元勇者提督   作:無し

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似た者同士

宿毛湾泊地

三崎亮

 

亮「暇だな、補佐について仕事…っても、ただ見てるだけじゃな」

 

海斗「まだ初日だし、いきなり任せるわけにもいかないから…勘弁してよ」

 

亮「アンタがやってる内容全部やった事があるから暇なんだよ、ったく…川内達も遊び呆けてやがるし…大井は機嫌悪りぃし…」

 

海斗「みたいだね…北上と衝突したみたい」

 

執務室のドアが蹴り開けられる

 

金剛「Hey!テートク!どうなってるデスか!なんで明石が私をあんなに避けるデース!?何か吹き込みましたカー!?」

 

海斗「明石はあんまり人付き合いが上手くないんだよ、ストレートに言うけど、金剛のペースに合わせるのは今の明石はストレスになると思うな…」

 

金剛「oh…そ、それでも!明石と仲良くしたいデース!」

 

海斗「じゃあ明石のペースに合わせてみようか、時間はかかるけどきっと仲良くなれると思うよ」

 

金剛「オッケーデース!」

 

金剛は部屋を飛び出していった

 

亮「…扱い慣れてんな」

 

海斗「長い付き合いだからね」

 

亮「そうか…ってか、南西諸島海域の攻略、アンタはどうするつもりなんだ?」

 

海斗「来週出撃するつもりだよ」

 

亮「来週?猶予は1ヶ月だろ」

 

海斗「…本当なら期限ギリギリまで引き伸ばしたいんだけど、暁達が見つかったんだ」

 

亮「暁…っていうと第六のか」

 

海斗「うん、暁達はいま大湊にいる…だけど環境は最悪らしい…既に雷が沈んだ…って聞いたよ」

 

亮(大湊…確か最近できた警備府だったか…)

 

海斗「大湊の司令官は階級がかなり高い人で…暁達のことをモノとしか見てないらしい」

 

亮「んなもん摘発できねぇのか?」

 

海斗「そうしたいんだけど…どうにもそうはいかないらしい、というか…艦娘に対する扱いが何処もおかしいみたいなんだ、まるで道具みたいに…何か知らない?」

 

亮「いや…特に何も聞いてねえ…」

 

亮(人間相手にそんな事して足がつかないわけが無え…のに、なんでだ?欅辺りに話聞けばなんかわかるか…?)

 

海斗「とにかく、早く戦果を上げてこっちの意見を通せるようにしないとね」

 

亮(こっちでも少し動いてみるか…)

 

 

 

 

 

 

演習場

瑞鳳

 

神通「良いですね、中々…昂ります」

 

瑞鳳「いや、だから見るたび襲いかかってこないで欲しいんだけど…」

 

神通「すいません、でもいい修行になるかと」

 

瑞鳳(このペースだと先に潰されかねない…)

 

瑞鳳「……一回だけ相手してあげる、本気で」

 

神通「おや、今までは本気じゃなかったんですか?」

 

瑞鳳「あーもう、面倒臭い…!」

 

隙を殺してローキックとジャブだけを見せる

 

神通(…こっちの対応が甘くなるのを誘ってる…怒ってた割には随分と悠長な…)

 

瑞鳳(縦の視線移動が増えてる…これなら!)

 

神通(来た、顔面へのストレート…ッ!?)

 

ストレートをフェイントで見せ、ガードの姿勢を取らせる

ストレートのために突き出した拳を思いっきり下に下げ、視線を拳に釘付けにし…

 

瑞鳳(狙いは横!)

 

神通「ぐっ…!」

 

脇腹への回し蹴り…を塞がれる

 

瑞鳳「…完全に視界外なのに…!」

 

神通「忘れましたか…私、人よりよく視えるんですよ…でも、これは効きました…」

 

瑞鳳「ギブアップしても良いよ」

 

神通「まさか、試合じゃなければ今ので脚は取っていましたよ」

 

瑞鳳「……へぇ、それを言うなら…ガードなんか突き破ってたけど」

 

神通「そうですか」

 

神通が大きく体を縮め、下から頭突きのように迫る

 

瑞鳳(何を…いや、掴みに来てる!)

 

鞭のように腕をしならせ、大きく振り回された腕が飛んでくる

 

瑞鳳「ッ!」

 

間一髪で神通の手首をつかみ止める

 

神通「……どうでしょう、私の貫手」

 

神通の爪先が皮膚を貫き血を流す

 

瑞鳳「威力、速度共に完成された技かもしれないけど…見え見え」

 

神通の手首を握る力を強める

 

神通「あいたたた…その割には反応が遅れてましたけど?」

 

瑞鳳「砕くよ」

 

神通「いたたたた、ギブ、ギブです」

 

瑞鳳(……危なかった…そろそろこれにこだわるのも限界かな…)

 

神通(貫手はやはり見られたら通らない…か)

 

 

 

 

 

 

 

川内

 

川内「へぇ、あの北上?」

 

北上「…ああ、あのオドオドしてた川内か」

 

川内「暫くお世話になるから、よろしくね」

 

北上は躊躇いなく握手を受ける

 

川内(ま、大井が嫌いなだけか)

 

北上「…アンタはあの大井達と居なくて良いの?」

 

川内「んー、仲が悪いわけじゃ無いけど大井って重いからさぁ」

 

北上「へぇ、結構サバサバしてる感じしたけど」

 

川内「いや、それがさ…割と好意が見え見えなくせに指摘したらキレたり面倒くさ…あだっ!?」

 

後頭部に何かの箱が飛んでくる

 

大井「悪かったですね、面倒くさくて」

 

北上「出たよ面倒なやつ」

 

大井「チッ…」

 

川内(お互い様だっての…あ、マフラーか、今から夏なのに今渡すんだ…)

 

北上「何、なんか用な訳?」

 

大井「あなたには一切ありませんが、そこのバカにはあります」

 

川内「私?何、神通か那珂がなんかした?」

 

北上「……」

 

大井が来た時より北上の表情に影がさして見える

 

大井「神通さんが瑞鳳さんに襲い掛かったのでよく注意してほしいそうです、食堂に急行してください私はこれで」

 

川内「りょーかい」

 

川内(成る程ね)

 

 

 

 

食堂

 

神通「痛い!痛いです!」

 

那珂「川内姉さん、それ以上いけない」

 

川内「次やったら折るからね?」

 

神通「い、いや、お互い楽しんで…あー!外れます!折れます!て、提督!止めてください!」

 

亮「そのままいっちまえ」

 

川内「あいよー」

 

神通「あー!!」

 

 

 

神通「うぅ……今の身体はすぐには治らないんですよ…?」

 

那珂「元々修復剤なんて私たちはほとんど使わなかったじゃん」

 

川内「提督、ちょっといい」

 

亮「なんだ?」

 

川内「ここの北上と話した?」

 

亮「いや…会いづらくてな」

 

川内「…会ったことあるんだ?」

 

亮「俺が新人の頃にな、何もわかってない時に言われるがままに解体の書類にハンコを捺しちまった…」

 

川内「そか、じゃあ提督も関係あるってことでいい?」

 

亮「…どういう意味だ?」

 

川内「関わるかどうか……決めてくれる?私はもう決めた」

 

亮「……わかった、俺は何をすれば良い?」

 

川内「さあ、とりあえず会って話してみてよ」

 

亮「おう」

 

 

 

 

三崎亮

 

亮「よう」

 

北上「…ああ、アンタか」

 

亮「覚えてくれてるみたいだ光栄だ」

 

北上「…忘れたくても忘れられないよ、一応聞くけど…何も知らなかったんだよね」

 

亮「新人だったからな…言い訳にしかならねえけど…」

 

北上「正直、今も憎い…みんなね、自由に生きて、自分勝手に…楽しんでる奴らが憎い…当然、アンタも」

 

亮「そうか」

 

北上「ま、そう言う事でよろしく」

 

亮(…どうしたもんかな、北上の事だけを判断するわけにもいかねぇ…とりあえず大井にも話を聞くか)

 

 

 

 

 

大井「なぜ私にまで話を聞く必要があると…いえ、その辺はもう良いですけど…」

 

亮「お前、昔から周りを見ずに突っ走るとこがあるからな…」

 

大井「それは…たしかにあの北上に対しても…」

 

亮「対しても?」

 

大井「…私は、私は和解しようとしました、ですが向こうが変わろうとしない、それにあの北上と和解するほどの価値はないんです…もう良いでしょう?」

 

亮「……お前、本気でそう思ってるのか?お前はあの北上を利用するために仲直りしようとしたのか?」

 

大井「…私の姉妹は別に居ます!あの人は赤の他人、何が問題あるんですか!?」

 

亮「そうか…」

 

大井「なんですか!言いたいことがあるなら言えば良い!非難したいのならすれば良い!私は…!」

 

亮「…お前はあの北上を、見てるのか?」

 

大井「……なぜ見る必要があるんですか」

 

亮「アイツらは別人だ、あの北上にも、北上なりに思うことがあるはずだろ…お前が思うように、アイツにも…いや、俺が言えたことじゃねぇな…」

 

大井「…なんで、アイツを庇うのよ…!あなたは私の提督でしょう!?何故私の味方をしてくれないの!」

 

亮「お前が俺に似てるから、かもな…」

 

大井「…今までそんな事言わなかった癖に…?何が似ているって言うのよ!」

 

亮「自分勝手で、周りの都合なんか無視して…必死で助けたい奴を助けようとする…そのためには手段を選ばない…お前、あの北上を見る度にイラつくだろ?」

 

大井「っ…な、なんでわかるのよ!」

 

亮「俺も同じだったからだ、おれも…助けたい奴とそっくりなそいつにその影を追って…でもそいつはやっぱり別人で、会うたびにイラついてた、ちょうどお前みたいに八つ当たりしてな」

 

大井「だから何よ…私が間違ってることくらいわかってる!でも私は今キタカミさんを助ける事で手一杯なのよ!…あんな奴必要無いの!もう良いでしょう!?」

 

亮「…自分が変わらなきゃ、誰も変わってくれねぇよ」

 

大井「っ〜〜!知ったようなことを!」

 

 

 

 

 

 

執務室

駆逐艦 綾波

 

綾波「し、司令官」

 

海斗「…どうしたの、改まって」

 

綾波「…わた、私…綾波は、特務部に行きます…!」

 

海斗「ど、どうして?」

 

司令官は驚いた様子で慌てて聞き返してくる

 

綾波「…今の、綾波は…ダメなんです」

 

綾波(今のままじゃ、誰も守れない…例え誰かを傷つける道だったとしても、間違った道だったとしても…私は絶対に…)

 

綾波「ヘルバさんにも、もう許可を貰ってます…」

 

海斗「ヘルバも…?」

 

綾波「……敷ちゃんを…敷波を、お願いします」

 

海斗「待って、まだ承諾した訳じゃ…」

 

綾波「……私を止めるには、磔にする他、ありません…そう言えば司令官ならおわかりになる…と」

 

海斗「…それは…」

 

綾波「どうか、勝手をお許しください、恩を忘れた訳ではありません、私は…ここに居ても役に立てない」

 

床に額を押し当て、懇願する

 

綾波(汚れるのは、私一人でいい)

 

海斗「…そう言うことなら、僕は絶対認めない、今君はここで研究者として頑張ってくれてるじゃ無いか!」

 

綾波「そう仰るとは、思ってました…でも、私は止められませんよ…」

 

海斗「…どうして」

 

綾波「…失礼、します」

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