元勇者提督   作:無し

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深海棲艦基地

南西海域 深海棲艦基地

キタカミ

 

キタカミ「なんだかなぁ…こんなとこまで招待されても嬉しかないや、あー臭い臭い、嫌な匂いだよ…」

 

ジメジメした洞窟の中に薄暗く炎がゆらめいて…

原始的な上に、周りには人の形を成してないようなのもうじゃうじゃ居て…

 

イムヤ「…私が二隻沈めたのが評価された……っていうのが嬉しくないです」

 

瑞鳳「私も来てよかったの?」

 

キタカミ「むしろ頭数揃えなきゃ生きて帰る自信ないっての…さて、親玉の登場だ」

 

戦艦棲姫「随分ナ言イ草ダナ」

 

瑞鳳(…コイツが、深海棲艦の親玉か)

 

キタカミ「何か文句ある?人の手を借りておいてさぁ…」

 

戦艦棲姫「自主的ニ協力シテルノダロウ?」

 

キタカミ「そうだよ、そうだとも…さっさとアンタがあたしの姉妹を返してくれりゃあそれでおさらばだ、ついでにアンタの脳天に大穴開けてやる」

 

戦艦棲姫「ククク、口ガ過ギルナァ…オ前ノ姉妹ハ私ノ手ノ腹ノ上、イツデモ握リ潰シテ殺セル」

 

キタカミ「だから何?それをやったらアンタは殺す、確実にね…」

 

戦艦棲姫「デキルト思ッテルナラ、イクラデモ勘違イシテイレバイイ」

 

キタカミ(コイツには負ける気しないんだけどね)

 

キタカミ「で?無駄話はしたくないんだよ、いつあたしの姉妹を解放してくれんの?」

 

戦艦棲姫「最初ニ交ワシタ約束ノ通リ、貴様ガ深海ニ堕チレバイイ、ソウスレバ人間500人ト貴様ノ姉妹ヲ元ニ戻ス」

 

キタカミ「そんな約束してないっつーの…頭沸いてんの?」

 

瑞鳳「良い加減にその臭い口塞がないと殺すよ」

 

イムヤ「私も…」

 

戦艦棲姫「怖イ怖イ…貴様ガ強者ト認メル者デモ良イノダゾ?」

 

キタカミ「強者ねぇ…」

 

キタカミ(曙なんか差し出そうものならこっちに勝ち目ないし、何より)

 

中指を突き立てる

 

戦艦棲姫「ホウ?」

 

キタカミ「アンタにはもう何回も言ったけどさ、あたしが仲間を売るわけないじゃん、天秤にかけなきゃいけないのはあたしじゃなくてお前だよ、お前は自分の命のためにあたしの姉妹を人質に取り続けるしかないんだよ、この無能が」

 

戦艦棲姫「ククク、ソウ思ワネバ正気ヲ保テンカ?」

 

瑞鳳(魔王気取りか何かなんだろうけど…)

 

イムヤ(目の前にいる相手の方が魔王だと思うなぁ…全快のキタカミさんなら曙だって倒せる、不意打ちでもされない限り絶対誰かに負けたりしない)

 

キタカミ(こいつうるさいなぁ…)

 

 

 

 

キタカミ「よ、球磨姉、元気してた?」

 

ツ級「キタ…キタカ、ミ…」

 

キタカミ「そだよ、久しぶりだねぇ、辛い思いさせてごめんね?」

 

瑞鳳(…深海棲艦なのに、肌がところどころ肌色…目もまだ生きてる…逆に痛々しい…)

 

へ級「………」

 

キタカミ「多摩姉も無事だったかー、木曾は?」

 

へ級「…ソ…ト…」

 

キタカミ「出かけてんの?仕方ない妹だ…」

 

イムヤ「…あの、キタカミさん」

 

キタカミ「あ、ごめんごめん、球磨姉多摩姉、2人ともあたしの友達」

 

ツ級「グ…マァ…」

 

へ級「ニャァ"…」

 

瑞鳳「え…よ、よろしくお願いします」

 

イムヤ「こんにちは…って、そうじゃなくて…大井さんは?」

 

キタカミ「…ごめん2人とも、ちょっと出てくるね」

 

 

 

 

 

瑞鳳「外も外で、空気が重い…」

 

キタカミ「大井っちは、何にも知らない…記憶を持たずに転生してる、その上…今がすごく幸せそうだったから何も言ってないわ〜」

 

イムヤ「…そ、そうなんですね…ごめんなさい、余計な事を聞いて」

 

キタカミ「あんまりその話は2人の前でしないでね、別に悪いことじゃないけど…できるだけ辛い思いさせたくないんだ」

 

イムヤ「はい…ごめんなさい」

 

チ級「姉貴…来テタノカ」

 

キタカミ「おー、木曾、よかった会えて」

 

瑞鳳(…キタカミさんが付けてるのと同じ仮面…)

 

イムヤ(今にも襲いかかってきそうな空気…)

 

チ級「…悪イナ…態々来テモラッテ…」

 

キタカミ「こっちこそ、何もできなくてごめん」

 

チ級「……言ウナ、頼ムカラ…逃ゲ道ニナロウトシナイデクレ」

 

キタカミ「幾らでもあたしを恨んで良いんだよ、あたしだけ生き延びちゃったんだからさ…あたしを恨んでよ…」

 

チ級「…ヤダ、姉貴ダケガ…俺ヲマトモデ居サセテクレル…姉貴ヲ恨ンダラ…トウトウ俺モ深海棲艦ニ堕チチマウ」

 

キタカミ「…木曾」

 

イムヤ(私にも…何か力にななることがあれば…)

 

キタカミ「そろそろか…長居はできない…ごめん木曾、また来るよ」

 

チ級「…待ッテル」

 

 

 

 

 

 

 

海上

 

キタカミ「…さて、今日も今日とて…深海棲艦を護りますかね…」

 

瑞鳳「…キタカミさんが深海棲艦に手を貸す理由はわかりました、だけど…ここまでする理由にはならないと思います、あいつは深海棲艦を守れとは言ってませんでした」

 

キタカミ「そこはあたしらの正義の為だよ、それに…悪いけど、みんなが進んで、どんどん深海棲艦が減っていったら…次はあたしの姉妹かもしれない、自分勝手な話…それが耐えられない」

 

瑞鳳「……本当に代わりを差し出すつもりは無いんですか?私が行くのも…」

 

キタカミ「ダメ、もうあたしは仲間を失いたく無い…瑞鳳があたしのせいでまた居なくなるなんて、そんなことになるなんて許せないよ、それならあたしが堕ちる方がマシ」

 

イムヤ「…どうするんですか…?」

 

キタカミ「曙をどうやって止めるかがネック、それ以外はどうにかなる」

 

イムヤ「キタカミさんなら曙さんにも勝てるんじゃ…?」

 

キタカミ「あんな化け物相手に?冗談でしょ…マトモにやり合って勝てるわけ無いじゃん」

 

瑞鳳「…数で囲めば」

 

キタカミ「あるかもね、可能性は…だけど、宿毛湾時代に在籍してる殆どのメンバーが本気で殺しに行ったことがあるんだけど…ボロ負けしてたよ」

 

イムヤ「…だ、だとしても…」

 

瑞鳳「そこまでなんですか?」

 

キタカミ「……一番勝ち目があるのは多分一騎討ちかな、下手に射線通されるとケアしきれなくなるし、あたしが味方殺しかねないから」

 

瑞鳳「…キタカミさんは格闘はしないんですか?」

 

キタカミ「する価値を感じないからね、あ、嘘…いや、できないって方が正しいわ…まあ、とにかくあたしは砲雷撃一筋さね」

 

瑞鳳「…砲雷撃の時点で一筋じゃ無い気が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐世保鎮守府

提督 渡会一詞

 

渡会「一度に複数人か…厄介だな」

 

陽炎「新人、ってこと?」

 

秋雲「みたいだねぇ、宿毛湾の連中が作戦失敗したし、こっちが出ることに張るのかもとは思ってたけど」

 

渡会「いきなり何の経験もない連中を戦わせるような真似はしないはずだ…といいが」

 

陽炎「色んなところに急に警備府ができたり、養成中の艦娘をそう言う場所に配置したり…かなり厳しいことになってるみたい」

 

渡会「……不知火達はどうしているのだろうな」

 

秋雲「あ、会ったことある…何にも覚えてないみたいで通報されそうになった…」

 

陽炎「らしい…のかなぁ…で、新人って誰?」

 

渡会「足柄、鈴谷、熊野、龍田、それと駆逐艦は磯風、叢雲だ」

 

陽炎「重巡洋艦3、軽巡1、駆逐が2…つまり合計で、空母が2の重巡が3、軽巡1、駆逐艦が4…合計10かぁ…」

 

渡会「経験の差は大きい、頭数だけ揃えても何も分かっていなければ意味がない」

 

陽炎「それはそうだけど…このままじゃ次は私たちが南西諸島に行くことになる、宿毛湾の人たちみたいに帰ってこれる保証なんてどこにもない…」

 

渡会「なら辞めればいい、艦娘は未成年のものばかりだ、続けるかどうかの選択の権利は与えられている」

 

秋雲「正直、やめたらどんなに気が楽か、と思うけど…自分の知らない所でみんなが死ぬよりは一緒に戦って死にたいよね…」

 

陽炎「死ぬ前提とかやめてよ、縁起でもない…」

 

秋雲「でも、南西諸島に行くってのはそういうことでしょ…向こうの戦略はこっちの倍、それでも返り討ちなんて…ウチの瑞鶴はたしかに強いよ、だけどさ…」

 

陽炎「たしかに前の世界と比べたら強くはないのは認めるけど…それでもウチの最大の戦力なのは間違いない」

 

秋雲「…その最高戦力の最近の戦果は?ゼロだよ、陽炎やこの秋雲さんの方が敵を倒した数は多い…つまり、私と陽炎だけが頼りなんだよ、で、やれると思う?」

 

陽炎「…それは…」

 

秋雲「龍田さんや足柄さん、鈴谷さんが着任しました、全員記憶があります、それで?演習の時見たでしょ、宿毛湾の化け物艦隊…あれを退けた相手だよ、しかも移動用の船の護衛も必要…10人で回すことがどれだけ大変か…」

 

陽炎「わかってるけど!だからどうしろって言いたいの!やらなかったら深海棲艦にいいようにされ続けら事になるの!」

 

秋雲「そ、それの何が悪いのって話さ…確かに外国との航路がないと食糧難もあるし、色んな面で問題は出てくるけど、それには別の形で対応すればいい、深海棲艦と戦い続けるより犠牲はずっと少ないよ…」

 

陽炎「じゃあたとえば深海棲艦が陸に来たら!?忘れたとは言わせない…あいつらは陸に攻めてくることができる、戦わない方が犠牲が少ない?別の形で対応?本当にそれがうまく行くと思う?」

 

秋雲「……む、難しいのはわかってるけど…」

 

陽炎「私は戦う事を強制するつもりは無いし、司令もそうでしょ」

 

渡会「当然だ」

 

陽炎「秋雲、逃げる理由に私たちを使わないで、選ぶのは自分自身だから」

 

秋雲「わかってるけど…」

 

陽炎「…私は、死ぬつもりは無い、だけど自分の役目を放棄するつもりもないから、秋雲が、誰かが怪我したら絶対に私が連れて帰る」

 

秋雲「…本当に大丈夫なの?」

 

陽炎「んなわけないでしょ、確証なんて何も無い、私は…ただアンタを勇気付けようとしてるだけ…秋雲に自分で戦う事を選ばせようとしてるだけ」

 

秋雲「まぁ…だよねぇ…ははは、はぁ…陽炎も怖いんじゃん」

 

陽炎「当たり前でしょ、まあ、死んじゃったら全部司令のせいで」

 

渡会「…ああ、お前達に何かあれば俺の責任だ、そうならないように作戦を立てるのが俺の仕事だ」

 

陽炎「お、心強い事言うじゃん」

 

渡会「お前達が怯えてるようではな」

 

秋雲「怯えてないし!?」

 

渡会「安心しろ、龍田には事前にあってきた、明日からは地獄になる」

 

陽炎「…地獄、とは」

 

秋雲「OK Google 地獄って何?」

 

陽炎「機嫌が悪い時の龍田さんと一緒にいる時の空気」

 

渡会「…明日から知らんぞ」

 

陽炎「明日から猫被ればいーんだって!」

 

秋雲「そうそう」

 

龍田「でも猫をかぶるにはちょっと遅いんじゃ無いかしら〜?」

 

秋雲「えー?そうです、か…?」

 

陽炎「遅くなんてな…い…?」

 

龍田「うふふふ〜?」

 

渡会「龍田は着任は明日だが、東京に住んでいたのもあって今日からこっちに住み込むことになった」

 

秋雲「……な、何で言ってくれたなかったの…」

 

渡会「本人に口止めされていた」

 

龍田「驚かせようと思ったら〜…ね?」

 

陽炎「も、申し訳ありません!!」

 

龍田「ちょっと遅いわね〜、今から演習よ?」

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