元勇者提督   作:無し

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目覚め

宿毛湾泊地

駆逐艦 アオボノ

 

アオボノ「くぁ…あ…」

 

眠い…つい満腹になるまで食事をしたのは良くなかった、そもそも食事を取るべきではなかった

疲労と戦地からの帰還による安心で半数以上の戦力は既に深い眠りについている

 

さて、問題なのは連れ帰ってきたこいつらだ

捕虜というべきか?なんと呼べばいいかわからない、裏切り者…?まあ何にせよ、捕縛した兵士たちをとりあえず食堂に軟禁、彼らにも食事を与え、治療をした、端的に言えば命を救ってやったが、油断ならない、見張りは必要だ

 

曙「曙」

 

アオボノ「曙、どうしたの」

 

曙が隣に座る

 

曙「代わる、寝てないでしょ」

 

アオボノ「……海鮮丼パフェ」

 

曙「…あのさ、みんなのトラウマを記憶確認に使うのってどうなの?」

 

アオボノ「…任せた、おやすみ曙」

 

曙に寄りかかって目を閉じる

 

曙「…あんた、せめて部屋で…はぁ…」

 

 

 

 

 

提督 倉持海斗

 

青葉「これでどうでしょうか…」

 

海斗「うん、早く送って休もうか」

 

朝潮「お疲れ様です、司令官」

 

海斗「お疲れ、二人とも書類の作成を手伝ってくれてありがとう」

 

朝潮「…司令官、綾波から聞いた話や、周りの状況などから…上層部は司令官を謀殺しようとした…と、推測できます、綾波を信じるならと言う前提はありますが」

 

青葉「私も、そう思います…司令官の怪我、破片が刺さったと言っていましたが…違いますよね?」

 

海斗「……いや、ただの事故だよ」

 

朝潮「周囲に散乱していた潜水艦の破片と思われる鉄屑、そしてあの距離の潜水艦に気付いていたはずなのに報告がない事…明らかに異常なんです、沈んだ時の被雷もあの潜水艦の攻撃によるものと思われますし…」

 

青葉「司令官、私は…前の世界で、明石さんが司令官の意思を確認した時、本当に何もかもを投げ出してほしい、戦うことを選ばないで欲しい、そう想ってました」

 

海斗「……」

 

青葉「…でも、今もこの世界で司令官は私達と共に戦っています、残念なことに」

 

海斗「後ろで見てるだけだよ」

 

青葉「司令官を後方で、安全なところにいるなんて誰もいいません、司令官は私たちと共に戦っています…同じ戦場に立つ仲間なんです…なら、痛みも、苦しみも…分かち合い、支え合うべきなんです」

 

海斗「青葉、確かに君の言う通りかもしれない…だけど、僕と君たちの戦場は少し違うんだ、確かに君たちの言う通りなのかもしれない、だけどここでそれを肯定する事はみんなを巻き込む事に他ならない」

 

朝潮「…ハッキリ言えば、巻き込んでくれ…と言っているんですよ?」

 

海斗「わかってるけど、ここで巻き込んだら君たちに助けてもらえないからね、もちろん君たちのことを信頼してるし、頼るつもりだ、だからこそ今はこうする事しかできない」

 

青葉「…それは、どういう…」

 

海斗「向こうが手を出せなくする、少なくとも今は君たちはターゲットじゃないんだ、ならば君たちに守ってもらう他ないんだよね、一緒にいる時に襲われるとは考えにくいし…とりあえず明日は色んなところに行かないと…」

 

青葉「あ…深海棲艦に殺された、という事にさせない為に…ですか」

 

海斗「うん、向こうが欲しがっているのは僕の死という結果じゃなく、深海棲艦に僕が殺された、というストーリーだと思う、それが正しいなら深海棲艦の手による死で進められない様に、色んなところを回って、僕は深海棲艦には殺されていないという証明が必要だ」

 

朝潮「…お構いなしに来るのでは…」

 

海斗「その時は…その時だよ、とにかく君達も休んで、朝にならないと何も動けない」

 

青葉「ならみんなで買い物をしましょう、間宮さんが結局何もできずに帰ってきたって泣いてましたから、たくさん食材を買いましょう」

 

朝潮「賛成です、大人数で目撃されれば私達も証人になれる、それに医薬品も必要です」

 

 

 

 

 

 

駆逐艦 アオボノ

 

アオボノ「…ふぁ…」

 

曙「…んぁ…おはよ」

 

アオボノ「ごめん、寝過ぎたわ…って、寝てたの?」

 

曙「そりゃそうでしょ、どいつもこいつも疲労が溜まってる、それはみんな同じなんだから、監視対象も寝てるわけだし」

 

アオボノ「その間誰が…あ、綾波…さん」

 

綾波「お、おはようございます…」

 

曙「ま、寝首をかくならもうやってるだろうし…図太く寝てやったわ」

 

アオボノ「はぁ…新聞ある?」

 

曙「あるわけないでしょ、取りに行ってないし」

 

アオボノ「…ふぁ…はゎぁ………ニュースでも見るか」

 

リモコンでテレビを操作する

 

ニュース『艦娘システムという名目で行われている同政策ですが、横須賀基地における障害者雇用枠の少女への扱いが不当だったという…』

 

曙「わお」

 

綾波「敷ちゃんの事ですね…」

 

アオボノ「貴女もですね、提督からある程度聞いてますよ…しかしこれは僥倖…」

 

アオボノ(上層部の動きを潰せるチャンス、軍艦が二隻と潜水艦一隻が使えなくなった事も発表せざるを得ないし、例え提督に責任を問う事になったとしても犠牲者が殆ど出てないなら矛先は敷波の問題に向けられやすい)

 

曙「クソ提督に矛先行くと思う?」

 

アオボノ「深海棲艦との戦争で既に何隻も何千人も死んでる、艦の指揮官が処分を受けた例はいくつか調べたけど、戦争だもの、提督が辞めさせられる様な事になるはずが無い」

 

綾波「…わ、悪い顔…」

 

アオボノ「研究者してた頃の貴女よりはマシです」

 

綾波「な、何も言い返せません……」

 

曙「さて、綾波、あんたも寝れば?」

 

綾波「は、はい…でも、その前に…」

 

近くの兵士の服を弄り、ナイフを抜き取る

 

綾波「ま、まだ全部抜き取ってないので…」

 

アオボノ「ああ、私も手伝います」

 

綾波「待って…動かないでください」

 

アオボノ「…どの人ですか」

 

綾波が一人の兵士の前に行く

 

綾波「…意識があり、銃を持っている以上…わかりますよね、手荒な真似をさせないでください」

 

兵士「来るな!撃つぞ!」

 

綾波「……」

 

曙「…ねぇ、アイツ普通に元に戻ってない?」

 

アオボノ「切り替えができるタイプなんじゃないの、どうでもいいけど」

 

…にしても、近づき方が不用心、まるで撃ってくださいとでも言うような…

 

曙「ちょっ…!」

 

綾波「…っ…撃ちましたね、正当防衛成立です」

 

アオボノ「…本物の馬鹿だ…」

 

わざと撃たせて制圧するか普通…

お返しとばかりに骨折ってるし…

 

綾波「…ふー…結構……痛いですね…あぅ…あ、あの頃痛覚がオンだったら…そ、想像したくないです…」

 

兵士「…ぁ…がぁ…」

 

アオボノ「腕に穴空いてるんじゃない…?え、何してんのあんた…」

 

綾波「さ、さっきのニュース…きき、聞いてましたよね……わた、私が軍人に撃たれる意味は大きいんです…」

 

曙「わざと撃たれたの?あんた頭おかしいの?」

 

綾波「…わた、私には生きる価値なんてありませんから」

 

アオボノ「綾波さん、言っておきますが貴女の死に私たちは無関心ですよ、それに貴女が撃たれる価値もそこまでないと思います」

 

綾波「…私は価値や関心が欲しいのではなく、生きた意味が欲しいんですよ」

 

アオボノ「…ならば御自由にどうぞ」

 

 

 

 

 

工廠

工作艦 明石

 

明石「ねぇ、夕張、起きて」

 

夕張「んむ…まだ……眠い…」

 

明石(…何?この感覚、変な記憶みたいなものが頭にある、自分のものだって確信があるけど、このイメージは何?)

 

明石「……はぁ…」

 

眠れなかったし、眠る気もない、どうすればいいのか、何をすればいいのかがわからない、だけどとにかく…今は自分のやるべき仕事を…

 

夕張「…すぅ……くかー…」

 

明石「……何コレ、何で私こんなものを作って…」

 

銃身の長い機銃、こんなものどう扱えというのだ

 

明石「…あ、これ」

 

確かあの髪の青い曙が振るっていた剣…

 

明石「剣…か」

 

研磨された刃物…ってだけじゃない、このマークは召喚用の呪紋…砲撃を召喚する…って事は…

 

明石「………コレで動く、はず…でも、何で私こんなこと知って…?」

 

体が勝手に動くような、知らない事を勝手に…

 

明石「…いや、うん…疲れてるんだ、何かおかしいんだ…」

 

何が理由でこんな事を、何を目的にしてるのか…まるでわからない、でも手が止まらない

 

島風「…おっはよう、ございまーす…寝てるかな…?」

 

明石「あ、貴女は…島風ちゃん」

 

島風「あ、明石さんおはようございます、連装砲ちゃんの整備をお願いしたくて…」

 

明石「構いませんよ、ちょっと失礼します」

 

…わかる、何となくだけどオーパーツまみれだと思ったコレも、何でもわかるみたいに…

 

島風「あ、あと……こういう事ってできますか…?」

 

明石「……成る程、コレをするには…あれ?なんでそんな…いや!無理!明らかにありえない、不可能…よね…?」

 

岩や雷を召喚するなんて無理…あれ?でも何で砲撃が召喚できるの…?そもそも艦載機が矢から変化するのも…変だ、変なのに疑問を持ってなかった…

目の前の連装砲ちゃんと呼ばれる存在が自我を持っていることにも疑問を持てない

 

明石「……何が起きてるの…?」

 

何かを忘れてる、何かがおかしい…

 

 

 

 

 

 

海上

神通

 

神通「ふぅ……久しぶりにエキサイトしました」

 

瑞鳳「…死ぬかと思った…」

 

神通「またやりましょう……って、あれ」

 

瑞鳳「みんなもう帰ったけど…?」

 

神通「……私達どれほど戦ってたんですか?」

 

瑞鳳「一晩」

 

神通「…すいません、ご迷惑をおかけしました、帰ります」

 

瑞鳳「うん、お詫びに貴女が壊した艦載機弁償して返してね」

 

神通「……それでは」

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