元勇者提督 作:無し
過去話に名前を振る予定はありません。
晴天
宿毛湾泊地
提督 倉持海斗
海斗「今日から宿毛湾泊地に着任しました、倉持海斗です、よろしくお願いします」
北上「ん、よろしくねぇ」
曙「まあ、あんま期待しないでおくわ、精々頑張って」
海斗「よろしくね」
この世界に深海棲艦が発見されたのはつい最近のことだ、深海に生息する小さく小回りが効きながらも艦船の如く強靭な外皮
そしてなにより敵は口の中や体に接続された主砲から砲撃を放ってくる…
そしてそれに対抗するために作られたシステムが艦娘である、この艦娘というシステムは民間人から適合者を募り、適合した艦船の艤装と名前を割り振られる…
これのおかげで例え砲撃を受けても体がバラバラになる事もない、水上を自由に行動できる等…恩恵も多いが、適合するのは艦の名前が女性名詞である事から女性に限られる、と言うのも中々な問題点だ。
海斗(…深海棲艦はネットから飛び出してきた存在じゃない、という事だ、艦娘も…ただ機械を身体に纏った人間で…)
漣「ま、とりあえず…第一号の艦娘が正式に配属された軍事施設のトップなんですから、頑張ってくださいね?」
海斗「わかってるよ、絶対に誰も失わない」
加賀「…いきなり生き死にの話に持っていくほどの事でしょうか…」
海斗「それくらいの気持ちが無ければ…ね」
実験段階であるが故に誰もやりたくない、民間人上がりの存在を丁寧に扱わなければ自分の首が危ういというのだ、お偉方は安定した頃に着任するだろう事は明らかだ。
現在この宿毛湾泊地には正規空母の赤城と加賀、そして駆逐艦の朧、曙、漣、潮、重巡洋艦の青葉、軽巡洋艦の北上、工作艦の明石の9名が在籍している。
これは実験ということでできるだけ多くの艦種を配属する、という名目からだ。
漣「さっそく!近海の安全を取り戻しにいきましょうか、ご主人様」
海斗「うん、わかった、じゃあまずは朧、曙、漣、潮の4人に出てもらうよ」
漣「……ご主人様についてはスルーですかい…」
海斗「触れた方が良かった?」
曙「言われ慣れてるんでしょ、変態っぽいし」
朧「曙、あんまりそういうこと言わないで…」
漣「ま、まあ!とりあえずこれで漣達の有用性が理解されたら、漸く他の海軍の基地にも艦娘を導入されるそうですし…頑張りましょう!えいえいおー!」
潮「おー!」
赤城「ふふ…元気ですね」
加賀「騒がしいだけでしょう」
海斗「とりあえず、出撃メンバーは横須賀から海に出ることになってるから、陸路で横須賀に向かってくれる?」
漣「え」
曙「は?」
朧「うーん…」
潮「わーい電車だー!」
赤城「すいません、えっと、提督の方」
海斗「言いたい事はわかってるんだけど…」
漣「ここ、ここはit'sこーち、高知県、Are you Okay?なんなら高知県の西のほーなんですけど…?」
海斗「横須賀にある軍艦が封じ込められて海上警備もままならないらしいんだ、だから僕らは一度横須賀まで行ってから、と言うことになる」
漣「んにゃぁぁ!ふざけてんですか!?海通れよ!こちとら艦娘ですが!?」
海斗「ほんとにね…」
北上「…ザミー、諦めた方がいいと思うよ、この人上のラジコンっぽいし」
曙「無能ってわけだ…はぁ…この、クソ提督」
青葉「み、みなさん…あ、あんまり上官を悪くいうのはやめた方が…」
海斗「いや、仕方ない事だよ、とりあえず電車のチケットを用意するから10分で用意して再集合してくれる?他のみんなは好きに過ごしてて構わないよ」
漣「あいさーい…」
潮「電車の旅、楽しみだね!」
曙「本当にやってらんない…最悪なんだけど」
海斗(さて、と…今のうちに資料を見直そう)
朧、曙、漣、潮は艦娘システムに志願する前から姉妹、志願した理由は朧が強く希望したことに影響されたらしい
朧自身の志望動機はネットゲームの友達が海軍になったから再会できるんじゃないか、程度の軽いものだったと
この4人の姉妹仲は良好で、落ち着いて周りを見れる朧、ストレートに物事を言う曙が姉妹を取りまとめているらしい、漣と潮は元気はいい分考えなしな点もある…かも
赤城、加賀は孤児で、今よりも初期に実験的に艦娘システムを作っていた際、自分達の面倒を見ていた人がその被験者に立候補したらしい
現在その人は鳳翔として教導艦の任を与えられた…と
艦娘の数自体が極僅かなのに教導艦なんて必要なんだろうか…
北上はかなりドライな子で、お金欲しさに艦娘になったらしい
あんまり自分のことを多く記載してないな…
青葉、双子の姉妹だったらしい、姉の方は元気よく活発だが、青葉は物静かで大人しい…
艦娘になった理由は海軍に行けば会いたかった人に会えるから、だと言う、朧と似たような理由だ
趣味は花や人の笑顔を写真に撮ることらしい、今度記念撮影を頼むことにしよう…
明石、普段は工廠に引きこもるらしい、元々ゲームや機械いじりが趣味で、艤装への興味から志願…
技術力はすごいらしい…けど一度も会ってないな…後で訪ねないと
海斗「よし、そろそろみんなが集まる頃だね」
電車
漣「ねぇねぇ、ご主人様、なして私達はこんなトランク持って新幹線に乗るんでしょうか」
海斗「ごめんね、ちょっとだけ我慢して、何回かはあると思うけど、そのうち普通に出撃できるようになるから」
朧「あ、私提督の隣です」
曙「うわ、最悪じゃん…大丈夫?朧、変わろうか」
朧「大丈夫って…あはは…すいません提督」
海斗(嫌われてるなぁ…)
横須賀鎮守府
海斗「すいません、宿毛湾泊地所属の倉持海斗です」
受付「…はい、伺ってます、このバッジをつけてお通りください」
人数分のバッジを渡される
海斗「一応君たちの身分を証明するものだから、外さないようにしてね…」
潮「わー、可愛いマークだよ!」
曙「こんなので識別されるのか…私達はマスコットじゃないっての…」
漣「まあまあ、ひねくれないひねくれない!」
海斗「…先に挨拶に行かないと、向こうに休憩所がある筈だからそこで待っててくれる?」
漣「漫画とかありますかねぇ…」
潮「確か結構充実してるみたいだよ!ほら、インスタとかにのってるし!」
曙「……軍の施設なのに…?」
応接室
案内「ここでお待ちください」
海斗「ありがとうございます」
流石にいい施設なだけあるなぁ…
調度品も周りに置いてあるものも全部綺麗だ
5分後
海斗(…遅いなぁ…)
さらに15分後
海斗(何かあったんだろうか…でも勝手に出ても良いのかな…特に騒ぎもないし、入れ違いになるわけにも…」
さらに30分後
上官「キミが倉持君か」
海斗「はい、倉持海斗、階級は少佐です、本日はよろしくお願いいたします」
上官「ああ、さっさとやれ、東京湾周辺の奴を蹴散らしてこい」
海斗(1時間近くこれのために待ってたのになぁ…)
上官「なんだ」
海斗「いえ、では失礼します」
海斗(みんな待ってるし、急がないと…特に曙は怒りそうだなぁ…)
休憩所
曙「おっそい!!どんだけ待たせたら気が済む訳!?」
海斗「ごめん…さっき許可が降りたから、今から出撃してもらうことになるよ」
曙「もうやる気も失せてきた…はー、ふざけんじゃないわよ全く」
朧「まあまあ、落ち着いて…待たせようとして待たせた訳じゃないと思うし」
漣「とりあえず早く帰ってゲームしたーい!」
海斗「みんな艤装を用意して船着場に行こう、そっちから出撃してもらうことになるから」
曙「…はぁ……やるしか無いのか…」
朧「行くよ?曙」
駆逐艦 朧
朧「よし、艤装もいいね、羅針盤も持った、行こうか」
曙「…旗艦用羅針盤ってなんのためにあるの?」
朧「大体の敵の位置を示してくれるんだって…よし、出撃…いよいよだ!」
漣「って言っても…周辺のやつは砲撃でやっちまってるんじゃ無いのん…?」
朧「油断大敵だよ、あっちかな…?」
羅針盤は南方向を指し示していた
潮「…羅針盤と睨めっこしてるの見ると、羅針盤って言うよりセンサーみたいだね」
曙「…前方!あれ敵じゃない!?」
ひっくり返った真っ黒な船に目と顔がついたみたいな深海棲艦が遠くに…
駆逐艦イ級…
朧「射程まで10…9…」
曙「え?!射程って何よ…?撃てば良いの!?」
漣「ま、的当て訓練だともっと近かったよ!?」
朧(当たらないのに撃っても仕方ないか…)
朧「もう少し引きつけて、狙いをしっかりつけて…!」
砲音が響く、この距離で出鱈目に撃って来たか…
漣「うわぁっ!?危ないっ!当たりそう…!」
朧「漣!落ち着いて!絶対に守るから…!射程…角度よし…沈みなさい!」
砲口が火を吹く
若干の間をおいて着弾する
曙「当たった…!よし!私達もやるわよ!」
潮「うん!やろう!」
漣「ビビらせてくれやがってー!こんにゃろー!!」
朧(……仕留めきれなかった…角度が悪かった?威力は確かに落ちてるはずだけど…いや、距離は充分だし…もっとやっておけば良かった…)
曙「あ!敵が逃げてるわよ!」
漣「待てぇぇぇ!!」
朧「漣!?隊列を崩しちゃダメ!」
漣「へーきへーき!とりゃぁぁ!!」
漣の放った砲弾が遠くで黒煙をあげる
曙「やるじゃない!漣!」
漣「どお!コレが漣の実力っ!なんてね!」
朧「馬鹿!なんで隊列崩して一人で突っ込んだの!?もしあの撤退が見せかけで魚雷を進路に置いてたら漣は死んでたかもしれないんだよ!?」
漣「いや、ボーロ…そんなガチらなくても…」
朧「命懸けの仕事だって理解してやって…!」
漣「う、うす…」
朧(全然危機感がない…コレじゃダメ、万が一があって傷つくのは自分なのに…!)
曙「…なんでそんなにピリピリしてんのよ…」
朧「さっさと次行くよ、羅針盤は…東…こっちか…」
朧(大丈夫、アタシなら対処できる…!)
曙「遠方に2ね」
漣「よっしゃー!やっちゃうぞー!」
朧「………」
朧(速力と距離…当たる、とにかく先に当てなきゃ)
連装砲を放つ
着弾音が響く
曙「うそぉ!?この距離で当たるの!?」
漣「えぇ…?な、なんで…?なんであんなちっちゃい…いや、ちっちゃくは無いけど…!」
潮「朧ちゃん練習頑張ってたもんね!」
朧「両方駆逐艦イ級…ハズレか…」
今回の目標はこの辺の深海棲艦を仕切ってる軽巡洋艦、そっちの方が出てきて欲しかったのに
朧「沈みなさい…!」
曙「いっけぇー!」
こちらに被害はないままの勝利
朧「よし…一度戻ろう、私たちだけでこれ以上進むのは難しいし、戻ってもう一回出るよ」
潮「え、まだ行くの…?」
朧「……無理?」
曙「無理じゃないけど…かなり疲れるわよ…?」
朧「……とりあえず一度引き換えそう」
横須賀鎮守府
朧「艦隊が戻りました」
海斗「お疲れ、怪我はない?」
漣「ちょっと至近弾で濡れたくらいですね!春の海は冷たいぜ…!」
曙「…なに、ずっと待ってた訳?安全なところで」
海斗「他にできる事がないからね…」
曙「あるじゃない、その辺の漁船にでも乗って盾にでもなれば?」
朧「曙!言って良いことと悪いことがあるよ…!」
曙「艤装に補給したらもう一回行くんだし、早く行きましょ」
潮「ご、ごめんなさい…曙ちゃんちょっと気合い入りすぎてて」
海斗「気にしてないから大丈夫だよ、安全第一でよろしくね」
朧「…お任せください、それじゃあ、みんな、行こう」
漣「うひぃ……了解しやしたぜ…」
曙「ふん…」
もう一度同じルートを目指す、羅針盤は最初と変わらず南を指し示している
朧「…また駆逐艦イ級…さっきとは別のやつかな」
曙「ちゃっちゃとやるわよ!漣!」
漣「あいあいさ!!どかーん!」
朧(…偏差も何も考えてない…あれじゃ当たらない…)
曙「外れたか…」
漣「次行くよ次!」
朧「無駄撃ちが多い…ちゃんと狙わなきゃ当たらないよ…!」
曙「じゃあ自分で撃ちなさいよ!」
朧「…もう!!じゃあ大人しく見てて!」
放った砲弾は的確に敵を捉える
朧「浅い…雷撃戦に行くよ!」
曙「らい、雷撃!これだ!」
潮「それ!」
漣「……魚雷…どれ?」
…こっちに向かってくる雷跡…!
あのルートだと曙に当たる!
朧「絶対守る…!」
主砲を雷跡に向かって放つ
特大の水柱が至近距離で上がる
曙「うわっ!!」
曙が衝撃に吹き飛ばされて水面を転がる
潮「大丈夫!?曙ちゃん!!」
曙「……なにこれ…あは…あはは…」
朧「しっかりして!わかる!?ここは命懸けの戦場なんだよ!」
漣「なんでボーロはそんなに冷静なのぉ…!」
朧(…そりゃそうだ、私もそうだけど、初めての実戦…つい最近までのんびり学校に行きながら暮らしてたような…普通の子供だったんだから…)
朧「死にたくないからに決まってるじゃん…早く立って、さっきの雷撃で敵は仕留めた、進むよ」
曙「…まだ、戦うの…?」
朧「……怖いなら帰れば良い、私は戦うから」
漣「…わ、私は行く…一人だと…不安だし」
潮「朧ちゃん無茶するところあるからね…よし、私も行く!」
曙「え…2人まで…?……あー!もう!行けば良いんでしょ!?」
朧「じゃあ、いくよ…次は西…」
羅針盤に導かれるように進む
朧「…居た…!軽巡級!!」
曙「…さ、さっきより強そうなんだけど…!てかあれ…腕…?怖…!」
漣「イ級も2体いる…!」
潮「油断したらやられちゃうよ!用意して!」
朧「…まずい!もう向こうの射程内だ!撃ってくるよ!」
ホ級「ギシャァァァァァ!!」
大きな鳴き声と共に砲音が響く
曙「うわっ!?危ないわね!くらえ!!」
朧「射程に入った!とにかく撃ちまくって敵の砲撃を邪魔して!」
朧(旗艦さえ落とせば逃げてくれるはず…あの腕みたいなのが伸びてるところなら他よりダメージが通る…!)
朧「沈みなさいッ!!」
ホ級が急旋回して砲撃を防ぐ
朧「そんな…!ダメージがあんまり通ってない…」
ホ級「グワシャァァァァ!!」
朧「漣!駆逐艦を狙って!潮は広角砲撃!」
潮「え!?何それ!」
朧「チッ…じゃあもう駆逐艦狙って!!」
朧(軽巡は私が相手するしかない…!)
曙「馬鹿!朧!」
朧「えっ…」
胴体に直撃
重い衝撃が体を揺さぶる
朧「…ごぱッ……ぁぐ…!」
漣「ボーロ!!この…!」
朧(いた…めちゃくちゃ痛い…でも立たなきゃ……この程度で、止まれない…)
潮「朧ちゃん、立って大丈夫なの!?」
朧「寝てた方が危ないよ…良いパンチもらったせいで…冷静になれた…曙!夜戦に持ち込むよ!」
曙「や、夜戦に…?」
朧(夜の闇を利用して…特大の一撃を叩き込む…)
朧「全員回避行動に集中!とにかくダメージを防いで!」
漣「りょ、了解!!」
潮「敵が変な動きしてるよ!」
曙「また魚雷だ!こっちも…!」
魚雷をばら撒く
敵の魚雷をなんとかかわしきる
漣「あ!やった!漣の魚雷当たった!!」
潮「私のも当たったよ!ちっちゃい方倒せた!」
朧「なら…上等……」
日が沈む
真っ暗な夜が、星と月の明かりだけの夜が来る
朧「雷撃中心で行くよ…!」
曙「…ダメ、距離が測れないわ…!」
朧「とにかく全部魚雷をばら撒いて!動きを止めたところに一切砲射で倒し切る!!」
漣「おりゃぁぁ!」
潮「それっ!!」
魚雷が海を進む
朧(見失うな…見失うな……!あのルートで、どう進むのか…ちゃんと狙って…)
朧「…今!てー!!」
一斉に主砲を放つ
朧「当たれぇぇぇ!!」
特大の水柱が上がる
黒い金属片を巻き込んで
朧「よし!!倒した!」
曙「…え、今ので…倒したの?」
破片が海にボトボトと落ちていく
漣「…やった!じゃあ、せ、成功?」
潮「作戦成功!よーし!コレで帰れるね!」
朧「…良かった…帰投するよ…!」
数刻前
横須賀鎮守府
提督 倉持海斗
海斗「また曙にどやされるのも良くないし、帰る用意だけでもしておこうかな…」
手早く帰り支度を済ませる
上官「ああ、居たか、倉持君」
海斗「あ、何か御用でしょうか」
上官「艦娘志望の姉妹がいてな、その2人を宿毛湾泊地にと思っていたんだが…すっかり紹介を忘れていた、向こうの兵舎に居る、挨拶してきてくれ、連れて帰ってくれて構わん」
海斗(…随分とぞんざいな扱いだなぁ…)
海斗「わかりました、ありがとうございます」
兵舎
駆逐艦 ??
海斗「艦娘志望の子を引き取りに来ました」
ドアの向こうから声が聞こえる
??「ひ…や…やだ!やだ!やだよぉ!!」
??「落ち着いて、大丈夫だから…今度は私が守るから…」
食事用のフォークを手に持つ
床を這ってドアの死角に移動する
ノックの音
海斗「…返事がない…?開けさせてもらうよ」
ドアが開く
軍服の男が入ってくる
海斗「…キミが綾波…かな?」
綾波「ひ…!や、やめて…ごめんなさい!ごめんなさい!!」
海斗「……ど、どうしたの?なんでそんなに怯えてるの…?」
男が綾波に手を伸ばす
敷波「綾姉ぇに触るなぁ!!」
服を掴みよじ登り首に向かってフォークを突き立てる
海斗「っ…ま、待って!何か勘違いしてるよ!」
敷波「死ね!死ね!死ね!!」
フォークが鋭くないせいでうまく刺さってない…
しかも腕でガードされていては致命傷にもならない…
海斗「待って!…キミは…」
敷波「この!離せ!離せぇぇ!!」
海斗「…脚が…ない…」
敷波「黙れ!死ね!死ね!!」
綾波「お願いします!敷ちゃんには何もしないで!お願いしますから!うっ…こひゅっ…ひゅっ…!」
敷波「綾姉ぇ!離せ!綾姉ぇが死んじゃう!離して!!」
海斗「わかった」
男は私を綾姉ぇのそばにおろす
敷波「綾姉ぇ!大丈夫だよ、私ここに居るから!ほら、こっち見れる!?」
綾波「ひゅー…ひゅっ…やだ…こひゅっ…敷ちゃんは、だめ…」
海斗「……もし、僕が君たちに何かをすると思ってるのなら、それは違う、僕は君達を迎えに来ただけだよ、決して君たちを傷つけたりしない、約束する」
綾波「違う、んです…わ、わた…私は良いの…敷ちゃんだけは…!守るって…」
敷波「綾姉ぇ…!お前…綾姉ぇに何かしたら本当に殺す…!」
綾波「だめ…敷ちゃん、私は、私は償わなきゃ…!」
海斗「…償う?」
綾波「し、しの…東雲…!北上…!わ、わかりますよね…?」
海斗「…何を言ってるのか、わからないよ、一旦落ち着いて、ゆっくりで良いから…落ち着いてからお話ししよう…僕はちょっと傷の手当てをしてくるね」
そう言って男は出ていく
敷波「…綾姉ぇ…」
綾波「こひゅっ…うぅ…やだ…やだよ…敷ちゃん…」
敷波「大丈夫、綾姉ぇは守るから…」
提督 倉持海斗
海斗「すいません、絆創膏をもらえますか?」
医官「ああ、あの問題児にやられましたか、今消毒しますね」
傷口に消毒液が染みる
海斗「すいません、あの2人…どんな子なんですか?」
医官「……どんな子、とは?」
海斗「生い立ちとか…その辺りを聞いてみたいな、と思って」
医官「残念ながら、私どもは知りません、よし、コレで良いでしょう…」
海斗「どうもありがとうございます、それでは」
海斗(…収穫はないか…資料も特に渡されてない、いや、後から渡されるかもしれないな、それを見るまで迂闊な発言はやめよう、傷つけてしまうかもしれない)
あの薄暗い牢屋のような部屋に向かう
…悲鳴が聞こえた気がした
嫌な予感がして、走った
海斗「…何をしてるんですか」
首を絞められている敷波が僕を睨みつけている
それみた事か、という目で
上官「罰を与えている、此奴らは君に暴力を振るったそうじゃないか」
海斗「やり過ぎです、離してあげてください」
上官「…ふむ、まあ、もう君の所有物だ…自分の物を傷つけられるのは嫌だろうな」
上官が敷波の首から手を離す
敷波「ごほ…ごほっ!!」
…綾波は…?
敷波がこんな事になって騒がないはずはない…
奥で横たわってる…?
海斗「…綾波!」
綾波「…ひゅ……ひ……」
息が弱い
海斗「大丈夫!落ち着いて…息はできる!?」
微かに開いてる口の中に何かが見える
嘔吐しようとして喉が詰まったようだ
綾波をうつ伏せにし、背中を押して詰まった物を吐き出さざる
綾波「おげ…ごぼっ…」
上官「床を汚すな、汚らしい…掃除しておけよ」
自分から出ていってくれたのは好都合だった
海斗「綾波、息はできる?」
綾波「は…ひゅっ…ぁ…」
海斗(…さっきよりはちゃんと息ができてる…なら大丈夫かな…)
敷波の隣に綾波を寝かせる
敷波「…お前……」
海斗「多分、大丈夫だと思う…ごめん、僕が離れたばかりに…」
敷波「……ありがとう…綾姉ぇ助けてくれて…あのままだったら…綾姉ぇ死んでた…私を助けてくれた綾姉ぇが…死んじゃってた…私…何もできずにみてることしか…!」
自分もついさっきまで殺されかかっていたのに、真っ先に姉の事か…
海斗「…君たちには、宿毛湾泊地に来てもらうよ、他の施設だとまだ艦娘が活動できる設備はないんだ、できるだけ不自由させないようにするから」
敷波「…わかった…」
海斗(忙しくなるな…)
漣「…ご主人様…?」
朧「……提督、ソレは?」
海斗「新しい仲間だよ、綾波と敷波、綾波は今は意識がないけど目が覚めたら改めて挨拶してね」
曙「……あんた臭いわよ、服着替えたら?」
綾波の吐瀉物がかかったせいで酸の様な臭いがついてしまってるらしい
海斗「……うん、まあ今は着替えがないから…離れててくれると助かるかな…ごめんね」
潮「あ、あはは…」
潮にまで引かれてしまうのは少し悲しいな…
朧「……提督、本当にソレを連れて帰るんですか?そっちのは…みたところ、脚がないみたいですけど」
敷波「……」
海斗「朧、大丈夫、例え何かが無くても…補い合えば解決できるから」
朧「……私が言いたいのはそういう事じゃなくて…!」
海斗「大丈夫だよ、心配しなくて良い、それよりも朧も傷は大丈夫なの?」
朧「……もう知りません」
これから、深海棲艦撲滅に向けた戦いが、始まる…