元勇者提督   作:無し

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艦隊決戦

甲板

駆逐艦 朧

 

長門『此方長門!倒しても倒してもキリがないぞ!』

 

扶桑『敵戦艦級が真っ向から砲撃を受けているせいで後方から撃ってくる敵を狙えません…!』

 

金剛『それにワタシ達ももうそろそろ限界デース!何百体いるんデスカ!?』

 

朧(…100や200じゃきかない…どんどん敵が集まってきてる…指揮役も、別働隊と連絡がつかなくなったせいで混乱状態…作戦は中断できないからアタシ達だけでも戦わなきゃいけないのに…)

 

混乱状態のせいで宙ぶらりんになった指揮はやむを得ずアタシが執り行う事になった

現場に出るべき阿武隈さんや不知火さんはここに立つことが出来ないから

戦力として数えるより周りを見る目が重要視された

 

龍田『そろそろ突撃の許可は出るかしら〜?』

 

朧「ダメです、絶対に…ここで前に出たら帰ってこられません」

 

加賀『艦載機、対空射撃の層が厚すぎて近寄れないわ、残ってる子達で一点突破の雷撃を仕掛けるけど…』

 

朧「…いや、待ってください、ここで一点突破を図っても船が進めなければ意味はありません、それなら北に回って注意を少しでも逸らしてください!」

 

加賀『…本当に大丈夫なの?』

 

それは、私の指揮がと言う意味なのか、それともこのままの戦いを続けて良いのか、と言う意味か

 

朧「……問題ありません」

 

きっと声は震えていない、動揺は悟られていない

アタシの中にある焦燥感を、アタシが抱えている不安を、誰にも悟らせてはならない

 

朧(…曙の事を、助けるためにも…だけど、怖いのはレ級やキタカミさん、ここで仕掛けてきたら…)

 

朧「…何、あれ…」

 

敵の隊列の最高峰で大きな炎が上がる

 

この距離でもわかる、間違いない、あんな炎を扱える奴なんて他にいるわけがない

 

曙『こちら曙、指揮官へコンタクトを取りたいんだけど?』

 

朧(曙…!)

 

長門『曙だと!?無事だったのか!』

 

漣『…ボーノ?ボーノの声だ!』

 

潮『曙ちゃん!元気だった!?』

 

金剛『ヘーイ!どうなってるデース!?混線してよく聞き取れまセーン!』

 

曙『アンタら、全員うっさいのよ…一回指揮役以外黙りなさい、それで?』

 

朧『アタシだよ、曙…聞きたいことはあるけど要点だけ言って』

 

曙『あー、じゃあ簡潔に…と言うかこの喋り方疲れるから………ちょっと全員黙ってて…』

 

レ級『深海棲艦は皆殺し、以上』

 

朧(…なるほどね、そう言うことだったんだ…)

 

長門『…今の声、誰だ?』

 

島風『レ級…!』

 

金剛『レ級!?敵に無線が筒抜けって事デスか!?』

 

レ級『…だから黙ってろって言ったでしょうが…』

 

漣『待って待って!このレ級味方!』

 

潮『曙ちゃんだよ!』

 

朧「あーもう!混乱するから一回全員喋らないで!……今から言う事を素直に聞いてください、敵陣後方でレ級と思われる誰かが他の深海棲艦と戦っています、そのレ級は味方です、協力して他の深海棲艦を倒します!」

 

加賀『…意味がわからないわ…』

 

レ級『良くできました、朧、もう指揮役は要らないわ…私が全部潰すから…暴れたいでしょ?』

 

朧「…絶対、1発殴るからね…曙」

 

甲板から海に飛び降りる

 

朧「第七駆逐隊!!」

 

漣「はいよ!」

 

潮「うん!」

 

朧「アタシに続けッ!駆逐艦!軽巡洋艦!水雷突撃用意!!」

 

魚雷発射管が音を立てて水面よりやや上を向く

 

朧「突撃!」

 

魚雷を発射し、突撃する

 

朧「加賀さん!瑞鶴さん達と正面から攻撃機を!対空射撃する奴は…アタシ達が仕留めます!」

 

キタカミ『おーおー、いい感じにノッてるねぇ、朧〜』

 

北上「…無線、完全に盗聴されてんじゃん」

 

阿武隈『キタカミさん…!』

 

キタカミ『おっ、自分の声ってこんな感じなんだぁ…ま、あんま気にしないでよ、私も今は手を貸すからさ』

 

レ級『キタカミさんはそこからでも充分でしょう』

 

キタカミ『そーもいかないっての…も1人の私〜?あんたの艤装、レ級が借りにいくからよろしく』

 

北上「は?何言って…」

 

レ級『…仕方ないか、取りに行きますよ』

 

大井「し、周囲警戒!」

 

不知火『南方には迫ってくる影は…』

 

レ級「だから、警戒とか必要ないですって」

 

どこからともなくレ級が現れて北上の艤装を外す

 

北上「な…!」

 

大井「何処から!?」

 

長門「待て!」

 

レ級「失礼」

 

レ級が水中に消える

 

加賀『どう見ても敵のやる事なのですが』

 

阿武隈『艤装取られたみたいですけど!大丈夫なんですか!?』

 

朧「……曙ぉぉッ!どうして…どうしてアンタはそうやって……!」

 

近くの深海棲艦を殴りつける

 

朧「ホントに!なんで!そんな!あーー!!もうッ!!」

 

潮(怒りながら戦艦級ボコボコにしてる…)

 

漣「怖えぇ…」

 

朧「なんか言った!?」

 

漣「いえっ!なにも!」

 

キタカミ『んー、まあ、こんなとこかなぁ…っと、ごめんごめん、無線入ってたわ…じゃ、重雷装艦キタカミ、でるよ〜』

 

レ級『駆逐艦曙改め戦艦レ級、出る』

 

阿武隈『えぇっ!?』

 

不知火『真実なのですか?それは…』

 

朧「…もうなんでもいいから!とにかく!全部倒しますよ!!」

 

いつの間にか炎がどんどん大きく近づいてくる

 

曙「っらぁぁぁぁッ!!」

 

曙が炎を纏い、敵を斬り裂きながら突っ込んでくる

 

漣「ぼのたん!」

 

潮「曙ちゃん!良かった、無事だったんだね!」

 

曙「当たり前でしょ!あたしは曙様よ!」

 

レ級『…牢屋でお腹鳴らしてたくせに』

 

曙「…何よ、みんな揃ってこっち見て」

 

朧「…曙には聞こえてないみたいだけど?」

 

レ級『無線機、借りたから…ああ、見えたわ…よっと」

 

レ級が曙の隣に降り立つ

 

曙「さあ!残りの雑魚はあたしらがやってやるわ!」

 

レ級「島の中の敵はほぼ全滅よ、あとはここにいる奴らだけ…戦闘再開、敵を殲滅する」

 

朧「よし!第七駆逐隊!行くよ!」

 

曙「今のあたし達なら、誰にも負ける気がしない!」

 

レ級「…提督の為に」

 

漣「っしゃぁ!やってやんよ!」

 

潮「左舷!敵接近!」

 

朧「任せて!」

 

ハイキックを戦艦級の顔面に叩き込み、海面に倒れたところにマウントポジションを取り、主砲を突きつけて撃つ

 

漣(うわっ…うわぁっ……エグい…まだ撃つの?うわっ…)

 

朧「漣!見てないで右に敵!」

 

漣「はいぃいっ!」

 

キタカミ「遅いっての」

 

漣の周りの敵が一斉に斃れる

 

キタカミ「漣は相変わらずだねぇ…」

 

漣「き、ききっ…」

 

潮「キタカミさん!」

 

レ級「安心しなさい、もう正気に戻ってるから」

 

不知火『本当ですか!?』

 

阿武隈『やった!それなら絶対勝てますよ!』

 

キタカミ「あー…あはは、うん、みんなごめんねぇ、色々迷惑かけて…まあ、その分働くからさぁ…」

 

北上『…少なくともあたし以上には頼むよ』

 

キタカミ「任せときなよ、離島鎮守府最強は伊達じゃないってとこ…見せたげようかねぇ…」

 

レ級「10分で殲滅しましょう、拷問が残ってますから」

 

キタカミ「…ただ痛めつけてるだけでしょ、あれ」

 

レ級「医療行為です」

 

キタカミ「嘘だぁ…」

 

天龍『ようやく繋がりました、軽巡洋艦天龍、戦闘に参加します!』

 

龍田『あらぁ〜!』

 

不知火『急に元気になるな、変態』

 

アオバ『横須賀連合艦隊合流しました!』

 

朝潮『みなさん、ご無事ですか!?』

 

朧「よし…流れは完全に掴んだ…この戦い、後は犠牲者を絶対に出さないだけ!安全第一に孤立しない事を最優先に戦ってください!」

 

加賀『加賀了解』

 

阿武隈『阿武隈隊OKです!』

 

不知火『了解しました』

 

長門『言われずともだ』

 

キタカミ「ま、任せときなって」

 

レ級「…この場で死人が出たとしたら、私がそいつを地獄まで迎えに行ってやる、死ぬな」

 

全戦力が集まったおかげで戦いは一気に優勢になり、深海棲艦は散り散りに逃げ始めた

周囲の安全を確保したのち、改めて船を進め、全員が無事上陸する事に成功した

 

だけど、それは戦いの終わりではなかった

 

寧ろ、ここからが真の始まりだと言う事にすぐに気付かされる事になった

 

 

太平洋基地

大広間

 

火野「海斗が?」

 

亮「本当なのか、それ…」

 

レ級「私が提督に関する事で不利益な嘘をつくわけがない」

 

提督が何者かに連れ去られた

宿毛湾所属のメンバー以外にも動揺が走った

 

度会「…連れ去られた、というのは…何処にだ」

 

レ級「恐らくは、ネットの中…」

 

朧「ネットの、中…?」

 

レ級「そう、ネットの中」

 

曙「…冗談でしょ?そんなこと出来るの?意識だけならまだしも…肉体も…?」

 

レ級「2度も言わせないで、嘘をつくわけがないでしょう」

 

朧「…リアルデジタライズ…?」

 

レ級「…何?それ」

 

朧「え?」

 

火野「論文で読んだ事がある、特定振動数の光を照射することで、光粒子として肉体ごとネットワークに取り込む技術だったはずだ」

 

レ級「…成る程、それを使ったと…厄介な」

 

朧(…曙以外のみんなも…怪訝な顔をしてる、リアルデジタライズを…知らない…?)

 

度会「待て、本当に可能なのか?」

 

レ級「可能か不可能かで言えば可能です、私は生身で何度もネットの中に入り込みましたから」

 

キタカミ「ああ、あたしとやり合った時の瞬間移動?」

 

レ級「ええ、私は頻繁にネットとリアルを出入りする事で高速移動を可能としました…が、この技術、駆逐棲姫にも奪われたようで…アイツもそれを使えます」

 

曙「…それより、アイツはどうなったの?」

 

レ級「りあるなんたらとか言うのはあなたの方が詳しいのでは」

 

火野「詳細は一切不明だ、確かリアルデジタライズに関しての研究者は現在何処にもいない…当たれる節には当たるが…名前はなんだったか」

 

朧「…曽我部隆二?」

 

火野「そうだ、曽我部隆二だ…まずは彼に会わねば…」

 

亮「待てよ、それより上にはどう報告するんだ?」

 

レ級「此処に残り、指揮に徹すると言えばいいでしょう、元々基地として使うつもりだった上に、こんな危険地帯…好き好んでくる奴はいません」

 

度会「…どれだけ持つか」

 

レ級「持たせます、そうしなくては」

 

朧「それより…あの、さっきから気になってたんだけど…あそこに並んでる3人は…」

 

正座で縛られ、膝に足を抱かせられている深海棲艦の少女とその両隣で立たせられている深海棲艦を見る

 

レ級「…ああ、そうだった…まずは、天龍さん」

 

天龍「はい、木曾さんを」

 

雷巡級の深海棲艦を抱き抱え、曙の前まで連れて行く

 

レ級「充分ですね、意識が戻る前でよかった…データドレイン」

 

朧「…!」

 

天龍「…本当に、治った…」

 

抱き抱えられた雷巡級の肌は人らしい肌色になり、髪も緑色になる

 

天龍「…姉妹の方々に会わせて来ます」

 

龍田「私も行くわ〜」

 

レ級「…さてと、前座は終わりだ、飛行場姫、戦艦棲姫、一歩下がれ」

 

立っていた2人が一歩下がる

 

離島棲姫「……」

 

正座してる方が曙を睨む

 

レ級「…えー…コイツをいたぶりたい方」

 

朧「…それ、募集する事?」

 

レ級「いや、私がやると一撃で殺してしまいそうで…」

 

川内「ん?なにやってんの?」

 

川内さん達がドアを開き入ってくる

 

レ級「ああ、ちょうどよかった川内型の皆さん…コイツに1人1発、蹴る殴る、好きな方をどうぞ」

 

川内「えっ」

 

那珂「わーい」

 

離島棲姫「ゴッ!?」

 

那珂さんが駆け寄りサッカーボールのように顔面を蹴り飛ばす

 

朧「えっ」

 

神通「…では私も……はっ!!」

 

離島棲姫「ブフッ!?」

 

掌底が顎を捉える

 

朧「うわっ……」

 

視線が川内さんに集まる

 

川内「えっ?…いや、やらないけど…」

 

安心からかなんなのか、方々からため息が聞こえる

 

朧(流石に長女はまともでよかった…)

 

レ級「…あーあ…可哀想に」

 

曙が指を鳴らすと離島棲姫の衣服に炎が灯る

 

離島棲姫「ナ…!熱イ!ヤメロ!」

 

レ級「やめろ?」

 

離島棲姫「ク…ヤ、ヤメテクレ!」

 

レ級「くれ?」

 

離島棲姫「…ヤメテ、クダサイ…!」

 

レ級「……ああ、良く言えましたね、ちゃんと敬語の練習はしておきましょう」

 

そう言うものの火を消す素振りは一切ない

 

離島棲姫「ナ…タ、頼ム!オ願イシマス!ヤメテクダサイ!モウ脚ガ燃エテ…!」

 

レ級「ああ、人に戻せるほどに弱ったらやめてあげますよ」

 

朧(鬼だ…)

 

川内(なんか、罪悪感が…)

 

レ級「まあ、川内型のみなさんが手を抜いてたので殴る蹴るは完全に無駄でしたけど…せめて片腕吹き飛ばしてほしかったですね」

 

神通「そうでしたか、すいません」

 

那珂「あんまり強くやると痺れて後の子が蹴っても反応無くなるかなって…」

 

朧(…那珂さんが1番やばい…?)

 

離島棲姫「…ア"……ガァ"…」

 

離島棲姫は炎に包まれ悶えている

 

レ級「そろそろミディアムか、まあ良いでしょう、解放してあげます」

 

レ級が右腕を向ける

 

レ級「データドレイン」

 

離島棲姫がパタリと倒れる

 

朧「…この…子?も、人間だったの?」

 

レ級「その辺も後で話すわ…さて、後ろの2人」

 

飛行場姫/戦艦棲姫「「!」」

 

レ級「座れ、正座で」

 

従順に従う

 

レ級「ああ、先にこれだけ」

 

レ級の尻尾が2人分の艤装をバリバリと音を立てて食べる

 

レ級「さて…ええ…と、電さんと大淀さん、どうぞ?」

 

電さんと大淀さんが前に出る

 

戦艦棲姫「ナ…!話ガ違ウ!」

 

電「ちゃんと人に戻してあげますよ?」

 

大淀「ただ、痛めつけてからじゃないと戻せませんから…」

 

電「せっかくなので、二度と逆らえないようにしておこうと思いまして…ああ、浜風さん」

 

浜風「はいっ!?」

 

電「あなたもやってください」

 

浜風「えっ!?い、いや、私は…」

 

大淀「やりなさい」

 

浜風「ひぃ…あ、わ、わかりました」

 

春雨「じゃあ、あなたは私と遊びましょうか」

 

飛行場姫「ピィッ!?」

 

春雨「大丈夫、痛覚を切れるか試してあげますから…」

 

朧「…なんか、みんな…すごいなぁ…」

 

潮「そうだねぇ…」

 

漣「いや、思考放棄しないで…」

 

 

 

 

大和「や、大和型1番艦…大和、です…」

 

雲龍「う、雲龍型航空母艦…雲龍、です……」

 

大鳳「…航空母艦、大鳳…です…」

 

レ級「との事です、仲良くしてあげてください」

 

朧「待って、ええ…と…飛行場姫が?」

 

雲龍「私、です…」

 

大和「戦艦棲姫です…」

 

大鳳「離島棲姫です…」

 

レ級「艤装がなければ海に浮くことすらできない反逆もできない従順な兵士です、ね?」

 

3人「「「は、はい!」」」

 

レ級「さて、別室でお話聞かせてもらいましょうか」

 

電「そうですね、特に大和さん…あなたは良く喋ってくれますよね?」

 

大和「も、もちろんです!」

 

春雨「役に立たないことしゃべったら一本指を折りましょうか」

 

雲龍「やめて…もう指はいじめないで…」

 

大鳳「丸焼きはヤダ丸焼きはヤダ…」

 

レ級「まあ、もう再生できないんで、優しくしてあげてくださいね…見えるところは痕にならない程度に」

 

火野「……」

 

レ級「どうしました?」

 

火野「いや…何か、見てはいけないものを見たような気がしてな…」

 

レ級「…夢見てるんですよ、悪い夢」

 

火野「そう思う事にする」

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