元勇者提督   作:無し

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ドロップ

鹿児島 岩川基地

提督 倉持海斗

 

海斗「使用許可は取ったから、あとは陸路で海岸まで行ってそこで艤装を装着してから出撃してもらう事になるよ、それと今回の出撃は2班に分かれてもらうけど、旗艦はそれぞれ北上と青葉に勤めてもらうから」

 

北上「うーい」

 

青葉「わ、わかりました…私の方は島沿いのルート、なんですよね…?」

 

海斗「そうだね、青葉達は沖縄の西側、北上達は東側から沖縄周辺の海域の安全を確保して欲しい、多分敵も多いし苦しい戦いもあると思うけど…」

 

北上「そう言うの要らないから、とりあえず…編成誰だ…?漣と曙…いくよ」

 

漣「ど、どもッス」

 

曙「…もうちょっとシャキッとしないわけ?」

 

北上「めんどくさいからね、じゃあ早く行こうか」

 

青葉「う、潮さん…よろしくお願いします」

 

潮「よろしくお願いします!頑張りましょう!」

 

海斗「じゃあ車を出してもらうから、行こうか」

 

 

 

 

 

海上

重巡洋艦 青葉

 

青葉「…この辺で別行動、ですね…」

 

北上「ん、そんじゃね〜…あ、気をつけなよ、この辺出るからさぁ…」

 

青葉「うぇっ!?」

 

 

 

潮「……出るって、何が…?」

 

青葉「…その、幽霊とか…」

 

潮「幽霊…ですか?」

 

青葉「はい、沖縄は本土と孤立して陸路がありません…そしてそれなりの人数がいます、今でこそ軍事的対応もある程度認められてますけど…つい半年前までは…沖縄に入るにも、出るにも…大変な量の犠牲者を伴いました…」

 

潮「…だから…出る…?」

 

青葉「北上さんはからかってるだけなんですけど…偶に深海棲艦が死んでしまった人の成れの果てじゃ無いかって…」

 

潮「…なるほど…なら、その苦しみを早く終わらせてあげないと…ですね」

 

青葉「……そうですね、あれ…?」

 

樽がぷかぷかと流れてくる、随分と長い時間漂っていたらしくボロボロだけど

 

潮「…何かの樽…?流れてくる…開けてみますね!」

 

青葉「…躊躇いないですね…あんまり寄り道は…」

 

潮「わぁ…これ、弾薬ですよね?」

 

潮さんが樽の中から砲弾を取り出してみせる

 

青葉「……本当だ…このサイズ…14cm砲の…?…もし敵がこれに弾薬を溜め込んでるなら…軽巡級以上の敵が居るってコト…?」  

 

潮「居ました!かなり南方に深海棲艦発見です!」

 

青葉「…ついて来てください、倒さないと…」

 

潮「はい!」

 

青葉(…随伴艦は駆逐級…2か…充分に倒せる…)

 

潮「やりますか!?」

 

青葉「先に軽巡級を私が落とします…この距離なら…!」

 

主砲から砲撃を放つ、砲音に深海棲艦が振り返り進路が変わってしまいやや外れた所に落ちる

 

青葉「は、外した…!実戦慣れしてないから…いや、だめ…頑張らないと…!」

 

主砲を構え直して放つ

 

潮「わ、私はどうすれば…?」

 

青葉「え、えと……よし!有効射程に入ったら砲撃を開始…回避優先でお願いします!」

 

潮「わかりました!」

 

青葉(向こうも回避行動をとってるせいで当たってくれない…いや、落ち着いて…動きを読めば当たるんだ…私の実力でもきっと…!!)

 

反航戦に持ち込む、すれ違う一瞬だけで勝負を決めるこの戦い方はリスクもあるけど…、他のやり方よりは良い…はず

 

青葉「…魚雷を放とうとしてる…?潮さん!進路を西に!」

 

潮「了解!こっちも雷撃しますね!」

 

潮さんが放った魚雷が後続の駆逐級を一体仕留める

 

潮「やった!」

 

敵が大きく方向転換して逃げ始める

 

青葉「…大きく右回りに回転して敵を追撃します!」

 

潮「はい!」

 

青葉「逃がさない…!」

 

此方の砲撃を嫌って回避運動をしているせいで敵の動きが遅い…有効射程にとらえるのも容易だ

 

青葉「青葉に…お任せ…!」

 

ホ級「グワシャァァァァ!!」

 

砲撃が軽巡級を捉える

 

潮「まだ沈んでません!トドメは私が…!」

 

ホ級「ギャァァァァァ!!」

 

潮さんの砲撃を受けて悲鳴をあげて沈んでいく…仕留めた…!

 

青葉「残りの駆逐も仕留めます!」

 

敵の駆逐級が突っ込んでくる

 

青葉「…ここ…!」

 

魚雷を射出し、仕留める

水柱に黒い鉄辺が混じる

 

青葉「…え?人…?」

 

潮「なにあれ…ひ、人が落ちてきますよ!?」

 

…水柱と一緒に吹き飛ばされて…こっちに…こっち!?

 

青葉「わぷっ!?」

 

潮「青葉さんと人が衝突したー!?」

 

青葉「いっつ……ぅ…な、なんで人が…」

 

自分に向かって飛んできた人をどける

 

潮「わ!?だめですよ!人だから死んじゃう!…あれ?そもそも生きてるのかな」

 

青葉「やめてくださいよ…え…?」

 

青葉(…朝潮さんだ…)

 

見間違えるわけがない…朝潮型駆逐艦の一番艦…ネームシップ朝潮…

 

潮「生きてるんですか…?」

 

青葉「あ、そうだ、脈…あ、ある…!生きてる!!」

 

服装は艦娘のものじゃないけど…確かに朝潮さんだ…

 

潮「…はい、民間人を確保して…勿論すぐ戻ります!……え?北上さん達はとっくに帰ってる!?は、早い…」

 

青葉「連絡ありがとうございます、潮さん、そっち側抱えてくれませんか?1人だと不安定で…」

 

潮「よろこんでー!」

 

朝潮さんを両側から抱えて帰路につく

 

 

 

 

 

 

青葉「提督!」

 

海斗「青葉!民間人っていうのは…その子か…救急車が来てくれるからもう少しだけお願い、今本部に連絡を取ってるから…」

 

提督は電話での応対に追われてる…となると私がこの子を受け渡すんだ…やだなぁ…

 

北上「よ、凄いじゃん、民間人の救助ってら勲章とかもらえるんじゃない?あたしは興味ないけどさ」

 

青葉「偶然、でした…偶々…」

 

北上「ふーん…この子がねぇ…意識は戻ってない…脈は正常な感じっぽいねぇ…変なの、よく生きてたなぁ…丸呑みにでもされてたんかね?」

 

青葉「多分…」

 

北上さんは朝潮さんの顔を覗き込んだり、頬をついたりして一通り好奇心を発散したら離れていった

 

救急隊「すいません、救急車此方で間違い無かったですか?」

 

海斗「はい、この子です、お願いします」

 

救急隊「念のため、御同行願えますか?お二人程…」

 

海斗「…じゃあ、青葉、来てくれる?北上達は岩川基地に送ってもらって、後で連絡するから」

 

北上「あんま遅い連絡はやめてよね、んじゃがんばー」

 

 

 

 

 

病院

 

医者「まあ、結論から言えば健康体そのものです…全く傷一つない…いや、頭部に内出血が見られましたがとても軽いものでしたので命に別状はありません」

 

青葉(…あの衝突のせいだ…)

 

海斗「そうですか、よかった…」

 

医者「軍の方についてはあまり詳しくないのですが、此方の病院で受け入れてしまってよかったのですかね、こういう事例はそういう特殊な病院に送られるものだと認識しておりましたが」

 

海斗「状況から深海棲艦という怪物が民間人を丸呑みにした、と判断しました、となればその民間人の命の安全は最優先事項です」

 

医者「なるほど、なかなかご立派な事をおっしゃる…それで、あの子はどうなるので?」

 

海斗「家族や知り合いを探します、流石に軍が身元を引き受けるというのは…見たところ中学生…と言えるかどうか、と言うところですから」

 

医者「身体的特徴などから推定11歳程度だとは思いますが…いや、本当に幼い命が救われてよかった」

 

海斗「本当に…青葉、お手柄だったね」

 

青葉「い、いえ…」

 

青葉(青葉としては…朝潮さんがどうなるのか、それだけが気になります…)

 

青葉「…その、ご家族が見つかるまでは…?」

 

海斗「高知の方の病院に移ってもらう事になると思うよ、研究室の附属する所になると思うから、深海棲艦からの影響がないかとか、いろんな検査を受けてもらう事になると思う」

 

青葉「…そうですか…」

 

青葉(…そもそも、朝潮さんが記憶を持っているとも限らないし…過度な期待は禁物…かな)

 

海斗「あの子の意識が回復すればすぐにでも家族は見つかるはずなんだけどね…」

 

医者「栄養点滴を打ってます、暫くは問題ないはずです」

 

海斗「詳細が分かり次第連絡します、じゃあ本日はこれで」

 

医者「ええ、ご苦労様でした」 

 

   

 

 

宿毛湾泊地

駆逐艦 敷波

 

朧「綾波、今暇?」

 

綾波「…は、はい」

 

朧「散歩に行くんだけど付き合ってよ」

 

綾波「……わか、わかりました…」

 

敷波(…綾姉ぇと仲良くしてくれる…のかな、ただの友達だったら良いんだけど)

 

一抹の不安を確かめるために私は車椅子に乗って後からついて行く事にした

もともと人のいない泊地だけど、半数が出撃してるともなると…流石に人を見かけることもない

 

明石「あれ…うわ、知らない子が…」

 

敷波「え、あ…どうも…」

 

工作艦明石か…記憶を継承してないことは知ってる、だから安心して接して良いはず…

 

明石「…貴方が敷波さん」

 

敷波「え、と…はい」

 

明石「…なんだろ、その…提督から聞いてはいましたけど…本当に…」

 

まあ、大体の人にこんな目をされるわけだ、もう慣れてしまった

 

明石「ちょっとすいませんね」

 

敷波「え、ちょ…な、何して…!」

 

明石「…ここが歪だな、骨は?どこまであるんですか…?削り方によっては体重をかける場所も…いや、腰からいけば大丈夫かな…」

 

ぶつぶつ言いながら私のない脚をベタベタと触る

 

敷波「つ、付け根を触らないで!」

 

明石「…うーん、未知…」

 

敷波(なんなのこの人…)

 

明石「提督に頼まれたんで、そのうち訪ねなきゃとは思ってたんですが、これでその手間も…いや、詳しい採寸をまたしないとですね…」

 

敷波「…頼まれたって、何を…」

 

明石「貴方の義足です、でも今貴方にあって、私も仕事以上に作りたい…そう思いました」

 

敷波「…義足…?」

 

なんで自分の義足なんか、と言う考えが頭を支配する

確かにアレは甘ちゃんだけど…そこまでだとは…

 

明石「じゃあ、そう言うことで」

 

敷波「え、あ、よろしくお願いします…って綾姉ぇ見失っちゃった…?」

 

話し込み過ぎた、もう視界のどこにも誰もいない

 

敷波(…いや、多分散歩って言ってたし外にいるはず…)

 

外に出る時に車輪が段差に引っかかる

 

敷波「うわっ!?わ、わわっわぁぁ!?」

 

派手な音を立てて地面に放り出される

なんとか腕を前に出したものの…かなり擦ってしまった

 

敷波「…はぁ…」

 

なんとも生きづらい…

アタシからすればアレは…知らない誰かの記憶、前世ってやつなのかもしれないけど…アタシには…

 

赤城「大丈夫ですか?」

 

敷波「え?あ、はい…」

 

加賀「…持ち上げますよ」

 

ヒョイと体を持ち上げられ、車椅子に雑に置かれる

 

赤城「わ、大変…手当てをしないと」

 

加賀「…そこまでする必要はないと思いますが、まあ…医務室は何処でしたか」

 

敷波「だ、大丈夫です、よくある事なので!」

 

使い慣れた道で、バリアフリーなものであれば…こけることなんてまず無いけど…

 

赤城「…あまり良い言い方ではありませんが、その身体では自分の手当ても満足にできないでしょう?何より両腕がそのようになっていては手当ても一苦労です、ここに着任した仲間なのですから…」

 

加賀「赤城さん、構う事ないわ、さっさと押したいって仕舞えば良いのよ」

 

そう言って強制連行されてしまった

 

 

 

加賀「…これで良いわ」

 

赤城「気をつけてくださいね」

 

敷波「あ、ありがとう…ございます」

 

赤城「いえいえ、それでは」

 

加賀「困ったことがあったらすぐ呼んで、誰にでも人を頼る権利はあるのだから」

 

敷波(…優しさが痛いなぁ…なんだろ、これ…)

 

敷波「あ、綾姉ぇ…忘れてた」

 

車椅子を押して廊下を移動する

 

朧「あれ?」

 

敷波「…あ…」

 

朧「……こんにちは」

 

敷波「こ、こんにちは」

 

敷波(綾姉ぇは一緒じゃない…?な、なんで?)

 

朧「ああ、綾波探してるの?トイレで吐いてるよ、摩ってあげたら余計辛いみたいだから邪魔かなぁと思って」

 

敷波「ど、どうも!」

 

進もうとしたのに車椅子の車輪に手をかけ、止められる

 

敷波「…邪魔しないでくれますか」

 

朧「…ねぇ、敷波も加害者だよね」

 

敷波「…何を言ってるか分かりません…!」

 

朧「…あ、そう…じゃあいいや」

 

興味をなくしたように車輪から手を離す

 

朧「犯した罪からは逃れられないよ」

 

敷波「……」

 

敷波(たとえそうだとしたら…アタシ達はもうその報いを受けてる…これ以上傷つく必要なんて本当にあるのか、疑問な程に…!)」

 

数秒睨み合った後に朧が何処かへと去っていく

 

敷波「綾姉ぇ!」

 

 

 

綾波「ごめんね、敷ちゃん…ごめんなさい…綾波のせいで…」

 

敷波「綾姉ぇは何もしてない、何もしてないんだよ…」

 

そう、綾姉ぇじゃない、あの綾波は前世でもなんでもない、またまたか関係ない綾波なんだ、何かの影響で何処かの綾波と敷波の記憶を受け継いでしまった…

だからってそれにアタシ達の人生が左右される理由にはならない…絶対に、そんなこと有っちゃいけない…!

 

綾波「絶対…絶対に…敷ちゃん、だけは…護るから…」

 

敷波「綾姉ぇ、無理しなくていいんだよ、提督はアタシ達を普通に扱ってくれる…」

 

綾波「だ、ダメ…わた、私は幸せになっちゃだめ…」

 

敷波「幸せって…別に恵まれてるわけじゃないんだよ?アタシ達…」

 

綾波「ふ、ふ普通が、しあわせ…」

 

敷波「えぇ……」

 

綾波「…だ、だて…わた、わたしは…いろんな人の…普通を奪ってきたから…」

 

敷波「それは綾姉ぇがやった事じゃない!別の綾波がやった事の記憶が宿っちゃっただけなんだよ!」

 

綾波「……違う、これは…私の咎…」

 

敷波「…咎めようとしてるのは綾姉ぇだけじゃん…アレはもしかしたら誰かの記憶じゃなくて、悪い夢なのかもしれない」

 

綾波「違う、違うの…私はあの感覚を覚えてる…あの味を……」

 

敷波「…綾姉ぇ…?」

 

綾波「あ…う…ご、ごめんなさい…敷ちゃん…綾波、おか、おかしく…」

 

敷波「……綾姉ぇ…」

 

 

 

 

翌日

 

宿毛湾泊地

重巡洋艦 青葉

 

青葉「…司令官ー…?」

 

海斗「ごめん、今手が離せなくて…」

 

このままではパソコンを買いに行く約束は…はたされるとしてもずいぶん先になりそうです…

 

青葉「…お手伝いします」

 

海斗「出撃で疲れてるでしょ?気にしないで」

 

青葉「司令官だっていろんな方面に挨拶したりあの子の事で手を焼いたり、休む暇がないじゃないですか…!」

 

海斗「だからって僕の仕事を君達にさせるのは…」

 

青葉「元々予定されてたんじゃなくて急に増えた分です、仕方ないんですよ、ほら…そこの資料もそうですよね?」

 

海斗「…大人しくお言葉に甘えるけど、無理しないでね?」

 

青葉「お互い様です!」

 

海斗「う、うん、わかったよ…」

 

青葉「…ったく…」

 

青葉(…私の言葉も、気持ちも…全部忘れられてしまったのかな…)

 

海斗「あ、青葉…電話を受けてくれる?」

 

青葉「はい、もしもし、こちら宿毛湾泊地です」

 

医者『ああ、お電話こちらで合っておられますか?』

 

青葉「あ、病院の…何かありましたか?」

 

医者『はい、搬送の準備ができましたのでご連絡を、海軍さんからご連絡がありましてね、海のルートで搬送してくれと…』

 

青葉「え?そうなんですか?」

 

医者『はい、そう言う事でその船の護衛をお願いいたします』

 

青葉「わかりました、日時は…?」

 

医者『明日の14時に港を出る事になると…』

 

青葉「態々ありがとうございます、それでは失礼します」

 

青葉(…陸路を使えばいいのに…北上さんにも出て欲しいけど嫌がりそうだなぁ…)

 

青葉「司令官、例の子の搬送の用意ができたそうで、船を護衛してほしいと…」

 

海斗「うん、本部からももう連絡が来てるよ」

 

青葉「じゃあ、明日の出撃はどなたが…?」

 

海斗「青葉と北上に行ってもらいたい、深海棲艦は確認されてない場所だけど、体裁もあるから…赤城と加賀の出撃はもう少し先になるらしいし」

 

青葉「それは何故…?」

 

海斗「艦載機には妖精っていう操縦士が憑くんだけど、その妖精がまだ着任してないせいで戦闘手段がないらしいんだ、詳しい事は知らないんだけどね」

 

青葉「じゃあ、戦えるのは赤城さん、加賀さん、明石さん、偽装を修理中の朧さんの4人と、綾波さんと敷波さんを除いた私たち5人…?」

 

海斗「そうなるね、でも横須賀に新しく艦娘と司令官が着任したらしいよ、君たちの負担は減るから安心して」

 

青葉「……司令官の負担は?」

 

海斗「多分減るんじゃないかなぁ…今の段階の予定では佐世保にも艦娘を配属して沖縄解放の足掛かりにしたいって話だし、他に窓口がたくさんできればここで処理することもなくなるよ」

 

青葉「…艦娘が期待されてなかったのがよくわかりますね…横須賀に佐世保、海軍の大きい鎮守府として有名だったソコを漸く使うんですから」

 

海斗「…かもね…」

 

青葉「書類は後何が残ってますか…?」

 

海斗「報告書を書き上げるだけかな」

 

青葉「…旗艦の私がやるべきじゃ?」

 

海斗「…かもね、でもこれ以外に仕事が…」

 

青葉(イラッ…ってきますね、ワーホリってやつですか?と言うかなんでそんなに仕事に固執してるんですか)

 

青葉「じゃあ、司令官、私のパソコン買いに行くんですよね?一緒に行きましょう、時間があるんですから」

 

海斗「え、でもまだ業務時間で…」

 

青葉「司令官?」

 

海斗「えっと…うん、わかったよ」

 

青葉「……あれ、その今書いてる報告書…北上さんの分じゃないですか?」

 

海斗「まあね…」

 

青葉「…はぁ…なんで自分で書かせないんですか…」

 

海斗「結果は出してるからね…」

 

青葉「理由になってません!!もう…私が終わるまでに書き終わってくださいね!」

 

海斗「わかったよ、終わったら準備をして出かけようか」

 

青葉「約束ですからね」

 

 

 

 

 

青葉「終わった…確認お願いします」

 

海斗「うん、誤字もなく問題ないよ」

 

北上さんの報告書が目に入る

 

青葉「…会敵数7、使用砲弾数も7…か」

 

海斗「あんまり驚かないね」

 

青葉「やりそうですから、一撃で敵を沈めるくらい」

 

海斗「詳しいんだ」

 

青葉「…まあ、それより早く買い物に行きましょうよ…」

 

海斗「うん、この辺でパソコンが買えそうなところを探しておいたからすぐに行こうか」

 

青葉「あ、流石に制服で出るのは憚られるので…着替えてきます…」

 

海斗「じゃあ正門でね」

 

青葉(…可愛い服持ってたっけ…)

 

 

 

 

正門

 

青葉「おま、お待たせしまひゃっ!」

 

…舌を思いっきり噛んだ…痛い

 

海斗「大丈夫、待ってないよ、青葉はパソコンはよく使う?」

 

青葉「いえ…あんまり」

 

海斗「そっか、じゃあもしかしたら退屈かも」

 

青葉「そ、そんなことないです!」

 

海斗「だといいけど…とりあえずネットゲームが十分にできるもの、ってことだから、パソコンとフェイスマウントディスプレイ…10万円くらいかな」

 

青葉「じゅっ…!?」

 

青葉(よ、予想よりずっと高い…)

 

海斗「フェイスマウントディスプレイは僕のお下がりでよければ古いものがあるけど、そっちにする?」

 

青葉「ぜ、ぜひお願いします…」

 

海斗「じゃあ7〜8万円くらいかな」

 

青葉(…カメラのフィルムは暫く買えないなぁ…初任給もまだ出てないし)

 

海斗「あ、バスが来たよ、行こう」

 

 

 

 

宿毛駅周辺

 

青葉「…住宅街…ですね」

 

海斗「青葉は生まれは都会だったの?」

 

青葉「それ程ですけど…あ、あのお店は…」

 

海斗「パチンコ店らしいよ、家電量販店はこっち」

 

青葉「……結構遠いんですね、車とか…」

 

海斗「うーん、欲しいけど買って運転できるのは僕一人じゃない?青葉は…えっと、年齢を聞いてもいい?」

 

青葉「一応17です」

 

青葉(まあ、記憶とか知識で見ると17相当は遥かに超えてますけど…)

 

海斗「うーん、免許は取れないか…いや、一人だけ免許を持ってもダメなんだけどね」

 

青葉「あ、いえ…原付なら…」

 

海斗「持ってるんだ」

 

青葉「なんで意外そうな顔するんですか…趣味の写真撮りのために…取りました…一眼レフでわりと凝ってるんですよ…」

 

青葉(まあ、なんとか買えたやつだけど…)

 

海斗「そっか、じゃあ青葉は好きな時に出てこれるね」

 

青葉「はい…あれ、明石さんだ…」

 

明石「うげ…」

 

海斗「明石も買い物?」

 

明石「ま、まあ…お二人は?」

 

青葉「わ、私のパソコンを見繕ってもらおうと…」

 

明石「……もしかして、あの家電量販店ですか?」

 

海斗「そのつもりだけど…」

 

明石「え、いや、馬鹿なんですか?無駄に高いだけですよ…どのくらいのやつを買おうとしてるんですか?」

 

青葉「ええと…The・Worldがプレイできるくらいの…」

 

明石「じゃあ3.4万円で十分ですね、そこまでスペックいらないし…」

 

青葉「安っ!?」

 

海斗「そんなに抑えられるの?」

 

明石「私が組みます、その代わり材料費+五千円ください」

 

海斗「青葉、どうする?」

 

青葉「え、えと…えと…お願いします!」

 

明石「よし、成立ですね…じゃあいい店があるので、そこで仕入れましょう」

 

 

 

 

ジャンクショップ

 

明石「ここだと簡単に揃うんですよ、中古パーツも多いですけど充分使えます」

 

海斗「へー…パソコンのパーツ以外にも色々置いてあるね」

 

青葉「わ、わぁ……」

 

明石「揃えてくるので、ちょっと待っててください」

 

青葉「はい、お願いします…」

 

海斗「あ、ポロライドカメラ、最近は珍しいね…青葉はこう言うの好きかな?」

 

青葉「…これ……これ…!」

 

青葉(私が使ってたやつと同じだ…私のカメラ…)

 

海斗「…七千円、古い型だから安いみたいだね」

 

青葉「す、すぐ買ってきます!絶対にこれは買います…!」

 

海斗「あ、うん…」

 

青葉(またこのカメラに巡り会えるなんて…本当に嬉しい…!司令官と来てよかった!)

 

 

 

 

明石「あのー、提督…なんであの子あんなニマニマしてるんですか」

 

海斗「欲しかったカメラが買えたんだって」

 

明石「…まあなんでもいいですけど、ちゃちゃっと組んどきますね」

 

青葉「お願いします!」

 

明石「…めっちゃ機嫌いいな…というか提督やけに青葉さんを気にかけてますけど…2人はデキてるんですか?」

 

青葉「うぇっ!?」

 

海斗「いや?そんな事ないけど」

 

青葉「そ、そうです…何もないです…」

 

明石「…成る程、頑張れ」

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