元勇者提督   作:無し

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特務部オフィス

駆逐艦 敷波

 

敷波「…これ、報告書」

 

数見「ああ、他に手紙のようなものは?」

 

敷波「…どうぞ」

 

封筒を差し出す

 

数見「……成る程、アメリカ行きの飛行機を手配してくれ」

 

敷波「飛行機…?航空機は危険じゃ…」

 

数見「駆逐棲姫の艦隊が護衛を出してくれるそうだ、そしてアメリカでハザードを起こす」

 

敷波「…ハザード?」

 

数見「アメリカの海軍は特に疲弊している、我々の力を求めてやまない程に…異邦の神の力を」

 

敷波(…AIDAを利用して何を…)

 

数見「空軍の戦闘機を用意してくれればいい、最短ルートを通らせる」

 

敷波「…了解しました」

 

 

 

 

 

宿毛湾泊地 執務室

駆逐艦 島風

 

島風「提督!島風復活しました!」

 

海斗「ああ…えーと…おはよう…」

 

執務室は荒れ放題、ソファで川内さんと知らない人が座ったまま寝てるし…

 

島風「…これ、どういう状況?」

 

朝潮「さあ、私も先ほど来たばかりで」

 

山雲「ね〜」

 

島風(居たんだ…)

 

海斗「昨日来た分の書類は…終わってるから、ええと…朝潮、春雨を起こしてくれる?」

 

朝潮「この人ですね…すいません、起きてくれますか?」

 

春雨「ん…んぅ…」

 

朝潮「寝相悪…ぶふっ!?」

 

春雨の裏拳が朝潮の顔面を捉える

 

朝潮「いっ…痛ぁ……」

 

山雲「朝潮姉さん、鼻血出てるわよ〜?」

 

朝潮「え、やだ…制服についてる…す、すいません司令官!一度失礼します!」

 

海斗「えっと…ごゆっくり」

 

山雲「私も〜」

 

島風「二人とも行っちゃった…」

 

亮「邪魔するぜ」

 

海斗「ああ、帰ってこれたんだ…おつかれ」

 

亮「昨日の晩に解放されたからそのまま夜行バスでな…って、なんだこの状況」

 

海斗「悪いけど…春雨さんを起こしてくれる?」

 

亮「うわ…なんでこいつが此処に…!」

 

海斗「今日からうちの所属に…うん、もういいや…お願い」

 

亮「ったく…川内までいやがる…おい!起きろ!」

 

春雨「楚良…?」

 

亮「だから楚良って呼ぶなっつってんだろ…!」

 

春雨「楚良だー!え?なんで…あ、そっか、職場変わったんでしたね、はい」

 

亮「急に冷静になんな…川内、お前も起きろ…!」

 

川内「むにゃ…起きてるって…2時間前から起きてるってば…」

 

亮「那珂が神通に喧嘩売ってたぞ」

 

川内「嘘!?もう、本当になんでそんな馬鹿な事…!!」

 

亮「嘘だ、おはよう、川内」

 

川内「…わーお、いつ帰って来たの?」

 

亮「今さっき」

 

川内「…お茶淹れてこようか」

 

亮「要らねぇから、お前はお前の仕事しろよ、もう8時だぞ…総員起こしから2時間も…」

 

川内「失礼します!」

 

亮「…逃げ足はええ…」

 

海斗「…いいかな?春雨も…」

 

春雨「ああ、はい」

 

海斗「島風の精密検査をお願いしたくて」

 

島風「おぅっ…!」

 

春雨「ん…ああ、了解……というか、なんで此処に?」

 

海斗「…あ、れ?島風、君怪我は!?」

 

島風「…怪我、そういえば治ってる…」

 

春雨「なるほど、良いですよ、調べます」

 

海斗「お願い…」

 

荒潮「失礼しま〜す、コーヒー持って来ましたー」

 

春雨「さて、島風さん、いきましょうか」

 

島風「やだー!」

 

 

 

 

 

食堂

駆逐艦 曙

 

曙「…え、なに、コイツはウチで面倒見ることになったの?」

 

隣で食事をかきこむ秋月を指す

 

朧「うん…まあ、他に歳が近い子は居ないし…秋月、誰も取らないからゆっくり噛んで食べなよ…」

 

秋月「わかってるんですけど…美味しくて…」

 

漣「泣きながら貪り食っとりますよ…」

 

潮「そういえば、秋月ちゃんのお話は何も聞いてないよね…」

 

秋月「……えっと、その…深海棲艦の基地で捕虜になってました…」

 

曙「ぶっ!?」

 

茶を漣に噴き出す

 

漣「うわっ!ワタクシこんな趣味は無くってよ!?こんなハードプレイごめんだよ!」

 

曙「ごほっ…アンタ深海棲艦の捕虜って…なんで先に言わないのよ!」

 

秋月「…だ、だって…その…言ったら何されるかわからないと思って…」

 

朧「ま、まあ…話してくれる気になったなら良かった…」

 

潮「捕虜だった時に何も食べられなかったの…?」

 

秋月「…ペンギンの餌やり」

 

曙「何、強制労働がそれ?」

 

秋月「ペンギンの餌やりみたいにバケツに入った生魚を牢屋の中に投げ捨てられるんです…それが1日分の食事…でも、忘れられてる人がいたり、それすらもなかったりして…」

 

朧「寄生虫とか大丈夫なの?」

 

漣(そこじゃないよオボロン!)

 

秋月「き…寄生虫は…なった事ないですね…他の方はわからないですけど…」

 

潮「だからご飯をそんなに急いで食べてたの?」

 

秋月「何日あそこに居たのかはもうわかりませんけど…あんな生活が続いて…まともなご飯がまた食べられるなんて…うう…」

 

曙「…ん?」

 

朧「待って、元は何処かの所属だったの?」

 

秋月「いいえ…その、あそこに居た事以外の記憶は…」

 

曙「でも今アンタ またまともなご飯が食べられる って言ったわよね、何処で食べたことあるの?」

 

秋月「…そうだ、私どこで…」

 

曙(…奥底に眠る記憶…って奴かしら、コイツが記憶喪失だとしたら…天津風もそうなんじゃ)

 

潮「それより、秋月ちゃんは甘いもの好き?」

 

朧「あ、アレ作る?」

 

曙「ひっ…!」

 

漣「ぅげ…!ま、待たれいお二人!折角だし今日はお外に食べに行こうよ!」

 

曙「そうよ、せっかくだし私がお寿司奢ってあげる!」

 

秋月「さ、魚…」

 

曙「焼肉でもいいから!」

 

潮「…曙ちゃん、色んなところ骨折してるんだからやめた方が…」

 

漣「ぼのたんが奢ってくれるんだよ!?あのケチなぼのたんが!」

 

朧「でもみんなお給料同じだし…」

 

曙「ほら、肉を食べてスタミナつけたほうがいいでしょ!?怪我治す為にも!」

 

漣「そうそう!」

 

潮「…うーん」

 

朧「そうなのかな…まあ、そうしようかな…外出許可貰わないと」

 

秋月「私も外に出ていいんでしょうか」

 

曙「……そういやそうね、先に検査とかあるかも」

 

 

 

 

 

深海棲艦基地 捕虜収容所

駆逐棲姫

 

駆逐棲姫「さーて、と…」

 

荷物を乗せた台車を中央に止める

 

レ級「…全部の牢の鍵、開けた」

 

駆逐棲姫「みなさん、お食事ですよー」

 

捕虜は誰も動こうとしない

 

駆逐棲姫「あら、食べなくていいんですか?」

 

荷物の中からピザの箱を取り出して開ける

 

レ級「やっぱ冷めてる」

 

レ級が手に炎を灯してピザを温め、一切れ口に含む

 

レ級「…うわ、マルゲリータにパイナップル乗っかってるし…なんでクワトロにトロピカルを入れたんだ…」

 

駆逐棲姫「さあ?こっちはジェノベーゼですね、ああ美味しい」

 

捕虜たちの視線がピザに釘付けになる

 

駆逐棲姫「あ、私他のやつが食べたくなりましたねぇ」

 

まだたくさん残ってるピザの箱を投げ捨てる

 

駆逐棲姫「あれ、私のステーキ弁当は?」

 

レ級「どうせ全部冷めてるから」

 

レ級がステーキ弁当に火をつけながら口に運ぶ

 

駆逐棲姫「…あの」

 

レ級「うん、美味しい」

 

駆逐棲姫「それ私のステーキ弁当…」

 

レ級「肉まんでも食べてればいいんじゃないですか」

 

駆逐棲姫「…食べますけど…あーもう…あれ?」

 

いつの間にか投げ捨てたピザの箱に捕虜が群がり奪い合いが始まっている

 

駆逐棲姫「仲良く分け合って食べてくださいねぇ?ほら、此処にもご飯たくさんありますよ」

 

レ級「なんともまあ、無駄な事を…ふぅ、ええと…ああ、これもまあ食べられそうだな」

 

駆逐棲姫「ちょ…私のチュロス」

 

レ級「…粘土みたいな味する…」

 

駆逐棲姫「そう言いながら全部食べないでもらえますか…?」

 

レ級「うーん…ごちそうさまでした」

 

駆逐棲姫「私のご飯全部食べておいてその不満げな顔は…ああ、もういいですよ…」

 

レ級「しかし、捕虜どもになんでこんな食事を与えるのか理解に苦しむ」

 

駆逐棲姫「皆さん人間ですからねぇ…」

 

駆逐棲姫(そして今までの環境は最低すぎた…なんとも簡単な話だ)

 

レ級(…さて、離島棲鬼はどこまで容認するのか)

 

 

 

 

 

佐世保鎮守府

重巡洋艦 青葉

 

瑞鶴「…なるほどね、話はわかったけど…」

 

青葉「お願いします…!」

 

瑞鶴「…無理、これって何なの?AIDAなの?」

 

青葉「AIDAのはずです…」

 

瑞鶴「だとしたら変、AIDAの音が聞こえない…私じゃ治せない…」

 

翔鶴「そんな…」

 

青葉「…すいません、わかりました」

 

翔鶴「瑞鶴、何か手段はないの…?」

 

瑞鶴「…試せる手段はある、だけどリスクが大きすぎる…下手したら死ぬし…」

 

青葉「…その…すいません、私はこれで…」

 

瑞鶴「ちょ…何処に」

 

青葉「さあ…帰れるところもないですし…何とかならないか、足掻いてみます…」

 

翔鶴「私も…」

 

青葉「翔鶴さんは残らせてもらうべきですよ…せっかく姉妹が再会できたんですから」

 

翔鶴「そんなの…!」

 

瑞鶴「…力になれなくてごめん」

 

青葉「いえいえ、こちらこそご迷惑をおかけしました…」

 

青葉(…既に侵蝕はもう肩まで来てる…いつ顔みたいな隠しきれない場所まで進んでもおかしくない…だから、後悔したくないから…私は自分がいいと思った事をやる…)

 

 

 

 

 

 

横須賀鎮守府

提督 火野拓海

 

火野「大阪では死者は出ずに済んだか…」

 

大淀「ええ、ですが厄介なことになりましたね…戦闘の一部始終がネットに上がったせいで艦娘システムに向く目が変わりつつあります」

 

火野「…アレは、規格外だ」

 

大淀「身をもって知っています…」

 

火野「力を持った者は世界にとって異物となる…どうするべきか」

 

大淀「開き直る他ないのではないでしょうか」

 

火野「…仕方あるまいか」

 

大淀「それと…こちらをご覧ください」

 

火野「…空軍に?特務部は何を…」

 

大淀「我々も動きを早めねばならないようです…近いうちにまた、次は九州が」

 

火野「すぐに知らせを出せ、佐世保なら何とかできるだろう…」

 

大淀「…おそらく」

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