元勇者提督   作:無し

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交錯

宿毛湾泊地

駆逐艦 朧

 

満潮「あ、起きた」

 

如月「朧さん、お粥食べられますか?」

 

朧「…ありがとう…二人とも、いつのまに帰ってたの…?」

 

如月「昨日帰ったばかりです、大変でした…災害派遣」

 

満潮「でも、普段何もしてない私たちが活躍できる場があるって思うと…少し嬉しかったわ」

 

朧「…そっか」

 

満潮と如月がテキパキと身の回りを整えてくれる

 

満潮「あ、アレルギーとかある?卵粥にしちゃったけど…」

 

朧「ない、それにおじや好きだし、嬉しいな…」

 

如月「お口に合うと良いんですけど…」

 

満潮「味の好みまではわからなかったから…」

 

朧「ありがとう…」

 

満潮「ところで…気になったから聞きたいんだけど…」

 

朧「なに?」

 

如月「その…背中についてる機械は…」

 

朧「え、艤装の接続パーツ……あ、見たの!?」

 

満潮「ごめん、体拭くときに…」

 

朧「拭いたの!?いや、寝起きなのにサッパリしてると思ったけど!」

 

如月「ごめんなさい、ダメだったかしら…」

 

朧「いや…なんて言うか…恥ずかしいでしょ…」

 

満潮「…ああ、確かに…」

 

如月「そう言えばそうかも…」

 

朧(この二人派遣期間中に何があったの…?)

 

満潮「いや、怪我してる人とか自分でお風呂入れない人も沢山いたし…」

 

如月「その…ごめんなさいね…」

 

朧「いや、助かったけど…うん、ありがとう…」

 

満潮「とりあえず冷めちゃう前に食べて」

 

如月「一人で食べられる?食べさせてあげましょうか?」

 

朧「いや、食べられるからそこまで至れり尽くせりは…」

 

満潮「無理しちゃダメよ」

 

朧「いや、無理とかしてないし…」

 

腕の乗ったトレーを受け取り、中身を口に運ぶ

 

満潮「そういえばなんでアンタが風邪なんか…」

 

朧「いや、艤装の接続パーツ見たでしょ、アレの手術の副反応ってやつらしいけど…」

 

満潮「そうなの?でも他に受けたって人はそんな事なかったけど」

 

朧「他に…?誰が受けたの?」

 

満潮「他所の子だけど、白露って子」

 

如月「手術を受けにわざわざ来てたみたいね」

 

朧「1人だけ?」

 

如月「あとは…天龍さん?」

 

朧「天龍さんも…?」

 

朧(…発熱があるかはわからないけど、まさか熱のある状態で出撃したんじゃ…)

 

満潮「佐世保に行った連中といえば、さっき応援の要請があったのよね…朝潮姉さん達も出たみたいだし…」

 

朧「朝潮達も…そんなに人手が必要なの?」

 

満潮「レ級と交戦したらしいわ」

 

朧「レ級…でも、曙も居るなら…」

 

如月「詳細はわからないけど…あんまり良い状況じゃないのは確かみたい…」

 

朧「…そっか、じゃあ応援にはみんなが?」

 

如月「島風ちゃんと川内型の人たちは控えてるみたい…」

 

満潮「というか、この前司令官がぼやいてたけど島風と曙だけ燃料の消費がとんでもないらしいわよ、だから両方出撃させるのは厳しいんじゃない?」

 

朧(まあ、2人とも燃料を使って特殊な行動をしてるわけだしね…)

 

如月「それでもすごく強いから…居た方がきっと良いと思う…」

 

満潮「そりゃそうだけど…って、病人の前でする話じゃないか」

 

朧(こんな時にアタシはなんで寝てるんだろ…)

 

如月「私達はこれでー」

 

満潮「養生しなさいよ」

 

朧「うん、ありがとう」

 

2人を見送る

 

朧(…あれ、パソコンがつきっぱなしになってる…起動した覚えなんてないのに…いつの間にThe・Worldを起動して……あれ…)

 

 

 

 

医務室

軽巡洋艦 夕張

 

夕張「うーん…こっちでも戻ったら戻ったで仕事が山積み、か…」

 

目の前のベッドに横たわる白髪の女の子を眺める

 

夕張「命の危険はありませんじゃないって…なんでこんな状態で置き去りにするのかなぁ…しかも…」

 

身体のあらゆる部分にある異様な痕跡

そこから肌の色が変わっている、まるでつぎはぎのような…

 

夕張(…たしかキタカミさんの身体にも同じような痕が見られたんだったか…あっちは首の上と下で分かれてるみたいな…)

 

夕張「何しろ、これじゃあね…点滴もちゃんと届いてるのか、それに…」

 

もし、今ここで暴れられたら…レ級相当の実力として対応できるのは川内型3人と島風ちゃん

だけどそんなに素早く対応はできない…私の命は間違いなく…

 

夕張「あー、やだやだ…考えるのはやめにしますか……えーと…カップ麺コレクションは…げ…何にも残ってない、留守中に食べられた…いや、横須賀に戻るときに全部民間人に渡したんだっけ…買いに行くしかないかぁ…」

 

神通「お供しますよ」

 

夕張「うわっ!?」

 

背後から急に現れた神通に驚き飛び退く

 

神通「大きな声を出さないでください、姉さんに勘づかれます」

 

夕張「いや、待ってよ…一緒に買いに行くのは良いんだけど…天下の川内型の長女様を敵に回したくないって言うか…」

 

神通「大丈夫です、夕張さんに迷惑はかけませんから」

 

夕張「…嘘だー…バレたら私から誘われたことにしようとしてるな…?」

 

神通「いいえ、そんな事はありません、私の目を見てください」

 

夕張「何、魅了とかするの?」

 

神通「できませんよ…」

 

夕張「というか…カップ麺なんて持って帰ったら即バレすると思うけど?」

 

神通「ですので…此方を」

 

チラシを見せてくる

 

夕張「…バーガー…キング…?」 

 

神通「如何ですか」

 

夕張「乗った!もう3週間もジャンクフードは食べてないし…それに…ハンバーガー!」

 

神通「少々遠出になりますので外出許可を貰っていきましょうか」

 

夕張「うんうん、今からならイケるはず!さーて、提督を探しに行きましょ!」

 

 

 

 

 

執務室

 

夕張「失礼しまーす」

 

海斗「あ、夕張に神通さん」

 

神通「…なんですか、この惨状は…」

 

床にひっくり返った書類、そして踏み壊されたボールペンからインクが飛び散りまくり

あるはずのない子供用のおもちゃ類まで散らかっている始末…

 

その中の一つを取り上げる

 

夕張「…なんでまたこんなおもちゃを」

 

女児用のおもちゃ、それが男性の仕事場にある…

と言うのは違和感が強い

 

海斗「いや、僕じゃなくてね…」

 

ソファの方に視線を誘導される

 

夕張「…あ…」

 

神通「…確か、暁さんと…」

 

海斗「響だよ、2人とも今朝にこっちに来て…」

 

毛布に包まり、寄り添って眠っている2人が視界に入る

 

夕張「今朝から?」

 

海斗「まあ、ご覧の有り様でまだ誰にも伝えられてないんだけどね…」

 

神通「それで今から片付けを?」

 

海斗「まあ、ようやく寝付いてくれたから…なんて言うか…前に比べて年相応になった感じだよね…」

 

夕張(…確かに、暁ちゃんはどの子なら遊び疲れて寝た、これはおかしくないはずなんだけど…暁ちゃんらしくない……特に、私の命を救ってくれたあの暁ちゃんらしくない)

 

海斗「これも新世界の影響なら…むしろ良い事なんだけど……」

 

夕張「…何か不安な点が?」

 

海斗「春雨に目を離すなって釘を刺されてて…でもその理由が掴めないんだ、それに暁もさっきまで元気に遊んでたけど…どこか怖がってる様子で…」

 

神通「記憶は?」

 

海斗「暁は記憶を持ってるみたいだけど響は何も覚えてないって」

 

夕張「…なのに怯えてる…か」

 

海斗「多分、雷を喪ったことが強い理由だと思ってるけど…」

 

夕張「雷ちゃん?」

 

海斗「大湊での出撃でキタカミと交戦して沈んだって聞いてる」

 

夕張「…成る程」

 

夕張(あのキタカミさんとやり合って1人で済んでるなら…いや、1人とは限らないか…何にしても…)

 

海斗「そういえば…曙達が保護した子は?」

 

夕張「意識不明です、正直生体反応が残ってるのが不思議なくらいで…」

 

海斗「必要ないかもしれないけど後で様子を見に行くよ」

 

夕張「お願いします」

 

海斗「ところで…何か用があってきたんじゃないの?」

 

夕張「あ…あー…いや、まあ…」

 

神通「外出許可を頂こうと思いまして」

 

夕張(この流れで言えるの!?)

 

海斗「わかった、夕張も横須賀での仕事で疲れてるよね、楽しんできて」

 

夕張「えー…あはは…ありがとうございます…」

 

夕張(気まず…)

 

海斗「それじゃあ、楽しんできて」

 

夕張「どうも…」

 

夕張(お土産買ってこよう…)

 

 

 

 

 

 

太平洋 深海棲艦基地

レ級

 

レ級「…実験は順調、か…駆逐棲姫もヨーロッパに行った、私は自由に動ける」

 

感覚を確かめる

 

レ級「…呼称、腕輪は触れた相手の感情を暴走させる力がある…それと深海棲艦に使えば深海棲艦の身体を食らう…あのレ級の事は食らったが…何か変化したのだろうか」

 

握り拳を作る

 

レ級「…僅かながら筋力が向上してるようにも感じる…しかし、メインの収穫はこれだ」

 

景色が一瞬で移り変わる

 

レ級「…何かに接続できた…そして、何かを求める感覚…私はここに用があるらしい」

 

 

 

 

 

佐世保鎮守府

駆逐艦 春雨

 

春雨「えーと、これで仕事終わりです、はい」

 

度会「…助かった、今日はゆっくりして行ってくれ」

 

春雨「いえ、私は遠慮します、他の皆さんは置いて帰りますが私と天龍は泊地に帰るので」

 

度会「…その件はすまなかった」

 

春雨「まあ、それは倉持司令官に…それを抜きにしても私は医官で研究者で戦闘員ですから仕事は多いですよ」

 

度会「無理に引き止めはしないが…もう日も落ちた、夜の海は危険だ」

 

春雨「私は他の人より少し強いので…ああ、二式大艇でみんなまとめて送ってくれても良いんですよ」

 

度会「…秋津洲を呼んでくる」

 

春雨(要望が通るとはツいてますね…さて、川内からもう秋津洲の裏の顔は聞いてる…どこから仕掛けたものか、特務部とやりあう意味はあんまり無いんですけど好き放題させるわけにもいきませんし…)

 

度会「準備するそうだ、20分で出発できる」

 

春雨「了解致しました」

 

春雨(とりあえず天龍さんを急ぎ病院に放り込んで…高速修復剤使ったらどうなるんでしょうか…再感染の説が有力ですけど実際はどうなのか、その辺りも気になりますねぇ…)

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