元勇者提督   作:無し

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線引き

太平洋 深海棲艦基地

駆逐艦 曙

 

曙「ねぇ、もっとないの?魚」

 

レ級「…なんの躊躇いもなく食うのか、敵に出された物を」

 

レ級の顔を睨んで笑う

 

曙「あるだけかっ食らってやるから全部出しなさいよ」

 

レ級「…剣と艤装は取り上げておいた方が良かったかもしれんな、いや、焼き魚にするのくらいは許すのが温情か」

 

曙「その思考開示しながら喋る癖どうにかしたら?」

 

レ級「昔からの癖、放っておけ…ん?…駆逐棲姫か」

 

駆逐棲姫「ええ、そうです、駆逐棲姫ですよ〜…折角捕虜にしたのに何もしないわけないでしょう?」

 

曙「へぇ、拷問ってわけ…やって見なさいよ、焼いてやるわ」

 

駆逐棲姫「…その炎、もう出ませんよ?」

 

曙「…は?」

 

炎を出すために武器を構える

炎が出ないだけじゃない、艤装がヤケに重い

双剣を持つ腕が痺れる

 

曙「…なに、これ…」

 

駆逐棲姫「なんでみんな実際にハッキングされたりウイルス感染しないとセキュリティを強くしないんでしょうか…実感してないのかもしれませんけど、実感するような時ってもう時すでに遅しなんですよね」

 

曙「何言って…って言うか、何されて…」

 

駆逐棲姫「馬鹿ですよね、みんな…あーあ、ほんとバカ、ほら、立ちなさい」

 

曙「え…?」

 

何かに引かれるように体が持ち上がる

 

駆逐棲姫「…ふむ、少し動きが悪いな、これは侵食率が40%あたりってところですか?」

 

レ級「私に聞くな、なんの話かわからん」

 

駆逐棲姫「あー、はいはい…どうしよっかなぁ、手堅く実験と行きますか、貴方を今から壊しますね」

 

曙「…何するつもりよ…」

 

駆逐棲姫「貴方を崩壊させます、貴方の身体を1ミリ×1ミリのサイコロにして見ますね」

 

曙「できるわけ…」

 

駆逐棲姫「それが場合によってはできちゃうんだなぁ…っと、どうやら動作はするのかな」

 

曙「…え?」

 

痛みを感じ、視線を手に落とす

爪や指先の皮膚が徐々に消失し、粉のようなものが地面へと落ちていく

 

曙「嘘…!や、いや…!」

 

駆逐棲姫「お、良い顔をしますねぇ…心配しなくても内側はまだ無事です、徐々に死んでいく…楽しめますよ」

 

レ級「相変わらずの趣味だな」

 

駆逐棲姫「気になるのは侵食率です、ちょっと微妙なんですよねぇ…」

 

手のひらにまで崩壊が広がる

 

曙「そんな…いや、せめてコイツだけでも…!っ!?」

 

剣を握ろうと掴む、が、激痛が走り体がそれを拒む

 

駆逐棲姫「おや…ふふ、止めてあげますよ」

 

崩壊が止まる

 

駆逐棲姫「その手、持ってきてください」

 

体が勝手に鉄格子の隙間から両手を差し出す

 

曙「な、何を…」

 

曙(身体が、震えてる…)

 

駆逐棲姫「怖がっちゃってもう…可愛いなぁ…つんっと」

 

駆逐棲姫がグローブ越しに手のひらに爪を突き立てる

 

曙「ぃぎっ…!」

 

曙(なんでこんなに痛いの…!)

 

駆逐棲姫「やっぱり表皮の下は敏感ですねぇ、ほら…握手しましょう?」

 

駆逐棲姫のゴワゴワとしたグローブが手のひらを握り込む

痛覚が反応して体が跳ねる

 

駆逐棲姫「ああ…ほんとにカワイイ…もう泣きそうじゃないですか…」

 

曙「黙れ…っ…!」

 

駆逐棲姫「貴方私好みの顔をしてますね…捕虜なんて他にいくらでも捕まえられるから貴方は特別に保存しても良いんですけど…まあ、もっと好みの子が居るかもですし、処理しましょうか」

 

両肩に激痛が走る

 

曙「っ…この痛み…」

 

駆逐棲姫「肩ってあんまり敏感じゃないからなぁ……ああ、毛が生えてるところとかは特に敏感らしいですよねぇ…貴方、下はもう生えてるんですか?」

 

レ級「おえ…」

 

曙「…っ……?」

 

身体の崩壊が止まる

 

駆逐棲姫「…ん?ああ、やっぱり侵蝕が進んでないのか…一部の表皮しか壊れなかったとは…うーん、予定外でした」

 

曙(た、助かった…?)

 

駆逐棲姫「あ、安心しましたね?ほら、死の恐怖から解き放たれて泣いちゃってますよ?」

 

曙「う、うるさい!」

 

駆逐棲姫「わかってないなぁ、ここは蛇の腹の中、貴方はじっくりと殺されるんですよ?」

 

駆逐棲姫が手を握る力を強める

 

曙「っう…!」

 

曙(さっきより、耐えられる…!)

 

レ級「馬鹿が、もっと痛がっておけばよかったものを…」

 

曙「…何、言って…?」

 

駆逐棲姫のグローブがだんだん熱を帯びる

 

駆逐棲姫「そうそう、これ、私もできるんですよ」

 

駆逐棲姫のグローブに炎が灯る

 

曙「熱い!あつっ…!クソッ!離せ!!」

 

駆逐棲姫「抜け出せたら解放してあげても良いですよ?」

 

身体をよじって抜け出そうとしてるのに…全身を何かが覆っているように体が動かない

 

レ級「…駆逐棲姫、それはつまらない」

 

駆逐棲姫「えー?」

 

レ級「とりあえず、離せ」

 

レ級が駆逐棲姫の手を解く

 

曙「…っあ…私の…手が…!」

 

レ級「皮膚に普段覆われてる肉が火傷したらかなり痛いだろうな、火傷で隠れているが出血もひどい」

 

駆逐棲姫「何をするつもりですか?」

 

レ級「…剣を持て」

 

曙(…この手で、握れるわけ…)

 

レ級「聞こえなかったか?…駆逐棲姫、握らせろ」

 

駆逐棲姫「はいはい」

 

手が勝手に双剣に伸びる

 

曙「っ…クソッ!!」

 

剣を堅く握る

 

曙「っ…っぐぅ…!」

 

レ級「どうやら、お前はド三流の様だな」

 

曙「だま…れ…!」

 

曙(痛みで頭がおかしくなる…だんだん手が痺れて、痛覚が麻痺してくるけど…こんなのじゃまともに戦えるわけ…)

 

レ級「得物は一丁前に一級品だと言うのに」

 

レ級がナイフを振る

目の前の鉄格子が音を立てて地面に倒れる

 

駆逐棲姫「あー!なんて事を…」

 

レ級「後で焼いてつなげる、黙って見ていろ…おい、曙、戦え」

 

曙「…なんで、アンタと…」

 

レ級「私の娯楽のためだ…黙って戦え」

 

駆逐棲姫(本当にこの人は何を考えてるのかわからない…)

 

曙「…ッ…」

 

曙(自分でわかる、痛いのが怖いから…構えも中途半端で、膝も笑ってて…敵を前にしてガクガク震えて…)

 

レ級「やる気が出ないか、なら私に勝てたら解放してやる」

 

曙(…でも、やらなきゃ…殺される)

 

レ級「…私がお前にやる気を出させるためにここまで言ったのに、未だにお前は嫌々怯えながら戦うのか…私をあまり失望させるな!」

 

レ級のナイフが双剣にぶつかる

衝撃が激痛になり、全身が悲鳴を上げる

 

曙(痛い…!剣を握ってるだけで痛いのに、こんな…!)

 

レ級「…期待外れが過ぎる、お前を殺して、その剣を貰うとするか…刺身を作るくらいには役に立つだろう」

 

駆逐棲姫「なんで刺身…」

 

曙「……」

 

曙(……今の…って…)

 

レ級「…どうした、なぜ今更武器を構える」

 

曙「…ふーッ!」

 

肺の中の空気を全て吐き出す

 

曙(ようやく、わかった…そう言うことか…!)

 

曙「アンタをぶっ倒せば良いのね…!やってやる…!」

 

駆逐棲姫(…メンタルを持ち直した?何が理由で持ち直したんだ?)

 

レ級「今更そんな顔をするのか…駆逐棲姫、コイツはもらうぞ」

 

駆逐棲姫「…別に貴方が私に逆らわないうちは好きにしてくれて良いですけど…まあいいや」

 

レ級「調教が必要だ」

 

 

 

 

 

東京

提督 倉持海斗

 

海斗「…とりあえず、みんなには改めて紹介するね、この子は摩耶、僕のネットゲームの仲間の速水晶良の妹…なんだけど、まあ、言いたい事はわかると思う」

 

朝潮(…摩耶さんは記憶が戻ってない…か)

 

摩耶「お前らさっきから何言ってんだよ、ホントに…」

 

天龍「しかし…それにしても貴方のお姉さんを呼び出したのがて…倉持さんだったとして、貴方はどうしたいんですか?」

 

摩耶「決まってんだろ、助かに行かせる…もちろんアタシも行くけどな」

 

天龍(…作戦前にそんな時間はないし、断る他ない…ような…)

 

海斗「意識不明になった皆んなを助けに行くのは勿論だよ、だけどその前にやらなきゃいけない事があるんだ…摩耶、もう少しだけ時間をくれないかな」

 

摩耶「ふざけてんのか…?お前が呼び出して見捨てたんだろ!?」

 

海斗「何度も言ってるけど、それは違う…あのメールは僕が送ったものじゃない…罠だったんだ」

 

摩耶「舐めた事抜かしてんじゃねぇよ…!罠だ?だからなんだよ、仲間なんだろ…?助けに行けよ…!」

 

海斗「そうしたいとは思ってる、だけど今はどうしても先にやらなきゃいけないことがあるんだ」

 

摩耶「嘘つきやがれ!そうやって見捨てて逃げようってんだろ…クソが!なんでお前なんかが…!」

 

海斗「…摩耶」

 

摩耶「お前なんかを頼ったアタシが間違ってた…姉貴達はアタシが自分で救う、二度とアタシ達の前に面見せんなよ」

 

そう言って摩耶は去っていった

 

朝潮「…司令官、1人で行かせて良かったんですか?…こう言っては失礼ですが、司令官は御友人を助けに行きたいのではないですか?」

 

海斗「…今の僕には先にやらなきゃいけない事がある…どうしても行かなきゃいけない場所がある……それに、意識不明の原因が何なのか、それがわかって、必要なものが揃わないと意識不明者をリアルに復帰させる事は難しい…今は何もできないんだ」

 

天龍「提督がそれでよろしいのでしたら、私達は」

 

海斗(良くはない、クビアを止めなきゃいけない…このままじゃ摩耶も…)

 

海斗「…一刻も早く、作戦を終わらせよう」

 

朝潮「…しかし、先に出発した皆さんが目的の海域に到着するのは…」

 

海斗「大丈夫、わかってるから…」

 

 

 

 

 

 

甲板

軽巡洋艦 阿武隈

 

阿武隈「角度修正!良し!」

 

不知火「…狙え…撃て!」

 

空中で砲弾がぶつかり合い、炸裂する

 

阿武隈「また防がれた…!」

 

不知火「位置は掴めてますか!?」

 

阿武隈「多分…でも、見えない…!」

 

飛んでくる砲弾の角度、勢いで場所を計算し、狙いをつける

 

阿武隈「っ!」

 

真横からの砲撃をすんでのところで撃ち落とす

 

不知火「横…どうなって…砲弾が空中で曲がるとでも…?」

 

阿武隈「いや…今、飛んでくる方向から鈍い金属音みたいなのが聞こえたから…多分…別の砲弾に当てて…」

 

不知火「…こちら不知火…水上部隊を展開してください…キタカミさんを倒します」

 

阿武隈「ここで決着をつけます!行きましょう!」

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