元勇者提督 作:無し
Δサーバー 隠されし 禁断の 聖域
ハセヲ「居やがったな…!三爪痕!ようやく見つけたぜ…!」
三爪痕「ア"ア"……!」
三爪痕はAIDAを噴き出しながらにじり寄ってくる
ハセヲ「チッ…マジで感染してやがる、通りでお前らがAIDA駆除に動いてねぇわけだな…行くぞ!」
大剣を取り出し、大きく振り回す
三爪痕「ア"ア"ァ"ァ"!!」
弾かれるものの三爪痕の行動は普段以上に遅い…と言うより、どこか的外れに感じる
ハセヲ(何だ、この動きは…?…AIDAに感染したPCは強化される筈…いや、三爪痕はシステム側の存在だから違うのか?)
ハセヲ「っ…そこだ!」
大剣を振りかぶり、叩きつける様に振り下ろす
ハセヲ「おおおォォッ!」
三爪痕の身体を砕く
中からAIDAが溢れ出し、聖堂の中を激しく動き回る
ハセヲ「また逃げようってか!?そうは行くかよ!スケェェェェィス!』
スケィスを呼び出し、データドレインを展開する
ハセヲ(こいつ、何で抵抗しないんだ…?三爪痕から離れた途端…いや、なんでもいい!)
ハセヲ『消えちまえ!』
データドレインでAIDAを吸収する
ハセヲ『…よし、駆除完了…と」
ハセヲ(このAIDAに感染してる奴が他にもいるかもしれねぇ…だが何だ?異常な事が多すぎる、それになぜ三爪痕に憑けた?…三爪痕を選んで憑いたのだとしたら…このAIDAはかなりヤバい)
駆除完了の連絡を入れ、エリアを出る
Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ
神通「…あ、提督」
ハセヲ「ここで提督はやめろよ…奇遇だな、誰か待ってるのか?」
神通「いいえ、特にやる事が無いものですから…隠れ忍んでいた時はそれもまた一つの修行と思ってましたが…おおっぴらに動ける様になったらなったで失踪者扱いで今度は外に出づらく…」
ハセヲ「だからってネットに逃げるなよ…一回BBSに書き込んでみたらどうだ?それで案外騒ぎが治るかもしれねえぞ」
神通「……既に那珂ちゃんが」
ハセヲ「あー…アイツが?」
神通「アイドル忍者として修行をしてた…と言うものですから、道行く人に変な芸を求められました…なので余計に外に出られません」
ハセヲ「ご愁傷様、だなw」
神通「笑い事じゃありません!艦娘の登録もしないといけないのに…」
ハセヲ「そっちも問題アリか?」
神通「姉さんが登録はせず、今の、その…盗んだ艤装でやろう…と」
ハセヲ「川内が…か、なんでまた」
神通「今の大本営もイヤな感じがするから…と」
ハセヲ「…ま、それなら言う事聞いてやれ、アイツの勘は当たる」
神通「提督まで…」
ハセヲ「アイツだって考えなしの馬鹿じゃない、信頼してやれ」
神通「……そう仰るのでしたら…」
ハセヲ「悩み事はそれだけか?俺は行くぜ」
神通「あ、もう一つだけ…」
ハセヲ「…なんだ?」
神通「私達には正規の艤装はありませんので…いざ深海棲艦と戦うとなると格闘戦や槍などを想定しているんですけど…」
ハセヲ(いや、それで戦えるなら艤装要らねぇし)
神通「私は重さが丁度いい槍が手に入らないものですから…貫手で戦おうかと…」
ハセヲ「お前の手は鋼製か何かなのか…?」
神通「いえ、炭素、酸素、水素、窒素、カリウム…」
ハセヲ「誰が原子の話をしろって言った!つーか…お前深海棲艦の外皮は砲弾でやっと壊せるかどうかだってわかってるか?」
神通「当然です、私も前の世界で戦い続けてきましたから」
ハセヲ「じゃあなんで貫手だの格闘だので倒せるなんて発想に至るんだよ!」
神通「前の世界でも深海棲艦を切り刻んだり素手でミンチにする人がいましたし…」
ハセヲ「それは碑文使いだの改造人間だのの話だろ…」
神通「あ、あとこの世界でも瑞鳳さんが格闘戦で…」
ハセヲ「……そ、そうか、頑張れよ」
神通「さしあたってはなにか助言をいただければと…」
ハセヲ「…何で俺に助言求めてるんだよ…俺格闘技の経験なんかねーよ」
神通「え?でも三階級王者で百人斬りだって…」
ハセヲ「だからそれはゲームの中での話…!」
神通「そうなんですか?」
ハセヲ「リアルの俺見てそんなことできそうに見えるか?」
神通「いいえ全く」
ハセヲ「…つーか、お前結構名の有るPKなのにそんなネット初心者みたいなこと…」
神通「す、すみません…私は純粋に強さだけを求めてましたから…」
ハセヲ「だからってあんまり世間に疎いと変なもん掴まされるぞ」
神通「はい、気をつけます…」
ハセヲ「んじゃ、そろそろ俺は行くぞ」
神通「はい…あれ?」
ギルド レイヴン
ハセヲ「チッ、誰も居やしねぇ…」
AIDAについての報告をしようにも誰も居ないのでは来た意味がない
ハセヲ(…ログアウトしてメールでもチェックするか)
アトリ「あれ?ハセヲさんじゃ無いですか」
ハセヲ「アトリ?お前なんでこんなとこに…」
アトリ「呼び出されたんです、八咫さんに」
ハセヲ「八咫が?でもアイツは居ねぇぞ」
アトリ「それは困りましたね…」
ハセヲ(八咫が俺じゃなくアトリを呼ぶか、珍しい事もあるもんだな)
ハセヲ「邪魔しても悪いしな、俺は先に落ちるぜ」
アトリ「そんなこと言わないでくださいよ、もう少し居ましょう?」
ハセヲ「…おい、アトリ?」
ハセヲ(なんか、イヤな感じがしやがる…)
アトリ「あ、八咫さん」
アトリが部屋の隅に視線を送る
ハセヲ「八咫?何処にいたんだ?」
アトリの視線を追う様に振り返ると景色が変わった
Δサーバー 隠されし 禁断の 絶対城壁 モーリー・バロウ城壁
ハセヲ「ここは…モーリーバロウだと!?さっきまで@ホームにいた筈…おい、アトリ…」
周囲にアトリの姿はなく、あるのは黒い斑点が増殖し、エリアを包み込む様な異様な光景のみ
ハセヲ「な…AIDA!?」
AIDAは息つく暇すら与えずレーザーや光弾で攻撃を展開する
ハセヲ(クソッ!何が起きてやがる…!?)
神通「来てください、私の…メイガス!』
下半身が葉のついた蛇の様な巨人がAIDAの前に立ち塞がる
ハセヲ「神通!?お前なんでここに…!」
神通『其れについては後程…あなたの相手は私が致します…!』
AIDAは大聖堂同様攻撃をやめ、とにかく逃げようとしている様に見える
ハセヲ(…やっぱりおかしい、どうなってやがる?)
神通『…はぁっ!』
メイガスの爪で切り裂かれ、プロテクトが破壊されたところをデータドレインがAIDAを捉える
神通『無抵抗の相手を攻撃するのは気が引けましたが…と、それはお互い様でしたね」
ハセヲ「…悪りぃな、助かったぜ」
神通「提督、何故スケィスで戦わなかったんですか…?」
ハセヲ「できるならそうしたかった…が、できなかったんだよ、もうわかってると思うがコイツらを呼び出すには、感情を導いてやる必要がある」
神通「感情が乱されていた、と言うことですか」
ハセヲ「まあ…多少の事なら呼び出せない事もないんだけどな、立て続けに変な事が起きすぎて冷静になれなかった…俺もまだまだ未熟モンって事だな」
神通「そうでしたか…」
ハセヲ「それより、何でお前はここに…」
神通「私は…いえ、メイガスは視力を司っています、タウンでAIDAを見かけたので追いかけたらギルドの中に入っていくのを見かけまして…」
ハセヲ「まさか、ギルドの中のやりとりも見えてたのか?」
神通「その後どこに行ったのかも…なので急いでここまで来ました」
ハセヲ「なるほどな…ホントに助かった、ありがとよ…あともう一つ聞きたいんだが、さっきのアトリは…」
神通「AIDAの擬態…ですね」
ハセヲ「やっぱそうか…イニスを取り込んでないのにあそこまで正確に擬態されてるとなると…怠いな…」
神通「私はAIDAかどうかの判断ができますが…この力のお蔭ですから…」
ハセヲ「…犠牲者が出る前に早くサーバーを閉じちまうべきだな」
神通「サーバーを閉じるんですか?」
ハセヲ「ああ、今のバージョンを破棄して新しいThe・Worldを売り出す…らしいぜ?」
神通「…確かにその方がマシかもしれませんね、本当に犠牲者が出る前に早くそうしてほしいところですけど…」
ハセヲ「だな…」
ハセヲ(しかし…今回のAIDAは明らかにおかしい、まさか俺がスケィスを呼び出せない様にあんな手の込んだ事をしたのか?…だとしたらこのAIDAは今までのやつよりもずっと危険だ、The・Worldで一体何が…そもそもコイツらはどこから湧いてでやがった?)
神通「私たちも閉鎖の日までAIDA駆除を手伝います」
ハセヲ「……そうだな、悪い、頼む…俺だけじゃ限界もあるしな」
ハセヲ(三爪痕もAIDAを除去したし、復活する筈だ、多分アイツらもAIDA駆除に手を貸してくれるだろうし……待てよ?)
ハセヲ「なんで三爪痕に感染してるんだ…?アイツはAIDAの天敵で…こんな手の込んだことする奴が普通狙うか…?……AIDAの狙いは、また碑文を……!」
神通「提督?」
ハセヲ「神通、やっぱり無しだ、できる限りログインするな!AIDAの狙いは碑文使いだ、AIDAは多分俺達を取り込もうとしてる」
神通「…取り込んで、どうしようと…?」
ハセヲ「さあな、でも良くないことなのだけは…確かだ」
ハセヲ(AIDAの出所をはっきりさせた方がいい、再誕で消せなかった理由はなんだ?害意のあるAIDAは全滅した筈だ、なのにそのAIDAが出てきちまった…放っては置けねぇ…!)
Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ
双剣士 カイト
カイト「…あれ?何でこんなことに…」
ログインしてみるとキャラクターデータがおかしい
ステータスが違う、レベルもいつの間にか上がっている
カイト「…スキルも…変わってる?」
技も装備も、過去の物を…
そして右上に半透明の、データの腕輪
カイト「腕輪まで…どうして…?」
その疑問を頭で繰り返すうちに、どんどんとそれを忘れていく、疑問を失っていく
カイト「…今、何を…?」
疑問が頭の中から消失してしまう
カイト「……まあ、いいか…」
自身から噴き出す黒い泡にも気付くことなく、ただゲームをプレイする