元勇者提督   作:無し

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再誕の碑文使い

海上 

カイト

 

明石が作ってくれた最期のチャンスを…絶対に逃さない…今、ヘルバから届いたデータが全てだ、この戦いに全力を掛けてるのは僕だけじゃない…

次の再誕の瞬間が…最期のチャンスだ

 

「みんな!!もうひと頑張りだ!あともう一度だけ、もう一度だけやるんだ!」

 

「何よ…何か考えでもあるわけ?」

 

「…とびきりのがね」

 

『無駄だ!何度私を倒しても永遠に甦り続ける!』

 

「この世に永遠なんてものは存在しないよ…」

 

…もうすぐ日が落ちる

 

『存在する!私こそが証明だ…!』

 

「明けない夜はない…必ず日は登る、そして黄昏の先に夜が来て、薄明の後に朝が来る…」

 

『だからどうした!』

 

「……それすらも永遠じゃない、永遠の昼がないように、永遠の夜もない…夜を、終わらせよう…もうすぐ薄明の時だから」

 

『訳の分からんことを…!』

 

砲撃が直撃する

手元の双剣を意識する

 

「曙、返すよ」

 

「ちょ、え?」

 

『全てが終わる!全てが死に絶えるのだ!』

 

「そして新たな命が芽吹く、再誕ってそういうモノじゃないかな」

 

『戯言を…!』

 

「提督」

 

曙…?

 

「お使いください、接続に必要なモノです」

 

「……黒い森…ありがとう、使わせてもらうよ」

 

腕輪に取り込む

 

「それでは、私は指揮がありますので…また次の世界で」

 

「うん、起こそう…再誕を…」

 

『貴様らを殺してやる!殺してやる!!』

 

「いきなり小物っぽくなりやがって…オラァ!!」

 

「的が大きくなった分…ダメージも通るわね!!」

 

曙と摩耶が後ろに回り込んでタコ殴りにしてる…砲撃もかなり当たってるし、順調に見える…

 

『いつまでも黙ってやられていると思うな!!』

 

小型のAIDAの群れが飛び出してくる

 

『各方面に無数に深海棲艦が迫ってます!戦場が混乱し始めています!!』

 

「さっきの再誕か…!?だけど衝撃波も何もなかっただろ!」

 

『とりあえず全部ぶちのめすしかないよ!』

 

『私は第二艦隊の支援に行きます!那珂ちゃんは第三の方に!』

 

『位置は大体同じだよ!姉さんここ任せたからね!?』

 

事態はどう転ぶか…そこに全てがかかってる…!

 

 

 

 

正規空母 赤城

 

「私が周囲の敵を打ち払います!皆さんは敵本体に集中を!」

 

「私も手を貸します、半数もあれば充分でしょうが」

 

艦載機が深海棲艦を撃ち抜く

普段なら沈んでいくそれは…そのまま傷が塞がり向かってくる

 

「…これは…異常事態ですね」

 

「赤城さん!危ないです!」

 

背後に迫っていた深海棲艦が吹き飛ぶ

 

「青葉さん…すいません、この治癒力に呆気に取られてしまって…」

 

「先程コチラに遊撃部隊の皆さんが来ると…もう大丈夫…な、ハズです…」

 

「……それは不味いですね、コチラに人員を割いて消耗戦を強いられるより短期決戦を望む方が被害は少ないハズなのに…」

 

「無限に復活する敵が相手なら仕方ないわ、どれだけかかるかも分からない…でも私達は夜になったら艦載機を飛ばし辛くなります、早く撃破しましょう…死力を賭して」

 

「勿論です」

 

しかし、コレで爆弾も魚雷も売り切れですか…飛行機だけでは豆鉄砲レベルの機銃しかない…

 

「艦載機の魚雷と爆弾が無くなった人は順次一度帰投!補給を済ませてください!着艦はこちらで済ませます!青葉さんは護衛について!」

 

洋上補給で済ませるためにも大半が一度帰投する必要がある…でもこの深海棲艦だらけの海を無事に渡るには、艦載機の無い空母なんてお荷物でしか無い…万に一つ、何事もなく辿り着き、補給を済ませたとしても…復路が安全な可能性などかけらも残ってない、なにより私達はそれまで耐え切れるかも分からない

 

「皆さん離れてください、道は作ります」

 

「…多分コレでお別れですね、この力とも」

 

「…十分すぎるほどにお世話になりました」

 

紋章砲を放ち、周囲の深海棲艦を焼き払う

 

「さあ!急ぎますよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

重雷装巡洋艦 北上

 

「はぁ…成功したからいいけどさ…」

 

「え!?あれ!北上さん!アレ提督ですよ!」

 

「阿武隈うるさいって…まあ、いいけどさ…あんまあたしもカッコ悪い真似できないじゃん…こんなだけどさ」

 

そろそろみんなダれてきたし…

 

「第五連合艦隊!!もう少し気合い入れようか、本気出さないと死ぬよ?』

 

「…碑文使うんですか…!?こんなところから!?」

 

『うるっさいなぁ…大丈夫だって、近寄るからさ…』

 

碑文に反応してAIDAが活性化する…

コレなら数分くらいは充分戦えるかな…反動はあるけど

 

『ちゃんとあたしについて来ないと…沈むよ』

 

一気に近づく、ここで全て打ち砕くために

 

『いくよ瑞鳳…!』

 

籠手を顕現させる、海面を叩き大波を立てる

出てきた深海棲艦に一撃ずつ砲撃を打ち込む

 

「…すご…あんな体勢で当たるなんて…」

 

「杖いらないっぽい…?」

 

「見ましたか!?アレが北上さんの実力なんです!」

 

「そうですよ、いつ見ても惚れ惚れします」

 

…なんで不知火と阿武隈が得意げなのさ…

 

『あたしは長く持たないんだから、ちゃんと気合い入れてよ…!?』

 

「わかってます!みんな続きますよ!」

 

『砲撃用意…てー!!』

 

砲撃のたびに体が軋む音が響く

 

『もう少し、持ちなよ…!』

 

 

 

 

 

海上

カイト

 

「ヘルバ、状況は」

 

『…アナタが戻ってきたおかげですべてが予定通り…まさか本当に復活するなんてね』

 

「次の再誕の時に仕掛けるよ…」

 

『……信じてるわ、どんな事になろうとも…』

 

「わかってる、みんなの事を僕は絶対に…」

 

ガラスが割れる音が響く

 

「プロテクトが壊れた!ごめん、忙しくなる」

 

…世界が終わる

 

『この…!次の再誕で全てを…!』

 

来る…

データドレインを展開する

 

『何…貴様…!』

 

「再誕、つまり一度ゼロになるんだ…プロテクトすらもね」

 

『何!?まさか…やめろ!やめろぉぉぉぉぉッ!』

 

「…アウラ…!」

 

データドレインがコルベニクを貫く

 

『がぁぁぁぁぁっ!!』

 

「…良し、コレで…再誕は手に入れた…!」

 

そうだ、再誕が必要だった、この碑文が…!

 

『何故だ…何故私は醜い化け物のまま…!』

 

「抜き取ったのは碑文の力だけだ、八相にまで用はない…多分操作できないしね…あとは僕に適性があるかどうかだ」

 

第八相 再誕コルベニク…

その碑文を僕が扱えるんだろうか…いや、試す他ないかな

 

「…力を貸してもらうよ……再誕…コルベニク!!』

 

でた…コレが僕の…碑文

つまり僕はただ、みんなの深層意識を操っていただけに過ぎないか…

 

腕輪を掲げる

 

『コレで終わりだ…ドレインハート』

 

全てを腕輪が貫く

全部が貫かれていく

 

「なっ…!カイト!!お前何を!」

 

『提督!ちょっと待っ…!』

 

…みんな、お別れだ

 

「カイト!本気で…!?」

 

『本気だよ、この世界はもう終わりだ、僕が滅ぼすから』

 

再誕のトリガーは、僕自身の死…

データドレインで自分を貫き、今度は死を…

 

「ダメ!やめて!!」

 

『待ってよ、提督…次の世界に提督はいるんだよね…?』

 

『………』

 

六角形に周囲の景観が切り取られる

 

『お別れだ』

 

「…提督…!」

 

みんなが消えていく、僕が消している

みんな僕が殺してしまう…

 

『…さようなら、みんな…!』

 

 

 

 

夜が来た、真っ暗な夜が

今もこの世の全てを侵食し、この世界を端から端まで全て作り替えようとしている

 

『…コレでこの世界はたった2人…僕とお前だけだ…お前は次の世界には、いらないから』

 

真っ白で真っ暗な夜の世界に、僕と大きな目玉、八相としてのコルベニクだけが取り残された

 

『こんな…こんな事が許されると思っているのか!』

 

『許されるわけがない…だけど僕は、そうする事しか見つけられなかった、思えば違う手段もあったのかもね…でも、もう全部終わった事だ……これで僕の物語は、勇者カイトの物語は終わりを告げる…僕の残されたただ一つの役目は、永遠の時をお前とここで過ごす事だ』

 

『巫山戯るな!私も再誕で先の世界に…!』

 

『オメガノドーン』

 

魔法で捩じ伏せる

碑文の力とは思ったより自身を強化してくれるらしい

 

『…なんのために僕がいると思ってるんだ、僕はこの太陽のない世界で、終わらない夜をお前と過ごす、いい加減諦めて欲しいけど…抵抗するなら永遠に倒し続けるだけだよ』

 

『クソ!!ならばお前を殺してここから出る!!』

 

『……やってみればいいさ…やれるものなら』

 

 

 

そう、これで勇者カイトの物語は…倉持海斗の物語はおしまい

カイトの描いた筋書きは紆余曲折の先に果たされた…

 

 

 

 

 

 

 

だから、ここから先は、カイトの意思は関係のない…みんなの描く物語

 

 

 

 

 

 

 

The・World

 

「ん〜!!よし!かなりレベル上がった、サンキュー潮、漣」

 

「大丈夫だよ、これで次の八相との戦いに間に合うといいね…」

 

「ヘルバのあねさんがレベルに頼るなって言ってたから、ちゃんと動きとかも頑張って…アイテムも用意して…」

 

「……次の、八相で終わり…か、なんか、変な気分よね、私達が…なんでこんな戦いに首を突っ込んだのかも、この戦いの先にあるものも」

 

私が何故、このゲームを始めたのかも…全部ハッキリしない…ボヤけたような世界…

 

 

 

東京 北上宅

北上

 

「曙、どう、なんかわかった?」

 

「いいえ…そもそも、世界の脱出手段なんてわかるわけないですよ」

 

「……そっか、綾波、アンタは」

 

「ひっ…!ごめんなさい…ごめんなさい…!」

 

…あたし達はちゃんと記憶がある、だから再び出会った…綾波はたまたま見つけたから使ってるだけ…

 

「チッ…提督はさ、なんでこんなことするかなぁ…!」

 

「……私たちを平和な世界で生かしたかったんでしょう、この世界には…鳳翔さんもいれば、私たちの知らない死んだ人達もいる…最後の戦いで命を落としたのは…把握できてないだけで1人や2人で語れる数でもない…」

 

「……何より、この世界には火野拓海も、大淀も居た…瑞鳳もいた…みんな何も知らないみたいだった、記憶は受け継いでないみたいだったけど…でも、この世界はイレギュラーが起きてる、艦娘も深海棲艦もない世界に私たちは過去の記憶を持ち込んでる…綾波、アンタはどうなの」

 

「ごめんなさいごめんなさい、何もわからないんです…!」

 

…綾波は私たちに怯えてるそぶりを見せてるから、記憶があるんだろうと思ってもう数年関わってるけど…ずっとこれ

 

「……母親、と呼べる何かから生まれ、幼稚園、小学校と成長する過程を経験したのは貴重ですが、作られた世界だと思うと、悪寒が走りますね」

 

「……たまたま、前世の記憶を持ち込んじゃっただけで…この世界は本当に、前の世界と同じ世界なのかな…これが正しかった世界…?」

 

「…北上さん、この世界には前と同じものが一つあります」

 

「なにがある?」

 

「The・World、ネットゲーム…アレから全てが狂ったなら…また狂わせればいい…どうですか」

 

「…それは提督の考えも、努力も、全部ぶち壊すってことだよ」

 

「承知の上です…それに今の私は機械じゃないんですよ?嫌な命令には背きます」

 

「…よし、乗った…!提督、私はみんながいいんだよ…誰もかけないみんなが…ん?阿武隈だ」

 

「……こっちに気付くなり逃げましたけど、怖がられてません?」

 

「阿武隈も記憶があると思って詰め寄っちゃったんだよねぇ…まあ、見た通りなんだけどさ…」

 

「……不愉快ですね」

 

 

 

 

 

 

 

東京 秋葉原 喫茶店

大井

 

「三崎さん、いい加減行き先を決めてもらえません?日下さんも何か言ってやってくださいよ」

 

「そうですよ、というか大体なんでわざわざ東京まで出てきたのに喫茶店でゲームしてるんですか!?」

 

「いや…だって千葉とか遊ぶとこねぇし…」

 

「知ってますか?東京ってついてますけど夢の国は千葉なんですよ?」

 

「んな金ねぇよ」

 

ああ言えばこう言うなこの男は…!

 

「あ、死んだ」

 

「まずは話してる最中にゲームするのやめてくれません!?……あれ、なんか外騒がしいですね」

 

「路上ライブみたいですよ、ほら」

 

「………へぇ」

 

「知ってる顔でも?」

 

「さあな、わかんね」

 

…アレは…?

見た事がある気がするのに、思い出せない…

 

 

 

 

東京 秋葉原

那珂

 

「みんなのアイドル〜!那珂ちゃんだよ〜!」

 

キャーナカチャーン!

 

「那珂ー!輝いてるよー!」

 

「素敵ですよ!那珂ちゃん!」

 

「…あれ、おかしいなぁ…姉妹でユニット組んだはずなのになんで観客席に2人ともいるの…?ほら、早く上がってきて!今日はまず恋の2-4-11から!行っちゃうよー!」

 

ウオォォォォォ!!

ダイヨンスイライイクゾー!

 

 

 

 

静岡 熱海

大淀

 

「お疲れ様でした拓海さん、いい試合でしたね」

 

「ああ、うん、大淀さんありがとう、結構活躍できたしよかったよ…」

 

「……何か、気になる事が?」

 

「なんだろう…僕は…誰かとの約束を忘れてる気がしてね…誰だったかな…よくサッカーの話をした事があると思うんだけど、どうしても思い出せない…」

 

「大事なお友達を忘れてしまった…と?」

 

「わからない…忘れてしまったのかすら…」

 

「きっと、それなら忘れてしまったのでしょう…最初から居なかったなんてことはありません、もう一度前を向きましょう…あなたが落ち込んでいては、せっかく再会できてもその人は悲しみますよ?」

 

「…そうかもしれないね」

 

 

 

 

 

 

The・World

 

「トキオさん、ショップどんぐりでハンバーガーを買ってきたのです」

 

「お、ありがとう!…うん!やっぱり美味しいなぁ…」

 

「…この世界にいる他の皆さんは、これを味わう事ができないんですから…ちょっと残念なのです」

 

「仕方ないよ、オレたちはダブルウェアで、ゲームの中に取り込まれちゃったんだから…よし、みんなと合流してアカシャ盤の最上階を目指そう、もうすぐ辿り着けるはずだよ」

 

「……果たしてアレは登りきっていいものなのでしょうか…」

 

「どうなんだろう、でも、やらなきゃいけない…」

 

 

 

 

 

 

サイバーコネクトジャパン

龍田

 

「チーム長、これ、報告書です♪」

 

「ああ、悪いな…デルタサーバーにまた放浪AIの報告があった、任せてもいいか?」

 

「構いませんけど、渡会さんはどうされるのですか?」

 

「この前の取り逃がしについてと思われる匿名のメールがあった、俺はそっちを追う」

 

「ああ、聖堂の赤い放浪AIですか、わかりました、お願いします、私の方は瑞鳳ちゃんと対処にあたりますから」

 

「任せる、それから…瑞鶴のやつはどうした」

 

「あー…早めのランチに」

 

「……あいつはコピー取りに降格だ、あ、そうだ…高岡さんにも連絡を回しておいてくれ、このイベントについてなんだが難易度がおかしいものがあってな、ザワン・シンと言えば伝わるはずだ」

 

「は〜い」

 

 

 

 

 

東京 青葉宅

青葉

 

「…なんで泣きそうな顔で私の方を見るんですか、ガサ」

 

「だって青葉じゃない方の青葉なんにも喋ってくれないし!」

 

「ひぃぃ…ごめんなさぃぃ…」

 

「私の妹を泣かさないでくれますか!?というか無茶言わないでくださいよ、人見知りなんですから!!あーもう!前世の記憶持ってればこんな事には…!」

 

「…また出たよ…いい加減病院探せば?」

 

「……うん…」

 

「青葉がおかしいんですかね、アレは全部夢だったんですかね、それでも良いですよ、別に…だけど青葉にとってアレは夢なんかじゃなくて、大事な人生だったんですよ…!」

 

「前世の記憶って言われてもなぁ…ほら、さっさとThe・Worldしよ、みんな待ってるし」

 

「………はぁ…!」

 

 

 

 

 

 

 

そう、みんなこの世界で何かを失い、何かを手にした

誰かが誰かの代わりをして、誰かが誰かの分も戦って

誰かの役割を何人かで分け合った

 

 

『私は、貴方が、嫌いです』

 

 

『まあいいと思ったことからやりましょうよ、絶対に前に進めると思います』

 

 

『なんだっていい……今のうちに…終わらせるよ!!』

 

 

『諦めて…たまるかぁぁぁっ!!』

 

 

『どうして1人で抱え込んで!貴方は特別なんかじゃないのに!』

 

 

『私達が刻んできた想いの全てを……!』

 

 

『この世界を動かす歯車のように…!』

 

 

 

そして、バラバラな時間の、バラバラな世界の中で…

 

みんなが私を見つけた

 

 

『……久しぶりですね、アウラ…』

 

 

 

『…え…?ちょっと待って、誰?…なんで…』

 

 

 

『……そっか、そういうことなんだ…!みんなが思い出してる…!』

 

 

 

『アウラ……っ…?……アウラ…アンタが、アウラ…?』

 

 

 

『…初めまして、アウラ、私としては思い出したくはなかったですが…そうすべき、ということですか』

 

 

 

『…そうじゃん!そうなんだよ!!まだ、まだ終わってないんだ…!』

 

 

 

『……私は全て知っていました、予知した未来は祝福されていました…こんな仮初の形ではない、本当の勝利を…刻むのです』

 

 

 

 

後は、カイト…貴方が…

 

 

 

 

 

 

 

カイト

 

『…く…!』

 

『無限に再誕を繰り返すうちに、貴様の方が劣勢になり始めるとはな…次の世界とやらに、私も行かせてもらおうじゃないか』

 

『そうはさせない…絶対に…!』

 

魔法のストックも切れた…回復も再誕の碑文に頼るしかない…

 

『私が呼び出す傀儡を壊すのが精一杯の貴様に…どうやって止められる、というのだね』

 

巨大な敵が高笑いする

 

『絶対に…もう黄昏は…来ない、来ちゃいけないんだ…僕はここで全てを食い止める…!』

 

『黄昏を食い止める?笑わせるな!貴様が言ったのだ、永遠の昼などないと…!貴様はここで死に、世界は夜に呑まれる!!』

 

…もう、ダメなのか…?

 

「ありゃ、なんか劣勢ですよ」

 

『そうだねぇ…まあ、無理なんじゃない?1人だと』

 

「同意ね、よくもまあ、やってくれたもんよ…」

 

誰かいる…?誰が…

 

『…何…!?貴様ら…何者だ……いや、貴様らはは消されたはず…!』

 

…誰か、それすらもわからなかった…

 

『敵が増えたのになんで余所見できるかなぁ…ッと!!』

 

『がぁぁぁぁぁッッ!』

 

『姉さん、私達も居るんですから、全部取らないでください…』

 

『そうそう、それにセンターはいつまでも…私だからね…!』

 

あれは…アレは碑文か…

操ってるのは誰だ…?誰なんだろう…

 

「…本当に、全てわからなくなってしまいましたか」

 

背後から声をかけられる

藤色の髪の少女

 

「数億年の時を1人で戦ったつもりですか?孤独な戦いに勝者なんてありませんよ、提督」

 

『……キミは…』

 

「…もう一度だけ、名前をお伝えします…私は、曙ですよ…提督」

 

『…あけ、ぼの…?』

 

そうか、思い出した…みんな…なんでここに…!

 

『なんで…!なんでみんな…!』

 

「え、馬鹿なんすかご主人様…自分1人だけでカッコつけるのとかやめてもらえません?」

 

『そゆこと、じゃ、やろうか…いまのあたしの体…万全だかんねぇ…やっちゃいますかぁ…!』

 

「よく見ときなさいクソ提督!向こうの世界のカイトの活躍を!」

 

「提督、たとえどんな世界でも…夜は来ます、いま私たちは永く、暗い…冷たい夜が明ける瞬間にいるんです」

 

…今からが、薄明…

 

「オラオラオラァ!!ふざけた真似してんじゃねぇぞ!!」

 

「ったく、戻ってきてもし艤装が無かったら戦えなかったわね…沈みなさい!」

 

どんどん、みんなが…

 

『さあ!いくよ…スケェェェェィス!!』

 

『イニス!!やるわよ!』

 

『私に力を…メイガス!!』

 

『運命はもう決まってるのです…その道を歩むために後もう少し頑張りましょう…フィドヘル!!』

 

星の輝きのように、小さな光の粒が集まって…

 

『…ゴレ!』

 

『もうちょっと…だから…マハ…!』

 

『ま、ちょっと休憩してなよね、提督はさ…タルヴォス!』

 

「…提督、お借りします」

 

「曙…」

 

『……来なさい、再誕…コルベニク!!』

 

八つの碑文が…揃った

 

『まだだ…!まだ終わらん!終わらせるものか!!何度でも復活し!何度でも貴様らを殺し尽くすまでだ!』

 

『こんのッ…!!無駄な抵抗だっての!!』

 

『川内!上から仕掛けるわよ!!』

 

『覚悟はできた…!?堕ちろォッ!』

 

縦横無尽な戦い、だけど…

 

『まだだ!まだ私を殺しきるには足りない…!!』

 

『マズイ!碑文使いじゃない子が吹き飛ばされる…大井!』

 

AIDAの壁が衝撃を受け止める

 

『人使いが荒いですね…!でもこの程度…!』

 

『何度でも守ってやるクマ!!』

 

でも、こんなに力が集まったのに…まだ届かない…

決して倒しきれない…再誕は食い止めることしかできない…

 

『もう一回くるよ!!』

 

『ぐ…重…!』

 

何が、足りないんだ…何が…

 

「よ」

 

背中を叩かれる

 

「…なんだ…随分と遅かったね」

 

「……覚えてる?夜明け前が最も暗い…」

 

「うん、すごく暗かったよ…」

 

「じゃあ、今からは…明るくなるだけね、摩耶ちゃん!ちょっとそれ返してくれる!?」

 

「……アンタは…!ハハッ…なるほどな、本物のご登場じゃねぇか…そらっ!」

 

摩耶が大剣を放り投げる

 

そしてそれをブラックローズが受け取った

 

「さ…やろうか…アンタ達も!」

 

「だな、俺らにもカッコつけさせてもらおうか!」

 

「こういうことを言う柄ではないが….hackersを敵に回すと言う事がどう言うことか、しっかり教えてやるべきだ」

 

「オルカ…バルムンク…!」

 

空間が音を立てて割れる

 

「盛り上がってんじゃねぇか、川内!!」

 

『うわっ!?提督!?』

 

ハセヲ…?あの格好は…

 

「なぁカイト、俺らは向こうで同じ運命を辿ってきた、その結果がこれだ…川内たちの碑文はこの世界の碑文…なら…向こうの世界の碑文はどうだ?」

 

まさか…向こうの世界の碑文使いを…

 

『私は、ここにいます…イニス!』

 

『来い、俺の…メイガス!』

 

『来たまえ、フィドヘル』

 

『行くよ…』

 

『行くで!』

 

『『ゴレ!!』』

 

『さあ、ミア…おいで…マハ』

 

『行くわよ!タルヴォス!』

 

『来たれ再誕…コルベニク!!』

 

『いいぜ…来い…来いよ…!俺は…ここに居る…スケェェェェェェィス!』

 

…二つの世界の碑文が全部…拓海も、薫も…居る…

 

『カイト、キミの望んだ結末だ』

 

『…安心して、僕もミアも、キミの仲間だから』

 

『こんなことが…こんな事がぁぁぁぁ!!』

 

『再誕を打ち砕け!絶対にここで終わらせるぞ!!』

 

「…僕も…」

 

剣を…

 

「提督、お使いください」

 

「朝潮…これは…トライエッジの?」

 

「残念ながら、私の騎士は女神を守っていますから」

 

…充分だ、充分すぎる

 

「よし、ありがとう…行くよ!!」

 

一気に距離を詰める

 

『コンビネーションだ!』

 

「天下無双飯綱舞い!」

 

『…堕ちろォ!!』

 

ハセヲと連携して攻撃を叩き込む

 

『連撃…決めるぜ!』

 

「カイト!」

 

「炎の爪…走れ!!」

 

『こんなダメージ…再び再誕して…!』

 

「いつまでもいつまでも、そう言うのはダレるって…禍刻、ゲシペンスト…!」

 

『また私の時間の流れを遅くするつもりか!しかしもう効かん!!』

 

 

「だと思ったよ、じゃあ次は勇者様にお任せするか…時の勇者様にな…トキオ!」

 

「OK!…時よ……止まれ!!」

 

 

打撃音とともにトキオが飛び込んでくる

 

「今だ!」

 

『終わりよ…!』

 

「はぁぁぁッ!!」

 

『消えやがれ!!』

 

コルベニクを打ち砕いた…

夜明けが…やってくる

 

「カイト」

 

「…アウラ?」

 

「みんな、貴方を迎えにきた」

 

…世界が、止まってる…

 

「夜のない世界はない、昼のない世界がないように、夜には星が輝き、昼は雲が太陽を隠す事もある…」

 

「…わかってる」

 

「新しい世界に行くの?」

 

「行かなきゃならない…僕は、みんなと一緒に歩んでいく」

 

「それが例え、黄昏よりも辛い道でも?」

 

「例え真夜中でも…きっと…歩んでいける、僕はそう信じてる、絶対に後悔はしない」

 

もう、大丈夫だ、僕はみんなと同じだから

 

「ネットとリアルが分たれた世界…私と貴方も…わかたれる」

 

「…また、助けに行くよ」

 

「待ってる、世界が再誕するから…みんなの望んだ世界が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京

倉持海斗

 

「……学校に行かなきゃ」

 

いつも通る、何もない退屈な道

友達と話をしながら学校に行ったり、帰ったり

 

「でさ、そのThe・Worldってネットゲームが面白いわけよ!」

 

「へぇ…今度やってみようかな…ん…?」

 

…潮の香りが鼻をくすぐる、近くに海はないのにな

 

「どうかしたか?海斗」

 

「いや、なんでもないよ、ヤスヒコ」

 

桜の花びらが舞ってる…少し時期が外れてるのに…珍しいな

 

「すいません」

 

脇道の石段に座った女性に声をかけられる

 

「この施設を探してるんですけど、ご存知じゃないですか?」

 

…横須賀…?

 

「県が違いますね、一度電車に乗ってもらったほうがいいと思います」

 

「あら、そうなんですね…つい先程こっちに出てきたばかりでよくわかってなくて、親切にどうも」

 

「いえ…」

 

そう言って女性は2人の女の子の手を引いてどこかに行ってしまった

 

「なんだ?今の人…」

 

「さあ、よくわかんないけど…あ、それより…」

 

この日、始めたネットゲームで僕の人生が変わった

この日から僕はたくさんの仲間に出会い続けた

 

「え!?ワイズマンって僕より年下なの!?」

 

「そうだとも、何かおかしかったかな」

 

「いや、そんな事は…ねぇ?みんな…」

 

「まあ、正直少し驚いたくらいだよねぇ…」

 

いろんな、たくさんの、仲間に出会い続けた…多分前の世界よりもずっと多かった

最後には本当にたくさんの仲間とともに敵を討ち果たせた

 

進路に迷った僕は、何かに惹かれ防衛学校に入った、平和なこの世界で何故それを選んだのかはわからなかったけど

 

成人の頃に事態が大きく変わった

 

「…深海棲艦、ですか…?」

 

「そうだ、最近になって民間の船や軍艦をも襲う事例が報告されている、それらの容姿が深海のように深い色をしている事、潜航したり海の中から急に現れる点、そして何より鋼鉄の頑強さからそう呼称することになった」

 

「それで、どうするんですか?」

 

「向こうは小回りが効く、それは何故か…小さいからだ、軍艦なんぞ融通が効かず良いようにやられてばかりだ、それではいかん、だからこちらも小回りの効くように人を立てる」

 

「人を…?」

 

「実験段階だが、君にはその艦娘という兵士を指揮してもらうことになった、詳しい事は書類を読むように」

 

つまり体良く訳のわからないやりたくない仕事を押し付けられた…って感じかな…

 

 

 

宿毛湾泊地

 

「ここが…僕の職場か」

 

「初めまして、綾波型の駆逐艦として配属されました、漣と申します」

 

「…君、中学生くらいだよね…本当に君みたいな子が…戦うの?」

 

「まあ…なんて言うか、不思議な力で守られてるから基本的に死んだりはしないらしいですよ、あと他の方もおられますので」

 

「他の方?」

 

漣に通された部屋には8名ほどの人間がいた

 

「まあ、自己紹介は長ったらしいですし、そっちの子が朧、つんけんしてそうなつり目が曙、この黒いのは潮です、と言っても私達リアル姉妹なんですけどねっ」

 

「へぇ…」

 

「……何よ、何見てんのよ!こっちみんな!!」

 

強烈なビンタを受けてしまった…

 

「あとは、正規空母の赤城さんと加賀さん、重巡洋艦の青葉さんと、軽巡洋艦の北上さんで、さいごに工作艦の明石さん」

 

「…みんな艦娘なんだ」

 

「そういう事です、さ、一緒に世界を救うために頑張りましょう」

 

「うん、僕も僕にできる全力で後押しをさせてもらうよ」

 

誰かが笑った気がした

 

「…あんまり…無理しないでくださいね…提督」

 

「…青葉、さんだっけ?」

 

「はい、青葉でいいです…」

 

「ま、気楽にね〜」

 

僕らは、まだ始まったばかりだ

 

「暁の水平線に勝利を刻め!って上からは言われてますが、なんか…オリジナリティが欲しいですねぇ」

 

「なら、薄明のって変えちゃおうか、暁型の駆逐艦とかもいるしさ」

 

「それ名案ね」

 

「よーし!ご主人様、宿毛湾泊地のスローガンですよ!」

 

「…勝手に決めていいのかな…?」

 

「いいと思います」

 

「…薄明の水平線に勝利を刻む…か」

 

僕らは、一度それを成し遂げたんだ…なんだってやれる、やってやるさ

 

「よし!宿毛湾泊地創設メンバーとして!みなさん頑張っていきましょうぜ!」

 

「うん、深海棲艦を倒して…平和な海を取り戻そう」

 

きっとこの世界から戦いは無くならない

毎日日が沈み、夜が来るから

 

だから僕は誰も失わなくていいように戦う…

薄明を目指して

 

「おっしゃー!!早速…何すればいいんでしょうか」

 

「その辺も踏まえて、今からだね」

 

みんなの望んだこの世界だから、僕は…この世界に満足してるよ、アウラ、ありがとう

 

 

 

 

元勇者提督

vol.4 絶対包囲

 

終了

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