元勇者提督 作:無し
台湾 深海棲艦基地
川内
川内「…居る?」
瑞鳳「居る、多分やばいのも居る」
川内「…どーしよっかなぁ…多分龍田達が派手にかましてくれるだろうけど」
瑞鳳「私たちの役割じゃ無い?それであの曙が隠密かと思ってたけど」
川内「その辺決めるべきだと思うんだけどなー、隊長サマは適当に1人行動だし…おーい、聞いてるー?」
アオボノ『私がアクションを起こしましょう、皆さんは静かに攻めてください、私は正面から突っ込みます』
川内「正気?本当に1人で?」
アオボノ『やれるので、黙って仕事をしてください』
爆発音が響く
川内「うわぁ…やったよほんとに」
瑞鳳「…ごめん、火薬の匂いがキツすぎて鼻が…」
川内「大丈夫?まあ…もう見つかっても変わらないでしょ」
川内(敵の親玉を狙わないと)
人間の兵士が爆発音の方に集まって行く
瑞鳳「…始まった」
銃撃戦…
川内「よし、行こう…殺傷許可は出てる」
瑞鳳「まあできればやりたくはないけど」
川内「本当に敵がいない…やっぱり細かい操作は苦手なのかな」
瑞鳳「多分数に限度もある、台湾全土を掌握してないのはそれが理由」
川内「…おっ」
瑞鶴「……あ、ああ…こんにちは」
龍田「うふふふふ〜♪」
血塗れの龍田と怯えた瑞鶴…
瑞鳳「ああ…龍田、お楽しみ?」
龍田「しちゃった♪」
川内「お楽しみって…殺しが?」
瑞鳳「だったらまだマシ、龍田は加虐趣味なの」
川内「うわっ」
龍田「あら、酷い反応ね〜」
瑞鳳「……待って!居る!」
川内「何が…いや、確かに居るね」
瑞鶴「…この声、違う」
瑞鳳「どこ…いや、この奥の部屋だ、武器を用意して、同時に飛び込んでやるよ」
龍田「準備できてるわよ〜」
川内「私も大丈夫」
瑞鶴「……どうせあんまやる事ないんだけどなぁ」
瑞鳳「いくよ…川内、扉砲撃で壊して」
川内「3…2…1…!」
扉が内側から派手に壊れ、土煙が舞う
川内(…何が…!まだ撃ってないのに…)
龍田「今何か通らなかった?」
瑞鳳「……薬品臭い…鼻が曲がる…!」
瑞鶴「…ぁ…あぁ…っ……何この声、やめて…やめてよ…」
瑞鶴が耳を押さえて蹲る
瑞鳳「瑞鶴、どうしたの」
川内「瑞鳳、後にして、来るよ…」
飛行場姫「コホ…ケホ、血気盛ンナ子ネェ…」
白い、服も髪も全身白い大柄で長髪な女
川内「総員攻撃!」
飛行場姫「エ?」
龍田と私の砲撃が顔面を捉える
飛行場姫「キャァッ!?カ、艦娘!イツノ間ニ!」
川内(無傷、か…さすが化け物)
龍田「づほ〜?」
瑞鳳「づほ言うなッ!」
瑞鳳が深海棲艦を殴りつける
飛行場姫「痛ッ!?ジョ、冗談デショ!?ナンデ打撃!?」
川内「ああ、格闘特効乗るんだ…へぇ」
一体の短刀を抜く
飛行場姫「ヒッ…!マ、待ッテ!マダ艤装が…」
龍田「そうよ、待って〜」
飛行場姫「ウ、ウン、少シデイイカラ…」
龍田「私の獲物よ?手を出しちゃダ〜メっ♡」
飛行場姫「…モォッ!知ラナイッ!私ハ悪クナイ!」
部屋の奥からガラスが割れる音がする
飛行場姫「行ケ!レ級!」
駆逐艦 アオボノ
アオボノ「…おや」
建物の壁が壊れ、何かが飛び出してくる
レ級「…キヒッ」
アオボノ「成る程、キメラ…」
露出した肌には無数のつぎはぎの跡
そして血走った目…
アオボノ「パワーはありそうですがね、所詮は深海棲艦…っと?」
レ級から尻尾のような艤装が伸びる
先端部は別の深海棲艦の母のような形をしており…
レ級「ドカン」
大口を開け、そしてその口から砲撃
やや外れたところに着弾する
アオボノ「ッ!?この威力…戦艦級…!」
まともに受ければ即死…
アオボノ「…良いですね、そう来なくては!」
砲を構え直し、向ける
アオボノ(その口を…早く開けろ!)
レ級「…ギヒッ!キヒヒヒヒ!」
艤装の顔部分から機銃の弾丸が飛んでくる
アオボノ「なっ…!」
アオボノ(狙いはめちゃくちゃ、だとしても当たるとまずい…)
物陰に走り転がり込む
大きな物音がすぐそばで鳴る
アオボノ(今のは足音…別の敵…!)
隠れていた遮蔽物が敵の砲撃で粉微塵に吹き飛ぶ
レ級「キヒャヒャッ」
アオボノ「…なるほど、機動性も…って事ですか」
レ級「オマエ、殺ス…!」
アオボノ「やって見なさい、私は負けない」
機銃を向け引き金を引く
レ級「…ア"?」
アオボノ(眉間に叩き込んだのにダメージなし、でもまあ、こいつの砲撃は尻尾に注意すれば避けられる…っと、通信?)
川内『…聞こえる!?ちょっと手が足りない!こっち来れる!?』
アオボノ「いいえ、大物を今相手してるところでして」
川内『其方も…!?あーもう!みんな!今の戦力でやるしかないよ!!』
アオボノ「終わり次第合流します」
川内『頼むよ!レ級って敵と変な深海棲艦が合わせて6体、倒し切れるか微妙だから…!』
アオボノ「小柄で変な尻尾生えてるのは?」
川内『レ級って呼ばれて…っ!もう切るよ!』
アオボノ「なるほど、貴方はレ級ですか」
レ級「ヒヒッ」
アオボノ「いや、どうしても名前が知りたかったんですよ…ほら、殺してもなんで名前かわからないとお墓建てられないでしょう?」
レ級「…ハカ?何ダソレ」
アオボノ「ああ、貴方頭弱いんですね」
レ級「レ級ハ弱クナイ!オマエ嫌イダ!」
腕を組み、目を閉じ顔を背ける
まるでゲームのエモートのようにわかりやすい拗ねた態度…
アオボノ「だから頭弱いって言ってるんですよ」
砲撃を放ちながら魚雷を投げつける
が、砲撃も効かない、魚雷もぶつかって転がるだけ
レ級が引く魚雷を一つ拾い上げ笑い出す
レ級「バーカバーカ!効クカコンナモン!ソレニ魚雷ハ陸デハ…」
アオボノ「…本物の馬鹿だ」
機銃で魚雷を撃ち抜く
レ級「レッ!?…ウ、腕ガ…!」
魚雷を持っていた手が吹き飛ぶ、しかしすぐに再生する
レ級「オマエ…許サナイ!」
アオボノ「…実験は十分でしょうか、貴方を殺す算段はつきました…」
レ級「ナンダト!デキルワケナイダロ!」
ドタバタと音を立て、走りながら詰め寄ってくる
アオボノ「深海棲艦で特殊な個体、あの戦艦棲姫とやらで学んだ事なんですけどね」
砲に弾を込め直す
アオボノ「上位個体はバリアのようなものを持っていて再生能力がある、だけど艤装と思われる部分さえ壊せば…その限りではないようです」
魚雷を高く放り投げ、レ級の近接攻撃を避けるためにバックステップで距離を取る
レ級「チョコマカ逃ゲンナ!」
アオボノ「そして貴方の急所は…」
背中に壁が当たる
レ級「捕マエタ!」
アオボノ「そこです」
魚雷を砲撃で弾く
レ級「レッ!?」
アオボノ「背中…また尾骶骨あたりでしょうか、そこが艤装の付け根…違いますか」
レ級「ガァァァァッ!?」
本体は叫ぶばかりで動くことすらままならず倒れ伏す
吹き飛んだ尻尾はバタバタと少しの間跳ね回り…消滅
アオボノ「対処は難しくはなかったですね…なんともアッサリですが」
レ級「覚エテロ!オマエ殺シテヤル!」
砲を眉間に突きつける
レ級「アァァァッ!?熱イッ!何ダ!アツイィィッ!」
アオボノ「川内さん、こっち片付きましたけど、私は尋問してからそちらに行きますね」
川内
川内「川内了解…!」
レ級の砲撃を短刀で弾く
レ級「キャハハ!」
川内「あーもう、腹立つなぁ…あんま時間かけたくないんだよね、早く終わらせないと夜が来ちゃうじゃん…!」
レ級の尻尾の付け根に短刀を突き刺す
川内「っりゃぁぁぁぁっ!」
レ級「ゴヒュッ!?…ァ!ァガァァァァッ!?」
川内「ようやく一つ…ってとこかな」
飛行場姫「ソンナ!レ級ガ…」
瑞鳳「違う、二つだよ」
瑞鳳がレ級の艤装部分を持って振り回す
瑞鶴「…ソレ、重くないの…?」
瑞鳳「遠心力」
ぶちぶちと言う音とともに尻尾がちぎれ、レ級の獣の咆哮のような悲鳴が上がる
龍田「…随分と、手酷くやってくれたお礼はしないとね〜」
川内「だねぇ…あー痛かった…こっからは…反撃タ〜イム」
飛行場姫「馬鹿ナ…馬鹿ナ!馬鹿ナ馬鹿ナ馬鹿ナ!」
川内「バカはお前だよ、お前を倒せばここの兵士たちの洗脳は解除されるんでしょ?死ぬだろうけど」
飛行場姫「ソ、ソレハ…」
川内「4対4かぁ…勝算は十分にあるなぁ」
龍田「負ける気はしないわね〜」
飛行場姫「…ココデコレ以上損失ヲ出ス訳ニハ…ッ……ェ?」
レ級の腕が飛行場姫の胸を貫く
川内「…あそこ味方同士じゃなかったっけ」
瑞鳳「……」
飛行場姫「ナ、ナニヲ…」
レ級「オマエ、イラナイッテサ!」
3体のレ級の艤装が大口を開ける
飛行場姫「ヤ、ヤメッ…助ケテッ!」
頭を一口で食いちぎられ、飛行場姫が力なく倒れる
再生を開始したのを確認したと同時に他の艤装が飛行場姫の艤装に喰らいつく
川内「……悍ましいなぁ…」
瑞鳳「もう良いかな、攻撃して」
川内「良いと思う、やろう」
レ級「キャハハッ!」
3体のレ級が艤装の口に手を突っ込み、中から何かを取り出す
川内「艦載機…?さっきの深海棲艦のヤツ…かな」
レ級「イケッ!」
レ級が投げた艦載機が体制を立て直して攻撃を仕掛けてくる
瑞鳳「こいつ、艦載機も使えるの!?」
瑞鶴「撃ち落とさないと…っあ…やめて、頭の中に声が…!」
川内「龍田!瑞鶴頼んだよ!」
瑞鳳「全機発艦!」
敵機から爆弾が投下される
川内「衝撃に備えて!」
瑞鳳「違う!目眩し!」
レ級とこちらの中間あたりで爆発が起こり、視界が潰れる
川内「……逃げられたか…」
瑞鳳「2つやったから…待って、死体がない」
瑞鶴「…全部持っていかれ…あ、駄目」
龍田「瑞鶴?だめね、気を失ってるわ」
川内「一回撤退しますかぁ…」
船内
アオボノ「お帰りなさい」
川内「先に帰ってるとか、ないと思うなぁ…」
アオボノ「報告書作成で忙しかったもので、あの後別のレ級が来て死体を攫われましたから」
川内「…無事だったんだ?」
アオボノ「ええ、当然です…多少衣服に埃はつきましたけどね」
川内「埃?ソレなりにボロボロじゃん」
アオボノ「はいはい、強がるなって言いたいんでしょう?認めますよ、アレが量産できると知って吐きそうになりました」
川内「……アイツら、味方すら殺したよ」
アオボノ「驚く要素は一切ありません、血も涙も黒く濁り切った深海棲艦サマですからね」
川内「濁ってるだけなら良いんだけどね、すっかり固まって流れなくなってると思うよ」
アオボノ「深海にいるのに?ソレは魚が足りてませんね…ああ、玉ねぎも血液をサラサラに…あーハイハイ、そんな顔で見ないでくださいよ、飴舐めます?」
川内「…要らない、と言うかその包み初めてみたけどどこの…?」
アオボノ「よく売ってる某付きキャンディですよ、アロエ味…知人に押しつけられましてね、嫌いらしくて」
川内(アロエ味の飴なんてあるんだ)
アオボノ「まあ向こうは私のこと覚えてませんでしたけどね、まあそんなに関わりのない相手ですし」
川内「それより、なんかわかったの?」
アオボノ「ここ」
台湾から南東にある小さな島をペンで指す
アオボノ「ここが今回の攻略目標、深海棲艦の基地です」
川内「…ここが基地なんじゃ…」
アオボノ「ここを基地と言うにはやや設備が整ってませんでしたね、ソレに人間の兵士を駒にする…にしても、全土を掌握すべきでしょう…吐かせた通りならこの島に居て、戦力はおそらく1000といったところか」
川内「せっ…」
アオボノ「人のサイズなら…何とかなるように見えてしまいますよねぇ…でも軍艦だと50もいない此方方に対して向こう方は1000…そして化け物もいる…」
川内「どこもいけそうな要素は無いよ…どうすんの?」
アオボノ「そこは私がやる仕事ではありません、作戦を考えるのは提督たちの仕事ですから」
川内「…馬鹿になりたい…って事?」
アオボノ「ええ、その延長ですよ…私の嗜好は筒抜けですから」
川内「…特務部に?」
アオボノ「私に限ったことじゃありません、艦娘システムはAIDAによる人間の支配、思考は丸々筒抜けですし…」
アオボノの手が首元に伸びる
アオボノ「こんな事しちゃうかも」
川内「…だからそんなに辛そうなんだ」
アオボノ「そう見えますか?でも貴方には何もできませんよ」
川内「わかってるよ、神通の事、納得したかっただけだから」
アオボノ「しましたか?」
川内「良いや全く、八つ当たりに人の妹痛めつけたんだって思うと怒り心頭って感じ」
アオボノ「後で謝っておきます、悪かったですね」
川内「謝れるんだ…」
アオボノ「むしろその程度に思われていたのは心外ですけどね」
川内「おあいこって事で、これで謝罪は受け取ったことにしとくよ」
アオボノ「…それでは」