元勇者提督   作:無し

222 / 625
上陸部隊

艦内

提督 倉持海斗

 

海斗「…あと少しで台湾なのに…急に攻撃が激しくなってきてる…」

 

度会「日本にいる台湾の軍人たちを通して陸からの攻撃を依頼はしたが、今の所動きは無し、あと1時間分でたどり着ける距離なんだがこのままでは進むこともできない」

 

海斗「多分、既に深海棲艦が陸にも…」

 

度会「そう見るべきだろうな、となると…台湾に入るのは危険が大きい、もし上陸できても夜間は歩哨が必要等、想定されていたよりも負担がかなり大きい」

 

亮「どうすんだよ、このまま速度を落としてたらいい的だ、敵を倒し続けるのも限界があるぞ」

 

海斗「先遣隊を出そう、それで安全を確認でき次第入港、安全が確保できないと判断したら先遣隊を拾ってから周囲の島へ、海図はあるかな」

 

亮「この辺で身を隠せそうなのは…波照間とか西表辺りか?」

 

度会「その辺りの島に近づくなら座礁の恐れがあるルートは調べておこう、先遣隊のメンバーは」

 

海斗「機動力を重視して島風を連れて行きます、それと現地での通信等に夕張も…後は陸上での戦闘の心得がある神通さんと龍田さん」

 

亮「連れて行くって…海斗も行く気か?」

 

海斗「現地で何かあったら困るから、艦娘だけじゃまともに対応してくれないかもしれないし」

 

度会「だったら俺の方が適切だろう、ここのメンバーのほとんどは宿毛湾の所属だ、キミが残った方が…」

 

海斗「いえ、行かせてください」

 

亮「何があるのか?」

 

海斗「まあ、うん、だからコレは僕が行きます」

 

度会「…ならば、それで行こう」

 

 

 

 

艦内会議室

 

神通「わかりました、護衛としての役目、果たさせていただきます」

 

龍田「私も問題ありません、お役に立ちますよー」

 

島風「…うーん、提督、コレって上陸後はどうするの?」

 

海斗「移動手段は現地調達、できれば向こうの軍とすぐにでも連絡を取りたいんだけど、今のところこちらの通信には答えてくれてないんだ」

 

島風「上陸できても長距離移動しなきゃいけないかもしれない…って事?」

 

海斗「そうなるね」

 

夕張「車がもし生きてたら私が乗れるようにはしますけど、提督は運転できますか?」

 

海斗「大丈夫だよ」

 

夕張「よし、じゃあ決まりですね…えーと…出発は今すぐ?」

 

海斗「5分後にしよう、準備できる?」

 

神通「私は問題ありません」

 

龍田「同じく〜」

 

島風「私も!」

 

夕張「じゃあ私が用意を済ませればいいわけですね、すぐに済ませます」

 

 

 

 

海上

 

島風「ふぁ…あ」

 

神通「流石にこのサイズのボートなら潜水艦も手出しは難しいでしょうね」

 

龍田「うーん…後どれくらいかかるのかしら?」

 

夕張「10分もあれば着きますよ」

 

神通「…正面に敵、1分で視認距離に入ります」

 

海斗(正面、か…やっぱりもう上陸されているのかな)

 

神通「……陸地に少数の人型深海棲艦を確認、面倒になりますね」

 

島風「先行します!」

 

島風がボートから飛び出す

 

島風「敵確認!…って、軽巡級1?」

 

神通「はい、見えた限りでは……ですが恐らく潜水艦が」

 

島風「了解!反航線に突入!夕張さんはソナーお願いします!連装砲ちゃん!」

 

夕張「はいはいっと〜…って、聴音機しかない…ボート止めてくれません?」

 

神通「ダメです」

 

島風(…軽巡洋艦が旗艦の潜水艦隊…?どこから仕掛けてくるんだろ…)

 

神通「見つけました、南西に雷跡!」

 

島風「爆雷!」

 

連装砲が射出した爆雷を雷跡に向かって蹴り飛ばす

 

島風「ドカーン!」

 

神通「魚雷は潰せましたね」

 

島風「っとぉ…!撃ってきてる!」

 

軽巡級からの砲撃、当たりこそはしないがまるで進路を潰すような攻撃…

 

海斗「島風、無理に倒す必要はないよ、このまま突っ切ろう」

 

島風「んー……潜水艦は無理かも、でも…」

 

連装砲がもう一度魚雷を高く射出する

 

島風「軽巡はやっちゃいます!」

 

島風が蹴った爆雷が軽巡級にぶつかり爆発する

 

島風「良し!敵撃破!」

 

夕張「おー…さっすが、よく飛ぶなぁ…」

 

神通「砲撃の方が手っ取り早かったと思いますけどね」

 

島風「この方がカッコいいから良いんですー!」

 

神通「……やはり、台湾は深海棲艦が複数潜んでいる敵地となってしまったようですね…敵機、来ます」

 

夕張「…まって、あれ戦闘ヘリじゃ…」

 

海斗「乗ってるのは?」

 

神通「確認できません、ですが視える範囲の深海棲艦が狙いすらつけていません、コレはそういう事でしょう」

 

龍田「深海棲艦に操縦できるのかしら〜」

 

夕張「…それか、もう降伏して人が手を貸してるとか、何にせよまずいですね」

 

海斗「夕張、通信機を」

 

夕張「準備できてます」

 

神通「真っ直ぐ来てます、どうしましょうか」

 

海斗「対空戦闘用意、敵の攻撃を確認次第反撃、専守防衛に勤めて」

 

島風「先に撃たせたら…うーん、大丈夫かなぁ…」

 

海斗「…あのヘリに通信は?」

 

夕張「一応無線が積まれてるはずなので答えてくれないとおかしいんですけどね…ニーハオー!…反応してくれない…」

 

神通「周波数はあってるんですか?」

 

夕張「緊急用の回線とかもガチャガチャやってるんですけどね…あー、もうコレダメだわ、誰も出やしませんよ」

 

龍田「そろそろ撃ってくるかしら〜」

 

島風「提督!」

 

海斗「夕張、加賀に必要なら艦載機を出すように伝えてある、準備するように連絡をとって」

 

夕張「はい、かしこまりましたーっと…」

 

島風(…もし、ボートを撃たれたら…そうならないように私が注意を惹かないと…!)

 

海斗「待って!島風!前に出過ぎだ!」

 

島風「大丈夫です…!」

 

神通「…見えました、乗ってるのは…人のように見えます、ですがヘルメットで顔が隠れていて確認できません」

 

海斗「……」

 

島風「…撃って来ない…?」

 

島風がわざとヘリの射程に入り、攻撃を誘っているのに撃ってくる様子はない

 

夕張「…撃ってこないのにどんどん近づいてくる…でも、無線には応答しない…」

 

神通「落としましょう、ボートを撃たれたら終わりです」

 

龍田「通信に応答せず、なのに近づいてくるなんてあり得ませんからね〜」

 

海斗「いや、最大速度で振り切ろう」

 

島風「わかってます!夕張さん!ワイヤー!」

 

夕張「用意してます!」

 

島風がボートに近づきワイヤーを艤装に引っ掛ける

 

神通「何を…?」

 

龍田「まさか引っ張るつもり?無茶だと思うけどー…」

 

夕張「島風ちゃんは最速だから大丈夫だって」

 

島風「うん、だって私早いもん…!行くよ!口を閉じてボートにしっかり掴まってて!」

 

島風がそう言った瞬間ボートがありえない速さで引っ張られる

 

龍田(…口開いたら、舌を噛むわね〜…)

 

神通(この速度、明らかに艦娘としての限界を越えてる…)

 

夕張(…あれ、今パーツ吹っ飛んだような…気のせいかな、まあいいや)

 

島風「撃ってきた!」

 

ヘリがボートだけを狙い機銃を撃ってくる

 

神通(…早すぎて照準があってない、コレなら抜けられる)

 

島風「でりゃぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

台湾

神通

 

神通「…ボートはもう使えませんね、舵が折れてしまいました」

 

夕張「船底もひどい有様ですし…あの速度で海岸に突っ込んだらこうもなりますよ」

 

海斗「みんな怪我は無い?」

 

島風「全員無事みたい、大丈夫です」

 

龍田「ヘリは追ってこないみたいですけど、早く行かないと危険ですよー?」

 

夕張「港を確保する…となるとかなり手が足りないですけど…」

 

海斗「正直、ここが敵地なのなら港は恰好の的だけどね…」

 

夕張「とりあえず、足は確保できそうね…こんなにたくさん車があるし、流石に動くはず…とりあえず車に移動してから船で連絡を取りますかー…」

 

神通「っ!危ない!」

 

夕張を蹴飛ばし、自分もすぐに伏せる

 

夕張「いだっ!?な、何を!」

 

銃声が鳴り、すぐそばで火花が散る

 

神通「狙撃です!」

 

海斗「…相手は人間なのかな」

 

神通「人間かどうかは知りませんが、ハッキリしているのは敵だという事です…!」

 

島風「ど、どうしよう…ここじゃあ他に敵が来たら逃げられない…!」

 

神通「…さて、どうしましょうか倉持司令」

 

龍田「……ああ、そうね、どうするのかしら〜」

 

神通(さっきの対応から見て、この人に愚直に従うのは危うい面が多い…この状況下で航空支援を求めようとしないのであれば、最悪の判断もやむを得ない、さて)

 

海斗「深海棲艦に狙撃できると思う?」

 

夕張「口径的に通常の狙撃銃だし、無理だとは思いますけど…」

 

海斗「…夕張、加賀に連絡をとって艦載機を向かわせるように言っておいて」

 

夕張「どうするつもりですか?白旗でもあげるんですか?」

 

海斗「相手が人間なら対話できるはずだからね…こっちに交戦の意思はないし、戦う相手は深海棲艦だ」

 

神通「…私達はその人間と思われる相手に命を奪われそうになったんですよ?」

 

夕張「…す、すいません、良いですか?」

 

龍田「どうしたのかしらー」

 

夕張「…なんか、通信が通じないんですけど…あ、通信機自体は完璧ですよ!?た、ただ…その、ジャミングされてますね…こっちの通信機の出してる周波数に上書きされて大きいノイズが…」

 

神通「だからこちらの無線が通じなかった?」

 

夕張「多分、このノイズを送る範囲もごく短い範囲なんでしょう、あのヘリに関しては謎ですが…」

 

神通「…弱りましたね…狙撃手はまだこちらを見ているようです」

 

海斗「…船から誰かこっちを見てたりしないかな…いや、この明るい時間帯じゃ厳しいか」

 

神通「何を?」

 

海斗「発光信号を試そうと思ったんだけど…流石に届かないね、信号さえ送れればなんとかなるはずなんだけど」

 

夕張「…あ、発煙筒ならあるんですけど…」

 

海斗「じゃあそれを使おう、島風、発煙筒を打ち上げて」

 

島風「わかりました!」

 

発煙筒の赤い煙が空中で広がる

 

海斗「とりあえず異常があることは伝わるはずだよ」

 

夕張「敵にも、ですけどねぇ…あー…やだ…怖くなってきた」

 

海斗「大丈夫、なんとかするから…」

 

神通「…私ならここを離れさえすれば周りの様子を見て来れますが」

 

海斗「いや、危険だ」

 

夕張「少し進めば民家もあります、うまく隠れれば民家に行けるんじゃないでしょうか…」

 

海斗「…なら僕が先行する、夕張、使えそうなものはある?」

 

夕張「さっきの発煙筒…うまくやれば狙撃手から身を隠せるかも知れませんね」

 

神通「でしたら私が使いましょう、狙撃手の位置は分かりますから」

 

海斗「任せたよ、よし、じゃあ目標を変更、離脱に使える高速艇の奪取、または通信機をジャミングしている機械を破壊する事」

 

神通「わかりました」

 

夕張「早速行きましょう」

 

 

 

 

 

艦内

正規空母 加賀

 

瑞鶴「づがれた…ぁ"〜…も、もうだめ…」

 

赤城「お疲れ様です」

 

葛城「こんなに何度も何度も敵が攻撃を仕掛けて来るなんて…大丈夫なんでしょうか」

 

加賀「…アレは…」

 

台湾の方に赤い煙…

 

加賀「瑞鶴、彩雲を渡して」

 

瑞鶴「へぁ?」

 

瑞鶴の矢筒から彩雲を抜き取り、引き絞る

 

葛城「あ、な、何を…」

 

加賀「見てきなさい、彩雲」

 

彩雲を飛ばす

 

赤城「勝手な発艦は怒られるのでは…」

 

加賀「提督に許可は得ています…まあ、おそらくですが」

 

加賀(提督達の身に何が起きたのかしら、手遅れ、ということはなさそうだけれど…)

 

海の中から深海棲艦が飛び出し、彩雲を狙い対空射撃を始める

 

加賀「こんなに近くに伏兵…!何故彩雲を…そんなに知られたくないって事かしら」

 

瑞鶴「へ…?」

 

加賀「葛城さん、貴方は今すぐ度会司令に上陸部隊に不測の事態があったと伝えてきて、それから赤城さん、曙さん達を呼んできてください、私はここであの深海棲艦を倒します」

 

瑞鶴「わ、私は…?」

 

瑞鶴を睨む

 

加賀「…貴方、今さっき1人だけ疲れたとか言ってなかったかしら、疲れたのなら寝ていれば良いわ」

 

瑞鶴(こ、怖っ〜!)

 

瑞鶴「い、いえ!そんな事ありません!私も戦います!」

 

瑞鶴が飛び上がり矢筒から艦載機を引き出す

 

加賀「…行きなさい」

 

放たれた矢が炎を纏い艦載機に姿を変え、深海棲艦を攻撃する

 

加賀(わざわざここまで近づいていたのに彩雲への攻撃を優先した…マズイわ)

 

加賀「瑞鶴、低く飛ばしなさい、まだ隠れている深海棲艦が居るかも知れないわ、誘い出して」

 

瑞鶴「はい!」

 

 

 

 

 

台湾

軽巡洋艦 夕張

 

夕張「とりあえず…車までは確保できましたね、それも装甲車…いろんなところに軍が展開してた…って事でしょうか」

 

海斗「動きそう?」

 

夕張「大丈夫です、お任せください」

 

神通「…人間が敵なのだ、としたら…台湾は補給地点にはできませんよ」

 

龍田「補給とか一時的な拠点って話を許諾したのは日本に移った台湾政府だし、ね〜」

 

海斗「…それにしても、人の気配がないのは今更だけど…」

 

夕張「ええ、おかしいです…あの一回だけの輸送作戦で全民間人は送れません、他の国も輸送作戦はできなかったとのことですし…」

 

装甲車が轟音を立てる

 

夕張「おっ♪動きましたよ!」

 

龍田「早く移動しましょうか〜」

 

海斗「よし、乗って」

 

 

 

 

夕張「流石に装甲車は撃たれませんね」

 

海斗「味方と誤認してくれてるなら助かるんだけど…いや、味方のはずなんだけどね」

 

島風「……ほんとに人と戦うのかな…」

 

龍田「そうよー、敵だもの」

 

海斗「できるだけ戦わなくて良いようにしたいけどね」

 

夕張「…提督!左か何か来ます!」

 

道路に子供が飛び出して来る

 

海斗「くっ…!」

 

車の進路が大きく曲がる

 

神通「みなさん衝撃に備えて!」

 

島風「わぁぁっ!?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。