元勇者提督   作:無し

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死に損ない

研究所

駆逐艦 アオボノ

 

アオボノ「…成る程?」

 

綾波「こ、これ、これが…イムヤさんのデータで…お、お二人の結果と…ここっ…この腕の数値は酷似しています…」

 

アオボノ「要するにこの腕は生きてる、もしくは私たちが死んで…いや、検査に異常はなかったからこっちが生きてるに近いのか?」

 

綾波「ひゃ、ひゃい…」

 

アオボノ「わかってはいましたが、健康な人との違いも詳しく調べればはっきり出ますね…何と形容したものか…生命反応のある死体…死に損ない…」

 

綾波「…し、死体…ゾンビ?」

 

アオボノ「ゾンッ……まあ、それは置いておきます、消化器官なども動作して代謝も正常、だというのに私は一度死んでいる…いっその事心臓でまとまっていれば話はシンプルでしたけど…」

 

綾波「い、いたって正常、です…」

 

アオボノ「怪我をしたら時間がかかるものの治る、島風さんもそうだとしたら風邪もひく…人間との違いは…死を経験していることくらいか…」

 

綾波「…い、イムヤさん…と、特別なんでしょうか…」

 

アオボノ「…イムヤさんと同じく、深海棲艦になった上で人間として生きている存在がいるのではないか…という意味ですか」

 

綾波「は、はい」

 

アオボノ「それは当然いてもおかしくはありませんが…」

 

…判断がつかないし、何よりイムヤさんは深海棲艦だと言うのに決して暴走しない…私からすればただの潜水艦娘…

 

アオボノ「…嫌な推論が繋がりつつありますね」

 

綾波「…わた、私も…です」

 

アオボノ「艦娘システムについて詳しく洗う必要がありそうですね、ヘルバさんが探っていたのもそこでしょう」

 

綾波「は、はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

東京

駆逐艦 曙

 

曙「…さて、見つかるかしら、大井は」

 

この大都市に来たのは三崎亮に会うため

おそらく何か知ってるはず…

 

曙「まあ、アタシからすれば見つかっても見つからなくても……うわっ、マジ?」

 

早速当たりを引けた、立ち上がりは上々だ

近づいて声をかけるにしてもどうしたものか

 

曙「あのー、すいません」

 

摩耶「なんだ?」

 

曙「ちょっと道をお尋ねしたくて」

 

摩耶「あー…待ってくれ、どこに行きたいんだ?」

 

曙「このお店なんですけど、東京に来たばかりで道がよくわからなくて」

 

摩耶「新宿か…アタシもあんまり道案内得意じゃねぇんだよなぁ…ちょっと待ってくれ」

 

曙(…摩耶は何も覚えてない…か、折角会えたのに…)

 

どこか虚しい

 

摩耶「おーい、姉貴!道案内して欲しいらしいんだけど」

 

曙(姉貴?高尾型の誰か…?いや、違う…アレは誰?)

 

晶良「はいはい…えっと、どこに行きたいの?」

 

活発そうな女性を連れてくる

 

曙(…普通の家庭に生まれることができたなら、そんな結果もあり得るか…)

 

曙「このお店なんですけど」

 

晶良「ふんふん…オッケー、案内したげる…曙ちゃんであってるっけ?」

 

曙「えっ」

 

晶良「違った?」

 

曙「いや…えっと…」

 

晶良「…間違ってはなさそうね、摩耶!そういう事だから先行ってて!」

 

摩耶「遅れんなよ〜」

 

女性が摩耶を追払いこちらに向き直る

 

晶良「あー、わかってる前提で自己紹介しとく、アタシの名前は速水晶良…PC名はブラックローズ、コレで伝わった?」

 

曙「…はー……こんな事あんのね…」

 

晶良「わかってるみたいで良かったわ、伝わらなきゃただの痛いヤツになるところだったし」

 

曙「…あー、場所を移しますか?」

 

晶良「タメで良いわ、歩きながら話しましょ?」

 

 

 

 

 

曙「…つまり、カイト達の戦い、黄昏事件を解決したときに一部のメンバーは記憶が戻った…か」

 

晶良「アタシは弟が意識不明になって、なんていうか…色々大変だったわ、摩耶の面倒みてたりね」

 

曙「事件が解決して記憶が戻ったのは…」

 

晶良「そ、アタシ1人…摩耶には記憶は戻らなかった、まあそもそもゲームをその時はやってなかったから…」

 

曙「…さっきから気になってたんだけど何で摩耶って名前な訳?」

 

晶良「さあ?覚えてないけど小さい頃の私がその名前がいいって言ってたらしいわ」

 

曙「ふーん…」

 

晶良「カイトは?元気にやってる?」

 

曙「まあ…頑張ってるとは思うわ、元気かは知らないけど」

 

晶良「じゃー、今度喝を入れに行きますか」

 

曙「本気?良いけど…」

 

晶良「で、東京には何しに来たの?」

 

曙「…人探し」

 

晶良「どんな人?」

 

曙「見た目はわかるけど、名前は知らない…いや、そもそも見た目も変わってるかもしれないわ」

 

晶良「つまりターゲットは艦娘ってわけだ」

 

曙「そ、だから情報集め」

 

晶良「東京のどの辺にいるかわからないの?」

 

曙「そもそも日本に住んでるかも知らないわ」

 

晶良「…マジ?」

 

曙「大マジ」

 

晶良「ヘルバに連絡してあげよっか」

 

曙「それは禁じ手、既に世話になりっぱなしなのよ」

 

晶良「へー、後が怖いわよ?」

 

曙「…よねぇ…」

 

話しているうちに目的の店に着く

 

晶良「あのガラ悪そうなの知り合い?」

 

曙「…あー、居た」

 

亮「……こりゃまた、随分な言われようだな」

 

曙「案内してくれてありがとう」

 

晶良「ん、気にしないで良いよ、いつでも連絡してね」

 

曙「また…さて、ご足労感謝します、三崎亮サン?」

 

亮「よ、さっきの奴は?」

 

曙「ブラックローズ」

 

亮「アレがか、成る程な、おっかねぇ」

 

曙「それよりもさっさと本題に行きたいんだけど…大井の居場所わかる?」

 

亮「…何で探してる」

 

曙「大きい声で言える話じゃない、ここボックス席とかあるの?」

 

亮「…ああ、入るか」

 

 

 

 

 

亮「で?」

 

曙「率直にいうわ、大井の姉妹が全員深海棲艦になった」

 

亮「…お前らんとこのキタカミもか」

 

曙「あんたが知ってるキタカミはね、今うち別の北上居るのよ」

 

亮「なんか面倒な事になってんな…で?なんで大井が必要なんだ」

 

曙「…無関係じゃないからよ、どうなるかもわからないし、許可を取りたいの」

 

亮「…殺す許可…か」

 

曙「勿論助けたい、そのための研究も始めた、だけどこの前泊地が襲撃されたのは知ってるでしょ?全国ニュースになってたし」

 

亮「ああ、横須賀の敷波くらい有名だ」

 

曙「もし同じ事が起きたら…来た敵は全て殺してでも私達は仲間を守らなきゃいけない」

 

亮「……大井に記憶はないぞ」

 

曙「だとしても知っておくべきよ、自分で選ぶことも出来ず、後悔すらできないなんてアタシはお断り」

 

亮「…そう言う事ならわかった、会えるようにする、会えるときに連絡する」

 

曙「お願い」

 

 

 

 

 

宿毛湾泊地

提督 倉持海斗

 

龍驤「艦種は軽空母らしいですわ、龍驤って言います、よろしくお願いします」

 

海斗「よろしく、いきなりこんなところで不安もあるかもしれないけど、一緒に頑張っていこう」

 

龍驤「…ウチも今日からここで働くんやーって来たら建物に大穴開いとるもんやから…こう、驚きましたわ、でもそうそうあるわけじゃないんやったら当分安心やね!」

 

海斗「うーん…そうとは言い切れないんだけど…」

 

龍驤「ところで、ウチは何をすればええんでっしゃろか」

 

海斗「えっと…加賀」

 

加賀「わかってます、龍驤さん、貴女は私と艦載機に関する基礎訓練を、演習場まで案内しますので」

 

龍驤「わかりましたー」

 

海斗「……龍驤って、あんな感じだったっけ?」

 

 

 

 

演習場

正規空母 加賀

 

加賀「貴方の艤装です、基本的な動作などは教わってると思いますが…」

 

龍驤「もちのロンや!よーし飛ばすぞー!」

 

龍驤が巻物状の飛行甲板を広げる

 

加賀「…貴方関西の人?」

 

龍驤「あー…生まれは神奈川で…お笑いやりたくて大阪まで来たんですけど、東京弁で喋るような若手は白い目で見られるんですわ」

 

加賀「だから変に癖がある喋り方してるのね」

 

龍驤「…不愉快だったでしょうか」

 

加賀「いえ、そういうことじゃないの、好きに喋ってくれて構わないわ、昔聞いた関西弁と違うように感じただけだから」

 

龍驤「関西弁と言うても色々あるみたいですからねぇ」

 

加賀「発着艦訓練にあたりましょうか、まずは飛ばしてみて」

 

龍驤「はいっ!えーと…こうやって手の形を作ったら…」

 

龍驤の手に炎が灯る

 

加賀(…昔から気になってたけど、熱くないのかしら)

 

龍驤「勅命に従って艦載機が…アレ?」

 

加賀「どうかした?」

 

龍驤「…何や、動かんのです…変やなぁ、コレであってるはずなのに…」

 

加賀「動かない?」

 

式神型の艦載機についてはあまり詳しくないのだけれど…

私の考えだけど艦載機を扱うとなると必要なのは心技体

新入りにそれをいきなり求めるのも酷な話、どれが足りてないのかを測るところから、かしら

 

 

加賀「…何が悪いのかしらね、艤装に適合してるなら問題ないはずだけれど」

 

龍驤「そうなんですか?」

 

加賀「ええ、他の艦娘の艤装に適合してるからと言って無理矢理な戦い方をする子もいるほどだし」

 

まあ、アレは規格外なのだけれど

 

龍驤「んー…そりゃっ!うおお!!……あきません、飛びませんわ」

 

龍驤がやれやれと言ったジェスチャーをしながらこっちをむく

 

加賀「まずは心からね」

 

龍驤「へ?」

 

加賀「精神を鍛える修行を始めましょう、まずは…軽く書道なんかどうかしら」

 

龍驤(…役立つんかな、それ)

 

 

 

 

 

 

工廠

工作艦 明石

 

明石「整備不良はなし、と…ようやく終わった」

 

夕張「お疲れ様、どーよ、新しい艤装」

 

明石「式神型の事?これは私は殆ど触れない、説明書とか見る限りだと巻物や艦載機の式神もちゃんとした神社や使い手が用意した物じゃないと作動しないらしいし」

 

夕張「オカルトには興味ないって?」

 

明石「オカルトもいいとこすぎる、どうやって動作してるのか本当にわからない…何が起きてるんだろう」

 

夕張「まあ確かに、何が動作してるのかはわからないけど不思議パワーで良いんじゃない?深く考えるだけ無駄無駄」

 

明石「…そう言うのを思考停止って言うんだけど」

 

夕張「思考停止でいいの、求められてる部分は他にある、やらなきゃいけない仕事がちゃんと出来てるならそれでいい…特に私たちの仕事で人の命を左右するなら」

 

明石「…それも一種のプロ意識…ってとこ?」

 

夕張「まあね、それよりこれ、曙ちゃんから預かってきた報告書」

 

明石「うわ、こんなにしっかり書いてくれてる…」

 

夕張(しっかり描かなきゃ火傷で死にそうだってぼやいてたのは伏せておこう…)

 

明石「…炎への耐性がないと召喚は難しいか…」

 

夕張「…あれ?召喚?式神型の艦載機と召喚は違うの?」

 

明石「召喚は刻印を刻めばそれで使えるんだ、うん、何故か」

 

夕張「そこに関しては思考停止、か…炎の召喚は?」

 

明石「燃料を消費して燃やしてるの、だからこの艤装だけ燃料タンクを増設しようかと思って」

 

夕張「良いかもね、だけど先に炎をどうにかしてあげないと自分が焼けちゃうわ」

 

明石「……うん、そう…そうなんだけど…真っ先に考えなきゃいけない事が何故か頭から抜け落ちてたんだよ…」

 

夕張(まあ、元々炎を纏って戦ってるわけだし)

 

明石「はっ!」

 

夕張「何か思い出した?」

 

明石「そう!イベント!」

 

夕張「…イベント?」

 

明石「The・Worldのイベントやらなきゃ!青葉さんどこだっけ!?」

 

夕張「こんなときに何をいってんの…いや、明石、別に遊ぶのは良いんだけど青葉さんを無理矢理巻き込むのやめたら?忙しそうにしてたし」

 

明石「あの人仕事あるの?あんまり戦果も上がってないし、事務仕事もこんな状態じゃ回らないでしょー…」

 

夕張「…あのさ、他の人の前で絶対言っちゃダメよ、刺されても知らないから」

 

明石「えー…?」

 

夕張「戦果が上がってないのは今は哨戒と最低限の戦闘にとどめるようにしてるから、事務仕事だってちゃんとやらなきゃここの提督の首が飛んでもおかしくないでしょ」

 

明石「そう?新しい上司どんな人かなー」

 

夕張「…本当に刺されても知らないからね…?」

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