元勇者提督   作:無し

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最悪

海上

軽巡洋艦 天龍

 

天龍「これが秋津洲さんの…」

 

秋津洲「そう!この二式大艇ちゃんがエリートにしか扱いこなせない…」

 

北上「操作してるの機械じゃん」

 

秋津洲「うぐっ…」

 

天龍(…かなり大きい飛行艇ですね、確かに敵を殲滅した海域の移動ならこれの方が安全か…)

 

秋津洲「秋津洲の艤装に適応できる人は極稀だから良いのかも!」

 

陽炎(そこはかもじゃないほうが…)

 

鈴谷「早く帰ろ、疲れたし…」

 

天龍「…よ…っと」

 

意識を失ったままの島風さんを抱える

 

秋津洲「早くしないと出しちゃうかも!」

 

 

 

 

 

天龍「凄いですね、こんな…」

 

秋津洲「もっと褒めて良いかも!」

 

北上「……あ」

 

陽炎「どうかしました?」

 

北上「いや…お腹減ったからご飯食べようかなと思って…でもほら」

 

北上が弁当箱を見せる

 

天龍「…水浸しですね…」

 

秋津洲「乾パンならあるかも!」

 

北上「…いや、我慢するよ」

 

天龍「…それにしても、早いですね…もう台湾の上です」

 

鈴谷「え!?高速艇であんなに時間かかったのに…あの高速艇もめちゃくちゃ早かったよ…?」

 

北上「……眠いな、寝ても良い?」

 

天龍「ついたら起こしますので、ごゆっくり」

 

陽炎「…あ、夜明けかな…空が白んできた」

 

天龍(…島風さんの暴走もありましたが、作戦は無事に成功…か…)

 

陽炎「…ねぇ、ちょっと誰か来て!」

 

陽炎の声に反応し窓に人が集まる

 

陽炎「…あれ、何…?」

 

陽炎の視線の先に見える灯り

 

天龍「……わかりません、遠すぎて…」

 

秋津洲「揺れたりするかもー」

 

陽炎「うわっ!?」

 

鉄の床に体を打ち付ける

 

天龍(…あれは何処なんでしょうか…)

 

鈴谷「…床に寝転んだまま考え事しなくても良いと思うんだけど」

 

 

 

 

 

 

横須賀鎮守府

駆逐艦 浜風

 

浜風「…そんな」

 

鎮守府が燃えている

それだけじゃない、街が、そしてここだけじゃない

 

東京が燃えている

 

火野「来たまえ、我々は東京の防衛に向かう」

 

浜風「横須賀は…!」

 

火野「…優先して守るべきは東京だ、そう判断された」

 

浜風「この辺りにもたくさんの人が住んでいます!未だ逃げられてない人だってどれだけ居るのか…!それを見捨てるんですか!?」

 

大淀「そうです」

 

浜風「な…!」

 

大淀「貴方は千人の為に一万人を見殺しにするんですか?」

 

浜風「っ……!」

 

火野「やめろ、大淀…浜風、これは私の判断だ、キミに一切の責任はない」

 

浜風「…そんな、の…」

 

火野「キミが一人で背負うべきではない、私が、我々が背負う命だ」

 

浜風「……」

 

火野「行くぞ」   

 

 

 

 

 

東京 特務部 オフィス

駆逐艦 敷波

 

敷波「なんでここにまで…!」

 

ここから海までは結構な距離があるのに、陸上の移動手段でも持ち合わせているのかと言う程の進行速度

 

ル級「ギイイイ!」

 

レ級「……」

 

室内で砲撃戦をしながら戦線を下げ続ける

 

敷波「ここももう保たないか…撤退しないと…!」

 

脱出ルートへ向かう

 

敷波「…っ…今…!」

 

チラリと見えた

一瞬だけ、見えた

 

アタシに脚を生やした深海棲艦が

 

敷波(アイツ、深海棲艦の中でもかなり偉そうにしてたのに何のために…いや、思い出せ…アイツは…)

 

敷波「……何をしにここに来た?」

 

 

 

 

 

 

 

宿毛湾泊地

提督 倉持海斗

 

海斗「みんな、おかえり…」

 

天龍「…提督、随分忙しそうですが…?」

 

海斗「東京に深海棲艦が攻め込んできて…もう退いたんだけど、その処理でね…」

 

陽炎「東京に深海棲艦!?」

 

鈴谷「被害は…」

 

海斗「…相当な物だね」

 

天龍「そんな…」

 

海斗「君達は一度休んで、深海棲艦が次何処に現れるか分からないから」

 

天龍「……その、お忙しいところにこの様な報告はしたくないのですが…」

 

 

 

 

天龍「大雑把ですが…」

 

海斗「島風の暴走か…今島風は?」

 

天龍「縛った状態で飛行艇の中に…」

 

海斗「…様子を見に行くよ」

 

天龍「念のため御同行します」

 

海斗「いや…天龍、君、腕が折れてるんじゃないかな、そうじゃなくても怪我をしてる様に見えるし…治療を先に」

 

天龍「私は無傷です」

 

海斗「そうは見えないよ…と言っても、今は夕張も居ないし…」

 

天龍「…東京ですか」

 

海斗「大勢の怪我人が出てる、そうじゃなくても夕張や鳳翔達は横須賀の艦娘だから……修復剤を使うしかないか…いや、普通に病院に…」

 

天龍「いえ、この程度の傷でそのような…」

 

海斗「やっぱり怪我してるんだね、どうするかは後で決めるから、とりあえず休んでて」

 

天龍「……謀られた」

 

 

 

 

二式大艇内部

 

島風「…ぁ…て、提督…」

 

縄で全身を硬く縛られた状態で横たわる島風

 

海斗「島風、意識が…いや、それより随分苦しそうだけど怪我は」

 

島風「…全身…特に…脚、ダメ、痛い…!」

 

海斗「縄を解くよ」

 

見える範囲でもかなりの数の内出血の後が見える

外傷は首に二つ

 

海斗(…どういう状態なのか分からない…)

 

海斗「島風、修復剤を使うこともできるけど…」

 

島風「それでいい…から…」

 

海斗「暫く我慢して、すぐに持ってくるよ」

 

 

 

 

 

 

 

島風「…痛い…でも、動く…」

 

海斗(効果は絶大だけど…あまり使いたくはない、でもこれほどの怪我…)

 

島風「……提督」

 

海斗「島風、何があったのか話せる?」

 

島風「頭の中でカチッて鳴ったの、そしたら…気付いたら、みんなを襲って…それで」

 

海斗「…詳しくは覚えてないの?」

 

島風「…はい」

 

海斗(曙の症状とは少しちがうのか…)

 

天龍「提督」

 

海斗「天龍…悪いけど君は病院に…」

 

島風「天龍さん、ごめんなさい…」

 

天龍「…正気に戻られた様で何よりです」

 

島風「…私は、なんで、仲間を…」

 

天龍「幸いなことに誰も死んでは居ません、ですが皆さんに謝っておいてください…」

 

島風「…はい」

 

海斗「天龍、少しだけ良いかな」

 

天龍「はい」

 

海斗「あの場で、何が起きたのか島風は殆ど覚えてないらしいんだ、だから君からわかる限りの話を聞きたい」

 

天龍「……なんと言えば良いのか…私にも…先ほどお伝えした通り、深海棲艦を撃破するところまではスムーズで、作戦通りでした」

 

海斗「でも、そこからが狂った…」

 

天龍「いえ、二度目の戦闘が始まった時点でおかしかったんです…島風さん、貴方は何処まで覚えていますか?」

 

島風「…ハッキリ覚えてるのは…駆逐艦を全滅させたところまで」

 

天龍「…その後貴方は呆然と立ち尽くして…急に動いたと思ったら全速で戦艦級に突撃したんです、砲撃をかわしながら、蹴りで戦艦級を打ち砕いてみせた…」

 

島風「…蹴りで…?」

 

天龍「空母はいつ倒したのかわかりませんでしたが、頭と胴体が離れていたのは確認しました…それと最後の戦艦級は無防備な背中を連装砲さんに撃たせて、自らの足で頭を…うぅっ…すいません、気分が…」

 

島風「…私、そんなことしたの…?」

 

海斗「…みたいだね」

 

天龍「…曙さんの様でした…たった1人で全ての敵を屠る様は…」

 

島風「…私どれくらい戦ってたの…?」

 

天龍「2.3分位でしょうか…」

 

島風「…だから体があんなにボロボロに…?」

 

海斗「そういえば30秒以上の高速移動は危険、だったよね…だから…」

 

島風の衰弱ぶりからも危険な状態だったことは明らかだろう

 

天龍「それと…目に青い焔が…一部の深海棲艦の様な…」

 

島風がまぶたに手を当てる

 

海斗「目から…」

 

天龍「…暴走したら出るのかもしれません」

 

島風「そう、なのかな…」

 

天龍「…何が理由でああなったのか分からないと…曙さんのこともあります、現状誰もがそうなる危険性を孕んでいる事になります…」

 

海斗「詳しい調査を進めるよ、天龍、病院に行こう」

 

天龍「…念のため北上さんも、あの人も蹴りを受けてましたから」

 

海斗「わかった」

 

 

 

 

天龍と北上は骨折などの怪我から入院した

 

 

 

 

 

 

 

太平洋 深海棲艦基地

Unknown

 

足の様に硬いベッドの上で目が覚めた

 

目が覚めてしまった、それは失敗を意味する何か…

何を失敗したのかは覚えていない、だけどとにかく、失敗したんだと落胆した

 

レ級「…へぇ」

 

フードを目深に被った青肌の人間が近寄ってくる

 

レ級「記憶は」

 

首を横に振った

 

レ級「…まあ良いでしょう、ようこそ深海に…ええと、名前はどうした物か」

 

戦艦棲姫「駆逐棲姫、ソウ呼ブ」

 

フードの三倍ほどの身長の、細身の女性が現れる

 

駆逐棲姫「…駆逐棲姫、それが私の名前…」

 

戦艦棲姫「ソウ、ヨク覚エナサイ」

 

駆逐棲姫「……」

 

戦艦棲姫「貴方ハヨーロッパへ送ル事ニシタ」

 

レ級「ヨーロッパ?何故」

 

戦艦棲姫「強イ奴ガイナイカラ試験運用ニハピッタリダ」

 

レ級「…必要なさそうですが」

 

駆逐棲姫「……」

 

何もない、空っぽ

私は全てを受け入れた

 

何かを疑問に感じるだけ時間の無駄だと感じた

 

レ級「貴方、自分の脚がないことに疑問を抱かないんですか?」

 

駆逐棲姫「…生えている物なのですか?私にはわかりません」

 

レ級「…そうですか」

 

戦艦棲姫「ヨーロッパ行キマデハ…オマエト捕虜ノ世話ダ」

 

レ級「…はぁ」

 

特に大きいため息が横から聞こえる

 

レ級「…コレも運ぶのか…」

 

戦艦棲姫「必要ナイ、艤装デ浮キ上ガル」

 

首根っこを掴んで持ち上げられ、ベッドから地面に下ろされる

 

駆逐棲姫「…成る程」

 

脚がない部分からは黒い艤装

そして床に触れる前に少し高い位置まで浮き上がる

 

戦艦棲姫「案内シナサイ」

 

レ級「……」

 

 

 

 

捕虜収容所

 

駆逐棲姫「…ここが、捕虜の…」

 

牢屋に入れられた人を眺める

 

私に向かって「助けて」とか、「ここから出して」なんて声をあげて…

 

駆逐棲姫「…騒がしいですね」

 

レ級「雑音です」

 

レ級に案内された部屋に入る

 

生臭い匂い

 

駆逐棲姫「…魚」

 

レ級「そこら中にいますから、捕虜の餌には向いている」

 

駆逐棲姫「へぇ…確かに」

 

レ級から魚の入ったバケツを受け取り牢屋を回り、一つずつ投げ込む

 

レ級「良いですか新人さん…あー、私もまだ新人か…決して甘い顔をしない方がいい、結局はこちらを恨んでるだけだ」

 

駆逐棲姫「…へぇ」

 

レ級「あと、餌やりの時に牢屋の中に手を入れると噛み付かれるかもしれないから、気をつけて」

 

この場には謎の既視感があった

だけどその言葉でようやく理解した

 

駆逐棲姫「あー!動物園!」

 

レ級「…は?」

 

さっきまで騒がしかった捕虜が静まり返る

 

駆逐棲姫「ここ、動物園にそっくり!行った記憶は有りませんけど、きっとこんなところだったんでしょうねぇ…」

 

知識が存在することについ笑顔をこぼす

捕虜からの怒号が心地よい

 

レ級「く…ハハハッ…貴方はなかなか太い人だ」

 

駆逐棲姫「動物さん達と、遊んでみたいなぁ…アハハッ」

 

レ級「どんな風に?」

 

駆逐棲姫「たとえば…そうですねぇ……どうやって遊んでたんでしょう、思い出せないなぁ…」

 

レ級が懐からナイフを2本取り出す

 

レ級「例えば、こんな遊びはどうですか」

 

レ級が牢屋に近づく

収容所が静まり返り、レ級が近づいた牢屋の住人は部屋の隅へと逃げ、縮こまっている

 

レ級「名前は」

 

山城「……」

 

レ級「名前はと聞いたのに…」

 

レ級の投げたナイフが捕虜のすぐ側に刺さる

 

駆逐棲姫(岩に刺さるなんて…どんな力で投げて…)

 

レ級「答えなさい」

 

山城「…や、山城…」

 

レ級「山城、ナイフを持って出なさい」

 

山城「こ、殺さないで…!」

 

レ級「安心しなさい、相手するのは私じゃない、こっち」

 

私の前にナイフが音を立てて落ちる

 

山城「ほ、ほんとに…?」

 

レ級「嘘はつかない、それに勝てたら日本に返してやる」

 

山城「…!」

 

山城と名乗った捕虜の口角が上がる

 

収容所が一気に騒がしくなる

私を殺そうと殺気だった捕虜達が我こそはと大声で名乗りを上げる

 

レ級「黙らないと、殺す」

 

駆逐棲姫(一声で黙らせた、つまりやった事があるんでしょうね)

 

腰を曲げてナイフを拾う

太腿も半分ほどもないおかげで頭を下にするとバランスを崩して簡単にこけてしまいそうになる

 

駆逐棲姫「おっとっと…あれ、このナイフ…」

 

随分と重い、その上大き過ぎる

柄から刃先までで私の二の腕の長さが有り、重さも1キロほどはある

 

駆逐棲姫「貴方用ですか?」

 

レ級「まあ…他にないし」

 

駆逐棲姫「……」

 

山城がナイフを持って牢屋から出てくる

さっきまでの死んだ顔とは違い、ニヤ付きを抑えられない様子からも舐められているのは明白…

 

駆逐棲姫「…なんでしょう、私もしかしたら今イライラしてるかもしれません」

 

駆逐棲姫(とは言っても、私は背がかなり低い、帽子を合わせて70センチほどか…いや、それ以下かもしれない…届く急所は何処?いや、まず足を止めて…)

 

レ級「初めの合図で初める様に…って、聞いてないな…」

 

山城(こんな足の遅いノロマ…それにさっきの様子、このナイフが重くてまともに動けない…!)

 

レ級(さてはて、あのナイフは姫には重い、なんて…あるかどうか…)

 

駆逐棲姫(…よし、まあ、問題はないでしょう)

 

艤装を使った動きを確認する

最高速は走るくらいの速度…ジャンプは…

 

駆逐棲姫「…邪魔」

 

ナイフを捨てて艤装の操作に集中する

 

レ級「そのナイフ、欠けたら弁償してもらうから」

 

駆逐棲姫「…さっきから思ってたんですけど、敬語何処に消えたんですか」

 

レ級「さあ、水底じゃない?上手くジャンプできない?」

 

駆逐棲姫「生まれて30分の肉体にどう慣れろと…」

 

山城「ね、ねぇ…早く始めてよ」

 

レ級「…駆逐棲姫」

 

山城「そ、そっちだけ準備するなんてずるいわ!」

 

レ級「…公平を求められる立場だと勘違いしてるのか、馬鹿馬鹿しい、そもそもコレはお前にチャンスをやるという名目の余興だ、勘違いするな」

 

駆逐棲姫「…まだ動きに不安ばかりですが…これ以上はまだ馴染まないと思います、もう良いですよ」

 

山城(…よし、向こうはこっちを舐めてる…チャンスはある…いや、この勝負、もらった!)

 

レ級「ルール無用、ナイフデスマッチ…始め」

 

山城「やあああ!」

 

こちらの倍以上の高さから振り下ろされるナイフ

 

駆逐棲姫「力強…!」

 

ナイフ自体が重い上にその巨体から振り下ろされる勢い

 

山城(受け流すのでいっぱいいっぱい…!もらった!)

 

何度も何度もナイフが振り下ろされる

 

駆逐棲姫「重いし…手が痺れるし…!」

 

山城(反撃されてもこの高さなら致命傷は絶対ない!どんな怪我をしてもこんな所で死ぬよりマシ!)

 

駆逐棲姫(…あ、すごく必死な表情……)

 

山城の顔をぼうっと眺める

ナイフを持っていない方の腕の肉が縦に裂ける

 

駆逐棲姫「うわっ…見惚れちゃったせいで…痛み感じませんけど、すごい不快感…!」

 

レ級(…ナイフを持っていた手なら、もうナイフを振れなくなってたな)

 

山城「は、はは…!やれる!」

 

駆逐棲姫(…命がかかってるから、必死なんだ…だからこんなに歪んだ顔をできる、こんなに狂った表情になれる……アハッ…!)

 

レ級(今、笑った…?)

 

山城「死ね!死ね!死ね!!」

 

痺れるほどの殺意が私の肌を撫でる

溢れる生への渇望が…

 

駆逐棲姫「……レ級さん」

 

レ級「…?」

 

駆逐棲姫「どうやら私、戦いは苦手みたいです」

 

片手で弱々しくナイフを受け流す

 

山城「大人しく死ね!死ねぇ!」

 

レ級「降参ですか」

 

駆逐棲姫「いいえ、なので戦いはやめて…」

 

振り下ろされるナイフを交わして山城の手を包む様に掴む

 

山城「っ!ふ、振り解けな…!」

 

駆逐棲姫「弱い物いじめに変更しますね♪」

 

手首の神経を刻む

わざと一気に切るのではなく、何度も突き刺して刻む

 

山城「ああああ!痛い!痛いッ!!」

 

駆逐棲姫「あーあ、もうナイフ握れませんね」

 

山城手からナイフがこぼれ落ちる

 

レ級「…勝負…」

 

山城が落としたナイフをレ級に投げる

 

レ級「っと…危ない……何のつもり?」

 

駆逐棲姫「いやいやいや、こっちのセリフ…まさかそんな、生殺しになんかしませんよね?ほら、返してくださいよ…」

 

レ級からナイフをもう一度受け取り、山城前に差し出す

 

山城「ひ…こ、降参…!だ、だから殺さないで!」

 

駆逐棲姫「ナイフ、持てないですけど…咥えるならしてまだ戦えますよね?」

 

山城「む、無理よ!そんな…」

 

駆逐棲姫(と言いつつも目はまだ私を殺すことと自分が助かる事を考えてる…なんて汚くて醜い…最高の…!)

 

山城の方にナイフの柄を咥えさせる

 

山城(く、首がガラ空き!)

 

山城の首を掴む

 

山城「あぐ…!?」

 

山城(何、この握力…!万力みたいな……!)

 

駆逐棲姫「そう言えば、勘違いしてたみたいなのでいくつか…」

 

山城を突き飛ばし、立ち上がるのを待つ

 

駆逐棲姫「まず、…騙して悪いんですけど」

 

胸元の高さまで飛び上がり、山城の両肩に手を置く

 

山城(え…ジャンプできて…)

 

駆逐棲姫「私このナイフ微塵も重く感じないんですよね、それと移動できるのでジャンプもできますよ」

 

ナイフの柄でこめかみを打つ

 

山城「が……そ、そんな…!卑怯者!」

 

駆逐棲姫「卑怯者?言うに事欠いて…卑怯者ですか?自分の事を言ってるんじゃなくて私に仰ってる?」

 

山城「当たり前でしょ!?」

 

駆逐棲姫「私がよろけて見せたのも、ナイフを重そうにしたのも…貴方が勝手に勘違いしただけですよね、私のせいにしないでもらえます?」

 

山城「卑怯者!卑怯者ぉ!」

 

駆逐棲姫「レ級さんの言う通り、コレは余興…そして貴方はオモチャ…まず認識を正しなさい…そして、相手は深海棲艦、それも姫級…舐めてかかる方が悪い」

 

山城の脚に刃を突き立てる

 

山城「あああ!痛い!痛い!」

 

駆逐棲姫「…アハッ!アハハハハハハ!」

 

レ級(…おや)

 

駆逐棲姫「そう!コレです!この噴き出す血、叫び声、先程までの顔が今染まった色は恐怖!素晴らしい…なんて素晴らしい!!」

 

山城「やめて!殺さないで!」

 

駆逐棲姫「…ああ、良いですね…もっと命乞いをしなさい…レ級さん、私、少し思い出しましたよ……こうやって人をいたぶるのが堪らなく…好きなんですよ…!」

 

山城に背中を向けさせる

 

駆逐棲姫「痛くないですからね…ふふ」

 

皮膚だけを薄く切り込み、肌を削り、肉を露出させていく

 

駆逐棲姫「ああ、綺麗に皮がむけた…ここはすごく不衛生ですからねぇ、こんなに…ああ…」

 

山城「っ…」

 

駆逐棲姫「ここにウイルスや細菌が入ったらどうなるのか楽しみですね…死んじゃうかも?…いや、確実に死ぬでしょうね、医療設備も何もない、感染症に簡単にかかりそうですし」

 

山城「え…こ、殺さないって…殺さないって言ったじゃない!」

 

駆逐棲姫「知りませんよ、貴方が勝手に罹患して死ぬなら私は何もしてないじゃないですか」

 

山城「そんな…!」

 

駆逐棲姫「ああ…素敵ですよ、山城さん…その絶望に染まった顔…壊れそうな瞳、とても私好みです…」

 

山城に口づけする

 

レ級(うわ…気持ち悪)

 

駆逐棲姫「んっ…んむ……ぷはっ…ふふ、ああ、もはや抵抗する気力すら残っていない…なんて素敵なんでしょうか……みてくださいよレ級さん!」

 

レ級「…気分を害した、片付けを始める」

 

山城「……」

 

駆逐棲姫「…おや、今のキスで完全に壊れましたか?目が死んでますよ…私、死んだ目は好みじゃないのに…」

 

山城の胸にナイフを突き刺す

 

山城「……か…は…」

 

レ級「…結局殺すのか…」

 

駆逐棲姫「見てくださいよ、こんな事になってももう悲鳴も上げないんですよ?こんなゴミは片付けやすくした方がいいじゃないですか」

 

レ級「…バラして海に撒いときなさい」

 

駆逐棲姫「喜んで♪」

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