元勇者提督 作:無し
与那国島
駆逐艦 敷波
敷波「…ねぇ」
キタカミ「なにさ」
敷波「……イムヤさん…ってさ」
キタカミ「正解も正解、大正解…それが何?」
敷波「…大丈夫なの?」
首を掴まれ持ち上げられる
敷波「…ぁが…」
キタカミ「一個だけ言っとく、お前のことは確かに気に入った、だけどお前はあたしの仲間じゃない、殺す事に躊躇いはない」
敷波「…かはっ…ご、ごめ…わ、悪かったって…!」
キタカミ「迂闊なこと言うのはやめな、少なくともあたしの前では」
敷波(…大体読めてきた…でも、何が違うんだろう…)
ウラジオストク
駆逐艦 朝潮
朝潮「流石ヘルバ、という事でしょうか」
加賀「本当に戦闘機に乗って帰るとは思わなかったわ、私たちの乗る分はないのかしら」
佐藤「無理ですね、急ぐのでしたら今からいきましょうか」
朝潮「はい、なるはやでお願いします」
加賀「…そういえば、アオボノさんはいつ着く予定?」
佐藤「もうそろそろしたら降下地点に着くんじゃないでしょうか」
朝潮「…降下?」
佐藤「空中で射出してパラシュートで…という形らしいですよ」
加賀「大丈夫なのかしら、それ」
朝潮「…殺されても死なないタイプですし、問題ないでしょう」
宿毛湾泊地
駆逐艦 アオボノ
アオボノ「…帰投、しました…」
朧「…お、お帰り…パラシュート背負ったまま帰ってこなくて良かったんじゃ…?」
アオボノ「……あのロシア人、装着具をがんじがらめにしたから自分で外せないのよ…!」
曙「あ、帰ってき…ぶふっ!!な、何そのかっこ…あはっ!アハハハハ!森に突っ込んできたの?モリゾーとは会えた?あははっ」
アオボノ「黙れ駆逐艦曙!あんたが居ながらこの体たらくは何よ!」
曙「あひっあははっ…!頭にツノ生えてるわよ、葉っぱ付きの…あははっ!」
頭に手を当てる、異物を取り除く
朧「…これは、みかんの木かな、柑橘っぽい葉っぱだね」
アオボノ「どうでもいい…シャワーを浴びたら提督のところに行くわ、その後はアンタらも動くのよ」
曙「はー、笑った笑った…で?何するのよ」
アオボノ「敷波を助けるんでしょ?」
曙「ああ、そうね…わかった、やるわよ、やれば良いんでしょ?でも大丈夫?スカイダイビングと…くふっ…な、なんて言うの?森林浴?…森林浴したのにシャワー要る?あははっ」
朧「ふんっ!」
曙「ぐぇっ…脇腹はやめなさいよ…!」
アオボノ「っせい」
曙「へぶっ!?…アンタら容赦なく殴る蹴るするのね…かかと落としは流石にないでしょ…」
アオボノ「次はアッパーカット入れるから、それじゃ」
病院
アオボノ「提督、曙です、入ります」
海斗「曙、伝えた通りだよ」
アオボノ「はい、今から敷波の救助に向かいます、第七駆逐隊を動かしても構いませんか」
海斗「構わないよ、お願い」
綾波「わた、私も連れて行ってください」
アオボノ「居たんですか」
海斗「ダメだ、キミは1人で歩くことすらままならないのに出撃なんてもってのほかだ」
綾波「…お、お願いします…!」
アオボノ「提督、綾波を貸してください」
海斗「…貸すって…本当に連れていくつもり?」
アオボノ「無事に連れて帰ると約束します、2日間の出撃の許可を」
海斗「綾波はどうするつもり、艤装もつけられないんだよ」
アオボノ「船を使います、何かをさせるつもりはないので」
海斗「…それなら何故連れていくんだ」
アオボノ「本人が望むからです、それに…私が同じ立場なら私はたとえ動けなくとも向かいます、向かってみせます」
海斗「……」
アオボノ「行かずに後悔して生きるくらいなら…向かって死んだ方がマシなんですよ、行って、戦えなくても…」
海斗「じゃあ僕も連れて行ってほしい、キタカミに会わなきゃいけない、きっと敷波を探す中で会えるはずだ」
アオボノ「……いや、それはダメですね」
海斗「なんで」
アオボノ「会えるとも限りません、それに会えたなら私が連れてきます…提督は提督としてやるべき事があります、1人だけを見ていてはいけません」
海斗「…ごめん、わかった」
アオボノ「提督、キタカミさんは私なんかよりずっと強い」
海斗「だとしても、キタカミも限界なはずだ」
アオボノ「…キタカミさんは、私の尊敬する人です」
海斗「……」
アオボノ「キタカミさんがかつてと変わらないのなら…あと人は今、誰よりも強い」
海斗「キミよりも?」
アオボノ「元々私は単純な実力勝負では勝てませんよ」
宿毛湾泊地
曙「七駆、出撃いけるわ」
アオボノ「上等、行くわ」
朧「待って、来客っていうか…」
アオボノ「…こんな忙しい時に?」
浜風「横須賀の火野提督より、様子を見て来いと仰せつかりました、駆逐艦浜風です」
アオボノ「…成る程、今指揮系統は…誰が担当してるの、朧」
朧「いや…誰も」
アオボノ「はぁ…頭おかしいのかしら、じゃあ私がトップ、アンタらは下僕扱いよ?」
曙「いいんじゃない?面倒だし」
浜風「あの…」
アオボノ「臨時の提督代理、駆逐艦曙です、と言っても今から出撃なのですが」
浜風「え、こんな状態で…?」
アオボノ「艦隊のメンバーが深海棲艦に攫われたので、ついてきますか?」
浜風「え…い、良いんですか?」
アオボノ(どうせ居ても居なくても変わらないし、見たところ真面目タイプ、余計な物見られるくらいなら連れていく方がマシ)
アオボノ「ええ、長丁場の予定ですが」
浜風「ぜ、是非!」
アオボノ(何で嬉しそうなんだ…まあ良いか)
病院
重巡洋艦 青葉
青葉「失礼します、司令官」
海斗「わざわざ呼びつけてごめん、泊地はどう?」
青葉「…みんな、どうしたら良いかわからなくなってます、一応最低限の復旧はして、交代で見張りもしてますけど…」
海斗「うん、それで良い…ありがとう、辛いのにごめんね」
青葉「……司令官は、辛くないんですか…」
海斗「…わからないんだ、目の前で起きてた事なのに、急に結果だけ突き出されて…実感が湧かないっていうのかな…信じられないんだ、まだ」
青葉「…司令官が変わっちゃったわけじゃないなら、良かったです…」
海斗「僕は良くも悪くも変わらないよ」
青葉「…そうだ…司令官、さっき加賀さんから連絡が」
海斗「緊急?」
青葉「いいえ、帰路で交戦した際、1人保護したと」
海斗「誰かはわかる?」
青葉「それが…加賀さんはわからない、と」
海斗「加賀が分からないってことは、よその子かな」
青葉「多分…」
海斗「明日には帰ってくるはずだ、復旧を進めないとね」
青葉「業者に依頼しようとした…んですけど、民間のところは深海棲艦に怯えて…」
海斗「それは…参ったな、横須賀に連絡してみて、何とかしてくれるから…あとは何かある?」
青葉「あー…横須賀から浜風という方が様子を見に来てます、新人さんらしいです、民間人あがりの…」
海斗「横須賀からか…多分問題はないよ、他は?」
青葉「以上です、司令官の方は…?」
海斗「明日には退院して戻る事になってるよ、そこまでひどい怪我じゃないしね」
青葉「……無理したら、また怒りますからね…?」
海斗「気をつけるよ」
船上
駆逐艦 曙
曙「…恐ろしいほどに静かな海ね」
アオボノ「そう?かなりの数を殺したんでしょ、それなら居なくても当然よ」
曙「嵐の前の静けさって知ってる?それに…あーもう、何でも良いや…油断してたら足元掬われても知らないから」
アオボノ「心配ないわ、たとえ相手があのキタカミさんだろうと私達なら勝てる」
曙「へぇ、らしくないじゃない」
アオボノ「そういう訳だからこれ、明石さん特製の新型よ」
曙「……え?なにこれ」
消防士が来てるようなオレンジ色の服…
曙「あ、アンタねぇ…おちょくってるなら蹴り飛ばすけど?」
アオボノ「マジよマジ、本当は付属してないけど私の優しさ」
曙「付属…?」
アオボノ「ほら、これ」
綾波型の艤装…なのに少し何か違う
曙「…これ、なに?機関の煙突がデカイし、物々しい…し…主砲は?魚雷発射管もない…」
アオボノ「武器はこれ」
双剣…砲弾と…あとは魚雷?の召喚の紋章が刻まれた剣
曙「……これ、アンタのじゃ…」
アオボノ「いや?私のは召喚は外してもらったのよ、扱いに困ってるからまだ練習が必要なの、とりあえず実戦では足を引っ張りかねない」
曙「…じゃあ、これは…」
アオボノ「アンタのよ、アンタ専用の双剣、まあ、使う時はちゃんとその耐火服を着なさい、制服は燃えるから」
曙「…は?」
サイレンが鳴る
敵と出会ったという合図
アオボノ「言ったからね……早速深海棲艦よ」
曙「…ま、待って、え、これどこで着替えたら…」
アオボノ「運転手は朧、知らない人は浜風さんだけ…別に恥ずかしがる事ないでしょ」
曙「えぇ…?」
アオボノ「さっさと出るわよ」
曙「わ、わかったから待ちなさいよ…!」
アオボノ「あと、耐火服は普通中にインナーを着るもの、裸の上から着るようなものじゃないんだけだ」
曙「…し、知ってるわよ!」
渡された装備を広げ、ゴワゴワとした耐火服に袖を通す
曙「……耐火服…ねぇ、デザインと肌触りが気に入らないけど…まあ良いか、でも燃えるような物…機関部が燃えるとか?冗談でも嫌ね、火災発生って叫べって事?」
朧「曙!早く!」
曙「わかってるっての…行くわ」
双剣を回し、構えて海に飛び出す
戦艦級が2の軽空母2、重巡級2か
アオボノ「戦艦級が相手、イケる?」
曙「さあね、この装備次第じゃない?」
アオボノ「……教えてあげる、戦果が装備に左右される様なやつは三流よ」
曙「じゃあアンタにも教えてあげる、一流の腕を持ってても腐った魚じゃ刺身は作れないわ」
朧「張り合ってないで行くよ!」
曙「前衛は任せなさい!」
アオボノ「また前みたいに1人で突っ込むつもり?」
曙「…あんたも来るでしょ?」
アオボノ「バカなの?私双剣持ってきてないっての」
曙「…まあ、良いわ、前衛なのは変わらない、朧、後ろは任せたわ」
朧「了解…!」
痺れを切らした戦艦級がこちらに砲を向けて放つ
曙「さて、軽く腕鳴らし…といくか」
アオボノ「それを言うなら肩慣らしよ、バカボノ」
双剣を振るう、砲弾を切り裂き、こちらからも砲撃を召喚する
曙「へぇ…良いじゃない、狙い通りに飛んで行く…これなら充分すぎるわ!」
アオボノ(…やっぱり明石さんも記憶が戻ってるのかも…)
曙「魚雷も…くらいなさいッ!」
魚雷が黒い筋を纏って海を走る
曙「…ん?なにこれ」
アオボノ「ああ、それがその服の理由」
曙「え…?」
双剣を一度収納しようとクルリと回して鞘に収める
曙「…うわっ!?」
海を炎が走り、魚雷が破裂して水柱が上がる
潮「…海なのに炎…?」
曙「ちょっ…こういうのは先に言いなさいよ…!」
アオボノ「サプラ〜イズ…ってことで」
曙「命懸けのサプライズなんて求めてないっての…!良いじゃない、やってやる…」
双剣を回して炎を灯す
曙「ツキがなかったわね深海棲艦共…今から一瞬よ…!」
朧「すぐ調子に乗る…」
アオボノ「…心配ないわ、曙だもの」
敵艦の艦載機が迫る
曙「…ふふっ…確かに今なら何でもできるかもね」
双剣を大きく振るい、炎の壁を作り出す
曙「撃ちなさい」
アオボノ「命令しないでくれる?」
朧「潮!漣!機銃は任せたよ!」
潮「う、うん!」
漣「了解!」
炎の壁に突っ込んだ敵艦載機が火の玉になって堕ちる
取りこぼしも潮と漣が撃ち落としてくれる
朧「右ッ!」
朧達の砲弾が金属をねじ曲げる様な音を鳴らす
曙「当たった…朧も強くなってんじゃない」
朧「目隠しで当てるのはまだ厳しいって…!」
アオボノ「朧ならできるわ、あと少しでね…曙、左舷に戦艦が回り込もうとしてる」
曙「炎の裏のことまでお見通しってわけ?良いけど…漣!主砲を左に向けて撃ち続けて!」
漣「え!?りょ、了解!」
漣が出鱈目に打ち込んだ先に突っ込む
曙「漣!絶対打つのやめるんじゃないわよ!当たらないから!」
海面を踏みしめて前へと駆ける
機関部が蒼い炎を噴き出す
アオボノ「…あー、まあいいか」
曙「っらぁぁ!!」
蒼炎を纏って戦艦級に突撃し、斬り刻む
ル級「ギゃァァァァァ!!」
曙「潮!10時の方向に向けて魚雷!」
潮「発射!」
炎の壁が消え、敵艦の姿が露わになる
朧「見えるなら…重巡級は落とすよ!」
アオボノ「じゃあ私は軽空母2ね…」
潮の魚雷が重巡級を一つ沈め、朧の砲撃でもう一隻と敵艦が順々に沈む
曙「終わりよ…くらえッ!」
最後の戦艦級を真っ二つに斬り捨てる
アオボノ「戦闘終了、此方方に被害なし、上々よ」
曙「当然よ、十分すぎる装備ね」
潮「……あの、曙ちゃん、熱くないの?」
朧「本当に大丈夫…?」
曙「え?耐火服を着てるしヘーキヘーキ」
アオボノ「…いや、その耐火服が燃えてんのよ」
曙「へ?」
言われて見るとすごく熱い上に腕の部分とか素肌が露出している
曙「ぎゃぁぁぁ!?」
潮「う、海に潜って!」
アオボノ「はい、双剣確保と…まあこれ作るの大変らしいし」
曙「ちょっ!曙ォ!熱っ!熱つつ!」
服を脱ぎ捨て艤装を外して海に飛び込む
曙「ぷはっ!…し、死ぬかと思った…」
朧「……よかったね、制服は無事みたいだよ、ビショビショだけど」
漣「か、風邪ひいちゃうしあがろうぜぼのたん…」
曙「…そうね…でもひんやりしてて気持ちいい…」
潮「……そういえば、この辺の海って昔サメが…」
曙「誰か早く船に引き上げて!」