんは実戦じゃなければ経験豊富だよね?やれるって」

 

「えーと…私disられてる?」

 

「よーし、新人ども、私たち相手に勝てるかな!?」

 

エーサンニン!? コノショウブハモラッタネー! ダイジョブカナ... レディナンバワン

 

「8対3ですか、練度の差があるにしてもちょっときついのでは?」

 

「さらに言うと私くらいしかまともに戦闘経験ないからねー、でも、経験って大事っしょ」

 

「…まあ、そうですね」

 

「見てなよ観察艦、その舐めた目つき、変えてあげるから」

 

 

 

 

 

「ヨーシ!基本の陣形でいきマース!」

 

「水上偵察機、発艦準備完了しました」

 

「各種装備いけるで!」

 

「let'sやりますヨー!」

 

 

 

「ま、やることは簡単だから、鳳翔さんが制空権を争ってる間に私が全員落とす、最近舐められてる気がしてたんだよねー」

 

「そんな無茶苦茶な…」

 

「いい?私たちが命かけてるってしっかり教えるよ」

 

「ところで私の仕事は…」

 

「被害担当艦かな…」

 

「え」

 

「とりあえず、詰めるときに挟むようにして砲撃する、私が左手に行くから明石は右手側から、先行して仕掛けてもらうことになるから、結構そっちにヘイトが行くけど、まあ、大破する前に仕留めるから」

 

「じゃあ行っくよー」

 

 

 

 

「うっはー…何あの動き、あれが雷巡かぁ…」

 

この模擬戦の主役は終始北上だった

鳳翔と龍驤の制空権争いは序盤こそ様になっていたが、砲雷激戦が始まる前には龍驤が不利な状況に追い込まれた

そうなれば水上機も役に立たない、と

肝心の北上は甲標的と酸素魚雷の一人部隊

見える雷撃と見えない雷撃をうまく織り交ぜ隊列を崩し、行き場を失ったところに砲撃

砲撃に気を配れば次は雷撃で仕留められる

明石の砲撃も最初は的外れだったがすぐに当たるようになっていた

おそらく経験を知識でカバーしている

あの3人で無傷のままに8人の新人を封殺してしまった

と言っても明石はいらなかったと思うけど

 

「いやー、お見事ですね!」

 

「ん、ありがとねー」

 

「本当になんで他から声がかからないのか不思議です」

 

「ま、今回の旗艦は鳳翔さんだったけど、作戦立案とか対処は他任せだし?普段はもっと敵も強いから私の動きくらい読まれちゃうよねぇ…」

 

「なるほど、格下には強いと」

 

「悪意の感じる言い回しだけど間違ってないよ」

 

「正直今のあなたならどこに行っても大抵当たるのは格下だと思いますけどね」

 

「そうでもないんだよねー、手こずるしよく負けるから」

 

「勝ちは呉鎮守府に一度しか記録されてませんね」

 

「まあ、それ以外勝ってないし」

 

「どうです?うちに来ませんか?横須賀ならもっと強い敵と戦えますけど」

 

「…それなんの冗談?つまんないからやめときなよ」

 

「いえ、冗談とかじゃなく…」

 

「だからやめろって言ってるじゃん、次言ったら的にするから、明石、後よろしくねぇ」

 

ここを離れる気は毛頭なさそうですね

自由も何もないのに、なんだか変な人というか

 

 

 

 

「うーん、どうしても提督さんには会えませんか?」

 

「ええ、流行病ですので、医務室に篭っていらっしゃいます」

 

「ふーん、まあ仕方ないですね、じゃあ案内はもういいです、何枚か撮ったら帰りますので」

 

ま、そんなわけないんですけどね

 

 

 

 

「とりあえずどうしましょうかねぇ」

 

色んなところを回ってみる

 

「結局主力の人まだ戻ってきませんからねぇ、今日中に取材したいんですけど」

 

工廠はまだ調べてなかったかな

 

 

「ん?パソコンかぁ…誰もいませんね…ってこれ古くないですか?型番は…わっかんないなぁ…これはバリーが好きそうな…ん?んんー…なんだろこれ…あんま深入りしない方が良さそうですね、画面の写真だけ何枚か…よし、まあ専門外は専門家に丸投げしましょう」

 

勘ではあるがお宝を手に入れた気分でそこを離れる

 

「ん、医療施設は流行病のせいで入ってませんけど…まあちょっとなら大丈夫かな?」

 

見つからないように静かに探索する

 

「あ、カルテ発見…何これ、ドイツ語ってやつですね、これも写真だけ…よしっ…さて、引き上げますかね!」

 

その後何事もなく横須賀への帰路へと着けましたが

しかし、なーんかありそうなんですよねぇ…

もっと調べる機会が必要そうです

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