元勇者提督 作:無し
宿毛湾泊地
提督 倉持海斗
島風「艦隊型駆逐艦の最高峰を目指して開発された、高速で重雷装の駆逐艦、島風型の島風です!これからよろしくお願いします!」
長門「…その長くて堅苦しい挨拶は私も必要か…?長門だ、改めてよろしく頼む…」
怪我から復帰したらしい2人が着任した、戦艦という艦種は現在配備されているのはこの泊地のみだ
海斗「よろしく、怪我はもういいんだね?」
長門「ああ、私は特に問題はない」
島風「私も!全然問題ありません!…ところで私たちの艤装はどこですか?」
海斗「工廠にセットしてあるよ、実力を測るためにも今日は泊地内で演習がしたいんだけど、参加できる?」
長門「…ま、任せてくれ…」
島風「よーし…絶対に一番活躍する!」
…長門は緊張してるみたいだ
海斗「演習は午後より行うよ、君達とそれからもう何人か一度に着任する事になるから、暫く待っててね」
長門「ああ、だが、そんなにたくさん…?」
海斗「その…身寄りがなかったり、事情がある子は早めに軍属にして保護するって言う政策も兼ねているらしいから…」
長門「…だが、経験のないものが艦娘になったところで…」
海斗「それも兼ねての演習や訓練だ、真剣に取り組むことは自分を助ける事になる」
島風「…ちなみに着任予定は?」
海斗「朝潮型駆逐艦、大潮、満潮、山雲、霰、霞の五名と長良型軽巡洋艦、阿武隈、最後に伊勢型戦艦の日向」
島風「…七人中六人は知り合いだ…」
長門「記憶持ちとは限らんがな…」
山雲と日向の二人は二つの艤装に適応した特殊な艦娘だ、と言う通達がある、情報は細かに収集しろと言う指示も出ている
島風「よーし!艤装の手入れに行こ!」
長門「…わかった、だが先に部屋をだな…」
赤城と加賀も妖精が着任したと言うことで今日の演習から参加してもらうことになったし、取らなくてはならないデータは多い
工廠
工作艦 明石
明石「はぁ…このオーパーツはどこに取り付けるんだろ…」
見たことないパーツを扱うのは楽しいけど疲れる
夕張「それはそっち!ちゃんとやってくれる!?」
鬼がいるともっと疲れる
明石「い、いやー、夕張はすごいなー、よくわかるなー」
夕張「アンタと違って私は全部の時間を艤装や人体に費やしたの!ほんっとうに…!」
おだてるつもりが地雷を踏んでしまった…
島風「すいませーん、着任した島風です、艤装を受け取りに来ました」
明石「え、あ、はいはい…これが届いてる艤装なんですけど…貴方のは…?」
島風「この子達です!」
小型のロボットを三つ掻っ攫っていく…
島風「連装砲ちゃん元気だったー?そっかー…」
うわ、意思疎通してる…痛い子だ…と言うか、あのロボット結構滑らかに動いて…
夕張「ボサっとしない!アオボノちゃんの艤装の修理終わってないんだから!」
明石「いや、だってこれ修理より新しく作ったほうが楽…」
夕張「関係ない!ほら早く!」
明石「…鬼!悪魔!メロン!」
夕張「…メロン熊…って知ってる?」
夕張が徐に襟元のリボンを解く
明石「え、ゆ、夕張?着替えなら他所で…」
夕張「…ここで良いのよ」
明石「え、ええ…は、ほら、小さい子もいるし」
夕張「良いじゃない…ほら、このリボン、引っ張って?」
明石「え、ええ…そんな趣味ないんだけど…」
でも、よく見たら夕張肌綺麗だし…
島風「…夕張…メロン熊…あ」
夕張のリボンを引くとエアバックが開くような音共に弾き飛ばされる
明石「いったた…何?何が…く、く、クマっ!球磨!熊!bear!クマー!!」
目の前に巨大なメロンから四肢と顔を出した熊が…
夕張「いつか使えると思って服に仕込んでおいたのよね、夕張のゆるキャラ、メロン熊エアバッグ」
島風「可愛い…本物そっくり」
夕張「あ、わかる?もう細部まで本物そっくりにしてるから完璧よ!」
明石「し、心臓止まるかと思った…」
夕張「あんまりふざけてるとお仕置きするからね」
明石「今お仕置きされたよね…?」
夕張「海軍式気合い棒でいく」
明石「…逝く…?あの世に…?」
夕張「ほら!気合入れて仕事しなさい!」
明石「ひぃぃぃ!」
夕張のスパルタによりアオボノちゃんの艤装は予定の半分の期間で修繕が完了しました
明石「修繕液はどうしたのよ…!」
夕張「ちゃんと自作できるようになってから使いましょう、わかった?佐世保や横須賀の整備士はみんな作れるのよ?」
明石「嘘だぁ…!」
夕張「と言うか私も作れるし、正規の工作艦なのに作れないなんて笑われるわよ」
…ちょっと焦るなぁ流石に
明石「…なんでナノマシンが正確に動かないのかなぁ…」
夕張「さあね、説明書読むとこからやり直してみたら」
明石「むぐぐ……な、何が悪いんだろ…」
夕張「…これ、電気流してる?」
明石「え?電気流すの?」
夕張「流さなきゃ動作なんかしないわよ」
明石「えっと、ここにつけて……と、スイッチオン…動いた!」
夕張「はー、そりゃ動作しないわけだ…こんなの最初に渡した資料少し読めば誰でもわかるわよ?明石に仕事は任せたくないわね」
明石「…返す言葉もないです…」
軽巡洋艦 阿武隈
阿武隈「阿武隈、着任しました!」
海斗「キミとは病院で会ってるね、ここの司令官を務めてます、倉持海斗です、よろしく」
阿武隈「……それ以上は覚えてませんか?」
海斗「それ以上って?」
阿武隈(…私も全部覚えてるわけじゃないから仕方ないか)
阿武隈「なんでもありません、事前に伺ってる通りに演習の用意をしてきます」
海斗「よろしく、頑張ってね」
阿武隈「うーん…と…わ、朝潮型の子達だ…」
朝潮「あ…」
阿武隈「その反応、覚えてる!?」
朝潮「はい、ご無沙汰しています」
満潮「…知り合い?」
山雲「阿武隈さんですね〜」
霰「あぶくま…?」
朝潮「山雲も覚えていますよ」
少ない人数だけど、お互いのことを覚えている、これは心の支えになる
日向「あ、朝潮さん」
朝潮「天龍さん、あれ?髪を染めたんですか?」
阿武隈「天龍さん?あの天龍さんですか…雰囲気変わりました?」
日向「天龍…ではないんです、私は戦艦日向です」
朝潮「日向…成る程、よろしくお願いします」
阿武隈「天龍さんが日向…不思議な感じですね」
うん、この辺の人たちはみんな覚えてる…
長門「…廊下にこんなに集まって、何をしてるんだ?」
朝潮「どうも長門さん、島風さんは?」
長門「そこだ」
島風「……廊下が通れないよ…」
朝潮「新人が全員揃ってますね、全員演習に出てもらうことになってますので、ちゃんと戦う相手を見ておいてください」
大潮「9人だと人数に偏りが出るんじゃ?」
朝潮「艦種の違いもありますし、北上さんが参加します」
阿武隈「北上…」
…同じ名前なのに、何も惹かれない…不思議な感覚もない、ただの名前…
長門「…あの北上か…」
島風「私あの人嫌い…雰囲気悪いし」
朝潮「文句は言わないでください、時間までに艤装を受け取って海に出る用意をしておいてくださいね」
阿武隈「わかりました」
深海棲艦基地
キタカミ
キタカミ「ふぃー、迷惑かけたねイムヤ」
イムヤ「全くですよ、キタカミさんがいない間押さえてるのは骨が折れました…」
イムヤは私に助けを求めてた、深海棲艦の成り立ちを先に知ってしまったのはイムヤの方だった
自分一人では何もできないからと私を巻き込んでくれたわけだ
キタカミ「物理的に?」
イムヤ「折りましょうか?」
キタカミ「ウソウソウソ!アームロックやめて!痛い痛い!」
イムヤ「はい、離しましたよ」
キタカミ「うう…本当に痛いんだからね…?」
イムヤ「艤装、ピカピカですね」
キタカミ「夕張になおしてもらった、事情を話したら快諾してくれたよ」
イムヤ「…なんですかこれ」
キタカミ「ああ、これ?発信機発信機」
イムヤ「えっ」
キタカミ「夕張がタダで直してくれるわけないじゃん、でも夕張は自分の上に許可を取らずに修理したからこの位置情報を使うのは無理だよ」
イムヤ「そっか、修理したのがバレちゃうから…」
キタカミ「敵対してる奴を助けたなんてバレたらどうなるか分からないからね、まあ暫くしたら外すよ、適当に理由つけて」
イムヤ「でも上に報告できないならなんでつけたりしたのか…」
キタカミ「こっちの動きを知りたかったんだと思う、然るべき時に備えて」
イムヤ「…あー…」
キタカミ「夕張は戦争をするかまだ心が決まってない、本気でやり合う時のためにデータが欲しいだけ、だけどデータを集めてもそれを使うかどうかの心が決まってない…」
イムヤ「……もし、心が決まったら?」
キタカミ「私が守れるのは片手の数だけ、数で押されたら難しいかなぁ…」
…匂いがする
あの時叶わなかった願いの匂い
イムヤ「……」
キタカミ「よし、戦争の引き伸ばしに行きましょうかね」
瑞鳳「見つけた」
イムヤ「敵…!なんでここが!」
キタカミ「警戒しなくて良いよイムヤ、発信機云々じゃなく、匂いだから」
瑞鳳「お久しぶりです、キタカミさん」
キタカミ「久しぶり、瑞鳳…ずっと会いたかった、狡いじゃんか…1人だけ楽になって」
瑞鳳「…記憶のある今も、私のことを許してくれますか?」
キタカミ「お互い様だよ、瑞鳳こそ許して…いや、これはまだ言えてなかったね……瑞鳳、あの時沈めたこと、本当にごめん」
瑞鳳「…そんなのとっくに許してます、お互いの記憶を共有した仲なんですから、もはやそんな言葉も無粋ですよ」
キタカミ「じゃあ、こっちの返事もわかってるわけだ」
瑞鳳「勿論」
イムヤ「…あの…?」
キタカミ「ああ、紹介しとくの忘れてた…元佐世保の瑞鳳ね」
瑞鳳「随分とさっぱりしてるなぁ…できればもっと…」
キタカミ「親友とでも言っとく?」
瑞鳳「それもなんだか違うような…」
イムヤ「…ちょっと面倒な人ですね」
キタカミ「根はいい子なんだけどねー」
瑞鳳「根以外は?」
キタカミ「若干腐ってる、執念深い、あと最後の方は艦載機で戦うより殴る方が早いとか考えてたり色々と艦娘やめてるよね」
瑞鳳「川内型よりはマシですよ」
キタカミ「アレは論外だからねぇ、ハハハ」
イムヤ「…そのうち川内型に刺されても知りませんよ…」
キタカミ「軽巡洋艦最強は球磨型だから問題ないよ、返り討ちにするよ」
瑞鳳「なんて言うか、雰囲気がおかしいような…」
イムヤ「多分、司令官と離れ離れになるのが嫌すぎて…」
瑞鳳「あー…」
キタカミ「いやそこ、聞こえてるからね?」
イムヤ「で?実際どうなんですか?」
キタカミ「ただ単にやる気がすごいだけだよ、大丈夫、この戦いで出る犠牲者をもっと少なくするんだ」
イムヤ「…深海棲艦になった人間が元に戻ることは可能なんでしょうか」
瑞鳳「可能……じゃないと、この世界に夜明けなんて永遠に来ない、私たちは暁の水平線に勝利を刻む…この長い、暗い夜を終わらせるために」