元勇者提督 作:無し
海上
キタカミ
キタカミ「…この匂い…」
島風に突きつけた単装砲を引いて飛び退く
ドラム缶が派手な音を立てて海に落ちる
曙「んー、いい勘してるわね、もしかして匂いでも漏れた?」
キタカミ「……」
ドラム缶を撃つ
中に入った燃料に引火し爆発が起き、海が燃える
島風「うわっ!?火に囲まれちゃったんだけど!」
曙「島風、アンタが蒸し焼きになる前に終わらせてあげるから、待ってなさい」
島風「すでにサウナ…!」
キタカミ「私に勝つつもり…って事か、確かに私もあの時よりできることは減ったよねぇ、単装砲一本だし?」
曙「冗談、その単装砲が1番やばいんでしょ」
キタカミ「……死ぬつもりは?」
曙「無いわ、キタカミ、本気でみんなを深海に連れて行くつもりなの、もしそうなら…」
キタカミ「だとしたら?」
曙「アンタは敵になった、今、確実にね…イムヤも翔鶴もこっちにいる、アンタが深海にこだわる理由は…」
キタカミ「…姉妹が深海に囚われたらわかるんじゃ無い?それに、これは救済だから」
曙「人殺しの何が救済なのよ…!」
キタカミ「…人殺し…人殺しかぁ…あはは、そうかもねぇ…今は、わかんないかもねぇ…こっち来ればわかるのに…」
深海棲艦が浮上してくる
キタカミ「やっていいよ」
曙「へぇ…サシでやる気はないの?ビビってる?」
キタカミ「…かもねぇ」
曙「そんな腰抜けに…このアタシが負けるわけ無いでしょうが!」
海面を炎が走り深海棲艦を捉える
曙「ハッ!」
キタカミ(燃えた深海棲艦が爆発した?…いや、この匂い…熱気とかで誤魔化されてるけど、微かに火薬の匂いが…炎で見えなかったけど砲撃を召喚してたのか…)
曙「捕まえた!」
周囲を炎の壁が覆う
キタカミ(…器用だなぁ…どうやってんだろ…)
キタカミ「これ、意味ないよ?匂いでわかる…アレ」
曙「匂う?そりゃあ匂うでしょうね…でも、自分が風上にいたら?そこは上昇気流が起きてる、正確な位置がわかるほど匂いが届くわけがないのよ、こうなればあとは簡単」
砲撃が花輪の壁を突き破り飛んでくる
キタカミ(…人の体だったら息も吸えないだろうな…さて、問題はどうやって曙の位置を掴むか…)
飛んできた砲撃を弾く
キタカミ「…そこ、かな…いや、これは一発勝負…」
曙(…おかしい、大人しすぎる…抜け出した…?)
キタカミ(召喚式の砲撃はどの辺から放たれてるのか分かりづらいんだよねぇ…っと、そろそろ絞って良いかな…)
曙「…無抵抗…」
キタカミ「んなわけ無いじゃん」
炎の壁を撃ち抜く
曙「ッ!!」
空高く剣が弾き飛ばされ、炎が消える
曙「わざと撃たせてた…って訳…!」
キタカミ「そゆこと…っぁれ」
衝撃とともに体が転がる
瑞鳳「久方ぶりにすみません、不意打ちで」
キタカミ「ったた…曙も時間稼ぎ狙いだったわけね…ハイハイ」
曙が落ちてきた短剣を受け止める
曙「まあ、犠牲を出すわけにはいかないしね」
瑞鳳「…私、向こうやる」
チ級「ット、遊ンデクレルノカァ?」
瑞鳳「…だって、本命が来たし」
アオボノ「お久しぶりです、良い夜ですね」
キタカミ「…ちぇっ、面倒なのが来ちゃったか…」
アオボノ「どう?曙」
曙「…なんていうか…相変わらず…いや、前より…って感じかな」
キタカミ「当たり前じゃん、深海なんてやる事ないし、それに曙に言われてからさぁ…ずっと勝つことだけを考えてた」
アオボノ「…成る程」
駆逐艦 曙
曙「行くわよ!」
アオボノ「わかってる、合わせなさい」
キタカミ「…少し涼しくなってきたなぁ…夜は空気が冷えるねぇ…」
狙いを定めて砲弾を撃ち込む
それをいとも簡単にかわし、砲撃を返してくる
アオボノ「…この違和感…嫌ね」
曙「…本当に、何、この違和感…」
キタカミ「……」
キタカミの視線がブレる
一瞬、私たちの間を通り抜け…
曙「背後!」
アオボノ「任せたわよ…!」
振り返り飛び出してきた戦艦級に砲撃を撃ち込む
曙(よりによって戦艦…!しかもゼロ距離…なら!)
大盾のような艤装を蹴り上を取る
曙「酷い事するけど、勘弁しなさいよ!」
剣を突き立て、体重をかけて真っ二つに割く
ル級「ガァァァッ!ポッゴポッ!」
キタカミ「本当にひどいなぁ、元人間だってわかってる?」
曙「それを操って戦わせてるアンタも、それを躊躇いなく殺す私も、何も変わらないわ」
キタカミ「そうかもねぇ…じゃ、とことん堕ちようか」
アオボノ(…駆逐級がこんなに…!)
10体ほどの駆逐級が周囲を囲むように浮上してくる
曙(ひっきりなしに…まさかまだ下にいるんじゃ…!)
キタカミ「ちょ〜っと…本気を見せてあげようかな」
アオボノ「何をするつもりかは知りませんが…」
曙「この程度、数にもならないっての…!」
駆逐級を砲撃で沈める
キタカミ「ま、いいけどさぁ…」
駆逐級の斉射に合わせてキタカミが砲撃を放つ
アオボノ(…被弾コースゼロ、動きを制限しに来たか…!)
曙(明らかに当たるコースじゃない、問題無い!)
島風「違う!避けて!」
金属がぶつかる音が周囲に響く
アオボノ「かはっ…!?」
曙「ぅあっ…!あぐっ…!?」
曙(なんで…何発も…!まさか…)
アオボノ「…島風さん!見えていましたか!?今、どっちでしたか!」
島風「ど、どっちって…」
アオボノ「キタカミさんが合わせたんですか!?それとも周りの雑魚ですか!」
曙「…全部ぶつけて軌道を変えた…って事か…一発で?そんな事…」
キタカミ「できちゃったもんはしゃーないよねぇ、まあ、まっすぐは飛ばないけどさ、横回転したり縦回転したり…そのせいでダメージは小さいみたいだし?」
曙(確かに、複数発くらったにしても軽症、貫通力も落ちてるおかげで決定打にはなってないのは……助かったけど)
アオボノ(死角を作ったら嬲り殺しにされる…!)
島風「…ようやく火が消えた…私も!」
アオボノ「島風さんは撤退!」
アオボノ(誰なら…誰ならこの状況を壊せる…)
島風「えっ」
アオボノ「急いで!ここだけで戦闘が起きてるわけじゃ無いんです!」
島風「りょ、了解!」
キタカミ(そう、もう頭が回らない、何も考えられない…だから…)
曙「来るわよ!」
キタカミの砲の先を視線で追い、放たれた砲弾だけに目が奪われる
曙(こっちじゃない、なら私は周りを潰す!)
アオボノ(防げる…この程度!)
砲弾が弾かれる音
アオボノ「…え…もう一発…」
弾かれた弾の裏から別の弾
かわす余裕も何もなく、直撃する
曙「曙!」
血が空中に振り撒かれながら水面に倒れる
キタカミ「これがホントの隠し弾ってね…頭が働かない時だからこそ、こんな手が一番良く効く…特に、アンタみたいなのにはね、曙」
アオボノ「ぅぁ、ぐ…こんな…この程度で!」
キタカミ(頭に血が昇ったら…終わりだねぇ)
アオボノ(落ち着け!考えろ!…ここは、まだ被害を出すな!ここで被害を出すのは負けだ、ここは…やるしか無い、私が…)
アオボノ「…曙!こっち来て…」
曙「…わかった」
アオボノ「…撤退、キタカミさんとここで戦うのはやめて、アンタ達だけで退きなさい…!」
曙(…怒鳴ってやりたいところだけど…私達を回収するために船の航行速度は落ちてる、今頃別の深海棲艦が船を襲撃してるはず…となればここで時間をかけるのは間違い…)
アオボノ「考えるのは、アンタには向いてない…大人しく戻って、時間は稼ぐ…」
曙「…戻るつもりは」
アオボノ「もはや無いわ、所詮操られる身よ…ここで…っが…」
曙「何、どうしたの…」
アオボノ「…あ…AIDAが…私の意識…!」
曙「…っぁ…?…何、これ…」
頭に、やらなければいけない事が浮かぶ様な…
駆逐艦 アオボノ
アオボノ(…違う…私は…何にも支配されるものか…!私を支配できるのは私だけ!)
アオボノ「全員に通達…よく、耳を澄まして聴きなさい…周囲の敵を撃滅後、速やかに…日本に戻りなさい」
キタカミ「…何…今、何したの」
曙「…曙…」
アオボノ「今、恐らく全員が…AIDAによる意思の上書きを実行された」
息を大きく吸い込み、吐く
アオボノ(もし、そうなら…みんなの意識はハッキリしてない、操られてるロボットだ…それなら私が主導権を取れば良い…)
キタカミ「何したのか、って聞いたんだけど」
アオボノ「…感覚の肥大…それに限りなく近いもの…」
キタカミ(…私の嗅覚みたいなの…か…そういえば、再誕は何を…)
アオボノ「私は、平たく言えば無意識に語りかける…」
曙が呆然とした顔で撤退を始める
アオボノ「私の言うことは、絶対です…」
キタカミ「…私には効かなかったみたいだけど」
アオボノ「AIDAによる意志の上書きの影響です、今曙達…いえ、艦娘システムの支配下にある全員の意識は私が支配できるレベルまで落ちた」
キタカミ「……それで?1人でやるつもり?」
アオボノ「それよりも、貴方…今ようやくわかりましたが…またですか、また、AIDAを支配してるんですか?」
キタカミ「ああ、バレた?そう、前と何も変わらない、私の思考を肩代わりさせてる」
アオボノ(…角度の計算とか、そう言うのも含めて全部機械がやってる様なものか…だからありえない攻撃を可能にしてる…人間コンピューター…しかも、支配から抜け出してるから意志の上書きすらも…)
キタカミ「本当にみんな逃げ出しちゃってまあ…さて、これ以上逃げられる前に追いかけますか」
アオボノ「許すとでも…」
キタカミ「許させるんだよ」
艦内
川内
川内「ちょっと!みんなどうしたの!?」
那珂「姉さん、向こうも見てきたけど…みんなおかしくなってるよ…!」
虚な表情で敵機を落とし、撤退を支援する…
みんながおかしい、正常なのは僅か…
川内(…いや…これ、AIDAのせいだ…さっきの曙の無線も違和感あったけど…)
イムヤ「あ、川内さん!」
川内「…そっちも…?」
イムヤは首を横に振る
イムヤ「ダメ、もうみんな本当におかしくなってて…喋りかけても反応しないし…機械みたいに…」
瑞鳳「ここに居た、みんな、撤退の支援して」
川内「…マトモっぽいけど、何か知ってる…よね?」
瑞鳳「曙が殿をしてる、だから私達は一刻も早く逃げなきゃいけない」
那珂「助けたほうがいいんじゃ…」
瑞鳳「みんなもう船に戻ったの、残ってるのは曙1人…っと、青い方ね」
イムヤ「…そんな…」
瑞鳳「…いつやられてもおかしく無い、とにかく今は逃げるよ、作戦自体は成功って形で終わってるんだから」
那珂「そうだ、提督達は…!」
イムヤ「……」
川内「とにかくそっちに確認を取りに行こう…イムヤ?」
イムヤ「私なら助けに行ける!」
イムヤが走って出ていく
川内「ちょっ…だ、誰か止めて!」
那珂「と、飛び込んだよ…?えっ、本当に行ったの…」
瑞鳳「……どうするのこれ…どんどん収集つかなく…」
川内「あーもう!とにかく指示仰ごう!」
瑞鳳「……」
艦内
提督 倉持海斗
海斗「…そんな…」
度会「航行速度は上がっている、戻れる部隊を編成して送り出したとしても…一時間は掛かるだろう」
川内「何で情報がそっちに行ってないの!?」
海斗「本土から緊急の連絡で…横須賀に深海棲艦が押しかけてるから使える戦力を回さないか…って言われて、編成を…だけどさっき誤報だったって…」
亮「ああ、ヤケに色んな指示が来てこっちも釘付けにされてた…多分AIDAでコントロールしてるのに気づくのを遅らせるためだろうが…」
川内「最悪…!」
那珂「大本営も何したいかわかんないけど…あーもう!どうすればいいの!?」
海斗(…曙だったとしても、相手はキタカミ…無事な訳がない、イムヤが助けられるのかも…もし間に合ったとしても逃げ切れるのかも…)
瑞鳳「大人しく、帰投するしかない」
海斗「…そうだね」
川内「…見捨てる、って事…だよね、それ」
亮「そうなるな…」
那珂「…本当に、戻らないの…?」
瑞鳳「馬鹿言わないで、ここにいる全員が死ぬリスクをたった2人のために追えない、それにもう手遅れかもしれない、私達は助けに行かないんじゃない、行けないの」
那珂「安否すらも確認できないの…?」
海斗「さっきから通信を試みてはいるけど、反応は無いよ…」
瑞鳳「もし生きてたとしても、反応なんかできない…だとしても、わかる?曙は助けを求めてないの」
那珂「……」
度会「瑞鳳、やめろ」
瑞鳳「…追っ手が来てないか見てきます」
川内「……曙なら、無事に帰って来そうだけどさ…」
海斗「……」
川内「自分が見捨てた事、忘れちゃダメだよ」
亮「川内、やめろ」
海斗「…いや、川内さんが正しいよ、僕は…自分で納得できない判断をした」
亮「…常に全員が助かるわけじゃない…って事だろ」
海斗「……燃料と弾薬を一部海に流して、もし逃げ延びたとしても…燃料がないと帰れないから」
亮「川内、那珂、行くぞ」
海上
キタカミ
アオボノ「かひゅっ…ぁが…!」
キタカミ「まだ、立つんだ」
アオボノ「アハ…ハハハ…アハハハハハハ!!」
キタカミ「なんで立つんだよ、意味わかんないわ」
アオボノ「私がここで倒れて仕舞えば貴方は提督達に追いついてしまう!それなら私は…ここで全員捻じ伏せるまで!」
キタカミ「…自分で言ったんでしょ、守るものがある奴は弱い…って…私に勝てるわけないじゃん」
アオボノ「ええ、ですが……アハっ…守るものがある相手を折ることが簡単にできる、と?…貴方が1番よく知ってると思いましたけど…」
キタカミ「…知ってたよ…でも、そんなの…もう…いいや、行け!」
深海棲艦が曙を無視して船を追う
アオボノ「舐めるな」
撃ち砕かれ、海の藻屑と化す
アオボノ「……ほら、キタカミさん……私はまだ立っていますよ、こんなに弱った私は…まだ貴方と対峙している…早く私を折って見せてください」
キタカミ「…巫山戯るな、アタシは…!」
砲を構え、放つ
アオボノ「そうです!貴方の相手はここです…!」
キタカミ「二人係で手も脚も出なかったくせに…!」
なんでこんなに強い、なんでこんなに…折れない…
キタカミ「なんで…!」
アオボノ「…一匹たりとも、通すか」
砲撃戦をしながらこの場から離れようとした敵を見逃さず、全て排除する…
バチバチと音を立てて曙の周囲に火花が散る
アオボノ「まだ、まだ昇華する…!私は貴方を倒すためでは無い……守るために強くなる」
キタカミ「この前言ってたことと違うじゃん、それ…!」
アオボノ「貴方の刃は私の刃を斬り裂くほど鋭かった…!」
キタカミ「意味わかんないっての!」
アオボノ「貴方の技術は私を遥かに越えていた…だから私は貴方を追いかけた…追い続けて…研ぎ澄ました刃は今、貴方を捉えるかもしれない」
チ級「ウルッセェンダヨ!」
木曾が曙に向かって斬り込み、刀を突き刺す
アオボノ「かッ…!」
チ級「限界ミタイダナァ!」
アオボノ「ハッ……ハハハ…!良い、盾が来ましたね…!」
チ級「ア…?ガァァァァッ!?」
木曾の顔面を曙が掴む、火花が集約し木曾の頭部が蒼い炎で燃える
キタカミ「…それは…」
アオボノ「なんで私にも使えるのか……もはや全くわかりませんが…ハハハ…ああ、これなら…貴方達を全滅させることもできるでしょう…!さて、キタカミさんは妹の肉壁を撃てますか?」
キタカミ「舐めんな…絶対に…殺す」
アオボノ「とうとう言いましたね、貴方はやはり救済なんかしていない、自分の殺意に身を任せているだけ…!」
キタカミ「黙れ!」
アオボノ「…そうですね、もう、喋る気力も…ぁれ…」
曙の姿が沈む様に消える
キタカミ「消えた…?沈んだ…倒した…?違う、誰かが…イムヤか…」
キタカミ(イムヤまで…イムヤまで私の敵に…みんな、みんななんで…)
キタカミ「…もう、いいや」
宿毛湾泊地
重巡洋艦 青葉
青葉「おはようございます」
天津風「おはようございます…今日だっけ、みんな帰ってくるの…」
満潮「昨日の夕方に出発したらしいから…遅くても今日中に…早ければお昼ごろに着くらしいけど…」
如月「じゃあお昼ご飯でも作って待ってない?カレーなら晩御飯にもできるし、良いと思うの!」
青葉「…そうですね、そうしましょうか」
青葉(…あれ、この紙なんだろ…)
机の上にあるメモを拾い上げる
青葉(…綾波さんから…か…すごい長い謝罪文…また暫く会えないですね…あれ?)
天津風「青葉さん、どうかした…?」
青葉「…いえ、なんでもありません…早く用意しちゃいましょう」
満潮「そうね…カレー、何かこだわりとかある?」
青葉「カレーにうるさい人は…ウチは曙さんくらいで…」
満潮「カレーならなんでも良いんじゃないの?あの人」
如月「あ、辛さは…」
天津風「辛さなんてあるの?カレーはわかるけど…うーん?」
青葉「辛さごとに担当を分けましょうか…甘口、中辛、激辛で…」
如月「え?あの…辛口は…」
青葉「…天津風さん、作れますか…」
満潮「な、なんでそんな覚悟決めた顔して…」
天津風「作り方は知らないんだけど…」
青葉「…激辛は2人前でいいとして…辛口はどのくらい…と言うかここの調理場でやったらどのみち犠牲者が…ガスマスクってどこにありましたっけ…?」
満潮「え、何するつもり…?」
青葉「…一航戦のお二人様のカレーを…」
如月「あのー…特殊なカラーに関しては自分でアレンジして貰えば…」
青葉「…そう、そうですね!」
天津風(作りたかったわけじゃなかったのね…)
満潮「…ま、まあ、無理してする様な事じゃないし…」
青葉(…死は免れました…)
満潮「とりあえず甘口と中辛だけにしてトッピングとか充実させてみない?」
如月「いいわね!そうしましょ!」
青葉「それと、海での活動続きですから先にお風呂に入る人もいるかも…天津風ちゃん、私と先にお風呂の準備にいきましょうか」
天津風「わかったわ、でも2人で終わるかしら…」
満潮「ま、煮込み時間は1人に任せてもいいだろうし、3人でやれば流石にお昼には間に合うわ」
青葉「では…急いで始めましょうか!」
特務部 研究所
駆逐艦 綾波
綾波(…戻るんじゃなかったですね、もうコレは全てバレている…監視の目が厳しい…)
いつも以上の監視の量、間違い無く疑われている
でも何故バレたのか…それがわからない
綾波「…あれ、できた」
試験管を一つ持ち上げ、眺める
綾波「…もしもし、綾波です、深海棲艦のサンプルを入手できませんか?私的にはこれで人間に戻せる…と思うのですが」
綾波(大丈夫…私が使えるうちは処理できない、何も心配は要らない…)
宿毛湾泊地
重巡洋艦 青葉
青葉「…遅い、ですね…」
天津風「大丈夫なのかしら」
満潮「……ねぇ、みんなやられてたりしないわよね…みんな…帰って来るのよね…?」
青葉「大丈夫ですよ、曙さんもいるし…みんな強いですから」
青葉(それにしたって…もう夕方…連絡もつかないし…)
如月「みんな、見えたわよ、船!」
青葉「!そうですか…帰ってきましたか…」
満潮「…お願い、みんな無事、みんな無事でありますように…!」
天津風「……私、お風呂温めてくる」
青葉「私は食事の用意をしてきます…」
青葉(…全員無事…全員が帰って来てくれれば…)
満潮「青葉さん、通信に応答したから聞いてきたんだけど…」
満潮ちゃんの表情が暗い
青葉「…誰が…」
満潮「…特務部に行った方の…」
青葉「曙さんが…?そんな訳…!」
満潮「敵の足止めに残ったって…」
青葉(…死亡は確認されてない…なら、きっと…)
青葉「…大丈夫、轟沈が確認された訳じゃないなら…きっと大丈夫だから…!」
満潮「他のみんなは…帰って来れたって」
青葉「……ご飯、用意しましょうか…」
満潮「わかったわ」
神奈川 城ヶ島
イムヤ
イムヤ「…陸…あと、少しで…」
立ち上がれば足がつく、そのくらいの浅瀬まで…ようやく着いた
アオボノ「……」
イムヤ「…あと少し…あと、少しだけ、耐えて…」
気を失った人間は重い、それを連れてここまで休みなく移動し続けた
もう一瞬でも休めば泳ぐ事すら出来なくなるだろう…
イムヤ(…ようやく…着く…)
砂を掻きながら必死に陸地を目指す
何かに両脇を抱えられ、持ち上げられる
イムヤ「…え…?」
冷や汗が流れた
視界をゆっくりと上げる
武装した兵士…それも、何人も…
イムヤ「…だ、れ…」
アオボノ「……」
イムヤ(…曙さんへの扱いがヤケに丁重…もしかして、特務部…じゃ、じゃあ.…!)
自分の末路を思い浮かべ、血の気が引く
イムヤ「い、いや…!離して…!」
残された微かな力で抵抗するが、当然振り解くほどの力なんて残っていない
イムヤ(誰か…助けて…)