元勇者提督   作:無し

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危険区域

Θサーバー 蒼穹都市 ドル・ドナ

双剣士 島風

 

島風「あれっ?何でドル・ドナに…?マク・アヌは…閉鎖されてる!?」

 

天津(あまつ)「まくあぬ?」

 

島風「初心者用のサーバー!…何で閉鎖されて…ここじゃレベル上げをしようにも敵を倒せないし…」

 

天津「よくわからないわ、えっと…プレイできないって事?」

 

島風「待って、今調べてる…あ、ルミナクロスがΔサーバーのゲートの代わりなんだ…よかった、プレイできそう…」

 

天津「???」

 

島風「えっと…まずここのゲートから別のタウンに移るの、そしたらエリアに行ってモンスター倒せるよ!」

 

天津「わ、わかった…どれ?」

 

島風「ルミナクロス!」

 

 

 

Ωサーバー 闘争都市 ルミナ・クロス

 

島風「うーん、と…あれ?随分アリーナが騒がしいね…」

 

天津「何かやってるの?」

 

島風「あそこはPvP…プレイヤー同士が戦う場所なんだよ、エリアでも戦えるけど、こっちは急に襲われたり襲ったりで…でも、アリーナはお互い同意の上での戦い、見ていく?」

 

天津「…せっかくだし、見てみるわ」

 

 

 

アリーナ 観客席

 

島風「アリーナには決められた時間に集まって戦うトーナメント、それとサバイブバトルみたいにやりたい時に戦う…って感じでいろんな遊び方があるんだけど、今日は後者の方みたいだね」

 

天津「よく、わからないわ…」

 

実況『怒涛の勢いで勝ち進みます!元宮皇のエンデュランス!誰も寄せ付けず三連勝だ!』

 

紫色の衣装を纏った細身の斬刀士と…あともう1人、小さな女の子の様な斬刀士、こちらも紫色のエディット

 

天津「耳がキーンってする……あの人、強いの?」

 

島風「強いと思う…けど、あの子…」

 

もう1人の斬刀士、どこかであった様な…

 

実況『次の試合が始まります!』

 

天津「耳痛い…」

 

島風「後で音量調節しないとね…」

 

アルト「行けー!やっちゃえヤヨイー!」

 

レンゲル「ボッコボコにゃしぃぃ!」

 

島風「にゃ、にゃしい?」

 

天津「すごい語尾ね…」

 

島風(もしかしなくても…この語尾は…)

 

観戦席を眺め、声を探す

 

天津「ちょ、島風?」

 

レンゲル「しまかぜ…?」

 

天津の発言に反応したキャラに近づく

 

島風「…睦月、ちゃん?」

 

レンゲル「え、島風ちゃん!?おー!そう!睦月!」

 

アルト「え?わかるの!?」

 

島風「わかる!わかるよ!会えて良かった…!」

 

天津「ね、ねえ、島風?知り合いなの?」

 

島風「あー…えっと、私の友達、ゲームでは会った事なかったけど…」

 

レンゲル「睦月だよ!仲良くするがよいぞ!」

 

アルト「白露だよ、よろしくね!…えっと…てんしんちゃん?」

 

天津「あ・ま・つ・か・ぜ!」

 

島風「最近艦隊に来た子なんだけど、ちょっと訳があっていろんな方面に疎いの、でもいい子だから、仲良くしてね」

 

レンゲル「勿論にゃ!一緒に遊ぼ!」

 

天津「えと…うん、よろしく」

 

島風「ところで、今出てるのって…」

 

実況『き、決まった〜!エンデュランスチーム、何とたった2人で敵を殲滅してしまった!人数不利なんてモノともせず、圧倒的な力の前に全ての敵を屠った〜〜ッ!』

 

レンゲル「うるさっ…うん、ヤヨイにゃ」

 

島風「意外…ゲームやるんだね」

 

アルト「無理やり誘った!」

 

天津「ね、ねえ、これ音量はどこで…」

 

島風「あー、待って、今行くから」

 

 

 

 

島風「大丈夫?ちゃんと聞こえる?」

 

天津「ええ、大丈夫よ…」

 

実況『何と!此処でエンデュランスチームに話題のカオティックPKが宣戦布告だ〜ッ!』

 

天津「かお…てぃっく?」

 

島風「まずPKから説明しなきゃだね…」

 

レンゲル「本当に何も知らなさそうにゃ」

 

アルト「ところで、あのカオティック、誰だと思う?」

 

レンゲル「え?どうせ那珂ちゃんさんじゃ…」

 

実況『新進気鋭のカオティック!通り名は悪魔!ソロモンナイトチームの入場だ〜ッ!』

 

レンゲル「夕立ちゃんだったか〜…」

 

アルト「今のカオティックは川内さん達が抜けちゃったから全部新しい人になってるんだよねー、でも夕立はいっちばーんにカオティック入りしたよ!」

 

 

 

斬刀士 ヤヨイ

 

ヤヨイ「…エンデュランス」

 

エンデュランス「問題ないよ、ヤヨイ」

 

実況『ソロモンナイトチームは3人!3対2!これはエンデュランスチーム、不利か!?』

 

ヤヨイ(拳闘士の夕立がリーダー…あと2人は呪癒士と…双剣士?あんな装備見た事ない…)

 

夕立「弥生!叩き潰すっぽい!」

 

エンデュランス「…双剣士の君…」

 

楚良「んー…何?」

 

エンデュランス「…君から…ハセヲと似たものを感じる…どうして?」

 

楚良「何ででしょうねぇ…戦えばわかるんじゃないですか?」

 

エンデュランス「ヤヨイ、1人貰うよ」

 

ヤヨイ「わかってる、後の2人は私の物」

 

実況『両者激しい睨み合いの中!今、ゴングです!』

 

エンデュランス「行くよ」

 

楚良「どうぞいつでも」  

 

エンデュランスと双剣士が戦闘を始めたとなると…

 

夕立「仁王槌!」

 

ヤヨイ「スキルをいきなり使わないで… 閻魔大車輪」

 

夕立「言ってることとやってる事が真逆っぽい!?」

 

ヤヨイ「夕立に付き合ってる…って事は、そっちは…?」

 

サミー「五月雨です…」

 

ヤヨイ(時雨辺りかと思ってた)

 

夕立「ちなみに、ヒーラーなのにスキルの使い方がわからなくて敵を殴り倒してたらカオティックになってたっぽい!」

 

ヤヨイ「…今は?」

 

サミー「さ、さすがにわかりますよ!?」

 

ヤヨイ「……夕立、麻痺攻撃の装備使ってもいい?」

 

夕立「許して!サミーは体力回復しか…」

 

ヤヨイ「うん、ダメ」

 

夕立「サミー!早く麻痺回復!まだ!?」

 

サミー「え、えっと……リプス?違う…リプマジュ…リプシュビでもないし…」

 

ヤヨイ(リプシュビで合ってるけど、有利だし良いや)

 

サミー「あーもう!知りません!」

 

夕立「あ!ちょっ…」

 

ヤヨイ「呪癒士が殴っても火力不足で…え?」

 

サミー「もう!やぁーっ!たぁっ!」

 

ヤヨイ「いっ…!」

 

ヤヨイ(割とダメージが出てる…!ちょっと不利かも…)

 

夕立「ヒーラーには期待してないから攻撃力の書をたらふく使ったっぽい!物理火力は斬刀士並よ!」

 

サミー「前衛は!お任せください!」

 

夕立「サミー!一応は本来後衛っぽい…あ、これならやれる…!獅子連撃!」

 

ヤヨイ(麻痺が解除されてる!?)

 

夕立「さあ、まず何からお見舞いしようかしら!?」

 

ヤヨイ「このっ…」

 

夕立「もう麻痺は効かないっぽい!」

 

楚良「リプシュビ」

 

ヤヨイ(あの双剣士!?そんな暇ないはずなのに…!)

 

サミー「お任せ!下さいっ!」

 

夕立「さあ!素敵なパーティーしましょ!」

 

ヤヨイ(…ダメ、このままじゃ削り切られる…!)

 

ヤヨイ「…エンデュランス!」

 

エンデュランス「使うんだね、良いよ」

 

ヤヨイ(たとえ麻痺状態にしても、いつの間にか麻痺が解除されてる…向こうの双剣士、援護もしてて抜け目がない…私も中途半端な装備じゃ勝てない…!)

 

メニュー欄から装備を変更し、魅惑スル薔薇ノ雫を選択する

 

ヤヨイ「…碑文使いの力の一端…見せて、あげる」

 

薔薇モチーフの紫色の刀剣…第六相、マハのロストウェポンが幻出する

しっかりとそれを握り、感触を確かめ…

 

ヤヨイ(…ちゃんと…有る)

 

夕立を斬りつける

 

夕立「ぽっ!?」

 

サミー「え、な、何!?」

 

ヤヨイ「ふふ…夕立、サミーを攻撃して」

 

夕立「…あれ!?」

 

夕立が五月雨に殴りかかる

 

サミー「魅了されてますよ!?攻撃しないでー!」

 

夕立「そんな事どうでもいいから早く解除してー!」

 

ヤヨイ「夜叉車」

 

サミー「はぅっ…」

 

夕立「ぎゃんっ」

 

ヤヨイ「それ…もう一撃…それ」

 

夕立「もー!馬鹿ー!コレじゃ戦えないっぽい!」

 

ヤヨイ「うん、ごめんね」

 

トドメを刺す

 

夕立「性格悪いっぽい!」

 

実況『終わってしまったーッ!戦闘中の流れる様な武器の換装に惑わされ、ソロモンナイトチームは翻弄されてしまった〜ッ!』

 

エンデュランス「お疲れ、ヤヨイ」

 

ヤヨイ「…結構ダメージくらってる…苦戦した…?」

 

エンデュランス「うん、強かった…思ってたよりね」

 

ヤヨイ「こっちも…」

 

背後から籠手の様なものが顔のそばに伸びてくる

 

楚良「メンバーアドレス、ちょ〜だいっ」

 

シャキンッと音を立てて籠手から刃が飛び出す

 

ヤヨイ「…いつの間に?」

 

エンデュランス「わからないよ、でも、面白い子だね」

 

楚良「ね〜…おっ友達になりましょうよ…」

 

ヤヨイ「……いいよ、はい、これ」

 

楚良「やった、目標も達成したし…此処らで帰ろうかな」

 

ヤヨイ「…目標?」

 

楚良「碑文使いと仲良くしたいなって」

 

ヤヨイ「…そう」

 

楚良「バイバーイ、また遊ぼうね」

 

ヤヨイ(……結局誰なんだろう…)

 

ヤヨイ「夕立、今の人、誰?」

 

夕立「…誰かしら?」

 

サミー「知らない人だったんですか!?」

 

ヤヨイ「……」

 

 

 

 

 

観客席

双剣士 島風

 

島風「すごいなー…人数の不利をモノともしないなんて…」

 

アルト「流石にヤヨイには勝てないかー…」

 

レンゲル「でも実は魅了と麻痺耐性の装備さえつけてれば割と殴り合えるにゃしぃ、後ヤヨイは攻撃的なカスタマイズするから状態異常の耐性もないにゃ、同じことされたらとことん弱いからよいぞ!」

 

天津「…ほんとによくわからないわ」

 

島風「あ…ごめん天津風、退屈だったよね…今からエリアいこっか」

 

天津「うん、我儘言って悪いけど…」

 

レンゲル「レベル上がったら遊ぼうね!」

 

天津「ええ…そうね」

 

アルト「バイバーイ」

 

 

 

ルミナ・クロス ゲート前

 

島風「えっと…ちょうどいいエリアは…」

 

楚良「あの、そこのお二人」

 

島風「…さっき戦ってた人?」

 

島風(口調が全然違う様な…)

 

天津「……」

 

楚良「2人ですか?良かったら一緒に遊びませんか?」

 

島風「…どうする?」

 

天津「別にいいけど…私何もわからないの」

 

楚良「大丈夫ですよ、最初はそんなものですから」

 

 

 

 

Δサーバー 忘らるる 異端の 駿馬

 

島風(…普通のエリアだ…何かを狙ってる訳じゃ…あれ?)

 

エリアの奥にオレンジの衣装がチラリと見えた気がした

 

島風「今の…提督?」

 

楚良「……エリアを変えましょうか、このエリアはあんまりいいアイテムがないみたいで…」

 

天津「アイテムとか、よくわかんないし…今は普通の遊び方を教えてくれない…?」

 

楚良「…そうですね、ではそこのモンスターから倒しましょうか」

 

島風(やっぱりさっきまでとキャラ違うなぁ…)

 

天津「…私何をすれば…」

 

島風「天津は魔導士(ウォーロック)だから魔法を選んでとりあえず攻撃しよう!」

 

楚良「ばみょんっと…」

 

天津「こ、これでいいの?リウクルズ!」

 

島風「できてるできてる!疾風双刃!」

 

天津「そう、なのね…よし!リウクルズ!」

 

 

 

天津「はー…疲れた…」

 

島風「お疲れ様、今日は終わろっか」

 

楚良(……)

 

島風(提督、居なかったな…見間違いだったのかな…?)

 

楚良「エリアから出ましょうか」

 

転送用のゲートを選択し、タウンに戻るにカーソルを合わせる

 

天津「コレで冒険は終わりなのね…よし、戻りましょ」

 

天津がエフェクトとともに消える

 

島風「私も…あれ?」

 

楚良「マズイ…早くエリアから出てください!」

 

提督のキャラ…だと思う

私の知っているそのキャラによく似たソレがゆっくりと近寄ってくる

 

島風「提督?」

 

楚良「違います!アレはAIDAです!」

 

その言葉に反応した様に黒い泡が吹き出す

 

島風「AIDA…!」

 

楚良「あー、もう!楚良!?AIDAが出たって言ってるの!早く来て!」

 

島風「あれ…え、エリアからでれない!」

 

エリアを出るという操作が反応しない

このエリアに閉じ込められた…!

 

楚良「ゲームを落としてください!」

 

島風「そうだ、強制ログアウト……あれ?」

 

…現実の感覚がない

コントローラーを握っている手は?この画面を見ている私は?今表情を変えている私は…

 

島風「…私は…どこに…?」

 

楚良「まさか、AIDAサーバーに…!」

 

その会話の最中もジリジリと詰め寄り…今、斬りかかってきた瞬間赤いエフェクトとともに私の意識はブラックアウトした




艦娘PC名一覧
夕立→夕立   レンゲル→睦月
サミー→五月雨 アルト→白露
天津→天津風  島風→島風
楚良→春雨

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