元勇者提督   作:無し

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沈没船

太平洋 深海棲艦基地

駆逐艦 アオボノ

 

アオボノ「…はぁ、何でこんなに充実した施設なんですか」

 

島の中心に学校の様な建物、そして周囲に地下基地に入るための入り口

 

アオボノ「あんだけ派手にやり合ったのに、何にもないまま上陸を許す?頭沸いてんのかしら」

 

身体中が痛い、気を紛らわせないと頭がおかしくなりそうなほどに全身の傷が痛む

 

アオボノ「…死ぬことの恐怖はよく知っている、だからこそ私の覚悟は誰より重い、そして私は誰より強くなれる」

 

弾薬だけは山の様にある、これでどれだけの深海棲艦を道連れにできるのか

 

アオボノ「……やるか」

 

地下の入り口から地下に入る

見張りの1人すらいない、基地とは名ばかりの施設

深海棲艦もまだ一匹も見かけていない…

 

アオボノ「いや、この呻き声は…居る」

 

うめき声の方に近づく

 

アオボノ「……チッ」

 

 

 

 

  

離島棲姫

 

戦艦棲姫「…離島棲姫、ココニ敵ガ乗リ込ンダキタトノ報告ガ…」

 

離島棲姫「ソウ、仕留メテオイテ」

 

戦艦棲姫「…ワカッタ」

 

レ級「キシシ…」

 

離島棲姫「…保管庫、収容所ノ辺リ…?ナンデソンナ所ニ…マサカ捕虜ヲ助ケニ来タ?」

 

爆発音が大きく響く

 

レ級「……キヒッ!」

 

離島棲姫「サッサト捕マエナサイ」

 

 

 

 

 

 

駆逐艦 アオボノ

 

アオボノ「…あー…ようやく来たか」

 

戦艦棲姫「ナ…!ナンデオマエガ私達ノ酒ヲ…」

 

アオボノ「見ての通りボロボロなのよ、麻酔代わりに貰っておいたわ」

 

ワインのボトルを呷る

焼ける様な感覚とアルコールの苦味、葡萄の渋みが口いっぱいに広がる

 

アオボノ「ペッ…不味っ」

 

ボトルを地面に叩きつける

 

戦艦棲姫「オマエ…!」

 

アオボノ「ふー…そういえばこんなものも拾ったわね」

 

紙巻きタバコの箱を取り出し、一つ咥える

 

アオボノ「ほら、火でもつけなさいよ、雑魚」

 

戦艦棲姫「イイ気ニナルナァ!」

 

戦艦棲姫の砲撃を交わしながら近寄る

 

アオボノ「三下が」

 

ボトルを一つ投げつける

戦艦棲姫にぶつかり割れる

 

戦艦棲姫「ナ…コノ臭イ!」

 

アオボノ「バーン」

 

砲撃を受けた戦艦棲姫が燃える

 

戦艦棲姫「ガアアアア!!」

 

アオボノ「ワインのボトルだからって中身がワインである保証なんてどこにあるのか…しかし、映画とかでもこういう施設の酒蔵にはワインばかり…そういうルールか何か?」

 

戦艦棲姫「…コノォォ!」

 

炎を振り払い、此方へと突進してくる

 

アオボノ「身軽な動きはできないわ、確かにね…でもできないことはできることでカバーするのよ」

 

魚雷発射管から魚雷を抜き取り床に転がす

 

戦艦棲姫「コケルトデモ思ッタカ!馬鹿ガ!」

 

戦艦棲姫が魚雷を踏み潰す

 

アオボノ「え、そこまで馬鹿だとは思わなかった…」

 

戦艦棲姫の足が魚雷で吹き飛ぶ

 

戦艦棲姫「グウゥ…!」

 

戦艦棲姫が砲口を此方に向ける

 

アオボノ「まあ、私はバカを相手にするのは慣れてますから」

 

戦艦棲姫の怪物のような艤装が破裂する

 

戦艦棲姫「ァガァ…!」

 

アオボノ「さっさと死ね三下が」

 

戦艦棲姫「マ、待テ!頼ム、見逃シテク…」

 

頭を撃ち抜く

 

アオボノ「所詮こんなものか…さて、何で貴方は手を出さずにこっちを見てるのか」

 

レ級「キシシ…」

 

レ級が此方へと歩いてくる

尻尾の様な艤装に誰かを巻き付けて

 

アオボノ「…誰だ、それ」

 

レ級「ナンダ、捕虜助ケニ来タワケジャナイノカ?」

 

レ級が捕虜をこちらに投げ捨てる

 

アオボノ「……」

 

秋月「た、助け…」

 

すがりよる捕虜の様なものを蹴り飛ばす

 

アオボノ「縋る相手をよく見なさい、私はもう半分死んだみたいな格好してるのによく助けを求められましたね」

 

レ級「デモ、殺気ハガンガンキテルゾ?」

 

アオボノ「…はぁ…タバコ吸ってみたいんですけど、火は?」

 

レ級「キシシッ」

 

戦艦棲姫の死体が燃える

 

アオボノ「ああ、どうも…」

 

タバコに火をつけて吸い込む

 

アオボノ「ゴホッ…ゴホッゴホッ……はー…くだらない嗜好品だ、私には合わないな」

 

レ級「オマエ、何シニキタ?」

 

アオボノ「生きて帰るためにここに来た…ゲホッ……あー…まあ良いや、酔いも回ってフワフワしてきたし…」

 

レ級「……」

 

アオボノ「しかし、深海棲艦が酒やタバコなんて嗜好品を嗜む意味がわからないわ、貴方達は一体何なのか」

 

レ級「アー?」

 

アオボノ「その辺も含めて、体に聞いてあげましょう」

 

レ級「ヤルナラ、ソコノ捕虜カラ殺ス」

 

秋月「ひ…や、やだ!助けて!」

 

アオボノ「纏わりつくな気持ち悪い」

 

捕虜を振り払おうとした所にレ級の砲撃が飛んでくる

 

アオボノ「…っと?」

 

レ級「キシシ」

 

レ級の視線を追い振り返る

 

レ級「キヒッ!」

 

アオボノ(別、か…しかももう殆どゼロ距離)

 

腕を大きく振るい、鞭のようにしならせて手刀を放つ

 

レ級「ガヒュッ!?」

 

アオボノ(胸を貫くつもりで放ったのに、貫通力が微塵もない…これではただ殴ったのと何も変わらないな)

 

レ級「ナンダ、バレタカ」

 

アオボノ「複数いるのは以前の戦いで知っている、警戒しないわけがない」

 

レ級「オマエ殺セバ御褒美ダ!」

 

アオボノ「……すー…ゴホッ…やりたきゃどうぞ、できるもんならやってみろ」

 

 

 

 

 

 

離島棲姫

 

離島棲姫「…驚イタワ、マサカココマデ来ルトハ…」

 

アオボノ「部下は選びなさい、あんな雑兵ばかり…」

 

離島棲姫「私ガ強ケレバ問題ナンテナイ」

 

アオボノ「……未成年のくせに酒もやってタバコも吸って…ああ、私は救いようのない愚か者です、どうか提督、私をお叱りください…」

 

離島棲姫「頭ガオカシイノ?」

 

アオボノ「イカれた世界に居るのに…イカれてないやつの方がおかしいのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究所

春雨

 

春雨「…どちら様でしょうか」

 

敷波「綾波は、ここにいるの?」

 

春雨「昔は居ましたね、1ヶ月くらい前」

 

敷波「ふざけてないで答えないと、殺すよ」

 

主砲を突きつけられる

 

春雨「ふふ…あはっ…あははははは!」

 

敷波「何がおかしい!」

 

春雨「貴方、弱すぎますね」

 

両手の袖の下から短刀を伸ばして首元に突きつける

 

敷波「っ…!」

 

春雨「あーっと、失礼、お料理中だったのに急に近寄るから包丁が…」

 

敷波「何を…!」

 

春雨「ところで、確かに艦娘は武器の形態が法律的に認められてるんでしょうね、ああ、貴方が主砲を持ってるのは仕方ないとして…何で人に突き付けてるんですか?脅迫とかその辺のライン超えちゃってますけど」

 

敷波の首元から短剣を引く

 

春雨「で、なんですか?綾波?私は知りませんね」

 

敷波「……ご協力、どうも…」

 

春雨(ダメだな、もうマークされてる)

 

 

 

 

春雨「…はー…別に売り渡してもよかったけど」

 

ヘルバ『そんな事をしたら私と敵対することになるものね』

 

春雨「…そうですね」

 

ヘルバ『……』

 

春雨(あの部屋でもう何日か一緒に過ごして、朝と夜は一緒に食べて…変な気分)

 

ヘルバ『悪いけど、しばらくは泊まり込むことになるわ』

 

春雨「マークされてるんです、あそこに帰るつもりはサラサラありませんよ」

 

ヘルバ『そうね、食事は届けさせるわ』

 

春雨(……)

 

端末を操作する

 

春雨「…いろんなデータが保存されているここで、1番濃密な実験を続けていたのは綾波さんでしょうね」

 

ヘルバ『…どう思ってるの?』

 

春雨「人って変わるものなのだな、と」

 

春雨(大量殺戮を犯した咎人が誰よりも人類を救う研究をしていた…なんとも不思議な…)

 

佐藤「どうも、お疲れ様です」

 

春雨「…出た、偽名の人…」

 

佐藤「随分な言われ様ですね…こちら、お届けものです」

 

何かが入った四角形の包みを渡される

 

春雨「…これは?」

 

ヘルバ『お弁当』

 

春雨「…は?」

 

佐藤「研究員全員分のお弁当を私が運んできたんです、泊まり込みは貴方だけじゃない」

 

春雨「…何処の?こんな風呂敷に包まれたのは…」

 

佐藤「綾波さんの手作りですよ、私も一食いただきましたが、何というか…素朴な味わいでしたね」

 

春雨「毒味済みと…」

 

佐藤「まあ、そう言うことでも」

 

ヘルバ『私は離席するわ、進捗はちゃんと報告してちょうだい』

 

春雨「…何の嫌がらせ…」

 

佐藤「それでは私は他の方に配りに行きます」

 

春雨(何の拷問…)

 

包みを解いて弁当箱の蓋を開ける

 

春雨「和定食…」

 

彩り、栄養も考えられたメニュー

 

春雨「こんなの作る暇があったらさっさと仕事しろって話ですよ…」

 

綾波の取ったデータ、そして仮説、その殆どがこの研究所の方向性に影響している

綾波の仕事が私達の仕事に直結するのだから、早く綾波には研究を完成させてもらわないと

 

春雨「…西京焼き、甘い卵焼き…ほうれん草の胡麻和え…塩おにぎり」

 

其々をゆっくりと口に運び、咀嚼する

 

春雨「…ふふ……何ですか、何でそんな顔で見てるんですか」

 

佐藤「てっきり貴方は表情がないのかと思ったもので」

 

春雨「え?」

 

佐藤「いえ、先程笑っておられたのがとても、好物でも入ってましたか?」

 

春雨「…まあ、そう、ですね」

 

春雨(好物といえば、どれも好物…かな)

 

 

 

 

 

特務部 オフィス

駆逐艦 敷波

 

数見「手応えは?」

 

敷波「多分、何か知ってると思います…」

 

数見「さて、どうやって喋らせたものかな…軽く拷問にでもかけようか」

 

敷波「ご、拷問…?そんな事しなくても…」

 

数見が席を立ち近づいてくる

 

数見「物事には順序がある、綾波の確保は重要な事項の一つだ」

 

敷波「だ、だからって関係のないかもしれない人まで…」

 

数見「綾波を捕まえたいのだろう?ならば手段は選べない」

 

敷波「それは…でも…」

 

数見「それと、だが」

 

数見に両肩を掴まれる

 

数見「君だけが綺麗なままでいることは許さない」

 

敷波「っ…」

 

数見「姉の始末をつけたいのだろう?ならば身も心も穢される覚悟で私に従え、私は期待を裏切らない」

 

敷波「……アタシは…どうすれば…」

 

数見は人当たりの良さそうな笑顔を浮かべた

 

数見「リスクはあるが、普通よりも遥かに大きい力を手に入れる手段がある、きっと君になら耐えられるだろう」

 

敷波「…はい」

 

数見「コレで、2人目だ」

 

敷波(…2人、目…?)

 

 

 

 

 

宿毛湾泊地

提督 倉持海斗

 

海斗「…青葉…?」

 

FMDを外してすぐ目の前に青葉が居る

 

青葉「司令官」

 

海斗「青葉、どうしてここに…!」

 

青葉「…今の青葉には…営倉の扉くらい簡単に壊せちゃうんですよ…」

 

海斗「…どうして抜け出したりなんか」

 

青葉「司令官、私ここから出て行きます」

 

海斗「な、なんで…」

 

青葉「だって、迷惑じゃないですか…私なんかがいたら…」

 

海斗「そんな事…」

 

青葉「司令官、私の身体はどんどんおかしくなって行きます…私が私じゃなくなる前に…助けてください」

 

海斗「…僕は…君に何をしてあげられるのか、わからないんだ」

 

青葉「司令官、それなら私は欲しい物があります」

 

海斗「…何が欲しいの」

 

青葉「キーオブザトワイライト」

 

海斗「…キーオブザトワイライト…黄昏の鍵…」

 

青葉「どんな願いでも叶う、幻のアイテム…一緒に見つけてください」

 

海斗「キーオブザトワイライトを…一緒に?」

 

青葉「…私は何処かからThe・Worldにログインします、また、その時に冒険に誘ってください」

 

海斗「青葉…待って、君は何を…」

 

青葉「ごめんなさい、司令官」

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