元勇者提督   作:無し

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一線

艦内

駆逐艦 島風

 

島風「ねぇ、明石さん、私の艤装がおかしいんですけど」

 

明石「え?どれどれ…何この足の噴出機構…」

 

気づいたら私の海上移動用の靴みたいな艤装に変な形のパーツがついていた、使い道も何もわからないけど

 

島風「噴出…機構…?」

 

明石「放水するのかな…いや、違う、燃料を回すことになってる…えー、意味わかんない、こんなことするの夕張しかいないし…」

 

夕張「呼んだ?」

 

島風「わぁ!?」

 

明石「ど、どこから…」

 

夕張「…あれ?それは…」

 

明石「バリー、島風ちゃんの艤装に何したの?」

 

夕張「いや、これは……あー…えっと…」

 

島風(…言い淀んでる…と言うか、もしかして私の艤装じゃない?いやでも私のものだし…?)

 

夕張「島風ちゃん、良く聞いて、島風ちゃんの強みは何!?」

 

島風「…えっと、重雷装で連装砲ちゃん達との連携を…」

 

夕張「違う!違うんだよ…島風ちゃん、貴方の強さは速さ!」

 

島風「いや、確かに速いけど…小回りを効かせるのが…」

 

夕張「だからこれを活かすのよ!ね?ほらこっち来て」

 

島風「へ?え、ちょっと、どこに」

 

夕張「さあ!実験を始めましょうか!」

 

島風「こ、怖い怖い!助けてぇぇ!」

 

明石「…悪魔みたいに良い笑顔…」

 

 

 

 

 

 

提督 倉持海斗

 

海斗「弱ったな…台湾の方に進路を向けたいのに…」

 

会敵しないはずのポイントでもう何度も会敵している、これはかなり苦しい

 

朝潮「朝潮型、戻りました」

 

海斗「お疲れ様、みんな怪我はないね」

 

大潮「はい!」

 

満潮「…ないけど」

 

満潮は戦闘には積極的ではないし、この護衛自体も強いストレスになっているらしい

泊地に戻ったら別の仕事を与えた方がいいかもしれない

 

霰「今日はもう、おしまい?」

 

海斗「君たちは休んで良いよ、交代で綾波型が出ているから」

 

霞「ああ…でもなんか、すごい空気悪かったけど」

 

海斗(綾波を朧と一緒に出撃させたのは間違いだったかな…)

 

仕事と私情は分けてくれる、と思ってたけど

 

朝潮「…司令官、どちらに?」

 

海斗「甲板から様子を見てくるよ、喧嘩してたらいけないしね」

 

朝潮「そうですか、その後はまたこちらに?」

 

海斗「そのつもりだけど」

 

朝潮「そうですか、では失礼します」

 

 

 

甲板

 

海斗(うーん、すれ違う人がみんな敬礼していくから、急に偉くなったみたいで気持ち悪いなぁ…)

 

今日何度目かも分からない警報が鳴る

 

海斗「また敵か…」

 

無銭を取る

 

海斗「こちら倉持海斗、阿武隈、赤城の2名は甲板へ向かって」

 

護衛任務をしていない艦娘も何度も引きずり出されてはたまらないだろう、これでは海域の開放に向けた戦いどころか、辿り着くまでにみんな疲弊してしまう

 

海斗「…あれ?呼んだのは赤城のはずだけど」

 

加賀「料理を振舞ったら体調を崩してしまったので、私が来ました」

 

阿武隈「…加賀さんも唇腫れてますけど…」

 

加賀「…久しぶりなのに、やり過ぎました」

 

阿武隈「一体何を…」

 

 

 

 

 

海上

キタカミ

 

キタカミ「…なるほどねぇ、来ちゃったかぁ…」

 

迫ってくる軍艦を眺めながら単装砲に砲弾を込める

五発、五発あれば十分すぎる

 

キタカミ「ん〜……この匂い…うぁ…ゴホッゴホッ!!…誰!?赤城か加賀だコレ…刺激物の匂いで鼻が……うぁ…やばい、本当に鼻が…記憶戻ったのかなんなのか知らないけど、激辛の皮被った殺人兵器だからねアレ…あーもう…」

 

仮面を被る

 

チ級「ほら!…さっさとやるよ」

 

深海棲艦が浮上してくる

 

チ級「…おっ……」

 

目視した、正面にいるのは…あれは綾波だ

 

チ級「別にさぁ、許すとか言ったっけ?あたしは言ってないし、何より嫌いなものは嫌いなまま…どんな心境でアンタがそこに立ってるのか知らないけど…潰すわ、やっぱ」

 

単装砲を向ける

深海棲艦が速力をあげて突っ込む

 

チ級「……マジか、ないぞ、感覚が…」

 

当たる感覚がない…鼻が潰れてるから?多分違う

 

チ級「いいねぇ、痺れるねぇ…それでこそ潰し甲斐があるよ」

 

わずか30秒ほどで駆逐艦の射程に入り、向こうからの砲撃が始まる

艦載機からの攻撃も始まった

 

チ級「ん〜…加賀だな、この動き…あ?あるぇ?甲板にいるの阿武隈じゃん、なんであんなとこにいんの」

 

スナイパーさながら、甲板で砲を構えて撃っている

一撃毎に深海棲艦が沈む

 

チ級「……腕、上がったね…でも、それはやっちゃダメだよ阿武隈」

 

狙いをつけて放とうとした

 

綾波「させません」

 

チ級「……」

 

いつの間にここまで肉薄して…って…綾波、砲が…

 

チ級(素手でぶちのめす…って事?雰囲気も病院の時と違ってちょっとヤバめだし、あんまり長引かせたくはないかな)

 

綾波「…!」

 

チ級(本当に殴りかかってきちゃって…マジでこれでやるつもり?舐めてるとかそんなレベルじゃないなぁ)

 

 

 

 

 

駆逐艦 綾波

 

綾波「…はっ!」

 

まだ、まだ仕掛けない…まだ拳だけの打撃でいい

 

チ級「……」

 

…全部当たらないギリギリの距離を保ってる癖に反撃も何もしてこない、まだ此方の動きを観察してる…

だから、狙いがつけられる、砲を撃つことができない私は私なりの戦い方をするしかない、これがその形

 

チ級「……はぁ…」

 

綾波(観察の価値なしと思われた、砲を持ち上げる動作、ここしかない…!)

 

足の艤装に信号を送る、信号を受け取った艤装は推進力を増し、そしてそのエネルギーを活かしての渾身の回し蹴り

 

チ級「ッ!この…!」

 

綾波「ガードされた…いや、それよりその声…貴方は…」

 

チ級「ったいなぁ…単装砲が変な形になっちゃったじゃん、なんて事してくれんのさ…!」

 

キタカミさんだ…キタカミさんと戦ってたんだ、私は…

 

綾波「…う、おええ…」

 

チ級「……人を認識して吐くとか失礼極まりないなぁ…ん…」

 

プロペラの音が後方から接近する

 

チ級「…加賀…!あの馬鹿!」

 

単装砲の発射音とともに後方で艦載機が堕ちた音

 

綾波「おぼっ…おぼぼぼ…」

 

チ級「…はぁ…興が醒めちゃった、帰るわ…後四発だけ撃ってからね」

 

四発の砲音の後、各所で悲鳴が上がる

 

チ級「……最悪の気分だよ…綾波、アンタにあったからじゃない、仮にもアンタは仲間から背中を撃たれそうになった、その自覚を持つべきだよ」

 

綾波「…それが私の運命です…うぇぇ…」

 

加賀さんの航空機は、私を狙ったもの…そのくらいわかってる

 

チ級「ちぇっ、アンタが科学者もどきだったの忘れてなけりゃさきに艤装をぶっ壊して蹴りも食らわなかったのに…」

 

綾波「か、改造は…十八番だったので…おえぇぇ…」

 

チ級「……加賀に言っといて、次会ったら殺すって、あいつはラインを超えた」

 

 

 

 

 

艦内

 

綾波「綾波型、戻りました…」

 

海斗「お疲れ様、綾波は無事なんだね」

 

綾波「ひ、被害報告します、駆逐艦朧、曙、漣、潮、正規空母加賀、軽巡洋艦阿武隈、以上六名の艤装が大破、ご、護衛任務は、不可能と判断し、撤収しました…」

 

海斗「……加賀は、艤装だけじゃなく、肉体にもダメージがある、加賀の戦闘は無理、か…」

 

綾波「…い、意見具申、よろしいでしょうか…」

 

海斗「聞くよ」

 

綾波「撤退を…」

 

海斗「…うん、僕もそうしたい」

 

綾波「な、何か、できない理由が…?」

 

海斗「本部に連絡を取ったら台湾まで進めってさ…戻ってくるようなら沈めるとまで言われちゃって…国賊とか、戦犯者とか、めちゃくちゃに言われた」

 

綾波(…確実に、今回の戦いで確実に司令官を殺すつもりだ)

 

海斗「綾波、君に聞きたい、君ならどうする?」

 

綾波(……可能性は、ただ一つ、生き残るために誰かを犠牲にすればいい、司令官を殺すための作戦なら、ただ司令官が死ねば向こうはストーリーを書き換えて予定外の収入として私たちを迎え入れるだろう…でも、それは違う、司令官が死ぬなんて理不尽だ)

 

綾波「……私なら…いえ、私は、司令官に賭けます」

 

海斗「僕に賭ける…?どう言う意味?」

 

綾波「私は司令官には不思議な力があると思ってます、この状況を乗り越えられる何かが」

 

海斗「…あの、綾波?僕は現状を打破する手段を…」

 

綾波「台湾まで行けと言うなら、そのまま行けばいいでしょう、私は必ず辿り着けると信じています」

 

海斗「……じゃあ、そうしよう」

 

綾波(私のやらなきゃ行けない事は利口な愚者を捻り潰す事)

 

 

 

 

 

 

高知 病院

駆逐艦 アオボノ

 

アオボノ「…は?」

 

春雨「だから、今朝にはもう出港してたのに、行かなくてよかったの?」

 

アオボノ「……待って、待ちなさい…本当ですかその話」

 

春雨「うん…?」

 

アオボノ「…なんで提督は私を置いていったのですか…!」

 

春雨「退院が間に合わないからでしょら大本営から直接の命令だし?」

 

アオボノ「……はぁ…」

 

点滴を引き抜き、ベッドから降りて荷造りをする

 

春雨「え」

 

アオボノ「…駆逐艦、曙…今、提督の元に参ります」

 

春雨「え、いや、本気?」

 

アオボノ「私が提督の隣におらずして何処に居ろと言うのですか、さて…それでは」

 

春雨「えぇ……」

 

泊地に向かうか

 

 

宿毛湾泊地

 

アオボノ「ああ、提督は本当に私を置いていったのですね…っと、おや、頼んだものはどこに?夕張さんほどの人なら仕上げてくれてると思いましたが…」

 

自分の艤装を装備し、燃料をドラム缶に組んで引っ張って海に出る

 

アオボノ「……どこに向かえばいいのでしょうか、これは」

 

まあ、台湾側に進むほかあるまい

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