元勇者提督   作:無し

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志願兵

横須賀鎮守府

提督 火野拓海

 

拓海「なるほど、君が新しく艦隊に参加する艦娘か」

 

浜風「……駆逐艦浜風です…これより貴艦隊所属となります、どうぞ宜しく」

 

拓海「ふむ、不満げだな」

 

浜風「私の適正に巡洋艦や戦艦、空母もないことが納得できません」

 

拓海「適性検査の結果だ…成る程」

 

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漁師の家系で母親と姉以外の家族は皆深海棲艦の手で殺されている…か

 

浜風「駆逐艦なら、深海棲艦はどれほど殺せるのですか」

 

拓海「……何とも言えん、本人の技術次第では戦艦級ですらも倒すことができるが」

 

浜風「…数は?1匹でも多くの深海棲艦を屠りたいんです」

 

拓海「努力次第だ、君程深海棲艦に対する敵意を持つ者は中々に少ないな」

 

浜風「何故です、海を好き勝手され、人が死ぬ世界なんておかしいでは無いですか」

 

拓海「君からすればそうだろう…ならば破壊者らしく、深海棲艦を破壊すれば良い」

 

浜風「破壊者…?」

 

拓海「駆逐艦は英語でDestroyer、破壊者という意味だ」

 

浜風「破壊者か…成る程、気に入りました…全ての深海棲艦を破壊してやる…!」

 

拓海「期待している、大淀に施設内を案内してもらうと良い」

 

浜風「はい、失礼します」

 

拓海「ふむ…と言っても、この鎮守府にはあまり出撃任務がないのだがな……さて」

 

どう上の人間を片付けるか、宿毛湾泊地から負傷した兵が移送されてくるが、コレが無事に到着するとは思えない

 

拓海「まるで内戦だな、人的資源に余裕など無いというのに」

 

 

 

 

 

 

宿毛湾泊地 医務室

軽巡洋艦 夕張

 

夕張「あ、あのー…いや、ほんとにごめんなさい」

 

長門「私としては嬉しいんだがな…肉」

 

アオボノ「ああ、お二人が喜ぶように考えて買ってきました、メロンとささみ肉」

 

夕張「ほ、包丁が刺さってなければ嬉しかったなぁ…!」

 

長門「筋肉同士で共食い、という意味合いなのだろうが、私はささみが好物だから問題ないんだがな…」

 

アオボノ「島風さん、はいプリン」

 

島風「わーい…はい、綾波ちゃん」

 

綾波「え……わ、私…?ありが…おええ…」

 

アオボノさんの流れるような洗面器の配置でベッドを洗う必要はないみたい、助かった…けど、うん、洗面器の中身がまるでぐちゃぐちゃになったプリンね

 

島風「……ぷ、プリンが食べづらい…他の食べ物ってありますか…?」

 

アオボノ「野菜ラーメンでも作りましょうか、バター1ポンド入れたやつ」

 

島風「うわ…根に持ってる…ご、ごめんなさいって謝ったじゃん…」

 

アオボノ「病人は大人しく出されたものを食べて、大人しく寝てれば良いんですよ」

 

あれ…?

 

夕張「……アオボノちゃん」

 

アオボノ「なんですか」

 

夕張「貴方の退院の予定日って、今日だったと思うんだけど?」

 

アオボノ「……失礼します」

 

夕張「忘れてたけど、あの子も病院抜け出してたのか……えー…病院に迷惑かけてるし、ちゃんと連絡とか書類とか…あー、私が行かなきゃだめ…?」

 

長門「いや、青葉がもう行ったそうだ」

 

夕張「早っ…」

 

長門「提督もすぐに気づいたらしくてな、電話しながら頭を下げていた」

 

夕張「本人に言ったらどんな反応するんだろ」

 

島風「…切腹?」

 

綾波「た、多分私に拷問依頼するかと…」

 

長門「どっちも現実味があるな…笑えんが」

 

 

 

 

食堂

重巡洋艦 青葉

 

青葉「ショッピングモールまで電車で1時間…四万十の方まで行かないと商店街もまともに無い…余裕のある生活をしてしまってるせいで気軽に買い物ができないのがストレス……」

 

間宮「お疲れ様です、何か買えましたか?」

 

青葉「えっと、とりあえずみんなの分の甘いものと食料を……」

 

間宮「…わ、私が作りますよ…?」

 

青葉「…ごめんなさい、今日まで居ないのが当たり前だったから…気が回らなくて…」

 

間宮「はぁ…できればみんなにご飯を振る舞いたいのに…」

 

青葉「あれ?記憶があるんですか…?」

 

間宮「ありますよ、ありますけどみんな冷たいんですよ…」

 

青葉「いや、だって私たち記憶あるの知りませんし…」

 

間宮「アオボノさんがカレー楽しみにしてますって言ってくれたくらいなんですよ…」

 

青葉(アオボノさんはカレーが好きというか、うん……)

 

間宮「ところで青葉さんは何が好物ですか?」

 

青葉「えっ…あー……なんでしょう…特には…」

 

間宮「あるでしょう?例えば天ぷらとか!」

 

青葉「ごめんなさい、あんまり食べるのに関心なくて…あ、でも赤城さんと加賀さん、あの2人はこっちだとかなり食べるみたいですから、きっと…」

 

間宮「だと良いんですけど…あの2人に料理を真っ赤に染められた時は泣きそうになりました」

 

青葉「……た、多分今は大丈夫ですよ…」

 

 

 

 

 

 

 

工廠

工作艦 明石

 

明石「あー……サンドイッチ美味しい…この卵のフワッフワが良いんですよね…うまっ…」

 

アオボノ「がっつかないでください、みっともないので」

 

明石「お腹減ってたんですよ…あ、これハムだ、美味しっ…」

 

アオボノ「それより、テストする艤装は?」

 

明石「んむ……ぷは…それと、コレと、コレ」

 

アオボノ「…双剣をいじったんですか、後水上歩行用の艤装?」

 

明石「双剣には召喚の術式に手を加えてあります、それともう一つの艤装には燃料を別に入れられるようにしてあります、というか簡単に説明すると30秒だけすごい加速ができます」

 

アオボノ「ああ、だからハイブーツみたいになってるんですね…それで、どう扱えと?」

 

明石「さあ、何となく作っただけなので」

 

アオボノ「……あれ、その連装砲は?」

 

明石「あー…この子達は島風ちゃんの希望で手を加えて…」

 

アオボノ「六体に増えてますけど」

 

明石「それも使えるならご自由にどうぞ?」

 

アオボノ「…三体借りていきます」

 

明石「えっ、本気で使えるんですか…?」

 

アオボノ「理論上はね」

 

 

 

 

 

海上

駆逐艦 アオボノ

 

アオボノ「対象の完全破壊を確認、試験運用を終了」

 

明石「うわぁ…ほんとに使えるんですね」

 

アオボノ「空が飛べるようになれば100点でしたね……嘘ですよ、そんなに楽しそうな顔されても不安になります」

 

明石「何でも試してくれるんですよね?」

 

アオボノ「……そこまで行ったら空軍ですけどね、まあ良いですよ、役に立ちそうですし…」

 

アオボノ(どの改造品も役に立つ、嬉しい誤算という他ない、特に連装砲と術式は火力が爆発的に高まるだろう、コレならキタカミをも倒せる…間違いなく…!)

 

明石「ところで、あんな使い方をされるとは思ってなかったんですけど、どこから着想を?」

 

アオボノ「……見様見真似です」

 

アオボノ(曙に見せたら自分もやるとうるさいだろうな……ふふ、それもいいか)

 

明石(うわ、めっちゃニヤニヤしてる……気持ち悪っ…)

 

 

 

 

 

 

横須賀鎮守府

駆逐艦 浜風

 

大淀「コレで施設は一通りです、他に質問は?」

 

浜風「…いや、ただ随分と早足だったなと」

 

大淀「ああ、それはごめんなさい、少し忙しいもので」

 

浜風「流石軍人、と言ったところですか、早速私も仕事をしたいです」

 

大淀「えっ」

 

大淀(流石に今の問題をいきなり対応させたりはできませんし、何をさせたものか…急ぎの仕事なんてろくにありませんし…仕方ない)

 

大淀「電さん、居ますか?」

 

電「なんなのでしょう?」

 

浜風(うわっ…小さ……子供も戦うって聞いてたけど、こんなに小さい子供まで…?)

 

大淀「新しく入った浜風さんです、戦闘訓練をしてあげてください、五月雨さんの手も借りてくれて構わないので…」

 

電「わかったのです、よろしくお願いします」

 

電(ドジっ子を押し付けられたのです…)

 

浜風「よ、よろしく…」

 

大淀「申し訳ないのですが私は他の仕事があるのでコレで、それでは」

 

そそくさと大淀が去り、2人廊下に残される

 

電「えー…と、基本的なことはもうわかってると思うので、早速実践訓練をしていきましょう」

 

浜風「は、はぁ…」

 

浜風(ほんとにこんな小さい子に教えてもらうの?どう見立てても小学校の低学年くらい…あー、うん、わかっては居たけど国ってダメだな…)

 

 

 

 

海上

 

電「とりあえず、実力を図りたいので的当て訓練からなのです、50m先の的を狙ってくださいなのです」

 

浜風「…え、と…撃って良いの…?」

 

電「待ってください…うーん…姿勢のブレがありますね、体幹がまだ…じゃあ優先して体幹のトレーニングと、連装砲よりも単装砲の方がいいかも…」

 

浜風(な、何言ってるのかよくわからないけど、本当に大丈夫なの…?」

 

電(…ん、どうなら信用されてないのです)

 

電「よし、あって良いのです」

 

浜風「え、は、はい!」

 

的に向けて放つ、縁を掠めたものの中心は捉えられていない

 

電「ちゃんと狙えてるみたいで良かったのです、あとは体のブレに対応できれば静止した状態での射撃は問題ないと思います、次は微速で進みながら的を撃ってください」

 

浜風(…歩いてるくらいの速度なのに、揺れが激しくて難しい…あ、当たらない…!)

 

電「今の速度よりももっと速い、戦速となるともっと揺れが大きくなるのです、海の状態や敵の動きなども考えるととても戦闘は大変です」

 

浜風「…そうみたいね…」

 

浜風(訓練でコレじゃあ実戦に出してもらえるかわからない、頑張らないと…)

 

五月雨「お待たせしましたー!へぶっ!?」

 

電(また派手にこけたのです…どうやって石ころやささくれすらない海でこけられるのですか…)

 

浜風(…中学年から高学年…か)

 

電「一応、この鎮守府の中で一番の射撃の名手なのです」

 

浜風「こ、こんな子が!?」

 

五月雨「む…一応ってなんですか!?私だってやればできるんですからね!」

 

電「砲撃と射撃の腕は信頼してるのです、砲撃と射撃の腕は」

 

五月雨「心が傷つく…」

 

電「とりあえず、実力を見せてあげて欲しいのです、向こう側からあの的を」

 

五月雨「500メートルくらいで良いですか?」

 

電「なのです」

 

浜風(え、500…?)

 

豆粒くらいに離れてしまった、この距離では的も見えるとは思えない

 

五月雨『いっきますよー…やぁーっ!』

 

浜風「えっ、当たってる…」

 

正確にど真ん中を貫いている

 

五月雨『まだやりますか?』

 

電「最大戦速で東に航行しながらお願いします」

 

五月雨『了解です』

 

浜風「…あれって何キロくらいで…?」

 

電「一般的な最大戦速が30ノットなので…ノットとキロの換算が…時速で言うと大体55キロくらいだと思うのです」

 

浜風(55キロ…?そんな速度で動きながらあんなに正確に撃てるなんて…)

 

浜風「だ、誰でもあそこまで?」

 

電「…あの人は別なのです、でも砲撃のセンスはありますけど、それが戦闘センスと直結するわけではないのです、五月雨さんが戦う時は後方で狙撃をする方が向いてるのです」

 

五月雨『どうですかー?』

 

電「充分なのです、ありがとうございます」

 

浜風(…長所を伸ばせば私も深海棲艦を叩き潰せる…?)

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