元勇者提督 作:無し
海上
駆逐艦 朧
朧「な、なんで頭だけで…生きて…」
駆逐棲姫「死ぬとか生きるとか、馬鹿馬鹿しいですねぇ、そんな概念的なもので私を消せるとでも?笑わせないでくださいよ…えーと、身体身体、身体は何処かな」
瑞鳳「っ!」
瑞鳳さんが艦載機を飛ばして爆撃で駆逐棲姫の身体を消しとばす
駆逐棲姫「ああっ!そんなぁ…」
瑞鳳「次は頭ッ!」
駆逐棲姫「やめてやめてー!」
駆逐棲姫の頭が水飛沫を上げながらすごい速度で離れていく
朧「な、何あれ…」
瑞鳳「キモ…」
駆逐棲姫「んー…ま、こんなもんか…っと」
無傷の駆逐棲姫が海から飛び出す
朧「ど、胴体が…」
瑞鳳「治ってる…!」
駆逐棲姫「当たり前ですよ、あなた方の敵は恐ろしい化け物なのですから…私は不死身なんですよ、諦めてもいいですよ〜?」
朧(どんなに攻撃しても元に戻るなんて…そんなの勝てるわけ…)
瑞鳳「…
駆逐棲姫「ええ、外れてますよ?」
朧(理…?)
駆逐棲姫「貴方も気付いてるみたいですね、でもそれを破壊する力は貴方には無い」
瑞鳳「…力を行使する事は、破滅にしかつながらない」
駆逐棲姫「貴方みたいな堅物は嫌いです、自分の考えしか見えてないお馬鹿さんは特に」
駆逐棲姫が海に消える
瑞鳳「…秋津洲、回収して」
二式大艇が近づいてくる
瑞鳳「…朧、助かった、ありがとう」
朧「いえ…っ…そうだ、怪我してたんだ…」
今さら痛む脚を握りしめる
瑞鳳「だから半裸だったんだ…夏だから風邪はひかないだろうけど…」
朧「正直涼しくて楽ですね…あ、荒潮」
荒潮「島風ちゃん、回収したわ」
朧「…被害は抑えられた、かな」
荒潮「そうみたい、上々よ」
朧「うん、そうだね」
太平洋 深海棲艦基地
レ級
レ級「…なんの戦果もなしに帰ってきたのか?」
駆逐棲姫「私の格を落とすようなこと言わないでくださいよ、私がわざわざ出向いたのは威力偵察、特務部から来る情報より行動がずっと早いんですから…自分の目で戦力を確認する必要があるでしょう?」
レ級「感想は」
駆逐棲姫「私1人でも全滅させられますよ、全力で相手をすれば…でも、他所の深海棲艦が私を狙ってるみたいなんですよねぇ…ほら、深海棲艦って結局種族であって組織じゃないじゃないですか」
レ級(お前が狙われてるのは自業自得だろうに)
駆逐棲姫「誰が自業自得ですか」
レ級「…誰も言ってないが?」
駆逐棲姫「絶対思ったと思ったんですけど、思いませんでした?」
レ級「思ったが」
駆逐棲姫「やっぱり私は心も読めちゃうんですかねぇ…」
自分の背中に手を回す
レ級「今、私の背中にある手の形は」
駆逐棲姫「え?……あー…とりあえずそのパーカーを脱いでくれませんか?」
レ級「断る、お前は筋肉の動きを見る目も優れている、交渉などにおいては無類の強さを発揮する、まるで心が読めるように…だが、本当に心が読めるなら、これも答えられるだろう?」
駆逐棲姫「…グー、握り拳です」
レ級「…ハズレだ、ほら、答えはこれだ…」
駆逐棲姫に人差し指を向ける
駆逐棲姫「人に指を差しては行けないんですよ?」
レ級「お前の観察眼は恐るべきものだが、心が読めるは行き過ぎだな、自分の格を落としたく無いんだろう?」
駆逐棲姫「はいはい、負けましたよっと…」
駆逐棲姫がやれやれと肩をすくめて立ち去る
レ級(…本当に心が読めるのか?何故、私の手が握り拳だったとわかった…咄嗟に変えたのもバレたか…どうなんだ?)
駆逐棲姫(絶対合ってると思うけどなぁ…手を変えたとしたらなんのために?…あの人の目標は私を殺すことくらいで無欲すぎる、欲がない人ほど読めない…弱ったなぁ…)
捕虜収容所
駆逐艦 曙
キタカミ「おひさー、曙」
曙「キタカミ…!」
キタカミ「そんな怖い顔しないでよ、元気そうで良かったねえ」
曙「…色々言いたいことあるけど、先に一つ聞かせて」
キタカミ「何?」
曙「なんであたしの向かいの牢屋に入ってんの?」
キタカミ「そりゃあ…深海棲艦じゃなくなっちゃったからでしょ」
曙「…は?」
キタカミ「…阿武隈に不知火、強かったなぁ…」
曙「あんたが…負けたの?」
キタカミ「…まあね、阿武隈と不知火相手じゃ仕方ないでしょ」
曙「……俄には信じ難いけど…そう、よかったじゃない」
キタカミ「よかったのかねぇ…ああ、イムヤもいい仕事してたね」
曙「イムヤ?アイツもいたんだ…」
キタカミ「……さて、装備も全部壊れちゃったし、大井っちに合わす顔もないし…向こうにはもう1人の私が居る…」
曙「…帰るところならちゃんとある」
キタカミ「…だといいなぁ…」
曙「それに、あたし達がここに居る意味…アンタわかってるでしょ?」
キタカミ「…まあね、帰るところはぶんどってでも帰るよ」
曙「思いっきり…かき回してやる」
レ級「随分と…楽しそうな話を」
レ級が檻の間に出現する
キタカミ「…混ざりたいの?」
レ級「…いや、やめておきます、お食事をお持ちしました」
生魚が投げ込まれる
曙「…"お食事"、ね…」
キタカミ「私もこれ?もっと優遇してよ」
曙「文句言ってんじゃないわよ、食わなきゃやつれるだけよ」
魚を掴み、炎で燃やす
キタカミ「あ!ずるッ!」
曙「これで寄生虫も何も怖くない…あれ?あ、あれ?」
炎が消える
キタカミ「…ガス欠?」
曙「……かも」
レ級「…フッ」
曙「鼻で笑った…!コイツ…!」
レ級「生焼けのままどうぞお召し上がりください」
大袈裟な礼をしてレ級が立ち去る
曙「ま、まって!せめて燃料!…おーい!」
キタカミ「…大人しく生で食おうぜ、ぼのちゃんよ」
曙「うぇぇ…寄生虫居たら嫌なんだけど…」
キタカミ「なんでそんなに寄生虫気にしてるのさ、当たったら当たった時だよ」
曙「…虫、嫌いなのよ…せめて動かなければ筋だと思って噛み潰すのに…」
駆逐棲姫
駆逐棲姫「随分と捕虜と仲が良いようですが」
レ級「2人とも弱くはない、気に入っている」
駆逐棲姫「…では、私は?」
レ級「お前のそのゾンビのようなしぶとさは嫌いじゃない、性格は終わってるがな」
駆逐棲姫「私も貴方は好きですよ、かなり大好きです、優秀で仕事が早くて…」
レ級「…どうした、何か焦っているようだが」
駆逐棲姫「焦っている…?」
レ級「そんな事より、何故お前は死んでいない、頭だけにされたんだろう」
駆逐棲姫「死ぬ?死?貴方までそんなことを…深海棲艦が死なないのは当たり前なんですよ、良いですか?当たり前なんです」
レ級「…まあ、そうだな」
駆逐棲姫「死とはあまりにも概念的なものですよねえ、人間なんて自身が死んだと信じれば死んでしまう、なんとも脆い脆い…ふふっ」
レ級「…お前が再生できる事については、私は知らなかった」
駆逐棲姫「だ、れ、に、も、言ってないだけですよ」
レ級「何故お前にもできる」
駆逐棲姫「私は私に対する理解力が高いだけですよ」
レ級「……そういう事か、ようやく理解できたが…そうか」
駆逐棲姫「やっぱり貴方は優秀ですね!いやぁ…ほんとに私好み…ねぇ、提案があるんですけど」
レ級「なんだ」
駆逐棲姫「艦娘達は姉妹艦というシステムがあるみたいですね、それでなくても家族…親子や兄弟、そして姉妹というものがあります」
レ級「…断る」
駆逐棲姫「まだ何も言ってないじゃないですか!」
レ級「私とお前が姉妹だと?冗談だろう…」
駆逐棲姫「……私は本気なんですよ?」
レ級「何故そんなものに…」
駆逐棲姫「…そうですか、いえ、貴方から見たらくだらない事でしょう…そうですね…失礼しました」
レ級「……おい、何故泣く」
駆逐棲姫「ちゃんと前、閉じたほうがいいですよ…夏場でも腹部だけを露出させるのはいかがなものかと」
レ級「お、おい…」
駆逐棲姫(…なんでこんな提案をしたんだろう、この、心にぽっかり空いた穴は…どうやって埋めればいいのか、わからない…)
レ級(綾波としての記憶が戻ってきてるのか?だから妹を求めてる…)
駆逐棲姫「…私は…本気だったんですよ?レ級さん…」
艦内 医務室
駆逐艦 朧
朧「…どうですか?」
夕張「んー…まあ、こんだけ手厚く手当てしてたら大丈夫でしょ、動かせる?」
朧「はい、問題なく…」
夕張「よし、とりあえず安静にしてて、軽度の負傷として扱うけど…どうしても戦わないと行けないような時まで出撃はダメだから」
朧「はい」
夕張「…大井さんと北上さん、2人とも修復材を使ったから大事には至らずに済んだけど…精神面で弱ってる、今はとにかく休ませることになるわ」
朧「島風は」
夕張「傷一つない、まるで修復剤を使ったみたいに…本人はさっき目を覚ましたけど…朧ちゃんと戦ったことを忘れてるみたい」
朧「…そうですか」
夕張「今は本人の希望で哨戒班に混ざってるけど…」
朧「希望で?」
夕張「そう、寝てたなんて申し訳ないって」
朧「……それ、多分島風覚えてます…」
夕張「へ?」
朧「島風は覚えてるからこそ…戦おうとしてる、自分をもっと強くするために…」
夕張「…止めたほうがいい?多分私が言えば待機させられるけど…」
朧「……わかりません」
夕張「注意だけはするように伝えておくね、それと…保護した人間の子、爆発物は仕込まれてなかった…意識は戻ってないけど命は取り留めたわ」
朧「そうですか…」
夕張「まあ、実はほぼ死んでたから修復剤使っちゃったんだけど…」
朧「えっ…そ、それ!大丈夫なんですか!?」
夕張「多分…その、AIDAに感染してる以外は…」
朧「……まあ、その…助ける手段もないし仕方ないのかな…」
夕張「ほんとに仕方なかったのよね…まあ、でも助かってよかった…私や朧ちゃんも有事の際は投与する事になるから、了解してね」
朧「わかりました」
夕張「作戦地点に到着は明日、備えはしっかりね」
朧「はい」
横須賀鎮守府
提督 倉持海斗
海斗「作戦要項は把握できた?」
天龍「…はい」
朝潮「これが司令官の作戦なのなら…全力で遂行するまでです」
春雨「川内型のみなさん、ちゃんと合わせてくださいね」
川内「まー、私は大丈夫…」
春雨「…川内については心配してないから、妹の管理はしっかり」
神通「私たちに不安でも?」
那珂「あるのー?」
春雨「おおいに、あります」
川内「一騎当千とかそういうの狙わなくていいからね?安全に戦ってね?」
神通「…考えておきます」
那珂「同じく!」
川内「……はぁ…」
春雨「さて、荷物を積み込んでください、明朝の出発に備えるように…最高速度で移動しますので10時間程度で到着します」
海斗「道中の敵は最低限しか相手にしないで行くよ」
天龍「…やりましょう」