元勇者提督   作:無し

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死の恐怖

「神通、お前は那珂を探せ、見つけ出せばそれでいい、俺がなんとかする、いいな」

 

「…私には何も言う資格はありません」

 

「そうか、じゃあさっさと行け、見つけたら無線で連絡しろ、それから、発信機入りの弾が入った拳銃だ、振り切られる前に撃て、いいな?」

 

「わかりました、それでは神通、行きます」

 

「期待してるぜ、神通」

 

 

 

軽巡洋艦 神通

 

「姉さん…」

 

出る前に一目、と思ったけど、見るのはやめておきました

怖かったから

 

 

 

 

 

呉鎮守府

提督 三崎亮

 

「……よし、準備はいい」

 

「そんな姿でいいんですか?今の時期だと寒いかと」

 

「……まあ、コレが一番まともなんだよ、それにこの姿じゃないとあいつを出さないしな」

 

「そうですか、でも、こんなことが出来るなんて」

 

「俺も驚きだ、つーか、そうか…本当にまた出て来ちまったんだな…」

 

両手で顔を叩き、鏡を見る

目元の紋様

黒を基調とした衣装に赤と金の装飾

 

「…懐かしいな、2ndか」

 

「セカンド?」

 

「俺はあと2回変身を残してるってとこだな」

 

「古いです」

 

「事実なんだよ、さて、行くか」

 

「質の高いコスプレにしか見えませんね」

 

「朝潮、お前俺のこと嫌いだろ」

 

「あ、いえ、提督のお姿は司令官のと比べて安っぽいなと」

 

「お前ほんとに俺のこと嫌いだろ…」

 

「皆さんを呼びますか?」

 

「誰も残ってないだろ、どうせ」

 

「そのとおりです」

 

「……やっぱお前俺のこと嫌いなんだな」

 

 

 

 

海上

 

「やっぱ、コレが出てくるよな」

 

コツコツと足を鳴らす

六角形の半透明な足場が見え隠れする

 

「…まずは木曽と大井だ、今の俺なら、止められる」

 

艤装についた発信機を追う

那珂に関しては艤装を持っていない為に追えないが

 

「バイクで行くか」

 

バイクを一台海に投げ捨てたのは別の話だ

 

 

 

 

 

「よお」

 

「……誰だお前」

 

「………なんで微妙に浮いてるのかとか、その変な格好は何かとか聴きたいですが、邪魔するなら提督とは言え殺します」

 

「提督なのか?」

 

「ああ、俺だ、訳あってこんな姿だが…説得しに来た」

 

「…ハハッお前バカなのか?そんな格好になっても何もかわらねぇよ、お前に何ができるんだ?」

 

「…お前らを止められる」

 

「冗談は嫌いです」

 

「冗談じゃねぇし、お前らをここでぶちのめして止めてやってもいいんだぞ」

 

「ハハハハハ!いいねぇ!姉さん…殺しても恨むなよ!」

 

「提督…どうしても退かないのですね」

 

「ああ、もしお前らが俺を殺せると思ってるなら、それは大きな間違いだぜ…御託はいいからさっさとかかって来い!」

 

「お望み通りやってやる!」

 

「20.3cm連装砲か、正直積ませたことを後悔してるぜ?」

 

「消し炭になりたくないからか?もう遅い!」

 

木曾の砲撃も、本来こんな接近戦でするものではない

それに、こっちは行くとこまで行った違法改造PC(プレイヤーキャラクター)ものともしない

 

「違う、取り回しの悪さだな、単装砲の方が狙いもつけやすいだろ、お前には少し重いんじゃないのか?」

 

「…何をした」

 

「何にも、俺も今は人間じゃねぇんだわ」

 

実際この体はデータ、回復アイテム一つで治る

以前現実に出た時なんか飲み食いするだけで回復する始末

 

「一撃で仕留めない限り倒せねぇよ」

 

「じゃあ一撃で仕留めさせていただきます!」

 

接近して酸素魚雷を至近発射か

 

「馬鹿、魚雷発射管が壊れるだろ、今誰も治せねぇんだぞ、もっと大事にしろ」

 

腕を掴み、締め上げる

 

「っ…離しなさい!」

 

「お前、戦いたくないんだろ、やめとけよ」

 

「そんなこと…!」

 

「…そうだぜ姉さん、俺がやる、提督、さっさと姉さんを離せよ」

 

「ああ、大井、離れとけ」

 

「……どうする、死ぬまでやるか?」

 

「…悪いけど、お前は動けなくする、艤装を全部ズタズタにしてから引きずって帰る」

 

「できると思ってんのか?」

 

「できるんだよ、さっきまでのみててわかんねぇのか?」

 

「わからないねぇ…あいにく俺は馬鹿なんでね!」

 

砲撃をしながら後退

遠距離武器を見せてない俺には正しいだろうな

 

「馬鹿正直なだけだよ、お前は」

 

背中に手を回し、大剣を引き摺り出す

 

「…なんだよそれ」

 

「武器」

 

刃に当たる部分にサメの歯のような細かな刃があり、それぞれがチェーンソーのように回り始める

 

「…イかしてんな」

 

「負けたらくれてやるよ!」

 

弾をかわしながら木曾との距離を詰め、砲塔に刃を押し当てる

激しい火花とともに金属音が鳴る

すぐに砲塔が一つ切り落とされる

 

「チッ…本気かよ…」

 

「怪我しないうちにやめとけ」

 

「…嫌だね、那珂は殺す」

 

「球磨たちは俺が連れて戻ってきてやるから」

 

「…納得できない」

 

「じゃあ納得させてやる、那珂にも頭を下げさせる」

 

「そんな事当たり前だ!」

 

「その為に、殺させねぇよ」

 

「やってみろ!」

 

 

 

結果として木曾は砲を失っあと飛びかかってきた、最後には大いに引き摺られ、鎮守府へと連れ帰ることに成功

目的は果たした

 

「…提督、私は信じてますから」

 

大井にはそういわれたが、正直球磨達をすぐに直す手段は見つかっていない、また再誕に頼るほか、ないのかもしれない

 

もっとも再誕は失われたままだが

 

 

 

 

 

軽巡洋艦 神通

 

「那珂ちゃん、お願いします、話を聞いてください」

 

「イイヨ!なんでモ聞いテあげル」

 

なんだ、妹は、話せるじゃないか

油断した

 

「鎮守府に戻りましょう?みんな待ってますし、何より謝らなきゃ…」

 

「ソウダネー、良くないコトしちゃっタ!」

 

普段と同じに見えた笑顔

 

その背後に黒い泡が見えた時、ようやく私は気づいた

油断しちゃいけなかった

 

「…えっ」

 

那珂ちゃんの手には、クナイのようなソレが握られてて

ソレは私の片腕を落として

 

「………あ、ああっ…ー!!!」

 

気づいた時には、真っ先に恐怖して

その姿を、私を見て那珂ちゃんは笑ってて

 

「ごメーン神通チャン、モウ、遅イヨ?」

 

そして次の瞬間には私を無慈悲に追いかけてきた

私は、落ちた腕を拾い、必死で逃げたのに

逃げられるわけがないのに

 

「ナンデ逃げるノー?神通ちゃ〜ン!」

 

向こうのほうが早くて、すぐに肩を掴まれて

 

「もう、捕まえタ!」

 

私のよく知る那珂ちゃんの笑顔で

知らない顔をしながら

 

私を殺そうとしていた

 

「ねぇ、何してんの?」

 

 

 

雷巡 北上

 

鎮守府近海の哨戒

ソレが今日の仕事だった

 

何かが聞こえた気がしたから通信を入れて、そっちに向かった

そして、見てしまった

 

「ねぇ、何してんの?」

 

姉妹を殺そうとする

ありえない話だけど、目の前で起こってる、止めないわけにはいかなかった

 

「…ミツケタ…お前…オマエダヨ…」

 

「…那珂?」

 

「北上さん逃げて!那珂ちゃんは操られてて…!」

 

必死な顔でたたえようとする神通の顔はすぐに水没した

 

「息出来ないよ、離しなよ」

 

「ドノミチ、殺スから…イイヨ」

 

那珂じゃない

遅いけど、やっと気づいた

誰なんだこいつは

 

『呉に連絡入りました、応援が向かうそうです、こちらからも出します』

 

「やめて、中途半端なのがきたらやられる…戦艦と空母の陸上支援でよろしく」

 

『わかりました、それから那珂さんは例のウイルスに寄生されています、気をつけてください』

 

「ねぇ那珂、そんなのより私と遊ばなくていいの?」

 

「…ソウダッタ…早く…速く、疾く…ハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤク!」

 

「相手してあげようじゃないか」

 

戦いは劣勢だった

前回のようなスイッチが入ってるわけでもなさそうなのに

恐ろしく強かった

 

「ッ…!」

 

魚雷を撒いてもそれを物ともせずかわし、クナイで斬りつけられる

というかクナイでは無い、黒い泡のような

 

「弱い?弱いヨ?弱いっテ、ナンデ?ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ?」

 

子供のように笑いながら聞いてくる

目は殺しに来てるけど

 

「本気とかそんなレベルじゃ無いね」

 

単装砲を向けて、放つ

正確に狙いをつけ、間接を狙い連射

ソレをクナイが呑み込む

 

「…嘘でしょ…」

 

「…コンナモノ?」

 

不味いなぁ…勝ち目無いじゃん

 

「イッきマース!!」

 

クナイを大きく振り上げ、迫り来る

 

「ダメかぁ…」

 

空間に何かが刺さる

大きな剣のようなものが、何もない虚空に確かに刺さり那珂との間に壁を作る

 

「よぉ、那珂、今度は逃さねえ」

 

「…ンー?ファンの人ー?」

 

「俺だ、提督だよ」

 

提督ってみんな化け物か何かなのかな

 

「提督ゥ?そっかー、ジャマシニきたのー?」

 

「そうだ、邪魔しに来た、帰るぞ」

 

「帰らないよー、というか、シンデ?」

 

標的が変わり、那珂が自称提督に迫る

 

「おい!今のうちに神通を!」

 

そういえばそうだった!

 

 

 

 

提督 三崎亮

 

「っしゃあ!」

 

「ねぇ提督、ナンデ強いノ?」

 

「さあな、俺もオマエと同じとこから出てきたからかもな!」

 

「………シネ」

 

大剣を大きく振るい、那珂を吹き飛ばす

 

「そら、追撃だ!」

 

護符を振るい光線を飛ばす

 

「ったく便利だな、なぁ?おい、もう満足したか?」

 

「…コロス」

 

「那珂、お前は今すぐ助けてやる、だから俺と一緒にあいつらに謝りに行くぞ」

 

近づいてきた那珂を大剣でひっかけ、海面に叩きつける

 

「よし、今だ!」

 

まばゆい光が那珂を包む

 

『………』

 

「AIDAは消えたか?」

 

『…ア"ァ"…』

 

「…ふぅ、助かったぜ、サンキューな」

 

トライエッジは炎に消えていった

とりあえず那珂はコレでいいだろう

神通や木曾は納得してくれるといいが

 

深くは考えず那珂をつれて、呉に戻った

 

 

 

 

「…よし、こっちに戻れるだけ楽だな」

 

キャラクターの方を帰し、自分の体に戻る

 

「那珂、どうだ」

 

「………」

 

何も言わない、どうやら記憶があるらしい

 

「お前は悪くない、とは思うが、周りは許せないだろう、謝れ、俺も行くから」

 

「謝って償えるものじゃないよ、コレは」

 

「そうだな、お前は周りの信頼を弄ぶように、甚大な被害を出してくれたわけだ」

 

「………提督」

 

「言うな、とりあえず木曾と大井だ、あの2人に許してもらわない限り他の誰にも謝れない」

 

 

 

「本当に、ごめんなさい」

 

「この通りだ、俺からも頼む、許してやってくれ」

 

「………なんで許さなきゃならないんだ?球磨姉さん達はいまだに帰ってきてないぞ、どうしてくれるんだよ」

 

「提督、姉さん達を、連れて帰ってきてくれるんじゃなかったんですか?」

 

「必ず治す、約束する、だから頼む、今はこいつを許してやってほしい」

 

「ふざけんなよ!なんで…こんな事に!」

 

「姉さん達が帰ってこないなら、私は川内にとどめを刺します」

 

「それはやめて!お願いだから!私はどうなってもいいから…川内ちゃんは…!」

 

「今寝たきりになってるのは誰が原因なんですか?わかってますか?貴女なんですよ?」

 

「…わかってる、あの時の私は…」

 

「どうかしてたって?ふざけんなよ?あの時だけーなんて言ってたら許されると思ったのか?」

 

「木曾、大井、お前たちが感染してたかもしれないんだ、誰でも起こりうる事だった」

 

「そうかよ、だからなんだ?運の悪い那珂を許せってか?」

 

「叶わぬ相談です」

 

「球磨達は、俺が命に変えてもなんとかする、だから待ってくれ」

 

「どれだけかかるんですか?」

 

「断言することはできない、だけど頼む」

 

「もし、本当に治ったなら、改めて話を聞きます、それまでは視界に入らないでください、不愉快です」

 

「那珂、お前が1人であるのを見かけたら、容赦なく殺してやる」

 

 

 

 

「………」

 

「あいつらも優しいな」

 

「…何言ってるの、頭おかしくなっちゃった?」

 

「俺と一緒に、川内や球磨を治せって言ってたんだよ」

 

「……あ」

 

「いい仲間に恵まれてんだよ、お前は、ほら、早く解決策を探すぞ」

 

「…うん!」

 

 

 

 

 

離島鎮守府

 

「私が出たと思ったらすぐ埋まるんだから退屈しないよねここ」

 

「…両手があれば負けませんでした」

 

「負け惜しみはいいからさ」

 

「………悔しいんです」

 

「そっか…」

 

「神通さん!貴女ここに厄介になってる身なのに連日夜中まで格ゲーするのやめてください!」

 

「…だって、勝てなくて…そうだ、この拘束を外せば…」

 

「そっちの手はまだくっついてないからダメー!!」

 

「那珂が元気ってわかった途端コレだもんね、大物だわコリャ…」

 

「そろそろ寝てもいいですか?」

 

「ごめん朧ちゃん!ほら、北上さんも行きますよ!またあしたね!」

 

「じゃあねぇ〜」

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