元勇者提督   作:無し

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策略

太平洋 深海棲艦基地

駆逐棲姫

 

駆逐棲姫「……はー」

 

戦艦棲姫「話ヲ聞ケト言ッテルノ!コッチ見ナサイ!」

 

駆逐棲姫「そんなに怒ってると……ハゲますよ?」

 

レ級「クッ…ハハハハハ!」

 

戦艦棲姫「笑ウナ!レ級!!」

 

駆逐棲姫「そもそも、ヨーロッパ行きはいいんですけど私は何をするんですか?」

 

戦艦棲姫「……暴レレバヨカッタノヨ、ソレデ…チカラヲ見セレバ…」

 

駆逐棲姫「アハッ…貴方もみんなも、馬鹿なんですねぇ」

 

レ級「全く持ってその通り、暴力でしか力を証明できない無価値な存在」

 

戦艦棲姫「何ヲ…!言ワセテオケバ調子ニノッテ!!」

 

駆逐棲姫「私ってぇ…自分で戦うより、こっちの方が得意だなぁ…」

 

頭を人差し指で軽く叩く

 

レ級「どのみちその腕じゃな」

 

肉を削ぎ落とされた腕を眺める

 

戦艦棲姫「オマエノ治療ニハカナリ時間ガカカル、余計ナ事バカリ…」

 

駆逐棲姫「ノンノンノン、私ならこの戦争を変えてあげますよ?」

 

戦艦棲姫「戦争ヲ、変エル…?」

 

駆逐棲姫「資材や無駄に溜め込んだ航空機を使えば殆どの国は落とせますねぇ」

 

戦艦棲姫「…大空襲カ…」

 

駆逐棲姫「できない話じゃない、むしろ現実的に可能な話ですよ」

 

レ級「…くだらない、確かにそれなら可能かもしれないけど、面白みなんて何も無い」

 

駆逐棲姫「じゃー…そうですね、私の戦術通りに動いてくださいよ、圧勝して見せますから」

 

レ級「私はそんなものなくても圧勝できる」

 

駆逐棲姫「その辺の雑兵を使うでも構いませんから、私はやっぱり自分で戦いたく無いなぁ…」

 

レ級「……はぁ」

 

駆逐棲姫「その代わり、気になる事があって…上手くいったら何で捕虜なんか捕まえてるかを教えてくださいよ」

 

戦艦棲姫「ソンナ事イクラデモ教エテヤル、アノ捕虜ドモハ艦娘ニ見捨テラレタ艦娘ダ」

 

レ級「回りくどい……所謂ドロップ艦ですよ、戦闘中にいきなり人間が海にプカプカしてても助けられないでしょう、それを回収して飼っている」

 

駆逐棲姫「何のために?」

 

戦艦棲姫「…離島棲鬼ノ趣味ダ…」

 

レ級「あと人体実験」

 

駆逐棲姫「人体実験!素敵ですねぇ、私にもさせてくださいよ!」

 

戦艦棲姫「…レ級、コノ新人ハオ前ガシッカリ躾シロ」

 

レ級「お断り」

 

駆逐棲姫「…あー、そうだ、いいこと思いつきましたよ?」

 

戦艦棲姫(こいつもロクでもないのか…)

 

レ級「まあ、聞くだけ聞きましょうか」

 

駆逐棲姫「きっと有効で楽しめる作戦」

 

 

 

 

 

 

 

宿毛湾泊地 執務室

提督 倉持海斗

 

朝潮「…その、残念ながら、有益な話は何も…」

 

荒潮から大湊警備府の話を聞いて来た朝潮

しかしどこが歯切れが悪い

 

海斗「朝潮…もしかして調子悪い?」

 

朝潮「…そう、かもしれません…すいません、失礼します」

 

海斗(朝潮は何を隠してるんだろう、確認したいけど…横須賀に行ってもらった支援部隊もあと数時間で帰投するし、そっちの用意も…)

 

山雲「司令さーん」

 

執務室の扉を開き山雲が入ってくる

 

山雲「支援部隊の人たちのご飯、買ってきましたよー」

 

間宮も横須賀に支援に行っているため、食事の準備は如月達が行う…その予定だったが、間宮からの申し出で如月と満潮も横須賀に手伝いに行った

つまり今は泊地に全員分の食事を用意できる人員がいない

 

荒潮「お弁当屋さんで、人数分注文してきました〜」

 

海斗「…あれ?荒潮、どうしてサングラスにマスクなんかしてるの?」

 

荒潮「そ…その、花粉症で…」

 

海斗(酷い鼻声だ…もう7月になって花粉はそんなに飛んでないと思ったけど…)

 

山雲「あ、領収書」

 

荒潮「…これ」

 

荒潮が領収書を持ってくる

 

海斗「……ありがとう、ところで荒潮、サングラスとマスクを外せる?」

 

荒潮「…花粉症が酷いのでー…」

 

山雲「……」

 

山雲が荒潮の背後からマスクの紐を外す

 

荒潮「あ…!」

 

海斗「…荒潮、誰にやられたの?」

 

荒潮の頬は赤く腫れ上がり、何かに引っ掻かれた様な傷までついている

 

荒潮「これは…その、転んじゃって…ほ、ほらー、傷ついた女の子の肌なんて見ちゃダメよー?」

 

海斗「荒潮、朝潮がやったの?」

 

荒潮「姉さんは関係ない!こけただけよ!」

 

山雲「司令さーん、荒潮は、心優しい子ですよー」

 

山雲の言葉の意味は…

 

海斗「…わかってるよ」

 

山雲が荒潮の頭を撫でる

 

山雲「荒潮ー?姉さんのためにも、正直に話しなさ〜い?」

 

海斗「朝潮のことは良くわかってる、君が朝潮を誰より大事に思ってることも…だけど、だからってこれはハッキリさせなきゃいけない事だ」

 

荒潮「…う…うぅ…」

 

山雲「あら〜、泣いちゃった…司令さん、荒潮をお願いしますね〜」

 

海斗「わかった…君は?」

 

山雲「…姉を、連れてきます…」

 

海斗「…さっき部屋に戻った、きっとまだいるはずだよ」

 

山雲「どうも〜」

 

荒潮「司令官、お願い…姉さんを許して…」

 

海斗「どんな理由があったのかは知らない、でも朝潮が君に手をあげるなんて…一体何が有ったのか教えて欲しいんだ」

 

荒潮「…それは…」

 

海斗「教えて、荒潮」

 

荒潮「……大湊警備府は、すごく劣悪な環境で…艦娘は人としての扱いを受けられる様な場所じゃなかった…もしかしたらもう…って」

 

海斗(…そうか、荒潮は最悪の事態を思い浮かべてたのか)

 

荒潮「…そう言ったら…姉さんはそんなわけないって…姉さんは悪くないの…!私が…」

 

海斗「落ち着いて、荒潮」

 

荒潮の頭に手を置く 

 

海斗「良く話してくれたね、確かに朝潮は悪くない…朝潮にばかり君たちのことを任せた僕の責任だ」

 

海斗(朝潮型は個性も激しい上に1番所属数が多い、それを取りまとめる役目はきっと負担も大きかった…)

 

山雲「入りまーす」

 

やや乱暴にドアを開き、山雲が朝潮を引きずって入ってくる

朝潮の方は崩れた姿勢で歩くことすらままなっていない

 

荒潮「ね、姉さん…何したの…?」

 

山雲「朝潮ねぇさーん?立って?」

 

朝潮「……」

 

山雲「立って」

 

山雲が朝潮を立たせる

 

海斗「…朝潮、ごめんね…君にばかり負担を押し付けて」

 

朝潮「それは違います…私が荒潮に手を挙げたのは…私の未熟さ故です、私だけが…」

 

荒潮「姉さん…」

 

山雲「あ、さ、し、お、ねーさーん?」

 

朝潮「…」

 

山雲「…朝潮型2番艦、及び6番艦として、大潮としても、山雲としても〜…もっとちゃんと姉妹の面倒を見ないといけないわね〜」

 

荒潮「……」

 

山雲「長女を怒れるのは〜、司令さんとー…」

 

山雲が朝潮の頬を打つ

 

朝潮「っ…」

 

山雲「次女の私だけですねー…ねぇ、姉さん?」

 

朝潮「…そう、ね」

 

山雲「姉さんに二つ言いたい事があります、一つはこれ」

 

山雲が朝潮の手首を掴み持ち上げる

 

山雲「爪伸びすぎです!そのせいで荒潮の顔に引っ掻き傷がつきました!」

 

荒潮「あのー…今それは…」

 

山雲「今は重要なことしゃべってるので口出しは無しです!」

 

荒潮「はい…大潮姉さんはこう言う人だったわね…」

 

山雲「それと、確かに最悪の可能性の話です、これは常につきまとう事!それで激昂して妹に手を挙げるなんていけないことです、いいですか?この2つをよ〜く反省して謝ること!」

 

朝潮「…荒潮、ごめんかさい」

 

荒潮「い、いいの…私だって…憶測で酷いことを…」

 

山雲「さて〜…と、山雲は〜、姉さんに手をあげたいけない子、という事になりますね〜」

 

朝潮「いや、そんな事…」

 

山雲「でも姉さんに手をあげさせる訳にもいきませんし〜、荒潮からのビンタは…爪長いのでごめん被りますね〜、つまり、司令さ〜ん?」

 

海斗「ぼ、僕?」

 

山雲「山雲に罰を〜」

 

荒潮(……ああ、そう言う事…1番いい役を取れたわけね…)

 

朝潮(計算高いと言うか…)

 

山雲「何か、罰をくださ〜い…姉さんの負担を増やさない為、にも〜」

 

海斗「…弱ったな…山雲も朝潮に謝って終わりじゃだめ?」

 

朝潮「賛成します」

 

山雲「ダメー、姉さんに対する罰だもの、謝ったら価値が無くなるじゃない〜」

 

海斗「…じゃあ、事務処理を手伝ってくれる?資料を整理してくれるだけでいいから…」

 

山雲「わーい、山雲を秘書艦に任命してくださるんですね〜」

 

海斗「え?」

 

朝潮「山雲、それは流石に行きすぎかと思うのですが」

 

荒潮「…私しーらない」

 

山雲「大変でしょうけど、お仕事ですからね〜、罰ですから〜」

 

朝潮「良く考えれば私も反省が足りませんね、参加します」

 

山雲「妹に平手打ちされたんですもの〜、姉さんは十分罰を受けましたよ〜?」

 

荒潮「…姉さん、ここまで計算ずくなのね〜」

 

海斗「…えーと…朝潮もやりたいなら…やる?どうせ手が回らなくなるとは思ってたし…大変だけど」

 

朝潮「喜んで!」

 

山雲「えー…司令さーん…」

 

荒潮「……乗りかかった船だし〜…私も電話当番くらいならしようかしら〜」

 

山雲「…むぅ…」

 

海斗「山雲、君も機嫌を直してよ…」

 

山雲「直しませ〜ん、これはー、泊地のそばに畑をくれないと許しませんよ〜?」

 

海斗「畑…随分と変わった要求だけど…まあ、空いてる場所なら好きに使って構わないよ」

 

山雲「やりました〜、自家製野菜で司令さんの胃袋を掴んじゃいますよ〜」

 

朝潮「…気の長い話ですね…」

 

荒潮(姉さんは知らないけど…もう野菜は隠れて結構栽培してるのよね…植え替えだけで終わるんじゃないかしら…)

 

 

 

 

 

 

 

駆逐艦 曙

 

曙「帰ったわよ」

 

海斗「おかえり、皆んなお疲れ様」

 

金剛「帰ってきたと言っても…うーん…アレを放置して帰るなんて…すごく複雑な気分デース」

 

海斗(…大都市への空襲、そして上陸作戦…被害はとんでも無く甚大だ…向こうは凄惨な光景が広がっている事だろう…)

 

曙「…ねぇ、ウチで1番頭がキレるの誰?」

 

海斗「えっと…誰だろう、どうしたの?」

 

曙「アタシはあんまり考えて結論を出すの得意じゃないのよ、でも向こうで聞き取りしたり、情報集めてきてわかった事があるの」

 

朧「…どんな事?」

 

曙「まず、みんなわかってる通りこの襲撃は深夜に行われた…すごく悪意を感じる時間帯よね、いくらでも被害を出せる…」

 

海斗(空襲も上陸作戦も気づいた時には遅く、防ぐことなんて到底できなかった…だからこそここまで被害が出た)

 

曙「あ、それと避難所で話を聞いてわかった事があるんだけど、指示を出してる奴がいたみたい…それも、人の言葉で」

 

朧「日本語って事…?」

 

曙「そう、日本語で目的地を指示してるみたいだったって…で、詳しく話を聞いたりしてたらその声を聞いた人たちみんなご近所さんだったの、指示役は1人、もしくは僅かな数しかいないんだと思うわ、誰か大きい地図持ってない?もしくはタブレット」

 

朧「あ、あるよ…」

 

朧のタブレットで東京周辺の地図を出す

 

曙「えーと…確か住所は…この辺ね…」

 

朧「この辺りで声を聞いたって事?」

 

曙「そう、北に3キロってね」

 

海斗「3キロ先の地図を、それと…潮、漣、最新の航空写真がパソコンに入ってる、コピー機で現像してきて」

 

漣「あいあいさー!」

 

潮「待ってよ漣ちゃん!」

 

海斗「他に何かわかる事は?」

 

曙「それだけよ、沿岸部は軒並みやられてる、行方不明者も混乱が収まり次第計測するみたいだけど…破壊された住宅や施設は確認が取れてるだけで既に四桁超えてるって」

 

朧「深海棲艦は襲撃を開始して僅か2時間で撤退した…これって、陸上での活動限界だったりするのかな」

 

海斗「それは無いと思うよ、深海棲艦の基地は島にあったわけだし…」

 

阿武隈「じゃ、じゃあ…目的を果たしたとか…」

 

曙「目的?なによそれ」

 

阿武隈「…さ、さあ…」

 

加賀「提督、横須賀鎮守府についてですが、被害は甚大、しかし略奪はなかったそうです」

 

海斗「え?じゃあ何の為に…」

 

加賀「横須賀には大量の燃料や鋼材などの資材があり、日本の海岸の倉庫の役割…そして艦娘の養成所の役割も兼ねている…しかし略奪や艦娘の虐殺を行う様なことは無かったと」

 

海斗「…つまり、狙いは別にあったんだ…でも何を狙って?」

 

潮「写真持ってきました!」

 

漣「番号振ってるから並べて並べて!」

 

航空写真を順番に並べる

 

海斗「3キロ先…は、この辺りか…」

 

曙「…丁度ここで襲撃は終わってるのね、破壊活動の形跡も特にない…」

 

海斗「ここには何が…」

 

敷波「特務部のオフィスがある」

 

曙「敷波!?」

 

海斗「敷波…!」

 

加賀「貴方、少し前に行方をくらましてから…どこに」

 

敷波「特務部、今のアタシの所属は特務部だよ…ねぇ、司令官?」

 

曙「…まさか、アンタ知ってて黙ってたの?」

 

海斗「…通達はあったよ、だけど問い合わせても確認が取れなかった」

 

敷波「特務部である以上、構成メンバーも内密に」

 

敷波が人差し指を口に当て、しーっと息を吐く

 

敷波「ところで、アタシは深海棲艦の目的、わかったよ」

 

海斗「…教えてくれる?」

 

敷波「綾波の遺体」

 

朧「…綾波の、遺体…?じゃあ、綾波は本当に…!」

 

海斗「……」

 

曙「…何よ、綾波は死んだの?」

 

漣「えっ…し、死んでんの…?」

 

敷波「死んだ、だってアタシが殺したから…ほら…この脚も綾姉ぇにもらった」

 

朧「…敷波、それは…」

 

提督が朧を制する

 

海斗「それより、続きを」

 

敷波「前にアタシに足を生やした深海棲艦が居た、そいつは脚を与える代わりに…姉の命をもらうと言っていた」

 

海斗「…だからって、なんで綾波の遺体を?」

 

敷波「知ったこっちゃ無いよ…でも、なんていうか…遺体のあった場所には、何も無かった」

 

朧(綾波の遺体は特務部に保管されてたんだ…何のために?)

 

海斗「綾波の遺体を確保して…撤退した…」

 

海斗(何のために…深海棲艦の素材にする為?…もし、蘇生して綾波を深海棲艦にしたとしたら…だけど綾波は戦う様なことは…)

 

曙「…ねぇ、ホントに綾波1人のためにこんなことしたって言うの?」

 

敷波「多分ね」

 

曙「…それと、アンタが殺した理由は何」

 

敷波「ケジメだよ、綾姉ぇが二度と…あんな事しないように……でも、綾姉ぇはきっとやってないんだよね…」

 

朧「じゃあ何で殺したりなんか…!」

 

敷波「…それがわかった時には、殺しちゃってたんだよ」

 

朧「っ…」

 

海斗「……綾波の為にも、早くこの戦いを終わらせよう」

 

敷波「わかってる、アタシは特務部として動くけど…また顔出すね」

 

海斗「…元気でね」

 

敷波「みんなこそ」

 

朧「……」

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