元勇者提督   作:無し

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最凶のレ級

特務部 オフィス

駆逐艦 敷波

 

数見「おや、もう退院だったとは知らなかったな」

 

敷波「リハビリが想定していた以上に早く終わったので…一週間で退院しました」

 

数見「即日の手術、そしてわずか1週間でのリハビリの終了、異例中の異例だな…」

 

敷波「歩行だけじゃなく、走行なども可能です、とても馴染んでいます」

 

敷波(…アタシは…どうしたらいいんだろ、もう、何が正しいのか…まるでわからない、アタシは…どうすればいいの、綾姉ぇ…)

 

数見「明日から復帰してもらおう、問題はあるかな?」

 

敷波「いいえ、わかりました」

 

 

 

 

 

宿毛湾泊地

提督 倉持海斗

 

海斗「…暁たちの異動は認められず…か…どうしてだろう」

 

朝潮「大湊警備府は大変劣悪な環境だった、とのことですが…荒潮に何か聞いてきましょうか」

 

海斗(嫌な記憶を思い出させたくはない、でも、何もわからないと…)

 

海斗「ごめん、聞いておいてくれるかな」

 

朝潮「わかりました」

 

海斗「…島風達の出撃も今からだし…手が回らないな…」

 

綾波の潔白を証明することも、みんなの出撃の用意も、暁達のこともある…自分1人ではとても手が足りない

 

海斗「…あれ、この資料…アメリカの艦娘の戦闘ログと…デブリーフィングのログ…?今まで無かったのに…」

 

資料を読む

 

 

 

 

 

 

バージニア ノーフォーク

戦艦 ワシントン

 

ワシントン「…デブリーフィングを始めるわ…その、でも先にちゃんと理解しておいて…これは冗談でも何でもないの、本当にこの通りの被害が出た…」

 

アイオワ「とりあえず、被害の再確認から…」

 

アトランタ「…ニューヨークとボストンの防空設備は壊滅…いや、街自体も壊滅したね」

 

ワシントン「そんなに軽く言わないで…」

 

アトランタ「これはあくまで報告、感傷に浸る反省会とは違うんだよ」

 

アイオワ「…私達の護衛に出た船も全滅…こちらの被害は艦船が合計10、航空機49、艦娘システムの適応者が…76…それがたった一体の深海棲艦によるもの…」

 

ワシントン「…話には、聞いてたけど…アレがレ級…なのね」

 

アイオワ「元々深海棲艦との戦いは不利だったけど…今回のは…」

 

アトランタ「レベルが違う、完全にやりたい放題されて…そして一切の攻撃が通用しなかった…」

 

ワシントン「…あのサイズだから、駆逐艦だと思ってた…なのに、私達の砲撃をくらっても怯みもしない…それどころか掴み取ったり、投げ返したり、めちゃくちゃよ…!」

 

アトランタ「ジャパンの艦娘はどうやってアレを倒したんだろうね、しかも6匹相手にして3匹は仕留めたらしいし」

 

アイオワ「リアリー…!?アレを、どうやって…」

 

アトランタ「…正直あたしは艤装が悪いんじゃないかって思ってるよ、火力が違うんじゃないの」

 

アイオワ「今使ってる艤装だって最高の技術で作ったもの、それにジャパンがUSAよりもすごい艤装を作れるなんて…」

 

アトランタ「ない話じゃない、あのヤマトを作った国なんだから」

 

ワシントン「……一体のレ級に壊滅させられた…なんて…誰も信じてくれないだろうけど…」

 

アイオワ「…あれは…まるでハリケーン…」

 

ワシントン「恐ろしかった…私達には手に負えない…現状であの敵に立ち向かうなんて無理よ…」

 

アトランタ「…聞きたくないだろうけど、一応これも報告しとく…回収できた死体、船の乗組員も含めてだけど…全員頭を撃たれてる、もちろん砲撃をくらったやつは頭自体が無いんだけど…」

 

ワシントン「…砲撃以外を…?」

 

アトランタ「それ以外の奴は機銃サイズの穴が開いて、頭から弾丸が摘出された…全部1発ずつ」

 

アイオワ「ウェイト!まさか狙って撃ち殺した…って言うの…?」

 

アトランタ「そういう事じゃない?」

 

ワシントン「…そんな…」

 

アイオワ「…あの荒れた波の中で、移動する人を…ヘッドショットするなんて…」

 

アトランタ「それだけの相手を倒してるジャパンの連中には是非手を貸して欲しいもんだね、どうやってんのか知らないけど」

 

 

 

 

 

宿毛湾泊地 

提督 倉持海斗

 

海斗「アメリカにレ級が……だけど…このレ級による被害…まるで…いや、そんなわけ…そんなわけがないんだ…」

 

島風「提督、島風入室します」

 

海斗「ああ、島風…みんなも?」

 

天龍「出撃用意、完了しています」

 

北上「…まあ、いつでも出られるけど」

 

陽炎「失礼します、佐世保から来ました、陽炎型一番艦の陽炎です」

 

鈴谷「鈴谷です、本作戦においてはよろしくお願いします」

 

秋津洲「あ、秋津洲です…よろしく…お願いします」

 

海斗「こちらこそよろしくお願いします」

 

天龍「作戦に関してのブリーフィングは…」

 

海斗「今から軽くだけ行うよ」

 

鈴谷「台湾南部の高雄に移動するとの事ですけど、航空機を使うんですか?」

 

海斗「台湾の南部までは高速艇を用意してあります、それで作戦海域まで」

 

秋津洲「途中で沈められる…かも…」

 

鈴谷「大丈夫だって…」

 

北上「チッ…あんた本当にエリート様なわけ?」

 

秋津洲「あ、あたしは…その…戦闘艦じゃなくてぇ…!」

 

北上「じゃあ何でこの作戦に参加してんの…?」

 

秋津洲「記録役とか…支援とか…」

 

海斗「北上、ストップ」

 

北上「いる意味ないじゃん」

 

秋津洲「んがっ!?」

 

海斗「北上!」

 

鈴谷「それは…言い過ぎじゃん?」

 

天龍「すいません、すいません…」

 

北上「事実でしょ、なんなら別にうちのメンツだけでも済んだ話じゃないの?」

 

海斗「そういう問題じゃないよ」

 

北上「話逸らすって事はそう思ってるってことじゃん」

 

陽炎「…鈴谷さん、秋津洲さん、一回出ましょう…すいません、どこか…」

 

天龍「落ち着ける場所に案内します、どうぞこちらに…」

 

海斗「……北上、一緒に作戦を遂行する相手にあんなこと言うのは…」

 

北上「何、普段から組んでる奴らの方がやりやすいって事なんだけど、何かおかしい?」

 

海斗「…君の言いたい事はわかったけど、誰かを傷つけるような言い方はしちゃいけないよ…」

 

北上「あ、そう」

 

島風「…提督、北上さん外した方がいいと思う…」

 

北上「外す?どうぞご自由に、私は全然いいけどね」

 

海斗「…北上、別に君も喧嘩がしたいわけじゃないよね」

 

北上「お説教とか面倒だからパス」

 

海斗「これはお説教とかじゃないよ、君が誤解されないように…」

 

北上「それがお説教なんだよ…めんどくさいなぁ…」

 

海斗(…弱ったな…これじゃあ今回の出撃もままならない…)

 

北上「自分だけ安全で涼しいとこでのんびりしてられるんだからもっと苦労しなよ」

 

島風「…おかしいよ、なんでそんなわがまま言うの!?北上さんだけだよ、そんな事言うの!」

 

北上「面倒だから面倒なんだよ…はぁ…だる」

 

海斗「島風、君も天龍達のところに行ってて」

 

島風「でも…」

 

海斗「北上とはちゃんと話し合わなきゃいけないと思ってたんだ」

 

北上「…ウザ」

 

島風「…失礼します」

 

海斗「…北上、座って」

 

席を移し、北上と向かい合って座る

 

北上「あー、何?クビにでもする?それはそれでいいけど」

 

海斗「違うよ、こう言う事言うと君は嫌がるけど、僕は君の事をある程度理解してるつもりだ」

 

北上「…確かに思いっきり嫌だね、わざわざそれ言う理由は何?」

 

海斗「君が阿武隈に訓練の指導を頼んでるのも知ってる」

 

北上「……何、あいつ喋ったの?」

 

海斗「たまたま君達を見かけたんだ、だから僕が無理矢理聞いた…」

 

北上「…それで?」

 

海斗「君の頑張りは知ってる、でも君がそんな態度をとっていたら誰も理解してくれないよ…」

 

北上「理解される必要はないんだけど」

 

海斗「大井さんにも?」

 

北上「…なんであいつの名前が出るのさ」

 

海斗「君はキタカミを…別のキタカミを見返したかった、だからこんなに頑張ってるんだよね」

 

北上「わかったような口聞いてんなよ、ウザいなぁ」

 

海斗「…君ならわかってるはずだ、1人がどんなに辛いか、1人になりたくないなら…」

 

北上「だから、わかったような口聞くなって言ってんの!何、あんたは自分も1人だったから分かるとか言っちゃう系?」

 

海斗「…違う、でも、仲間の大切さは誰よりも知ってるつもりだよ」

 

北上「だからお前も仲間を大切にしろ?ハッ…笑わせるね」

 

海斗「…北上、お願いだからこれ以上自分から孤立するような真似は…」

 

北上「じゃああたしをハブにしてる奴らに説教すれば?」

 

海斗「みんなは君を仲間外れにしようとしてるんじゃないよ…」

 

海斗(…北上は機嫌の落差で対応が変わるから、それを理解してないと誤解されやすい…いや、理解していても根気よく付き合ってくれる人の方が少ないか…)

 

海斗「とにかく、これも仕事だよ、君にとっては苦痛かもしれないけど…」

 

北上「わかってんならやらせんなって話なんだけど…はぁ…チッ」

 

海斗「…君はどうなりたいの?」

 

北上「どう…なりたい?なんであたしが何かにならなきゃいけないの、あたしはあたし、北上なんだけど」

 

海斗「…君自身はこのままでいいと思ってる?」

 

北上「……さあ」

 

海斗「……」

 

北上「まあ、でもみんな口を揃えてあたしが悪いって言うよ、だから少しは悩んだらもする…でも何が悪いのかは伝わってこない」

 

海斗(…北上も今の自分には疑問を抱いてる…のかな)

 

北上「…はぁ…いいや、毒気抜かれたわ…出撃すればいいんでしょ」

 

海斗「君の実力なら任せられる、頼んだよ」

 

北上「……」

 

海斗(北上の事についてはもう少し時間をかけて解決しよう、焦ってもいい結果は出ないだろうから)

 

海斗「出撃は2時間後、準備を整えておいて」

 

北上「うわ…昼過ぎじゃん…」

 

海斗「…何か不都合があった?」

 

北上「ご飯食べた後って眠いからさぁ…いや、いいや、お昼抜こ…」

 

海斗「…そう」

 

北上「作戦会議とかどうせやるんでしょ?なんかまとめたメモとか後で頂戴、それだけ見るからさ」

 

海斗「わかったよ」

 

海斗(…僕の対応も甘いんだろうな…みんながこれ以上不満を募らせる前に解決したいけど…)

 

 

 

 

 

 

太平洋 深海棲艦基地

離島棲鬼

 

離島棲鬼「戻ッタノネ、レ級」

 

レ級「……」

 

離島棲鬼「マサカ、マサカコレホドマデトハネ…トウトウ最強ノレ級ガ完成シタ…アメリカハドウダッタ?」

 

レ級「別に…相手にはならなかったとしか」

 

離島棲鬼「ククク…コレハ頼モシイ、ネェ戦艦ノ」

 

戦艦棲姫「…エエ、本当ニ」

 

離島棲鬼「ソッチノ方ハ?」

 

戦艦棲姫「…契約ハ履行サレタ…今夜、実行スル…脚ノ代償ヲ頂キニ行ク」

 

離島棲鬼「ソウ、飛行場姫、ツイテ行キナサイ」

 

飛行場姫「…ハイ…」

 

戦艦棲姫「随分…怯エテイルナ…」

 

離島棲鬼「マサカ…マダアノ時レ級ニ貴方ヲ始末サセタ事根ニ持ッテルノ?」

 

飛行場姫「ッ……イイエ、デモ…レ級ヲ見ルト気持チ悪クナル…」

 

レ級「…退室します、失礼します」

 

離島棲鬼「スッカリトラウマネェ…アハハハッ」

 

飛行場姫「ッ…!」

 

戦艦棲姫「……胃ガ痛イ…」

 

 

 

 

 

 

 

大湊警備府

駆逐艦 不知火

 

不知火「…最後に犠牲者が出てから、もう半月ですか」

 

暁「みんなの士気も上がってる、万事順調ね…」

 

不知火「怖過ぎるほどに、ですが…」

 

暁「…そう、そうなのよ…私たちが最後にここの司令官を見たのっていつ?」

 

不知火「…それも半月ほど前だと」

 

暁「私は10日前、でもその日以降色々変わっていってない?」

 

不知火「…食事が豪華になりました…いや、一般家庭レベルになっただけですけど」

 

暁「部屋も、いろんな設備も整備されてる…それに今まで居た軍人さんがどんどんいなくなってるわ」

 

不知火「不自然が過ぎる…と言うか…」

 

暁「後は…新人さんもどんどん着任してるのよね…」

 

不知火「今朝、また四名着任したとか」

 

暁「……変よね」

 

不知火「変です」

 

暁「良い変化なんだけど…いきなり環境が変わるとお腹痛くなってきちゃうわ…戻して欲しいわけじゃないけど」

 

不知火(…そういえば、最近は司令室の周りに警備員の格好をした人が何人か常に居る、だけど全員目深に帽子を被ってるせいで顔を見たことがないな…)

 

不知火「…スナッチャー」

 

暁「え?」

 

不知火「今までいた人達は殺されて、謎のアンドロイドにスナッチ…入れ替わってるとか」

 

暁「…冗談はやめて頂戴…」

 

不知火「怖かったですか?」

 

暁「…そこそこね」

 

 

 

 

 

 

 

ネットカフェ

青葉

 

青葉「……」

 

手袋を外し、天井の照明手のひらをかざして眺める

 

青葉(また、少し…白くなってる)

 

肌の色が変わる境界をなぞる

 

青葉(手袋…もっと長いのを買わないとそろそろ隠せないな…でも、迂闊に外に出たら捕まるかも…やだなぁ…怖いなぁ…)

 

いつの間にか涙が目にいっぱいに溜まり、溢れ出す

 

青葉「…寂しい…な…誰か…」

 

??「は…はくしょん!」

 

隣の部屋から豪快なくしゃみが響く

 

??「ず…あー…あれ?もうティッシュがない…!ど、どうしよ…す、すいません、ティッシュ持ってませんか?」

 

青葉「あ、ありますよ…はい」

 

仕切りの上から手を伸ばし、隣の部屋にティッシュケースを差し出す

 

青葉「…あっ…!」

 

手袋を外している事に気づき慌てて手を引っ込める…が

ティッシュケースはそのまま隣の部屋に落ちて…

 

??「痛っ!?うう…まさか頭に落ちてくるなんて…私ってなんで…」

 

青葉「ご、ごめんなさい…」

 

??「いえ…ありがとうございます…花粉症なもので…」

 

青葉(もう7月なのに…?)

 

??「…あ、ティッシュの予備こんなところに…す、すいませんお返ししますね」

 

隣の部屋のドアが開く音

 

青葉「待っ…!」

 

慌てて手袋をする

 

カチャリ

 

翔鶴「…あれ…」

 

青葉「…え」

 

翔鶴「あ…青葉さん…?」

 

青葉「翔鶴さん…」

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